建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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  • 大津 宏康, 梅川 祐一郎
    2008 年 15 巻 p. 1-11
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    事前通行規制とは, 一般国道やJRにおいて降雨による斜面災害のリスク低減策として用いられる方法であり, 災害が発性する前に当該区間を通行禁止にする措置である. この事前通行規制を実施する主目的としては, 斜面崩壊によって人命の損失や負傷が発生する可能性を未然に防ぐことが挙げられるが, その一方で, 規制する区間が通行できなくなるために利用者に不便をもたらすというデメリットも存在する.
    本研究では一般国道に焦点を絞り, 事前通行規制における上記のメリット・デメリットを踏まえて, 規制区間の災害発性の危険度のみならず道路管理者および道路利用者が斜面災害時や事前通行規制時に負担する社会経済的損失を考慮した, 事前通行規制の基準の設定方法に関する試算を提案する. 具体的には, 降雨に対する斜面内の地下水位の挙動を再現するためにタンクモデルを用い, 規制区間において斜面災害時および事前通行規制時に発生する社会経済的損失に焦点を当てた規制基準雨量の設定方法を検討するものである. また, 連続雨量による一律の規制基準ではなく, 降雨波形の違いや降雨の継続時間によって異なった規制基準雨量が算定されることを示す.
  • 稲積 真哉, 大津 宏康
    2008 年 15 巻 p. 13-22
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    海面処分場における側面遮水工には地震、波浪、高潮および津波等の海上特有の諸外力から埋立地を護る護岸機能とともに、廃棄物からの浸出水が海域へ流出するリスクを軽減、回避もしくは未然防止する機能が要求される。本研究は側面遮水工の一つである鋼管矢板遮水壁に着目し、継手部から浸出水の局所的な漏水を表現し得る評価モデルを検討し、継手部の3次元的な配置ならびに透水係数分布を考慮した鋼管矢板遮水壁が設けられた海面処分場の汚染リスクおよび汚染リスク低減効果を、3次元浸透・移流分散解析によって評価する。なお、本研究では海面処分場における有害物質を含んだ廃棄物浸出水の海域漏出の可能性を汚染リスク、また浸出水の海域漏出を軽減、回避あるいは未然防止する側面遮水工の効果を汚染リスクの低減効果として定義している。
    鋼管本管に比べて高透水性の継手部を有する鋼管矢板遮水壁に対して実施した汚染リスクおよび汚染リスク低減効果の評価では、海面処分場の外域において継手部から有害物質の局所漏出によって、換算透水係数に基づく現行評価モデルと比べて早期に環境基準値を上回る有害物質の汚染リスクを確認した。従って、鋼管矢板遮水壁に関する汚染リスク低減の評価では、継手部の3次元的な配置ならびに透水係数分布の考慮が望ましいことを提案している。
  • Dorji CHEKI, Tomoya SHIBAYAMA
    2008 年 15 巻 p. 23-31
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This study describes method to determine risk due to landslide and applies Certainty Factor (CF) model to determine landslide susceptible area along the most important highway in Bhutan. The quantification of the risk in terms of total duration of road blockages was done based on the data collected from eleven years eight months period Kuensel (weekly newspaper of central government). The total traffic and passenger losses determined with freight and passenger transport value losses in terms of dollar values indicated that the road operation risk would have significant impact in terms of economic value for the country. The certainty factor model that used 149 cases of the existing landslide with its affecting parameters indicated that the landslide certainty factor increases with the increase of slope value above 30° for the slopes facing towards the south. The rainfall parameter showed the increase in certainty value from the rainfall intensity of 7.76 mm/day. The lithological and land use parameters used indicated the certainty of landslides in phyllite areas and barren area with grasses. Application of the certainty factor model along the most important highway in Bhutan could delineate the susceptible areas similar to the existing landslides.
  • 高速道路暫定2車線開業を例に
    金子 雄一郎, 福田 裕希, 島崎 敏一
    2008 年 15 巻 p. 33-40
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は社会基盤整備計画の柔軟性を評価する方法について, 高速道路の暫定2車線開業を例に検討したものである. 具体的には, まず既存資料から過去の高速道路の暫定2車線開業事例を抽出し, その後4車線化した時期と暫定供用期間, 交通量の推移等を把握した. それらを踏まえて仮想の高速道路整備事業を対象に, 当初から4車線で開業する場合と暫定2車線開業する場合の純現在価値 (NPV) の差について, 様々なシナリオを設定して算定した. さらにこの暫定2車線開業が有する柔軟性の価値について, リアルオプションアプローチを用いた評価を試みた. その結果, 暫定2車線開業は一定の価値を有することが確認された.
