建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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14 巻
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  • 日本の東京首都圏を中心に
    吉川 勝秀
    2007 年 14 巻 p. 1-11
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    20世紀の激しい都市域への人口の集中・増加、都市化の進展等により、都市環境は悪化した。その負の遺産の解消がこれからの時代に求められている。本論文では、自然と共生する流域圏・都市の再生シナリオに係る研究の一環として、日本の首都圏を中心に、流域の都市化に伴う河川・水路網の消失や河川等への道路の建設などによる都市の水環境インフラの変遷について長期的な時間スケールで明らかにした。
    その上で、国内外の川および川からの河畔の都市再生、河畔および河川上空の道路の撤去や地下化による川と都市の再生、さらには河川再生と都市整備との連携に係る先進的な事例を広範囲に示した。それらを踏まえつつ、これからの時代の川からの都市再生モデル (再生シナリオ) を設計・提示した。さらに、河川空間を都市に生かす上で社会的に必須の装置ともいえる川の通路 (リバー・ウォーク) について考察し、首都圏における川からの都市再生について考察を加えた、そして、日本橋川等の具体的な河川・都市域を例にその実践について考察した。
  • 稲積 真哉, 與北 雅友, 木村 亮, 嘉門 雅史, 西山 嘉一
    2007 年 14 巻 p. 13-22
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    海面埋立処分場において鋼管矢板を打設することで構築される鋼管矢板遮水壁は、埋め立てられた廃棄物からの浸出水が外海へ漏出することを防ぐ重要な遮水工要素である。一方、鋼管矢板が遮水工としての機能を発揮するためには、継手を有する鋼管矢板の嵌合打設において周辺地盤との密実性を保持しなければならない。本研究では、鋼管矢板遮水壁の打設における周辺地盤の乱れ領域の形成に着目し、海面埋立処分場全体の環境保全機能に対する乱れ領域の影響、乱れ領域の形成を抑制する打設工法の効果およびサンドコンパクションパイル工法による地盤改良の影響を、浸透・移流分散解析によって評価する。本研究における成果の一例として、下部堆積粘土層において形成される乱れ領域が特定経路における有害物質漏出の漏出量に大きく影響し、一方、ソイルセメントによる鋼管矢板周辺の地盤改良を伴う鋼管矢板の打設工法が有害物質の漏出抑制に効果的であることを示した。
  • 高橋 宏直
    2007 年 14 巻 p. 23-33
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の社会経済が持続的に発展するためには, 既存の社会資本の機能を保持することが必要不可欠である. そのためには, 従来の事後保全型の対応から予防保全型の対応に転換して, 適切な維持補修計画を策定することが重要である. しかしながら, この維持補修計画の策定において社会的割引率の適用の考え方については十分には整理されていない.
    このため, 本研究では, これまでの社会的割引率に対する概念を分析したうえで, 適用しない場合と適用すべき場合との考え方を整理する. さらに, 維持補修計画で重要となる補修工事の最適な実施時期を明らかにする具体的なモデルを示す.
  • 海老原 哲郎, 大津 宏康
    2007 年 14 巻 p. 35-44
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、民間資金を活用したインフラ整備事業への投資が、世界中で多く見受けられるようになっている。インフラ事業への投資は、その長期性・安定性などから、投資ファンドや年金基金などの機関投資家が、ローリスク案件として運用資産の一部を配分する傾向がある。一方、インフラ事業へ投資を行うためには、インフラ構造物の資産価値が投資額を上回ることを確認しなければならない。ところが、一般的な公共事業における資産価値評価法は数多く提案されているのに対し、民間資金を導入したインフラ資産価値評価法はあまり多く見られないのが現状である。そこで本論文では、初めに一般的な公共事業の事業採択条件を示し、民間資金導入時のインフラ価値評価手法との比較を行う。次に、民間企業が運営権を買収したカナダHighway 407の事例を取り上げ、将来のキャッシュフロー一獲得に基づくインフラ価値算出方法における具体例を示し、そのシナリオ設定手法および価値評価手法について考察を加え、資産価値評価の不確実性とその支配的リスク要因について評価を行った。
  • 長谷川 信介, 大津 宏康, 坂井 一雄
    2007 年 14 巻 p. 45-54
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    山岳トンネル建設プロジェクトにおいては、建設費の削減とともに、調査・設計段階における地山評価と実際の地山状況との乖離により生じる施工段階における工事費の増加が問題となっている。このような乖離が生じる1つの原因として、調査の不確実性が考えられる。このため、乖離により生じる建設費の増加をリスク (以下、地盤リスクという) として捉えるならば、期待値としての地山評価だけでなく、地山評価の不確実性を含めて評価することが重要である。
