建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
11 巻
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
  • 溝口 宏樹
    2004 年 11 巻 p. 1-13
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    「出来高部分払方式」は、短い間隔で出来高に応じた部分払や設計変更協議を実施する方式であり、諸外国の公共工事では一般的に行われている。国土交通省では、平成13年3月から、2件の工事で初めての試行を開始し、その後、平成15年度末までに116件 (完成85件) の工事に試行を拡げ、フォローアップを行っているところである。
    これらの試行を通じて、(1) より双務性の高い設計変更、(2) 受発注者のコスト意識の向上、(3) 請負者・下請業者への工事代金の速やかな流通による経済効果の早期発現、(4) 受注者の財務状況の改善、(5) 工事の品質の向上、(6) 受発注者の技術力の向上等の効果が期待されること、一方で、効率的な検査方法への改善等の課題があることを明らかにした。さらに、我が国の公共工事における出来高部分払方式の今後の効果的・効率的な実施方法等について、その改善策を示した。
  • 川幡 嘉文, 柴山 知也
    2004 年 11 巻 p. 15-26
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共事業の選択における専門家と一般市民との関係を、合意形成のための会議を事例として、科学技術社会論の枠組みを用いて、工学の公衆的理解という視点から分析した。海岸事業あるいは治水事業に関する専門家と一般市民の参加する3つの委員会を取り上げ、公開されている議事録をテキストとして採用し、分析した。その結果、住民参加型協議会において、科学的論争の終結パターン (例えばBeder、1991) における「健全な議論による終結」を目指すために必要となる条件を明確にした。
  • 青木 俊明, 星 光平, 佐藤 崇
    2004 年 11 巻 p. 27-34
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本稿では、シナリオ実験を用いて、同調圧力が公共事業に対する賛否態度に与える影響を、公正の絆理論に基づいて検討した。被験者には東北工業大学の1, 2年生を用いた。得られたデータに対して分散分析を行った結果、以下の結果を得た。すなわち、1) 他者情報の提示によって生じる同調圧力は手続的公正の評価を通じて賛否態度に影響を与えうる、2) 公共事業に対する利害関係者の賛否態度は、主に自己利益 (補償額) と説明方法に基づいて形成される、3) 公共事業の場合、自己利益と手続的公正に関してみられる通常の交互作用とは逆の効果 (欲求不満効果) が生じる可能性があること、が示唆された。今後の課題としては、より高いリアリティを持った状況下や異なるタイプの同調圧力が作用する状況下において知見を検討する必要性が挙げられた。
  • 安藤 良輔, 稲場 弘之, 大角 直, 中津原 勢司
    2004 年 11 巻 p. 35-46
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道路が有する機能の整理と機能の優先順位の設定は, 道路整備方針に大きな影響を及ぼす。そこで本研究において, VE手法, 特にVEにおける機能整理段階のノウハウを活用することによって, より合理的に整備方針を導くことを提案した。本研究では, 従来では評価しにくいためあまり導入されていない道路計画の企画設計段階にVE手法を適用し, 地域高規格道路を対象として整備方針の見直しおよびその結果を受けての道路概略検討を行い, 道路計画におけるVE手法の応用とコスト縮減効果について把握し, VE手法の道路整備の評価手法への適用性について考察した。
  • 春名 攻, 中岡 良文, 久米 達也, 清水 雄太
    2004 年 11 巻 p. 47-58
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、滋賀県草津市・栗東市域での草津川放水路事業に伴う草津川廃川跡地において滋賀県は、道路関連施設のみの整備を構想している。そこで、草津市では、道路関連施設用地以外の廃川跡地を一部滋賀県より買い取り、整備を行っていくこととなった。草津川廃川跡地の開発事業は、草津市の将来像に大きな影響を与えるものと考えられることから、草津市では、草津川廃川跡地における都市整備事業を実効性があり、より効果的なものにすることが求められている。
    そこで、本研究では、多面的・多角的な観点からの総合的検討が必要な都市施設整備問題である草津川跡地問題に対し、実践的で合理的な計画案提示の可能性を示すことを目的する。その際に、草津川廃川跡地に導入を想定した都市施設において、廃川跡地に整備を行う都市施設の種類・配置・工事実施期間を決定するため、草津川廃川跡地利用構想のための最適化モデルを構築することとする。そして、開発を行った最適化モデルと財政シミュレーションモデルとを連動させ、各都市施設整備が及ぼす財政・社会面における影響を実証的に分析することによって実効性があり、効率的で効果的な計画案の提示を行うこととする。
  • 中村 一樹, 竹内 明男, 山田 正
    2004 年 11 巻 p. 59-68
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    短い期間に急速に発展を遂げた鉄道網に存在するトンネル群が, 斉に補修を必要とする時期が近づいている. 限りある財源の下に効果的な維持管理を行うために, 管理者はさまざまな方法を模索している.
    京浜急行電鉄株式会社 (京急電鉄) においても同様で, 多くのトンネルを所有しているため, 特に効果的かつ経済的な維持管理方法の策定が必要とされている.