  • 都市化の著しい印旛沼流域における実証的検討
    古川 厳水, 長坂 丈巨, 吉川 勝秀
    2008 年 15 巻 p. 41-50
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    千葉県の北西部に位置する印旛沼は, 利根川の洪水を“外水 (そとみず)”と恐れ, “内水 (うちみず)”印旛沼流域の洪水に長い間悩まされていた. 印旛沼周辺の水害は, 印旛沼の堤防と排水機場によって軽減されたが, 未だその治水安全度は低い. この流域は, 既成市街地の拡大や千葉ニュータウンの開発が進み, 更には成田空港と連絡する北千葉道路の建設が予定されるなど, 都市化の波が押し寄せている. 本研究は, 今までの総合治水に加え, 印旛沼を含む都市化流域の治水対策について検討を実施し, 治水施設の機能向上と流域対策について定量的な評価を行い, 印旛沼の持つ潜在的な遊水機能を生かした治水の方策を考察した. 具体的には,(1) 印旛沼が有する湛水容量に着目したシミュレーションモデルによる現況の評価,(2) 治水の基本的な対応策,(2) 印旛沼流域での実証的検討から沼を含めた総合的かつ経済的な治水対策の提案を行った.
  • -紛争アセスメント及びメディエーション-
    山口 行一, 溝口 宏樹, 重高 浩一
    2008 年 15 巻 p. 51-60
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の社会資本整備においては, 近年, 事業分野横断的に、構想段階から住民参加の機会を確保することにより、計画検討に透明性・公平性を確保し、住民意見を反映した円滑な事業実施が努められている。一方で、そうした場合でも利害対立が生じ、依然として事業が長期化する場合もある。こうした住民参加の取り組みでは、通常のコミュニケーションが利害関係者間で成立しなくなっていることがあるが、利害関係者が社会全体の不利益について認識し、議論により問題解決を図りたいと望んでいる場合であっても、議論を再開し合意形成を試みる手法が確立されていない状況である。そこで本研究では、構想段階において、利害関係者間で通常のパブリック・インボルブメントなどの住民参加手法ではコミュニケーションが成立しなくなった場合、及び成立しなくなることが予見される場合に導入する社会的な合意形成を促進するための手法とその適用方法を提案する。具体には、紛争アセスメントとメディエーション手法の提案であり、両手法は、現行のわが国の社会資本整備の住民参加制度下では、実施体制の確保などが困難であるため、本稿では、実務に資する適用方法を提案している。
  • 鈴木 直文
    2008 年 15 巻 p. 61-70
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、英国グラスゴーにおける都市貧困地域再生への取り組みの事例として、地域の若者を対象とした社会的包摂 (social inclusion) プログラムの形成と発展の過程を明らかにする。90年代後半以降の英国の都市再生政策は、80年代の民間活力の導入による不動産開発と経済主導のアプローチが都市貧困問題を助長した反省を受けて、より社会的な側面に重点が置かれてきた。都市における多層的な貧困は、社会的排除 (social exclusion) の問題として理解され、官民だけでなくヴォランティア・セクターを含めたパートナーシップにより社会的包摂を目指すことが都市再生の目標となった。本研究は、貧困地域の若者に対してサッカー教室を提供するヴォランティア組織として始まったプロジェクトが、多面的なサービスを行う社会的包摂プログラムへと成長する過程を記述し、その持続的発展を可能としたプロジェクト・マネジメントの成功要因を抽出する。
  • 南 正昭, 鈴木 天
    2008 年 15 巻 p. 71-79
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 岩手県において収集された路面性状調査データをもとに, 舗装維持管理システムを作成し, 道路網の長期的な舗装サービス水準と, その確保に必要となる年間補修費用の関係を調べた. 道路の維持管理予算の縮減に伴い, 維持が不可能になる路線がどの程度生じるかについて, 地理情報システム上に表現するとともに, 維持停止路線延長として明示的に評価する手順の開発を試みたものである. 舗装サービス水準ならびにその経年劣化をMCI (維持管理指数) で表し, 所与の年間補修予算の下で, 劣化状態に応じた補修工法ならびに補修対象とする道路リンクを選定し, 道路舗装補修のシミュレーションを実施した. 年間補修予算が一定額を下回ることで, 道路網全体の舗装サービス水準の維持が困難になること, それにより道路網の部分的な舗装サービス水準の確保を断念し, 残りの道路網について舗装サービス水準を保持する必要の生じることを示した. 将来に渡り確保すべき舗装サービス水準の決定や, 必要となる維持管理投資予算等に関わる地域道路網の維持管理計画の立案に資することを目的としたものである.