    本研究では、客観的に地山評価の不確実性を評価することを目的として、弾性波探査結果に基づき、楽観的評価と悲観的評価を行うことにより不確実性評価を試みた。
    事前調査が不適切でない限りにおいては、不確実性が適切に評価されれば、実際の地山状況は楽観的評価と悲観的評価との間におさまると考えられる。しかし、弾性波探査結果に基づく地山評価の不確実性を評価する手法は確立されていない。このため、実際の地山状況が楽観的評価と悲観的評価との間におさまることを1つの判断指標として、地山評価における不確実性の評価手法の検討を行った。検討は、地山分類表による地山評価とコア評価点を用いた地山評価の2通りの手法を用いて行った。その結果、コア評価点を用いた地山評価を行うことにより、実際の地山状況が楽観的評価と悲観的評価との間におさまる結果が得られた。
  • 青木 俊明, 荒砥 真也, 塩野 政徳
    2007 年 14 巻 p. 55-64
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共事業の合意形成では、周囲の他者の意向が自己の態度形成に強く関わることがある。特に、地方部では、強いコミュニティーが残っている地域も多く、この傾向は強まると思われる。一般に、交渉においては、その過程の公正さが重要であることが報告されているが、他者の意向の影響を取り込んだ検討は十分には行われていない。そこで、本稿では、不利益を想起させる同調圧力が、行政担当者から示される場合を想定し、市民の態度形成の仕組みについて検討を行った。東北工業大学の学生を対象にシナリオを用いた心理実験を行ったところ、次のような知見を得た。すなわち、1) 周囲の人の反対を相千に伝えた場合には、同調圧力が生じる一方で手続き的公正さの評価が高まる。2) 周囲の反対とそれによる不利益受忍の可能性が知覚された場合には、自己利益保護の観点から賛否態度が形成される傾向が示唆された。このとき、手続きの公正さは重要な態度形成要因ではないことも示唆された。3) 周囲の人の反対が知覚されない場合には、自己利益感と手続きの公正さに基づいて態度が形成されることが改めて確認された。
  • 藤生 和也, 宮内 千里
    2007 年 14 巻 p. 65-72
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2005年度の管渠の改築延長及び供用延長について全国の地方公共団体を対象としたアンケート調査を行い、アセットマネジメントで重要な役割を果たす現場実態的耐用年数の確率分布などを統計的に算出した。また、これらを用いて全国単位の将来改築必要量を予測した。
    本研究では統計解析手法として、管齢別の供用延長に対する改築延長の割合から導かれるデータにワイブル分布の信頼度関数を近似式として用い、耐用年数確率分布を導き出した。また、その分布を用い、2005年度における敷設年度別供用延長及び改築延長から全国の将来改築必要量を予測した。
    これらの解析の結果、使用データにより平均耐用年数は83~93年、全国の将来改築必要量のピークは2093年に4, 653kmと算出された。また、過年度の年間敷設延長の推移に現れる鋭いピークは予測された将来改築必要量の推移では極めてなだらかとなることが明らかとなった。
  • 中川 良隆
    2007 年 14 巻 p. 73-85
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は我が国の建設労働災害の更なる削減を目指し、安全成績に優れた英国と我が国を比較し、今後の労働安全対策について検討したものである。まず近年の我が国と英国の建設死亡災害状況を比較し、英国の安全成績が優れていることを示した。その原因究明のため、英国の安全衛生対策と建設業再生運動の履歴について調査した。検討結果から英国が優れている要因としてリスクアセスメント・建設就労者の安全衛生能力証明システム・設計技術者の安全配慮義務を取り上げ、日英国の比較を行った。その結果、関係者のサプライチェーンによるパートナリングや罰則について大きな差異があることを明らかにし、労働災害削減のための提言をした。
  • 小濱 健吾, 貝戸 清之, 小林 潔司, 加藤 俊昌, 生田 紀子
    2007 年 14 巻 p. 87-98
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 路上障害物 (路上落下物, 路面の変状・損壊, 道路付帯施設の破損・損壊など) の撤去・修繕を目的として実施される道路巡回業務に対して, 路上障害物の信頼水準と予算制約の関係に基づいて望ましい巡回方策を決定するための方法論を提案する. 具体的には, 路上障害物の発生過程のモデル化に際して, 多様な路上障害物の到着率の異質性を表現するために, 到着率が確率分布 (ガンマ分布) するポワソンガンマ発生モデルを定式化する. つぎに, ポワソンガンマ発生モデルを用いて障害物発生数の確率分布を表現することにより, 路上障害リスクの管理指標をモデル化する. その上で, 所与の予算制約の下で, 路上障害リスクを可能な限り小さくするような望ましい巡回方策を検討する方法論を提案する.