    そこで, トンネルマネジメントシステム (TMS) の導入を決定し, 構築を開始した.
    TMSは, 現在のトンネルの変状状態を「健全度」という定量指標で評価し, 将来の劣化を予測すると共に, 変状原因を推定し, 適切な対策工を適切な時期に適用することができるように管理者の意思決定を支援するシステムで, 健全度評価システム, 変状原因推定システム.劣化予測システム, 対策工選定システムおよび維持管理最適化システムの5つのサブシステムから構成される.
    今回は, 管理者が予算配置の意思決定に必要な情報を提供することのみを目的としたバージョン1として, 健全度評価システムに点検を組み入れた「点検および健全度評価システム」と維持管理最適化システムのうちライフサイクルコスト (LCC) を計算する「LCC積算システム」を構築し, TMSの暫定運用を開始した.
  • 高橋 裕輔, 上坂 克巳, 奥谷 正
    2004 年 11 巻 p. 69-80
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現代社会における新たな行政課題の出現や国民の価値観の多様化を受け、行政はこれまで以上に多様で幅広い知識を吸収し、行政が提供するサービスの改善や住民等と行政との良好な関係の構築に活用していく必要がある。国土交通省の国道事務所では知識の共有の不足に起因すると考えられる課題が生じているが、その原因としては、これまでの取り組みが情報ツールに依存しすぎていたこと、業務プロセスを最適化する方法論を確立できていないこと、さらにはこうした方法論に基づく業務の再構築ができていないことが考えられる。このため著者らは、よりよい行政サービスを提供するための業務プロセスの構築を目指し、組織的に知識を共有し利活用するための方法論の開発に取り組んできた。方法論の仮説は1) 目標 (ゴール)、2) 推進体制、3) 人材の学習と育成、4) 知識、共有の場、から構成される。本研究では、この方法論の仮説を国道事務所の業務改善に試験的に適用することにより、その有効性を実証した。さらに、これらの実践的な取り組みを通じて、本研究で提示した方法論の仮説が内包する課題について考察を加えた。
  • 有冨 孝一, 松岡 謙介, 上坂 克巳, 奥谷 正
    2004 年 11 巻 p. 81-90
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 道路土工を対象に, 3次元設計情報として基本骨組み構造を電子化したものを測量機器に搭載することにより, 丁張り設置と出来形管理が効率的に行えることを明らかにした。ここで基本骨組み構造とは, 平面線形, 縦断線形, 標準断面情報を組み合わせた構造 (以下, スケルトンという) である。ここでは, まず明治から現代にかけて出来形管理の変遷と新たな出来形管理技術の必要性を述べた。次にスケルトンを活用した出来形管理技術が, 従来型に比べて準備作業時間の短縮に有効であることを示した。スケルトンの電子化により設計から施工にかけてスムーズに設計情報の活用を行うことが可能となる。これは, 建設CALSが理想とするライフサイクルでの効率的な情報交換の一例であると考える。
  • 矢吹 信喜, 志谷 倫章, 嶋田 善多
    2004 年 11 巻 p. 91-98
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    施工管理の効率化, 高度化及び出来高部分払い方式への対応を目的として, 切土盛土工事を対象とした4次元CADとアーンドバリュー手法 (EVMS: Eamed Value Management System) を統合化させたシステムを構築した.本研究では, 地表データのプロダクトモデルにはLandXML, プロセスモデルにはIFC2xを使用し, 3次元CAD, 工程管理システム, 積算システム及びEVMSを, VBAを用いて統合化した.本システムを過去に実施された実際のプロジェクトに試験的に適用することにより, 工程表から3次元CAD上で工事の進捗状況や出来形を見ることができ, さらに出来高と部分払い金を求め, 工程と原価の2つの側面から的確な施工管理を行えることを示した.
  • 保田 敬一, 三上 市藏, 今井 龍一
    2004 年 11 巻 p. 99-110
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    点検は維持管理の基本であり, 点検結果をもとにして健全度評価, 劣化予測, 最適補修計画などが実施される. しかし, 点検業務は, 現場での点検員の経験や熟練度に依存しているのが現状である. 本研究では, 橋梁の維持管理業務を対象にして, 国際的な分析手法を用いたモデル化による現状の業務分析を行った. 従来から指摘されていた維持管理業務における問題点の正当性を確認した. そして, 現状分析から得られた各部材の過去の損傷結果や判定の経緯が不明であるという課題に対する対応策として, XMLを用いた点検結果のデータベースを構築した.さらに, 構築したXML-DBを実際の橋梁点検で使用し, 判定支援に有効に利用できることを検証した.