  • 山本 浩司, 松島 格也, 岡田 貢一, 青木 一也, 小林 潔司
    2008 年 15 巻 p. 81-90
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高速道路の休憩施設のお手洗いをリニューアルする事業における投資効果と事業の優先順位を判断する手法として, 共分散構造モデル及び仮想評価法 (Contingent Valuation Method, 以下, CVM) の適用を検討したものである. 本研究では, 高速道路の休憩施設に要求される付加機能と整備効果を共分散構造モデル及びCVMを用いて評価する方法論を提案した. 休憩施設のお手洗いとしての基本機能に加え, 高速道路の休憩施設のお手洗いに要求される付加機能に関する観測不可能な潜在ニーズを構成概念として表現し, 利用者へのアンケート調査により得られた観測変数と構成概念との関係を定量的に示した. その結果として休憩施設のお手洗いに対する利用者ニーズを明らかにすることで, 利用者の特性に応じた各休憩施設のお手洗いの選好を明らかにした. さらに, 構成概念を効用関数の説明変数として取り上げ, アンケート調査により獲得した利用者の支払い意志額から, 休憩施設の機能向上による整備効果を計測した. さらに, 本研究で提案した方法論を, 東名高速道路の休憩施設のお手洗いリニューアル計画に適用し, 方法論の有効性を実証的に検証した.
  • 高瀬 達夫, 藤原 俊, 小山 健
    2008 年 15 巻 p. 91-102
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の環境問題に対応して, 「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止法等のガイドライン」が策定されたことにともない, ごみ処理効率化のためにゴミ処理広域化が全国各地で計画・実施され始めているが, 広域化に伴い新たな建設計画が発表されると, 地域住民から反対されるケースが多くみられている.
    こうした反対運動の事例では, その選定過程の不透明さや情報の公開不足をきっかけとしていることが多い. こうしたことを鑑み本研究では, ごみ処理建設事業計画を進めて行く過程で必要不可欠である住民の合意を形成するために, 建設地選定によって生ずる住民間の不公平感を軽減するための手段として, 施設建設地の周辺地域に対する補償金を与えるという政策を提案し, 政策を行った場合の支払意志額を算出する. そして事例研究として, 現在ごみ処理広域化計画が進められている長野県大北地域を対象に, CVM (仮想市場評価法) を用いてごみ処理施設建設にともなう地域補償の評価を行った.
  • Arief Setiawan Budi Nugrohol, Shin-ei TAKANO
    2008 年 15 巻 p. 103-114
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    Earthquake is a disaster which often forces engineers and common people to pay attention, particularly, when large-scale earthquake occurs in residential where many non-engineered houses are present. The resulting destruction often leaves further social and environmental problems. Many are left homeless, and a large volume of rubble must be scrupulously handled. This research concerns the relief action of an earthquake aftermath, in which the reconstruction program for the victims becomes the focus of the analysis. Some previous researches on earthquake reconnaissance are reviewed, a case study is taken from the reconstruction program of the Yogyakarta earthquake aftermath, and a pilot project of cast-in-place re-mortar wall was conducted and observed. Three methods of rubble handling related to reconstruction schemes; new bricks and re-bricks system (Scheme-I), re-bricks and re-mortar blocks system (Scheme-II), and re-bricks and cast-in-place re-mortar wall system (Scheme-III); were analyzed and discussed. It has been concluded that the application of rubble recycling could reduce wall construction cost up to 20%. Although the case study was taken from Indonesia, the result may be applied to other reconstruction programs in other regions, especially those with similar conditions and developments.
  • 山本 浩司, 羽鳥 剛史, 岡田 貢一, 青木 一也, 小林 潔司
    2008 年 15 巻 p. 115-130
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    社会基盤施設は多面的な機能を有しており, 国民生活に多様な効果をもたらす. 社会基盤整備に関わる政策調整や国民に対するアカウンタビリティを果たす上では, 社会基盤整備の多面的な機能や関係主体の意見の相違を適切に判断し, その結果を分かりやすく提示することが重要である. この認識の下, 本研究では, 社会基盤整備の評価手法として, 多元的集計化手法を提案した. 本研究で提案する方法論は, 社会基盤整備に関わる多様な評価情報を多次元空間上に集約して表現することによって, 関係主体間の意見や視点の対立軸を明確化し, 事業の相対的な序列化を行うことを目的とする. 本稿では, 本研究の多元的集計化手法を, 高速道路付帯施設の整備計画に適用し, 分析手法の適用可能性と有効性を実証的に検証した. その結果, 多元的集計化手法を用いることにより, 社会基盤整備事業の多様な効果や評価者の視点や考え方の相違を体系的に明示化できることが確認された. さらに, 本手法は, 評価項目の設定方法の妥当性を検証する上で, 有用な示唆を与えることが示された.