  • 杉崎 光一, 貝戸 清之
    2007 年 14 巻 p. 99-112
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    社会資本に対するアセットマネジメントを実践する際には, 費用最小化だけでなく, 費用対効果の最大化も視野に入れた補修戦略を立案することが重要である. そこで, 本研究では, 費用対効果を指標として採用し, さらに過去の補修実績を意思決定に反映することが可能な補修優先順位の決定法を提案する. また, 提案手法の妥当性を, 鋼鉄道橋30連を対象とした実証分析を通して検証する. 実証分析では, 実際に鋼鉄道橋30連に対する目視検査を実施して, 現状の損傷や変状を把握するだけでなく, 近い将来に発生が懸念される損傷・変状も抽出し, それぞれについて技術者の経験から劣化予測を行った. その上で, 全橋に対する費用対効果を比較することによって, 補修優先順位を具体的に決定した. さらに, 補修による長寿命化効果を定量化して, 予算制約の有無が補修戦略や期待余寿命に及ぼす影響を示した.
  • 保田 敬一, 慈道 充, 小林 潔司
    2007 年 14 巻 p. 113-124
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    橋梁の維持管理シナリオを決定することは重要であり, その方法として, LCC最小化モデルにより算出された維持管理シナリオを採用することがよく行われる. LCCを算出する際には, 状態推移確率から求める劣化予測モデル, 設定するライフサイクル期間, 割引率などのパラメータが結果に与える影響は無視できない. 本研究では, 直轄国道の鋼上部工における補修頻度の高い鉄筋コンクリート床版を対象にして, 設定するライフサイクル期間と割引率の違いがLCCに与える影響を維持管理シナリオごとに試算する. これにより, 橋梁のコンクリート床版の維持管理計画を策定する場合, ライフサイクル期間と割引率の設定方法に関する1つの考え方を示す.さらに, 予算制約を考慮した予算シミュレーションを実施することにより, LCCが最小となるような維持管理シナリオを決定するためのマネジメント情報を獲得できることを示す.
  • 坂井 康人, 上塚 晴彦, 小林 潔司
    2007 年 14 巻 p. 125-134
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高速道路における維持管理業務として, 日常点検や路面清掃等がある. これら日常維持管理業務の成果は, 道路利用者に直接的な影響を及ぼす. 業務が適切に実施されれば安全性が確保され顧客満足度を保っことができるが, 適切に実施していない場合には事故や管理瑕疵等のリスクを招く可能性がある. 一方, 維持管理予算には限りがあり, 適切な範囲でのコスト縮減も求められている. そこで, 阪神高速道路の日常維持管理業務を効率的・効果的にマネジメントするため, 日常業務に関わる施策から成果までを体系化したロジックモデル (HELM: Hanshin Expressway Logic Model) を作成した. また, HELMにおけるアウトカム, アウトプット指標をモデル化し, 維持管理業務の継続的改善を実施するためのPDCAサイクルについて検討した. さらに, HELMを構成するアウトカム, アウトプット指標に対して, 望ましい管理水準を決定する方法を開発した. 本稿では, HELMの中から, 穴ぼこの発見や路面の土砂処理といった管理業務を事例としてとりあげ, リスク (発生確率×影響の大きさ) を用いた管理水準の設定方法について示した. その際, 管理水準を明確に線引きするのではなく, 種々の不確定要因を考慮してマージンを設定し, その中に収めることを目標とする考え方を示した. 以上の結果, 設定した管理水準に近づけるために, インプット (日常点検や路面清掃等) の頻度を見直し重点化を図ることにより, 結果的にリスクとコストの両者を下げることができることが判明した.
  • 矢吹 信喜, 尾山 寿史
    2007 年 14 巻 p. 135-142
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    軽仮設材は, 長期間繰り返し利用により経年劣化するため, 実際に現場で使用された期間を把握し, 定められた期間を過ぎた場合は使用を止めることが望ましいが, 現状ではそうした管理は行われていない. 著者らは以前, UHF帯のパッシブICタグを用いて軽仮設材に貼り付けた場合のID番号の読取り実験を行ったが, 使用したICタグは柔らかく, 衝撃に弱かったため, 被覆を工夫する必要があった. 今般, 耐衝撃性に優れた金属で被覆された2.45GHz帯パッシブICタグが開発されたことから, 本研究では, 軽仮設材に設置し, その読取り性能に関する実験を実施した. その結果, 軽仮設材に利用可能であることがわかった. さらに, ICタグをベースにした軽仮設材情報管理用データベースシステムのプロトタイプを開発した. データベースにはリレーショナルデータモデルを採用し, 各部材に関するデータとリースに関するデータ等5個の表を作成した. 本システムを複数の仮設材の読取り実験に使用し, 実使用期間算定および通知による維持および廃棄管理が可能であることを示した.