  • 保田 敬一, 小林 潔司
    2004 年 11 巻 p. 111-122
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    維持管理シナリオの決定はBMSの中でも重要な位置を占めるが, 路線の重要度, LCC, 迂回路の有無交通量, 環境条件など様々な要因を考慮しなければならず, 管理者にとつて必ずしも分かり易い維持管理シナリオの決定方法が示されていないのが現状である. 本研究では, 個別の橋でLCCが最小となる維持管理シナリオは, 点検結果から推定する状態推移確率から求める劣化予測モデルと各劣化状態で採用する補修・補強工法の種類およびその工費との関係からLCCを算出することで決定できることを示す. ケーススタディの対象は, 直轄国道の鋼上部工におけるRC床版とし, 点検結果から状態推移確率を求める方法を示し, 維持管理シナリオを変化させた場合のLCC比較を行うとともに, 各推移確率の感度分析を行う. そして, そして, 劣化速度が速い場合はこまめに補修した方が, 劣化速度が遅い場合は放置した方が経済的になるとの結論を得た.
  • 松田 晋太郎, 市川 新, 谷口 健太郎, 福本 茂朗, 濱中 聡生, 多田 隆志, 石橋 秀規
    2004 年 11 巻 p. 123-140
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 建設廃棄物の徹底した管理による, 不法投棄の防止および適正処理・再資源化の促進のために, 主に土木系建設現場・解体現場での実態調査をふまえて構築した「建設廃棄物管理システム (CWMS)」の構成原理の解説と, その具体的内容の紹介である. 本システムは大きく2つに分かれている. 一つは、建設系廃棄物マニフェストの電子化で, もう一つは, この電子マニフェストと連携したGPS車輌管理システムの構築である. また, CWMSを実地に運用するための「運用試験」から, 現行システムのもつ問題点を抽出し, それぞれについての改善策の提案を行った. その主なものは, 一次マニフェストと二次マニフェストとの紐付け問題, 重量管理のためのダンプ規制法で設置を義務づけられている自重計の活用である. また, システムへの参加を促進させるために, 本システムを, 建設業務それ自体の合理化にも寄与できるものとしている.
  • 東郷 智, 大津 宏康, 大西 有三, 伊豆 隆太郎, 安田 亨, 高橋 健二
    2004 年 11 巻 p. 141-148
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    昨今, 土木構造物の維持補修問題に対して, 従来の技術論に基づく検討に加えて戦略的に維持補修予算投資を決定するというアセットマネジメントという概念が注目されるようになってきた。アセットマネジメント技術を実際問題に適用するには, 性能規定, ハザードの到来に対する将来状態の予測手法, 適切なタイミングで補修する意思決定手法の確立が必要である。このような観点から, 本研究では戦略的マネジメントにおけるシミュレーションの手法としてGISシステムを取り上げ, 斜面のリスク評価手法への適用性について論じた。本システムは, GISのデータベース機能・空間解析機能により斜面情報を一元管理し, サブシステムによりリスク評価を行うものであり, 道路ネットワークにおける迂回損失を容易に検討できる特徴を有する。また, 本手法を道路網に隣接する斜面に適用し, 道路ネットワークを考慮した路線のリスク評価結果に基づく, 斜面補強の優先順位付けの事例についても示すものである。
  • 岳本 秀人, 石田 樹, 丸山 記美雄, 清野 昌貴
    2004 年 11 巻 p. 149-160
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年我が国において、高度成長期に建設された社会資本の老朽化が進み、その対応に要する費用は近い将来確実に増加・集中していくことが予想される。厳しい財政制約の中で舗装資産を効率的かっ合理的に管理しゆく必要性が大きくなり、その手法の確立が急務になっている。このような中で、舗装マネジメントシステムの必要性について提唱されてきており、ライフサイクル・コスト算定手法および運用方法についての研究が各方面で進められている。
    北海道の国道は約6, 400km にわたる膨大な社会基盤であり、限られた予算の中で利用者に対して安全性・快適性等のサービス水準を効率的に確保していく必要がある。
    本研究はライフサイクル・コスト分析のケース・スタディを実施し、道路管理者費用に加えて道路利用者費用を考慮した舗装の維持修繕計画の策定手法について検討したものである。
  • Mamoru HARUNA, Tomohiko WATANABE, Xuepeng QIAN
    2004 年 11 巻 p. 161-170
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    An attempt is made to develop and verify the effective methodology of urban development projects planning, from the aspect of finance and administration. In the study, Kusatus City, Shiga Prefecture, is selected as the subject city for the case study. A financial simulation system has been built up, which is the analysis platform for the planning. The optimization of the study is linear multi-objective problem, with seven objective indexes correspond to the development objective the Kusatsu City, and four control variables of investment to living, transportation, culture, science and amusement, and welfare infrastructure. The hybrid model concept and time-related dynamic analysis are used in the planning evaluation for final proposal. And by the successful verification of the case study, it could be said that the planning methodology is rational and effective.
  • 尾嶋 茂久, 草柳 俊二, 永野 正展
    2004 年 11 巻 p. 171-180
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    戦後の復興から経済立国へ, 我が国は世界のリーダー的役割を担う国の一つとなった. しかしながら, 国民の居住空間については未だに発展途上にある.自然と共生し, ゆとりある居住環境を実現することは, 21世紀に生きる人々の念願ともいえる. これを実現するためには, 人間の生活を異なった価値観で見つめ直すことが求められる. 20世紀後半の経済発展を基軸とした住宅概念を変革し, エコロジカルで良好なコミュニティを持つ居住環境を獲得するためには, 現在の居住に関する価値観を革新する新しい開発手法が要請される. 本研究ではそうした居住環境を実現する事業概念を提案し, その優位性と実効性を検証するものである.