  • 鈴木 信行, 鈴木 明人, 高崎 英邦
    2008 年 15 巻 p. 131-140
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    土木構造物の建設はプロジェクトといえる。このためプロジェクトマネジメントの考え方を導入し、全体最適化を目指すことが重要といえる。また土木構造物は、仮に要求品質を満たさない場合でも作り直しが困難である。特に、公共工事で提供される公共施設は長期間にわたって納税者である国民に対し、安全と安心を与え、計画された便益を提供し続けなければならないので、それぞれの品質は安定していなければならない。
    本研究の目的は、米国プロジェクトマネジメント協会 (PMI) が規定するマネジメント要素から統合マネジメント要素を除いた8つの要素を対象として、品質マネジメントに影響を与えるマネジメント要素を抽出し、品質確保における基本的な考え方を示すことである。さらに、設計や施工の中でどのような原因が基で設計ミスや施工不良が生じたかを見るために、国土交通省が発表した資料にネットワークモデルを適用し解析する。その結果、品質確保において重要な要素は技術者であることが示された。
    最後に、国土交通省が採用している総合評価方式の評価項目に、技術者やマネジメント技術の評価にも重点を置くことを提案した。
  • 関口 信康, 大津 宏康, 安田 亨, 伊豆 隆太郎, 高橋 健二
    2008 年 15 巻 p. 141-150
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在の厳しい経済社会情勢の中, 国を初め都道府県や政令指定都市レベルでは, 社会資本の効率的・効果的な維持管理を目指すアセットマネジメントが検討・導入されている. しかしながら, 規模の小さい県や市町村レベルでは, 中長期的な観点からの計画であるアセットマネジメントは, 早期に導入効果が見えないことからその必要性に対する認識が低く, 導入が進んでいないのが現状である. 一方, 近年の我が国では台風, 集中豪雨, 地震による自然災害が多発し, 尊い人命を奪うなど自然の猛威にさらされた. 限られた予算の中で, 明日にでも起こりうる自然災害に対し, 被害を最小限に止めることの重要性が再認識されている. こうした状況の中, 社会資本においてマネジメントを浸透させるためには, 現在最も関心の高い防災・減災に着目し, 危機管理 (リスクマネジメント) と維持管理 (アセットマネジメント) の両面から社会資本におけるマネジメントのあり方について検討する必要がある. このような観点から, 本研究では道路斜面防災を対象に, アセットマネジメントにリスクマネジメントを融合した「道路斜面防災統合マネジメントシステム」の基本システムとしてGISをプラットホームに構築した「斜面リスク評価システム」について提案し, 実際の道路ネットワーク上の斜面に適用した場合の事例を示す. さらに, 「道路斜面防災統合マネジメントシステム」について, その構築に向けた方向性を示す.
  • 永島 慈, 山本 幸司
    2008 年 15 巻 p. 151-158
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の公共工事においても、発注者・工事請負者の双方が行ってきた様々なマネジメント業務の一部を別の主体が実施する、マネジメント技術活用方式 (CM方式) の試行が実施され、その有効性や本格的な導入の可能性についての検証が行われはじめている。
    同方式の活用に際しては、まずそのニーズと期待するメリットを明確にしたうえで、マネジメント業務実施者の業務範囲や義務・責任等を明らかにするとともに、それに対する適切なマネジメント業務費用の算定方法を確立する必要がある。本論文においては、特に同方式の必要性と、今後の導入に向けての留意点について提案した。
  • 坂井 康人, 井上 裕司, 小林 潔司
    2008 年 15 巻 p. 159-168
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    舗装を合理的に修繕するための課題の1つに適切な修繕範囲の設定がある. 舗装は箇所毎に劣化速度が異なるため, 修繕費用のみに着目すると劣化箇所を最適なタイミングでその都度修繕する個別施工が有利となる. しかし実際は, 交通規制を伴う渋滞損失等を抑えるためにある範囲を同時に修繕する同時施工が行われる. 今回, 阪神高速道路を対象に, 個別施工と同時施工を実施したときに発生するトータル費用を比較し, 同時施工の有効性を検証した. その結果, トータル費用に占める割合は渋滞損失費用が圧倒的に多く, 渋滞が発生する箇所では同時施工, 発生しない箇所では個別施工が有利となることが判明した. また, この結果を踏まえて, 阪神高速道路全線を同時施工区間と個別施工区間に分け, 同時施工によるコスト縮減効果を調べたところ, 同時施工によるコスト縮減効果は年間375億円に達する結果となった.