  • Matiko SAMSON, Tomoya SHIBAYAMA
    2007 年 14 巻 p. 143-153
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This paper presents an approach for optimization of segment-linked maintenance and rehabilitation plan for a pavement network by using shuffled complex evolution. It extends the works of Nunuo and Agyei (2000) by improving the exploration-exploitation balance of the algorithm and by using a realistic pavement deterioration model to solve the problem of multiple maintenance and rehabilitation activities. An example to maximize the serviceability of the road network under a fixed budget and minimum serviceability level policy is also presented. The result of the optimization process using a part of Kanagawa prefecture road network showed very good results with reasonable computational times.
  • 二宮 仁志
    2007 年 14 巻 p. 155-165
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 社会基盤整備の合意形成に交渉学的手法を適用することで, 新たな合意形成システムの構築に向けて示唆を得ることを目的とする. 近年, 社会基盤整備をめぐる対立や衝突は社会的関心を呼び, 次第に市民参加や合意形成の必要性が認知されてきたが, 制度的枠組みや技術的支援手法は未だ十分に確立されていない. 本研究では, 交渉スタイル, 戦略, 戦術を道路整備事業に適用し, プロセスに内包する問題について考察した. その結果, 県と住民は立場駆け引き型交渉を繰り返すなかで対立し, 特に県は自らが主張する基準を用いて住民を説得し感情的衝突を引き起こしているといえ, 当事者双方が認める基準 (客観的基準) を用いた交渉への転換が示唆された. 更に, 現場では当時者のみでは客観的基準の導出は困難といえ, 第三者支援による原則立脚型交渉が合意形成システムのあり方として示された.
  • 武田 浩一, 尾関 信行, 小長谷 修
    2007 年 14 巻 p. 167-178
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国では、公共事業の実施にあたって、工事コストだけでなく、環境への影響軽減などの外部コストを含めた総合的なコスト縮減を目指すこととし、政府として継続的な取り組みを行っている。しかし、外部コストの貨幣価値換算は、技術的に専門性を要することから、総合的なコスト縮減評価は困難な状況にある。外部コストの貨幣価値の原単位があれば、貨幣価値換算が容易になることが考えられるが、現段階では原単位が極めて数少ない状況にある。
    そこで、本研究では、外部コストをコスト縮減効果として評価をすることを目的に、外部コストの既存計測事例を整理・分析するとともに、新たな原単位作成のための効率的で簡便な手法を提案した。本手法は、AHP手法を活用した手法で、具体的には既存の原単位を活用する手法とCVMを活用する手法の2種類について原単位作成のケーススタディを実施し、利用性や課題を分析した。
  • 尾崎 哲二, 下池 季樹, 三村 卓, 佐鳥 静夫, 角南 安紀, 松川 一宏
    2007 年 14 巻 p. 179-190
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    土壌・地下水汚染対策として実施される環境修復事業が全国的に展開されている。しかし、この事業が我が国では新しく、土壌汚染対策法や条例等の法令に従うあるいは準じていても実施する事業では多くの失敗が生じている。これらの失敗は汚染の拡散、それに伴う修復費用の発生、さらには人の健康被害や信用の失墜につながりかねず、これらの原因を明らかにし、防止することは重要な課題となっている。
    今回、環境修復事業において失敗した事例を収集し、これらを整理して考察した。事例の収集ではできるだけ具体的な内容になるよう努めた。しかし、一部に一般化した記載になった事例もある。整理では事業を調査、計画、対策の段階に分けた。考察ではその原因や背景について検討し、一部ではその防止対策について触れた。
    本稿は土木学会の建設マネジメント委員会環境修復事業マネジメント研究小委員会における研究報告書を参考とした。
  • 牧角 龍憲, 田中 徹政
    2007 年 14 巻 p. 191-198
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    良質な社会資本整備における適正な工事は、優れた技術力の提供とともにそれに相応する対価の支払いがあって初めて実現する。この対価の妥当性については、一般に、その決定経過の透明性も含めて落札率で論じられる場合が多い。しかしながら、落札率は契約対象の総額に係る比率であるため、対価の妥当性を論じる価格尺度としては不十分である。原価割れが想定される契約金額は適正な対価とは言い難いが、原価も含む総額の多寡を比較する落札率では原価割れか否かの状況が不明確となるからである。
    そこで、入札状況や落札価格の傾向を検討する価格尺度として、工事原価にほぼ相当する調査基準価格を0%、予定価格を100%とする尺度、落札指標、を提案するものである。これを用いて、平成17年9月以降における国土交通省の総合評価方式による一般競争入札の状況について分析した。その結果、入札状況は、工事種別や工事ランク (金額) などによつて異なる傾向があることが明らかになった。
  • 宮本 能久, 松下 博通, 榎本 碧
    2007 年 14 巻 p. 199-206
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 重要な道路施設である橋梁を対象とし, 市民にわかりやすく, かつ費用対効果の高い行政執行の仕組みを持ったアセットマネジメント (以下AM) 導入に向けた新たな視点・方向を見出すことを目的とした. 対象橋梁は, 政令指定都市 (福岡市) の都市部, 住宅部, 及び農村部に架橋する橋梁を選定・調査した.また, 橋梁がもつ資産価値算定にあたっては, 橋梁が様々な価値を有していることに着目し, 橋梁本体がもつ物的価値とともに, 橋梁の存在が寄与する交通渋滞緩和などによる市民サービス価値や環境価値の向上も考慮した.そして, 市民が橋梁価値を容易に理解できるように, 貨幣換算により定量化し評価を行った.