  • 大西 正光, 坂東 弘, 小林 潔司
    2004 年 11 巻 p. 181-192
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    PFI (Private Finance Initiative) は公共サービスを民間事業者が供給する手法であり, 事業者が破綻した場合でも, 必要な事業に関しては安定したサービス提供が図られなければならない.そのため, 事業者が破綻した場合に, 迅速かつ効率的な事業再生が実現できるメカニズムを有した事業再生の手続きを事業着手以前に予め構築する必要がある.PFI事業のための再生手続の構築は, 民間事業で用いられるものをそのまま援用するのではなく, PFI事業の有する特性及び制約を考慮した手続でなければならない.本研究では, まず会社法の経済学において民営会社の効率的な再生手続を実現するための効率的な手法として評価されているBebchuk-Aghion-Hart-Mooreモデル (BAHMモデルと略す) の概要を説明し, 同モデルのPFI事業への適用可能性について考察する.さらに, PFI事業の特殊性について考察し, PFI事業の再生手続において考慮されるべき点について明らかにする.最後に, BAHMモデルを拡張し, PFI事業のための望ましい事業再生手続モデルを提案する.
  • 中川 良隆, 浜島 博文
    2004 年 11 巻 p. 193-204
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は我が国ではまだ実施されていない、PFIによる一般地方道路事業のうち、離島架橋事業について、VFMの評価を行ったものである.既往のデーター等を基に、従来公共事業方式と想定されるPFI事業方式の契約件数、工事期間、発注者の事務費等の比較検討を行い、両事業方式の事業費と建設事業期間の差異を算定した.その結果、PFI事業方式を採用すれば、工事期間、間接工事費、発注者事務費等の削減が見込まれることが分かった.これらを基にVFMの試算を行った.試算結果からVE等により直接工事費のコストダウンを図らなくとも、VFMが達成されることを明らかにした.さらに、PFI事業方式を一般地方道路事業に導入すれば同様にVFMが達成できることを示した.
  • 中野 雅規, 小路 泰広, 島 遵
    2004 年 11 巻 p. 205-212
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    PFI事業では、VFMの向上を図るために、ライフサイクルコストの縮減とともに、サービス水準の向上が重要であり、民間事業者の選定に当たっては、定性的な要素も含めたサービス水準を的確に評価したうえで事業者選定を行う必要がある。ところが、民間事業者選定段階においては評価基準が価格に偏重し、景観や環境、文化・風土などの定性的要素への配慮に欠ける提案が採用されているとの指摘や、品質や創意工夫がないがしろにされるとの指摘がなされている。
    これに対し、総合評価における価格以外の要素への配慮や、審査の透明性確保の必要性に関する提案がなされている。しかし、価格以外の要素、特に景観や文化といった定量化が困難な要素も含めた適切な評価手法が確立しているわけではない。
    そこで本論文では、PFI事業の民間事業者選定時における定性的要素を含む適切な評価手法を確立することを目的として、(1) 現状の総合評価に関する背景と課題、(2) 数値化が困難な定性的要素を適切に評価するための審査方法、という視点から検討を行い、民間事業者選定時における定性的評価を含めた評価手法のあり方について提案を行う。
  • 瀬崎 陵
    2004 年 11 巻 p. 213-224
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    市町村を含む地方財政が国家財政と併せて近年危機的状況にある。そのような状況から脱却するための手段として、市町村合併を選ぶ市町村が増えつつある。市町村合併とは何か、市町村合併のメリットおよびデメリットとは何か、という基礎的な議論を前提として、全国画一的に処理されがちな合併政策というものについての対案として、圏域ごとに違った合併政策を採るべきということを言及する。そのための手段として、市町村 (「行政都市」) を類型化し、それぞれの類型において特に際だつ合併の効果を分析するとともに、合併の適正規模を条件として考察する。合併の条件として、既往の研究では人口 (=財政規模) に関わる条件のみが強調されていたが、本研究では通勤圏および商圏から合併の適正規模を定める面積条件の導出を狙った。この点はまた、行政区分と生活圏域はなるべく一致していることが望ましいという考え方にも基づいている。
  • 五艘 隆志, 那須 清吾, 草柳 俊二
    2004 年 11 巻 p. 225-238
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の地方自治体の財政状況はバブル経済崩壊をもって急速に悪化し, 多くの自治体が事実上の財政破綻に陥っている.他方, 中央政府は “三位一体政策” を打ち出し, 地方の自主・自立体質の強化を目指している.現状の地方自治体組織の実態を見ると, 中央政府の省庁縦割管理に対応した体制となっている.地方自治体組織の諸部門は中央省庁の基本方針や諸規定・規則の枠組みを踏まえて動く構造となっており, 部門間が柔軟に作用し合い, 地域の実態に則した的確な活動方針を打ち出して行くことが極めて困難な構造となっている.