  • 藤生 和也, 花木 啓祐
    2008 年 15 巻 p. 169-179
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ストックマネジメントにおいては耐用年数が基本的情報として重要である。下水道施設は耐用年数の観点から管渠、処理場の土木建築施設及び機械電気設備 (機電) の大きく3つに分類される。これらのうち機電は極めて多種多様であるので、マクロマネジメントにおいて総体として耐用年数を推計することが困難である。そこで本研究はストック量を金額で数値化することとし、全国総体の機電についてまず下水道統計等から年度別設置事業費を算出し、次にアンケート調査結果の年齢別改築件数分布を再現できるワイブル型耐用年数確率分布を試行反復計算により推計・設定して耐用年数を算出する。さらに、同分布を用いて過去及び将来各年度の改築事業費を推計する。
  • 松本 直也, 佐藤 直良, 木下 誠也, 田中 良彰, 石鉢 盛一朗
    2008 年 15 巻 p. 181-190
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共工事において工事の遅延や費用の増加等につながるリスクを受発注者が適切に管理することは重要なことである。本研究においては、まず、2007年度に国土交通省関東地方整備局で実施した受注者アンケートをもとに、リスク管理に関する現状認識として、(1) 変更請負金額に関する課題、(2) 工事実施に必要な条件整備に関する課題、(3) 協議手続き及び発注者側職員等に関する課題に大別して整理した。その課題整理をもとに、背景にある基本的課題として、(1) リスク管理に関する受発注者の責任分担のあいまいさ、(2) 契約の運用における片務的要素、(3) リスク管理に関する受発注者の体制、について詳細に検討するとともに、現行制度のもとで課題を解決するために行われてきた施策をレビューした上で、制度自体に内在する抜本的問題として (1) 紛争処理、(2) 監督の位置づけ、(3) 予定価格について方向性の示唆も含めた考察を行った。
  • 五艘 隆志, 濱田 成一, 日浦 裕志, 草柳 俊二
    2008 年 15 巻 p. 191-205
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    “競争の原理” の導入に伴い, 建設構造物の品質欠陥の発生が懸念され, 実際に様々な問題が発生し始めている. 本研究では我が国の建設産業におけるプロジェクト遂行管理システムの実態を定性的・定量的に把握するため, 国内工事の品質欠陥事例の分析, およびプロジェクト遂行管理基準 (施工計画書, スケジュール表, 工事費内訳書) の内容精度, 連携精度の実態調査を行った. その結果, 我が国ではプロジェクト遂行管理基準が契約事項ではないことを背景に, 内容や相互連携の薄いものが形式的に作成され, このことが品質欠陥や論理的基盤の乏しい設計変更手続きの原因ともなっていることが見出された. 具体的方策として早急に行うべきは, 施工計画書の充実・重視と, 発注者と請負者の技術力を統合した “経過の管理” の実現である.
  • 神原 明宏, 田中 洋一, 金澤 文彦
    2008 年 15 巻 p. 207-218
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    トータルステーション (以下, TSという) は, ルーザーによる距離測定と経緯儀による角度測定が同時にできる電子式測距測角儀であり, 公共測量作業において一般的に利用されている. 一方, 国土交通省では, 情報通信技術 (ICT) を活用した施工管理について取組んでいる. そのため, 施工管理のうち出来形管理においては, TSを活用した出来形管理手法の提案がなされている. しかし, TSを活用した出来形管理手法は, 運用方法が定められていないため実施されていなかった.
    本研究は, TSを活用した出来形管理手法が効率的に実施されることを目的に運用方法を要領として作成した. その上で, TS及びTSの利用をサポートするソフトウェアで構成されたシステム (以下, TSシステムという) を活用して, 要領に基づく試行工事を行い, 適用性を検証した. 検証結果より, 要領に基づくTSシステムを活用した出来形管理手法が実工事で運用可能となった. その上で, 施工作業の迅速化, 品質の向上, 監督・検査業務迅速化の可能性を示した.