    本研究で算出した資産価値は, 交通量やその環境影響を受ける市民や道路利用者が多い都市部が他の2つエリアと較べて大きくなった.一方, 農村部では, 災害時の緊急輸送道路に存在する住民にとって不可欠な橋梁も資産価値が低く算出された.今後は, 災害時に果たす橋梁の役割や周辺住民の意見を踏まえながら, 定量化した橋梁価値の利用方法の展開についての提案を行った.
  • 伊藤 弘之
    2007 年 14 巻 p. 207-214
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    設計業務は、社会資本の機能、強度、安全性等のみならず、建設費やその後の維持管理費等を大きく左右する極めて重要な業務であり、公共工事の品質を確保する上では、設計業務の品質確保は重要な課題である。一方、国土交通省では目的物の機能を確保した上で効果的にコスト縮減を図る手法として、他の様々な分野で顕著な成果を挙げてきた設計VEの活用が通達され、国土技術政策総合研究所も設計VEの普及のためガイドライン (案) を公表する等技術情報の提供に努めてきたが、現場においては設計VEは未だ十分に普及したとは言えないのが現状である。このため、本論文では設計業務の品質確保・向上の一貫として設計VEを位置づけるとともに、現場で設計VEが普及しない構造的な原因として、現在の発注者が有する技術特性や職場の体制等の観点から考察するとともに、その考察結果を踏まえて、(1) 発注者が重点的に行うべき検討項目、(2) 民間事業者の技術の活用、(3) 発注者における設計VE検討結果の共有・活用の仕組みの構築から構成される設計VEの活用・普及方策を提案した。
  • 伊藤 弘之
    2007 年 14 巻 p. 215-226
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の公共工事に係わる調達方式については、従来の価格競争に代わり品質に係わる諸要素と価格を総合的に評価する総合評価方式が普及してきている。特に近年においては、総合評価に係わる手法等が目まぐるしく変化するとともに、総合評価方式に期待されている機能も、当初のものから相当多様化してきているため、その機能や適用の意義が複雑になっている。また、現行の総合評価方式は試行途上のもので、適用事例において問題点が見られるとともに、調達方式としてのさらなる充実のためには、本質的な課題も存在する。このため本論文では、(1) 建設市場や社会状況への対応の観点からの総合評価方式の変遷の解説、(2) 過年度における総合評価方式の適用事例を基にした総合評価方式の評価方法等に関する留意事項の指摘、(3) 総合評価方式が「価格と品質が総合的に優れた調達」に係わる機能を十分果たすため、将来的に検討が必要となる課題の提示と、そのうちの最良な調達に向けたアプローチに関する検討のフレームワークを提案することにより、総合評価方式に係わるより深い理解や、調達制度としての発展の方向性を示した。
  • 井原 常貴
    2007 年 14 巻 p. 227-234
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年・諸活動の原材料として使用される天然資源の輸入価格の上昇が継続しており、我が国に大きな影響を与えている。原材料の輸入価格高騰は、輸入原材料を必要とする産業の生産コストを押し上げ・企業収益を圧迫している。そして、その影響は価格転嫁を通じて他産業に対しても生産コストの押し上げが波及しており、当然、建設資材の生産コストもその影響を受けている。
    そこで本研究では、原材料の輸入価格の上昇が建設資材の生産コストへ与える影響について検討することを目的としている。この検討においては、まず、原材料の輸入価格の上昇が、建設資材価格へ及ぼす波及効果について均衡価格モデルを用いて検討した。また、複数年のデータを用いることにより、影響力の変遷を明らかにし、影響力の変動要因を考察した。
  • 高崎 英邦, 北條 哲男, 鈴木 信行, 宮 亨, 石島 一司
    2007 年 14 巻 p. 235-242
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    あらゆる場面で “技術評価” を行うことが求められている。公平性、説明性、客観性を持った技術評価方法を定式化することができれば、技術評価の普遍性が高まり、その信頼性や適用性はより高まると考えられる。
    本論文では、以上の背景の下に、既存の技術評価の方法に関する基礎的調査、それを応用した新しい方法論としての技術評価指標の選択方法の提案を試みた。その結果、既存の技術評価方法は、個人・組織など技術評価の対象によってそれぞれ特徴を持つことがわかり、また、方法論として提案した技術評価指標選択方法は、総合評価落札方式への試行により有効であることが検証できた。
  • 片山 剛巨, 中村 裕司, 小澤 一雅
    2007 年 14 巻 p. 243-254