    自主・自立を前提とした組織は, 自ら方針と方策を見出して行くことが求められる.そして, その活動を可能にするシステムを持っていなければならない.今, 地方自治体は迅速かつ的確な方針決定を行い, 効率的な運営を行っていくためのマネジメントシステムを自ら構築することを求められている.本研究は, 我が国の地方自治体の組織と行政の実態を分析し, 日本の実態に適合した地方自治体のマネジメントシステムの構築を目的としたものである.
  • 用途別都道府県別生コンクリート消費量の変遷からの考察
    大内 雅博
    2004 年 11 巻 p. 239-248
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都道府県別生コンクリート出荷量を指標とし, 1971年から2002年までの建設投資の地域差の変遷を, 民間建築用, 官需建築用および道路用の三つの用途毎に定量した。各都道府県の人口密度と単位面積あたりの生コン消費量との関係を一次関数で回帰し, その結果を用いることにより, 人口密度にかかわり無く各都道府県に配分される消費量が全体に占める割合を留保率と定義した。留保率を指標として建設投資の地域差に関する変遷を用途別に考察化した。民需建築用は一人当たりの消費量の地域差がほとんど見られず推移してきた。官需建築用はやや地方に多く配分された期間がほとんどであった。一方, 道路用は一人当たり消費量が地方に多く都市部に少ない状態で推移してきた。留保率は増減を繰り返してきたが, 1990年以降現在までその傾向がより強くなってきていることが分かった。
  • 日本および世界各国の国内総生産とセメント消費量との関係から
    大内 雅博
    2004 年 11 巻 p. 249-259
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設需要の指標としてセメント消費量を採用し, 世界各国の経済力と建設需要との関係を考察した。一部の小国や地域を除いた173の国または地域について, 2000年時点での一人当たり国内総生産とセメント消費量との関係を求めた。GDPが増加するに従いセメント消費量も増加するが, 一人当たりGDPが1万-2万ドルをピークとして, それ以上のGDPではセメント消費量が落ち着く傾向が認められた。さらに日本については単位GDP当たりのセメント消費量の変遷を求めた。セメント消費量とGDPとの比率は終戦直後から第一次オイルショック時点まで上昇を続けるが, 1980年頃から現在に至るまで低下傾向にある。現在は経済に占めるセメント消費量の割合が低下している時期にあることが分かった。
  • 藤崎 雄滋郎, 小澤 一雅
    2004 年 11 巻 p. 261-268
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    今日、日本における公共投資は縮小傾向にあり、地方自治体の財政状況は逼迫し、建設業においては、これまでの右肩上がりの発展は期待できないといった先行きの不透明感が厚い雲のように覆っている。そういった状況で、少ないパイを取り合うことにより、利益率の低下が著しく、建設業において工事によって利益を発生させることが、非常に厳しい状況になってきている。日本と比較して、欧州では公共投資の規模は縮小しており、欧州の企業がそのような環境下でどのように立ち居振舞っていたかということは、今後の日本の建設業が直面するであろう状況にいち早く直面した前例として非常に興味深い。一方で、わが国の製造業に目を向けると、海外の市場に進出し活発に企業活動を行っている企業を多く見ることができる。それらの状況から、本研究においては、海外の建設会社と日本の総合建設業を比較し、また日本の総合建設業と他産業を比較することで、現在の総合建設業の経営的特徴を明らかにし、利益率や売上高といったマクロ的な視点から今後の総合建設業の海外進出のあり方について考察した。
  • 渡邊 法美
    2004 年 11 巻 p. 269-280
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿では、わが国のインフラ整備における行政官 (以後、「官」と略する) と国民との信頼関係の分析と信頼回復にNPOが果たしうる役割を検討した。旧来の官と国民との関係は「公私二元論」で表される。官の「無私と全能」と国民の「お上意識と滅私奉公」によって、旧来のインフラ整備では社会的不確実性と機会コストが抑制されてきた。しかし近年は、官における私が顕在化し、個人の「多面的」主張・行動によって、社会的不確実性と機会コストの双方が増大する可能性がある。官と個人の「改革」課題として、それぞれの「信頼性」を向上し、社会的知性を発達させ、他者への信頼を醸成していくことが求められる。
    NPOが有する (1) 新たな主体としての資源の受入機能、(2) 私福の共福への「昇華」機能、(3) 官の監査機能は、官と個人の「改革」を促すと考えられる。さらに、「NPO活動成功の鍵は、共福・公福の計画策定 (Plan) への上手な参画にある」との仮説を導いた。具体的な検証は今後の課題としたい。
  • 草柳 俊二
    2004 年 11 巻 p. 281-292
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設技術者 (Civil Engineels) が担うべき機能は, 国民にとってどのような社会資本整備が必要かを見出してゆくこと, 建設技術の開発・革新, これら二つの機能を有効に結び付ける機能, マネジメントであると考えられる.戦後復興, 急速な経済発展基盤整備といった状況下で, 我が国の建設技術者は技術開発・革新の機能向上に傾注し, 他の二機能に対する認識が希薄であった.建設産業への国民の疑念に対して, 建設技術者が明確な意見を発することができにない理由は, 自身の担うべき機能を狭めてしまった結果ではないか.国民の信頼に応え, 国際化等の社会変化に対応してゆく建設技術者が求められており, 建設マネジメント教育はその鍵と考えられる.我が国の実態に即した建設マネジメント教育に必要なプログラムの構築が求められている.