  • 長谷川 信介, 大津 宏康, 吉見 晋平
    2008 年 15 巻 p. 219-226
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地下構造物の建設プロジェクトにおいては、施工前に実施される事前調査によって得られた情報に基づいて建設コストが積算される。しかしながら、山岳トンネル建設プロジェクトのような長大な線上構造物の場合、予算制約などの理由により地質調査の数量が限られるため、トンネル建設領域内すべての地質状況を把握することは不可能である。また、その土被り厚さが数百メートルにも及ぶような場合、事前調査における弾性波探査において高精度に弾性波速度分布を推定できない可能性があるため、弾性波探査が大きなウェイトを占める山岳トンネル建設プロジェクトでは、建設コストを推定する上で大きな不確実要因となるであろう。
    そこで本研究では、山岳トンネル特有の土被り厚さに着日し、事前調査で得られた弾性波速度分布、及びボーリングコアにおける速度検層結果に対し、この土被り厚さを考慮して地山評価を行い、また事後評価として推定建設コストと、実施工の建設コストの乖離について検討を行う。これにより、建設コストが変動するリスク (地盤リスク) を定量的に評価する事を日的とする。
  • 鈴木 信行, 鈴木 明人, 高崎 英邦
    2008 年 15 巻 p. 227-238
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    建設生産システムは、計画、調査、設計、入札・契約、施工、維持管理、更新等のフェーズ (段階) で構成される長いライフサイクルを形成している。その中でも施工の段階は、比較的短い時間に資機材や労務、資金等の多くの資源が投入される。したがって効果的なマネジメントの実施が要求される。
    マネジメントツールとして米国国防省 (Department of Defbnse, 以下EVM) が提案した、コストと工程を “価値 (value)” という同一の評価基準で統括して管理を可能とする出来高管理システム (Earned Value Management System, 以下EVM) は広く知られ、様々な機関や組織で採用されている。
    EWの評価基準である計画価値は、必要コスト (予算) と同等として設定されることが多いが、建設施工では作業資源の段取り等の影響により、計画出来高の確保が困難になる場合が多い。そこで、本研究では作業項目と作業資源の連関に着日し、“価値” の設定方法にグラフ理論の媒介性指標の導入を試みた。そして提案したEVMが建設施工マネジメントにおいて、より効果的な判断支援ツールになるのかを実際の建設施工に適用することにより検証した。その結果、作業資源連関を考慮したEVMは進捗状況をより敏感に感知し、マネジメントの重要な工種の特定やリスクポデンシャルの連鎖を表現しやすいことがわかった。
  • 藤原 栄吾, 小濱 健吾, 貝戸 清之, 小林 潔司, 沢田 康夫
    2008 年 15 巻 p. 239-247
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地の道路舗装では, 冬季の除雪対策として散水が行われることがある. その結果, 路面は常に滞水状態におかれることが少なくなく, ポットホールが多発する要因となっている. ポットホール等の路面異常に対しては, 通常補修合材を用いて迅速に応急補修がなされるが, 補修合材本来の性能を発揮するだけの施工条件を満たすことが難しく, すぐに合材が剥離してしまう事例が多い. したがって, 積雪寒冷地の維持管理では, 積雪寒冷地に適した補修工法, 補修材料を選定していくことが必要となる. 本研究では, そのための基礎検討として, ポットホールの補修に用いられる補修合材の耐久性を統計的見地から考察する.具体的には, ポットホールの発生過程をワイブル劣化ハザードモデルで表現し, 積雪寒冷地の一般国道に生じたポットホールに関する点検記録および補修後の経過履歴データを用いてモデルの推計を行うとともに, 補修合材の耐久性を実証的に分析する.
  • 五艘 隆志, 草柳 俊二, 角崎 由貴子, 吉永 光太朗
    2008 年 15 巻 p. 249-260
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の建設産業は, 国際的な市場開放, 国内建設投資額の減少, 指名競争入札から一般競争入札への変換, 談合決別宣言等により, 「協調の原理」から「競争の原理」へと変化している. 国内市場の国際化や, 海外市場への進出等, 我が国の建設産業には国際競争力を確保することが求められている.本研究では米国におけるプロジェクトマネジメント技術の実態を把握し, 我が国のプロジェクトマネジメント技術レベルの実態調査を実施し, これらの調査結果に基づき, プロジェクトマネジメント技術の観点から我が国の建設企業の国際競争力を検証し, 今後の方策を見出すことを試みた.
  • 佐藤 直良, 松本 値也, 木下 誠也, 丹野 弘, 石鉢 盛一朗
    2008 年 15 巻 p. 261-272
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共工事における過度の低価格入札 (いわゆるダンピング、本稿では以下ダンピングという) は過去から繰り返し問題になってきており、対策も累次実施されてきた。国土交通省値轄工事においては2005 (平成17) 年度から極端な低入札が急増し、翌年12月までの2度にわたる緊急公共工事品質確保対策により沈静化しつつある。本研究では、(1) 現行の低入札価格調査制度の創設に至る経緯、一般競争入札の導入以降のダンピング対策について概観した。(2) 近年発生したダンピング受注について、その背景について考察するとともに、工事の品質低下や建設業界の疲弊等の影響について整理した。(3) 地方公共団体の状況について整理した。(4) 2006 (平成18) 年のダンピング対策のねらいを述べるとともに、特に効果のあった施工体制確認型総合評価方式及び特別重点調査についてはその意義を考察した。
    ダンピング問題の根底には価格競争による受注者決定システムの課題があり、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に示された価格と品質の両方を求める施策を具体化することが重要であることを確認した。
  • 金子 雄一郎, 本橋 純, 島崎 敏一
    2008 年 15 巻 p. 273-280
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は一般に公開されている入札情報を用いて, 総合評価方式の実態に関する基礎的な分析を行うものである. 具体的には国土交通省発注の一般土木工事の入札情報を用いて,(1) 個々の入札を対象に落札率や入札価格及び技術評価のばらつき具合を求め, 入札における競争状況を把握するとともけに (2) 個々の入札参加企業を対象に総合評価方式下での競争力や, 技術力と入札価格の関係などを分析し, 企業の入札行動を把握する. 以上の分析から, 総合評価方式による入札の実態と課題を明らかにする.