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地方自治体の財政問題は深刻であり、社会資本整備が硬直化している。債務削減のために公共サービスを切り捨てることは許されず、一方で新たな財源を確保する方策も十分ではない。本研究では、地方自治体のファイナンスを改善する方策の一つとして、自治体が所有する社会資本資産の流動化の可能性を検証する。中でも流動化対象資産として、自治体が所有する有料道路を取上げ、(1) 有料道路を取上げた根拠、(2) 流動化によって起こる民間事業者の道路管理に関する法的規制、(3) 有料道路流動化の仕組みと信用リスク分析、について議論する。また (3) では有料道路モデル事業を設定し、ファイナンス改善効果の試算を行う。
  • 阿部 光太郎, 金子 雄一郎
    2007 年 14 巻 p. 255-262
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、我が国のLRT整備事業におけるPFI方式の導入可能性について定量的に検討したものである。具体的には、まず現行の公共による支援制度を踏まえて事業スキームを整理し、資金調達方法等を実際に近い形で設定した。そして、仮想のLRT整備事業を対象に、公共の財政支出額の削減程度と民間事業としての成立性という2つの視点からPFIの導入可能性を検討した。その結果、一定の前提条件下において成立することが確認された。さらに感度分析を行った結果、PFI成立のための地方自治体の助成範囲や必要な建設費等の低減率の範囲、乗車人員の規模などが明らかになった。
  • 森本 恵美, 滑川 達, 岡本 太地, 山中 英生
    2007 年 14 巻 p. 263-276
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国における公共工事の入札・契約制度は, 1993年度以降, これまで様々な改革が進められてきた. しかしそれらの改革は, 官製談合事件を発端とする政治的・社会的圧力に押される形で進められており, 十分な制度改革・改善のパフォーマンス評価に基づいたマネジメント・サイクルが整備されて来たとは言い難い. 本研究においては, 以上のような認識のもと, 指名競争入札中心時期の国土交通省四国地方整備局における工事案件データを取り上げ, それらの工事成績評定と,(1) 落札率,(2) 価格競争状態,(3) 落札企業の過去の工事成績評定実績,(4) 落札企業の過去の当該工事地域における被指名実績との関係それぞれについて, 各種の統計的分析をおこなった. その結果,(4) 落札企業の発注同事務所内における過去の被指名回数が, 工事成績評定との関係において, 上記 (1) ~ (4) の指標の範疇において最も論理的整合性が高く, 地域性を背景とする総合的企業評価に関するベンチマーク指標として今後の検討に値する指標であると考察するに至った.
  • 常山 修治
    2007 年 14 巻 p. 277-288
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共工事における極端な低価格での契約は、国民の安全・安心に直結する公共工事の品質確保に支障が及ぶ懸念があるにもかかわらず、低価格入札の発生割合は高水準で推移している。そのため、国土交通省では平成18年12月、「緊急公共工事品質確保対策について」を地方整備局に対して通知し、入札契約段階での公共工事の品質確保対策を講じた。
    本稿では、緊急対策の適用が開始された平成18年度第4四半期を含め、過去2力年の入札結果を整理・分析することにより、近年の入札動向を把握すると共に国土交通省が講じた緊急対策の低価格入札への影響について検証を試みる。その結果、中小規模の工事では低入札調査対象となる落札件数の大幅な減少が見られた。一方、大規模工事では、著しい低価格入札は激減したものの、調査基準価格を下回る価格での入札が多数発生しているだけでなく、応札価格が予定価格を中心とした分布から調査基準価格を中心とした分布に大きく変化していることが明らかとなる。こうした結果を踏まえ、引き続き入札実態の把握に努めていくとともに、現状の傾向が継続した場合の受注企業の利益確保に対応する新たな施策の提案など、今後の入札契約制度に関する考察を行う。
  • 山口 卓也, 小泉 渉, 高瀬 達夫, 小山 健
    2007 年 14 巻 p. 289-298