  • 吉川 勝秀, 本永 良樹
    2004 年 11 巻 p. 293-300
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    過去約2000年間の日本における人口変動と国土利用の変遷を調べた.また過去約100年間及び今後約100年間の世界各地の人口変動について調査・予測した.その結果以下に示すように1) 長期的 (過去2000年間) に見た時, 日本には過去3度人口が急増した時期があり, いずれも大規模な国土開発が行われた時代と一致する, 2) 短期的 (過去100年間) に見た時, 他の先進諸国に比較して日本の人口増加は急激で “人口爆発” と言える程であること, 3) 今後アジアで予測される人口変動はこの “人口爆発” と同じ傾向を示すこと, 4) これらのことから今後アジアの国々は日本がこれまでに人口急増・都市化に伴い経験したのと同じ河川環境に関する問題に直面すると予想できる, などの知見が得られた.
    アジアの国々がこれから直面する問題に対応するためには, 日本等が持つ同じ問題についての経験・知識を共有・交換することが重要であることを示し, そのための河川環境に関する情報ネットワークの構築について述べた.
  • 浜田 信彦, 尾関 良純, 大津 宏康
    2004 年 11 巻 p. 301-308
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    阪神高速道路淀川左岸線大開工区は、開削トンネル (箱型断面) からU型擁壁へ移行する地下構造形式である.特にU型擁壁底面は液状化の可能性のある砂質系地盤に位置しており、この地盤が地震時に液状化した場合、函体の浮き上がりが懸念されるため、その対策について検討を行った。対策効果、工費等比較検討の結果、対策工法として遮蔽壁により側方の液状化地盤が函体下方へ回り込むのを防止する「遮蔽壁を用いた液状化対策工法」を採用することとした。遮蔽壁としては施工時の仮設土留め鋼矢板を残置し有効利用することとした。本論文は、対策工法の比較検討および「遮蔽壁を用いた液状化対策工法」の概要、効果、設計手法、建設マネジメント面からの課題を報告するものである。
  • 尾嶋 茂久, 草柳 俊二, 岡村 甫
    2004 年 11 巻 p. 309-318
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国では, 欧米先進諸国で実施されてきた事業手法を基に, いわゆる “ニュータウン” と呼ばれる多くの宅地開発事業が行われてきた.しかし, これらの開発は事業リスクの大きさや画一化した居住環境さらには地域コミュニティを形成する機能の欠如などにより, 現代の社会経済状況に適合できない多くの課題を抱えている.高度情報化, 少子高齢化, 国際化といった今後確実に発生する社会状況の変化を考えると, これまでの方法とは異なった, 新しい開発コンセプトを見出して行かなければならないと考える.
    本論文は日本や欧米諸国で行われてきたニュータウン開発事業を再検証し, 我が国の社会変化に対応可能な, ニューコミュニティ開発のためのコンセプトについて論じるものである.
  • 大津 宏康, 松山 裕幸, Nutthapon Supawiwat, 高橋 健二
    2004 年 11 巻 p. 319-330
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    昨今, 日本の社会基盤整備の一面として成熟型社会における構造物の維持・補修・更新の最適化という課題に対処するため, 戦略的に維持補修予算投資を決定するというアセットマネジメントという観点からの検討が注目を集めつつある.しかしながら, 現状では本研究で取り扱うような斜面等の地盤構造物に対するアセットマネジメントに関する概念は, 未だ確立されていない.こうした背景を鑑み, 限定した議論ではあるが, 本研究では斜面の安定対策工として多用されている地下水排除工の性能低下を考慮した維持補修計画を対象として, 災害リスク評価を基本としたライフサイクルコストの評価方法を提案する.さらに, ライフサイクルコストの期待値算定モデルにおける社会的割引率に着目し, 社会的割引率がライフサイクルコストを指標とした斜面のアセットマネジメント手法への影響について考察するとともに重要性について言及する.