  • 島崎 敏一, 杉原 賢介, 下原 祥平
    2008 年 15 巻 p. 281-288
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共工事の入札に関しては価格のみによる競争が中心として行われていた. 近年, 公共投資額の減少にともない, 公共工事の受注をめぐる価格競争が激化し, ダンピング受注などの問題が発生してきた. このため, 平成17年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が成立, 施行された. この法では, 公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして, 総合評価方式の適用を掲げている. 総合評価方式において, 評価値が全ての入札参加企業に対して最大となる企業が受注できる. 自社の技術力, 発注者が求める最低限の品質, 発注者が求める最高の品質, 失格しない評価値を得るなどの制限の範囲内で最も評価値が高くなるような入札行動を行うと考えられる.本研究では, それを説明する入札行動モデルを構築することを目的とする. はじめに技術力関数を定義し, 総合評価方式の除算方式と加算方式における, 発注者が要求する最低限の品質から入札者が提案する品質に改善する費用と評価点の関係を求め, それを最大化することにより, 企業が入札行動を決定するモデルの構築を行う. それを用いて発注者と受注者の立場からの検討を行う.
  • 木下 誠也, 佐藤 直良, 松本 直也, 田中 良彰, 丹野 弘
    2008 年 15 巻 p. 289-300
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共工事の入札契約制度は、江戸時代において請負業が成立して入札が行われるようになって以来明治時代を経て現在に至るまで、談合や安値受注を防止するために、修正に修正を重ねる歴史を歩んできた。
    本研究では、そういった変遷を考察し整理するとともに、予定価格制度を含む会計法等の法令、等級制 (格付け) を含む企業評価方式その他の現状の問題点を分析する。そのうえで、「公正さを確保しつつ良質なモノを低廉な価格でタイムリーに調達する」という発注者責任の観点から、会計法令や企業評価方式の見直しの方向性を論じるとともに、当面の対策として地域ブロック単位の発注者共通の企業評価体制の確立について提案する。
  • A LESSON LEARNED IN THAILAND
    Budi Hasiholan, Suprapto BUDINUGROHO, Shin-ei TAKANO, Tanit TONGTHONG
    2008 年 15 巻 p. 301-312
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    The practice of e-procurement as the government procurement system varies from one country to another. Depart from the common purposes such as efficiency, transparency, non-discrimination, and accountability, countries may run their procurement systems differently. Some countries may run their e-procurement system successfully with some notes in their practice, some may still face barriers, and others may only partly implement e-procurement. Trial and error may not be an effective method of learning, thus it is essential to learn from other countries' experience in running e-procurement.
    This paper presents a distinct practice of government e-procurement, namely e-Auctions, as used by the government of Thailand. The government of Thailand runs two types of e-Auctions: Reverse Auction and Sealed Bid auction, which result in lower prices due to the higher price competition. Contrary to the common practice of e-procurement, the Thai government, with some rationales, runs the bid documents obtaining manually as well as qualification and technical documents submission and holding the e-Auctions at bidding office. The advantages and disadvantages of Thai e-Auctions practice are presented in this paper as well as improvements that have to be made for successful of e-Auctions. The lessons learned from Thai e-Auctions practice is expected to be a constructive reference in establishing e-procurement system.
  • 堤 達也, 溝口 宏樹, 毛利 淳二
    2008 年 15 巻 p. 313-324
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、公共工事の総合評価方式は、飛躍的に適用が拡大しており、平成19年度は国土交通省のほぼすべての工事の発注を総合評価方式で実施するに至っている。
    本稿では、国土交通省の公共工事における総合評価方式について、平成19年度上半期までの実施状況を踏まえ、総合評価方式の効果を検証し、一定の効果が見られることを確認した。また、総合評価方式をより適切に運用していくための主な検討課題を整理し、今後の改善に向けて、総合評価方式のタイプ選定や課題設定、評価の考え方及び手続きの効率化方策等について提案を行った。
  • 森本 恵美, 滑川 達, 濱田 英樹, 山中 英生
    2008 年 15 巻 p. 325-336
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    契約・支払いの最適化方策として重要な位置づけがなされている総価契約・単価合意方式は, 入札時もしくは契約時における総価の内訳分解を行うという点で施工体制確認型総合評価方式と類似プロセスを有している.本研究では, 二つの視点による比較を行い以下のような結論を得た.(1) 総価契約・単価合意方式試行案件と施工体制確認型導入案件の入札値分布の比較を行ない, 総価契約・単価合意方式が, 双務性の向上や, 協議の円滑化といった本来の目的以外に, 極端に高い, もしくは低い入札値分布となりにくい傾向があることを確認した.しかし低入札そのものを抑止する効果としては両者に差異は見られなかった.(2) 施工体制確認型総合評価方式対象外の予定価格2億円未満の案件の入札値, 落札値の比較では, 総価契約・単価合意方式は, 低入札抑制に一定の効果がある可能性を否定できないという結論を得た.