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、財政の破綻問題や市町村合併、道州制の導入問題などの地方財政に関する問題が日本各地で挙げられており、いずれの議論も財政の悪化が起因のひとつとなっている。さらに, 地方へ行けば行くほどこれらの問題が深刻化しており、こうした地域における財政悪化の大きな要因として、これまで主に大規模な公共事業を行なう際発行されてきた地方債が大きくのしかかってきていることが挙げられる。また、財政悪化に伴う急激な歳出削減政策は建設業界に多大な影響を及ぼしてきており、こうしたことからも地方財政問題を検討することは急務である。そこで本研究では、道州制を取り入れた場合に同じ枠組みの内に入ると予想される青森県と岩手県、秋田県の北東北3県を例に、3県単独の場合と統合した場合の財政状況を検証する。北東北3県の全市町村の財政状況に多変量解析を適用し、各県、各市町村の財政状況の分析をするとともに、3県が統合した場合のシミュレーションをし、その考察をまとめた。解析手法として、主成分分析を用い、複数の財政指標を合成する事で、財政状態を簡潔に判断できる指標に直し、さらにクラスター分析を用い、各市町村の財政状態をグループ化することで、同じグループに属する市町村の分布状況や地域ごとの傾向について考えた。また、ロジスティック回帰分析を用いて財政破綻危険性確率を算出した。
  • 丙 京禄, 木内 望, 小塚 清
    2007 年 14 巻 p. 299-310
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高齢化・人口減少などの課題が先鋭的に顕在化している中山間の豪雪地帯の集落は、条件不利地域としての課題を多く抱え、冬期の生活環境の水準維持が年々厳しい状況になっている。集落の冬期生活の維持には、人口減少・高齢化の度合い、基幹産業、地域の財政自立度といった社会的特性、積雪量・パターン、道路など公共施設の分布、住居の密集度合い、消・融雪設備の有無等の空間的特性などが管理能力に大きな影響を与える。したがって条件不利地域の生活環境維持のための支援手法は、中山間の豪雪地帯一般よりも集落の地域特性や管理の主体のようなより密着した状況に基づく必要がある。本研究では中山間の豪雪地帯に該当し、辺地、過疎地などの問題を抱えるとともに市町村合併による課題も予見される秋田県仙北市を対象に地域環境特性の異なる6つのケーススタディ集落を選定し、現地空間特性の調査及び管理主体となる関係団体へのヒアリングにより集落の現状・課題について分析し、今後の支援の方向性について考察を行った。その結果、(1) 助け合い組織及び地域のリーダ育成などによる地域住民の互助意識の向上 (ソーシャルキャピタルの向上) と、(2) 消・融雪設備投資、克雪住宅化、道路除雪の効率化など設備・技術による管理手法の工夫 (フィジカルキャピタルの向上) が必要であり、(3) ボランティアサポート、若年層の教育・育成、異常豪雪時の対応など自治体行政の管理能力の高度化 (マネージメントカの向上) が必要であると考察された。
  • 福成 孝三, 白井 勝二, 吉川 勝秀
    2007 年 14 巻 p. 311-320
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国では、人口の約1/2、資産の約3/4が河川の洪水氾濫の危険性がある氾濫原に位置し、その多くが歴史的に築造されてきた河川堤防により守られている。しかし、堤防の安全性を、堤防断面という長い連続堤防の点として取り扱ったものは若干あるが、連続した堤防システムとして管理することに関する研究は皆無に近いといえる。
    本論文では、利根川水系の過去約80年間の堤防決壊の実態を報告するともに、堤防決壊の原因 (洗掘、越水、浸透、構造物周りの浸透による決壊) を実証的に明らかにした。堤防決壊の原因は、堤防越水によるものが最も多いこと、近年になって構造物周りでの浸透 (漏水) による決壊という問題が生じてきていることなどを示した。
    この調査も踏まえつつ、歴史的に築造され現在に至っている堤防の管理について、堤防の機能限界・管理限界を明確にし、これからの時代の河川堤防システムとしての管理のあり方について、超過洪水をも見据え、被害の視点、危機管理の視点を加えて考察し、提案を行った。
  • 平本 将雄, 中村 一平
    2007 年 14 巻 p. 321-331
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来、我が国で整備された膨大な地質情報や公共機関が発注した業務情報など、建設事業に関わる情報の提供価格は、無料もしくは整備・運用に要するコストをもとに設定されてきた。しかし、建設情報の価格設定では、その情報に対する利用者側の価値と供給者側の整備・運用を含めたコストの両面を考慮し、最適化を図ることが重要と言える。
    その一方で、建設情報等の情報財はコストを基本した供給曲線を描くことが容易であっても、利用者側の需要曲線を描くことが困難な特徴がある。このため、本研究において利用者側の価値計測を試みることは、建設情報の市場化に資すると考える。また、建設情報における需要と供給の最適化を図ることが可能ならば、情報提供に更なる価値を付与するとともに、新たな情報化事業を検討する際にもその判断に資するものと考える。
    本稿は、既往の情報に関する価値測定事例より情報財が有する価値の特性を分析した後、地質情報を対象とし、価値測定手法のケーススタディーを試み、建設情報における価値測定過程の研究とし、述べたものである。