  • 五十畑 弘
    2004 年 11 巻 p. 331-342
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の鋼橋建設は、20世紀後半の約40年間に、建設量の拡大と海峡横断道路等の長大橋建設に伴う規模の拡大が進んだ。鋼材消費量ベースで10万t台であった1960年代初頭の建設量は、20世紀末の10年間には、常に欧米の総計を上回る年間60-90万tに達し、この間、鋼橋建設産業は一連の大規模プロジェクトの完工をもって成熟の域に達した。
    鋼材、高力ボルトなどの材料や溶接・加工、施工機械、工場などの安全管理、品質保証等の設備、コンピュータ技術など周辺技術の発達により鋼橋建設の品質、効率性、安全性は大幅に向上した。鋼橋の建設生産システムは、世界的な公共事業調達システム変革の潮流の影響を受け、1990年代以降になって入札契約方式、事業執行方式から変化を開始した。
    本論文では、わが国および、欧米における20世紀後半の鋼橋建設の発展過程ついて明らかにし、相互の比較の視点をもってわが国の鋼橋建設産業の特質について論じた。鋼橋の構造、製作、架設等の技術および、鋼橋建設における契約のスコープや、建設業法上、および建設生産システムの運用上の商品区分、入札・契約、発注者と請負者の関係などについて調査し、わが国と欧米の相違を指摘しつつ、これらの要因による20世紀末の鋼橋建設産業に対する影響について述べた。
  • 北條 哲男, 花安 繁郎
    2004 年 11 巻 p. 343-350
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    欧州連合 (EU) の安全衛生政策の動向に関して、まず欧州における安全衛生制度の概要を紹介し、次に安全衛生施策を推進している欧州安全衛生機構の活動内容、特に情報ネットワーク活動の実施状況例などを概観した。最後に、建設分野において新たな施策として導入された安全衛生調整の概念やその実施に伴う人材育成などについて調査した結果を報告する。
  • 相馬 裕, 藤村 尚, 鈴木 信行
    2004 年 11 巻 p. 351-358
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設産業の近代化・合理化が進展する中, より効率的な経営戦略を創出するために, 米国からフランチャイズシステムが導入され, わが国の建設市場のフランチャイズ化に大きな変化が現れている.本稿は歴史的背景を踏まえ, 規模拡大傾向を示す中で建設フランチャイズシステムの適用事例として土壌改良材に取り組む企業の顧客 (加盟店) を対象に満足度調査を行い, 加盟店の意識とその課題を取り上げ, 残された課題もある中で新しいネットワークシステムの構築の必要性を示唆する.
  • 中川 良隆
    2004 年 11 巻 p. 359-368
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究はオーレスンリンク、東京湾横断道路、首都高多摩川・川崎航路沈埋トンネル等の大型海洋横断連絡路プロジェクトの建設マネジメントを比較して、我が国のこれからの建設事業の効率的な遂行の方策を検討することを目的としたものである.調査の結果、発注方式、発注ロット規模・数、発注者組織、発注者・コンサルタント・建設請負会社の関係、品質管理方法、設計変更方法、受注者への支払査定方法、インセンティブ等に大きな差異があることがわかった.これらの要因により工事期間が長くなる等の非効率が発生している.検討結果を踏まえ、今後の我が国の大型建設事業の遂行に当たっての効率的な建設マネジメントを提言した.
  • 佐藤 稔紀, 見掛 信一郎, 今津 雅紀, 坂巻 昌工
    2004 年 11 巻 p. 369-378
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    深度1,000mの立坑2本と水平坑道から構成される瑞浪超深地層研究所は, 高レベル放射性廃棄物地層処分技術に関する深地層 (対象岩盤: 結晶質岩) の研究施設として, わが国で初めて建設されることとなった。瑞浪超深地層研究所研究坑道掘削工事の契約においては, 本事業の特殊性や透明性ならびに安全性や技術の向上のために, 一般競争入札のもと, 総合評価落札方式を採用した。工区分けは, 立坑各1本ずつとし, 提案事項は相互に仕様書に反映することで, より高度な施工が可能になるように考慮した。本稿において, これらの契約方式を採用した経緯, 内容および評価について示した。
  • 関口 信一郎, 小柳 一利, 吉田 義一
    2004 年 11 巻 p. 379-384
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、国際化、地球環境問題、国民ニーズの多様性など公共事業を取り巻く環境が大きく変化しており公共事業を進めるにあたって従来にも増して新しい分野の知識や技術が求められる。それに応える知識や技術力を養成することは官民を問わず喫緊の課題となっている。技術力向上を図るに際して最も重要なことは、技術者が具体的な目標を持って日常の業務を進めながら一定の技術水準を意識的に意欲を持って養成することである。その方針に立って技術力向上プログラムを開発し、1996年より北海道開発局の港湾・漁港整備を担当する部所においてプログラムを実施し、その有効性を実証してきた。
    本プログラムの特徴は、職務ごとに技術者が保持すべき技術の内容を明らかにし、技術力評価方法を開発したことである。それをもとに現在有する技術力の評価を行った上で、今後目標とする技術の種類と水準、目標達成までの実行計画を作成し運営体制等を整えた。具体的な実行計画は各年度末に技術者にアンケートを行い全体会議において修正を加え、技術者個人の技術力については自らが現状を評価し次年度の技術力の目標を設定することとしている。
  • O Chunlu Liu, Sung Kin Pun, Yoshito Itoh
    2004 年 11 巻 p. 385-396
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    The demolition of buildings produces enormous amounts of waste materials that are hardly reused or recycled and therefore result in significant waste streams to landfills. This research aims to develop a Web-based information system for promoting management methodologies for demolition projects. Instead of the waste materials exchange in current online waste material management systems, this research aims to explore the possibility of exchange of demolition projects, by which the utilization of demolished materials may be ascertained before the demolition action is actually produced. With reference of the needs and difficulties of online drawing acquisition in architecture and building discipline, an online multimedia data acquisition tool is developed to collect the drawing data of a project to be demolished. Following the introduction for developing a Web-based distributed database system, a prototyped information system is demonstrated in detail through the system environment, structure and functions.
  • O Chunlu Liu, Yu Song, Yoshito Itoh
    2004 年 11 巻 p. 397-408
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    In the field of construction economics, input-output analysis based studies have attracted a lot of interest from the academics and researchers. The wide efforts are to carry out analyses and comparisons of economic indicators in construction sectors across countries and years. There has been little research modelling the construction productivity using input-output tables. This research takes advantage of the input-output analysis to develop a perspective for determining the productivity of an industrial sector. The developed quantitative formulas are fully based on the economic indicators generated from an input-output table. Using the newly published OECD input-output database, historical analyses and comparisons are carried out to indicate the differences of productivities of the construction sectors in Australia and Japan.
  • 尾ノ井 芳樹, 大津 宏康
    2004 年 11 巻 p. 409-416
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    プロジェクトファイナンスを用いた民間事業として行うインフラ事業投資においては、一般に建設契約としてEPCターンキー契約が採用されているが、地質条件など自然リスクに建設コストが左右される場合については、そのリスク分担の方法は定着していない. ここでは建設費のボラティリティ (変動性) が計量されれば、投資あるいは融資の判断に通常使用されるキャッシュフローモデルに入力する数値を確率変数によって与え、資本収益率 (IRR) や返済余裕比率 (DSCR) などを指標として、出資会社および銀行において計量されたリスク資産として認識されることを述べる. そのためにケースプロジェクトを設定し、建設コストリスクと他のリスクファクターとそれぞれの事業評価に対する影響度合いを考察する.
  • 太田 和良
    2004 年 11 巻 p. 417-422
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東南海・南海地震の危険性が切迫する中、国・県の防災部局、市町村、あるいは住民など各レベルでの防災訓練が種々の方法を用いて実施されているところである。
    県にあっては国あるいは市町村問の調整、情報の収集、被害状況の取りまとめ及び発信、報告が主たる業務となるが、公共土木施設を管理する県土整備部としては、自らが管理する施設の状況を把握し、尚かつ即座に使用し得る施設を見極め、さらに応急復旧対策を施すことを判断しなければいけない。地域の振興局建設部では職員一人ひとりが被災現場を前にして諸々の判断を求められるということも容易に想像できる。
    そのため、県土整備部としては地域における防災技術力の向上を図るとともに、振興局建設部の職員を中心に応急対応能力 (特に初動体制を確立するための能力) を向上する必要性を感じ、従来は地域住民のための手法として用いられてきた災害図上訓練 (DIG: Disaster Imagination Game) を県土整備行政職員用に工夫しながら試行的に実施した。
    今回の試行の結果と、地域における防災技術力の醸成に向けての取り組みについて報告する。
  • 地方都市における地域スタンダードの構築へ向けた取り組み
    佐野 彰
    2004 年 11 巻 p. 423-426
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    札幌市内の中小建設業を対象とした品質マネジメントシステムが、「サッポロQMS」として平成16年4月1日から始動することとなりました。公共事業の縮減傾向が続くなか、競争の激化や利益率の低下など建設業を取り巻く経営環境は、きわめて厳しいものとなってきています。そうした中、札幌市による“建設業などの構造不況業種に対する総合的な支援策”のもと、すでにISO認証登録している市内の建設業者が中心となって多くの中小建設業向けに独自の地域スタンダードの構築を進めてきました。そして、審査・認証登録機関として、市民参加によるNPO法人「サッポロQMS」の発足に至りました。ボランティアが中心となることによって経済的な面での負担を小さくするとともに、中小の建設業者が取り組みやすい簡易的な内容としているのが大きな特徴です。地方都市における地域スタンダードとして、市内の中小建設業における品質管理の標準化とその実効性を積極的に支援し、市民のニーズにきめ細やかに対応する建設業への転換と自立を促進して行くとともに、安価で品質の高い社会資本の提供を可能とすることで、地域経済の活性化と発展を期待し得るものになると考えています。
  • 合意形成過程の効率化と市民啓発の視点から
    青木 俊明, 中居 良行
    2004 年 11 巻 p. 427-432
    発行日: 2004/12/07
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本稿は、合意形成の効率化という観点から、社会資本整備に関する市民講座の必要性を提案するものである。まず、合意形成の現状を把握する題材の一つとして、仙台市営地下鉄東西線の市民説明会における市民発言について内容分析を行った。分析の結果、市民発言には、1) 説明責任の果たし方、2) 事業コスト、3) 行政に対する不信感の表明、が多いことが分かった。同時に、市民発言の中には社会資本整備に関する初歩的知識を有していれば回避される質問が約2割含まれていることも分かった。これを踏まえ、効率的な合意形成を図るための方策を検討した。その結果、多くの市民が社会資本整備に関する基礎知識を得ることで合意形成に要する時間コストが節約されるとともに、建設的な市民発言が増加する可能性が挙げられた。これより、社会資本整備に関する市民講座を積極的に開設すべきであることが提案された。
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