  • 曽根 真理, 木村 恵子, 並河 良治
    2007 年 14 巻 p. 333-342
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本稿は、技術政策における制度改革において、外部監査機関の設置、基準類の作成、業務外部委託化がどのような役割を果たしたかについてケース・スタディを行った結果を報告するものである。ケース・スタディの対象として、平成12年に議員立法により導入された公共工事におけるグリーン購入法の運用を選択した。グリーン調達制度は、導入後7年が経過したが、この間に監査体制の整備、基準の導入、執行体制の整備による透明性、専門性の確保が行われた。効果向上にはパブコメよりは専門家による監査の方が効果的であったこと、外部委託は必ずしも国が行う必要のない事柄でなければ効率化に資さなかったこと、などがケース・スタディの結果であった。また、ケーススタディを行う課程で、制度改革のプロセスについて定性的に記述することはできたが、客観的な指標を用いて分析することの困難さが明らかになった。今後の課題として、客観的な評価指標の開発を行う必要があることが判明した。
  • 木内 望, 小塚 清
    2007 年 14 巻 p. 343-348
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    国土交通省において、平成17年7月に決定されたユニバーサルデザイン政策大綱から平成18年12月に施行されたバリアフリー新法へと続く一連の流れの中で、ユニバーサルデザインの考えを反映させたバリアフリー化の政策が具体化されつつある。本稿では、上記政策を客観的に評価するために現在当研究所において検討中の「ユニバーサルデザイン指標」について、その着眼点、基本的考え方、課題、評価に向けてのアプローチ等に関する検討状況を報告する。
  • 曽根 真理, 政近 圭介, 市村 靖光, 木村 恵子, 並河 良治
    2007 年 14 巻 p. 349-360
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本稿は、循環型社会形成の方策としての公共工事 (土木分野) におけるグリーン購入 (グリーン調達) の考え方について記したものである。先ず、国等が優先して購入する特定調達品目の指定の現状に関して、指定が順調に行なわれたこと、調達率が順調に伸びてきたことが明らかになった。また、特定調達品目の大部分が廃棄物・資源分野で環境負荷低減効果が認められていることが明らかになった。次に、廃棄物・資源分野の特定調達品目を建設産業から発生する品目、建設産業以外で受け入れなければ処分場で処理される品目、建設産業で大部分を受け入れている品目、建設産業で一部を受け入れている品目の四つに分類した。それぞれの分類毎に評価基準との整合性の確認を行い、新基準が有効に機能することを確認した。また、グリーン調達の法制化と建設廃棄物等の削減量について現時点では明確な因果関係を確認することはできず、グリーン調達を含めた廃棄物削減施策と廃棄物削減量の因果関係を把握することが今後の研究課題となった。
  • 岡本 幸久, 齊野 玲子, 石塚 香, 古川 巖水, 吉川 勝秀
    2007 年 14 巻 p. 361-370
    発行日: 2007/11/08
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東京湾の海岸は、明治初期から近年にかけて25, 000haが埋め立てられ、海辺へのアクセスポイント (市民が公道を通って海辺に出られる場所) が減少し、親水性も損なわれてきた。しかし近年市民の海辺への関心が高まっている。
    そこで本研究において、東京湾のうち千葉港の海辺の現状を整理し、パブリックアクセスの面からみた課題を整理し、今後の整備の方向性を示した。
    その結果、東京湾 (千葉県側) のパブリックアクセスの現状は、アクセスポイントの配置が北側に偏っており連続性に欠けていた。これは海辺の多くを企業の私有地が占めており、いなげの浜から南側ではほとんどが私用地となっているためである。またアクセスポイントの多くは直立護岸及び岸壁で、親水性や生態系の多様性にも乏しい状態である。
    このような海辺の連続性と親水性の低さを解決していく方法として「海の一里塚構想」を提案した。海の一里塚構想は、東京湾の海辺全体に等間隔に、地域の拠点となるアクセスポイント (海の一里塚) を整備することで、その連続性を高める構想である。海の一里塚は、親水性の高い、生態系に配慮したものを整備することとした。また一里塚と公園等の公共施設をフットパスでつなぐことで、街全体の連続性を高め、街づくりにも貢献するような整備の方向性を示した。
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