  • 瀬下 慶彦, 高瀬 達夫, 小山 健
    2008 年 15 巻 p. 337-344
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    長野県では全国に先駆けて, 公共工事の入札制度改革に取り組んできた.その中の1つが指名競争入札方式から受注希望型競争入札方式への転換である.受注希望型競争入札方式の導入によって, 落札率が減少し談合はほぼ排除されたとみなせる反面, 県内の建設業者にとっては競争の激化につながり, かつ年々公共工事の投資額が減少している背景と相まって, 厳しい経営状況に追い込まれた.そこで, 建設業界が衰退していくのを防止するために長野県では予定価格に対して失格基準価格を平成15年に設定した.長野県の失格基準価格は時代状況, 背景により, 数度改定されているが, 本研究では長野県が平成16年に実施した建設工事コスト調査, 並びに長野県建設業組合が平成18年に実施した建設工事コスト調査のデータを用いて, 失格基準改定の前後における建設工事コストの比較を主に損益率という指標を用いて行った.
    その結果, 本研究では失格基準改定により落札率や損益率は改善したが, 依然として県内建設業者は厳しい経営状況であることが指摘できた.
  • 臼田 利之
    2008 年 15 巻 p. 345-354
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、インフラPFI事業の推進を阻む要因として指摘されている公物管理・税制・国庫補助金の観点からその現状と課題を検討した。
    公物管理の問題では、現行の個別公物管理法の規定においてPFI事業の実施が可能であることを示し、民間が行い得る業務の範囲と期間においては業務の期間の規定により民間事業者の地位が不安定になることを示した。税制の問題では、事業方式の違いによる課税及び不動産取得税が=事業に与える影響について示した。国庫補助金の問題では、補助金が交付されない場合に地方自治体がPFI事業ではなく、従来の公共事業を実施する理由について示した。
    インフラPFI事業が進む下水道事業に関して、民間資金の導入の観点から考察をおこない、他のインフラ事業へのPFI事業の導入の可能性を明らかにした。
  • 渡邊 法美, 二宮 仁志, 青山 喜代志, 野中 正明
    2008 年 15 巻 p. 355-370
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在, わが国の公共工事の入札・契約方式に関しては, 指名競争入札制度の下での「安心システム」に代わる新しい執行方式が、各地で検討・実践されている.地方自治体でも, 効率的かつ公正な公共工事執行を実現するため, 簡易な総合評価方式などの新しい方法が, 全国各地で検討・試行・模索されている.その執行体制は地方自治体で千差万別である.このため, 品質確保の方法について, 「旧来の指名競争入札を維持してよいのか」という根本的疑問や, 「総合評価方式を導入すべきか.総合評価方式を導入する場合どのようにすべきか.」という実務の疑問に悩む地方自治体の発注者は少なくないと思われる.本稿は, わが国の地方公共工事における技術調達について考察することを目的とする.まず, 地方における従来の公共工事の特徴を整理し, ある県と市における公共工事技術調達に関する事例研究を実施して, 技術調達における具体的な課題を明らかにした上で, 技術調達の将来の方向性について検討することを試みた.
  • 中村 健二, 田中 成典, 古田 均
    2008 年 15 巻 p. 371-383
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在, 大規模工事においては, 質の高い施工を実現するために複数の企業が共同企業体を結成し対応するケースが増加している. しかし, 共同企業体の結成には, 様々な企業に関しての詳細なバックボーンやバックグラウンドを把握しておく必要がある. そこで, 本研究では, Web上の情報からリンク構造解析と自然言語処理の技術を利用して, 企業間の関係情報を取得することで企業間連携に必要な情報を獲得し, あらゆる角度からの共同企業体結成時の意思決定を支援することを目指す. そして, 本提案手法で抽出された関係情報の有用性を確認するために, 特定工事共同企業体の結成実績と比較実験を行った. 比較実験の結果から本提案手法の可能性を検証した.
  • 松田 哲哉, 倉永 亮平, 小澤 一雅
    2008 年 15 巻 p. 385-396
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    団塊の世代の大量退職の時期を迎え、技術の伝承問題が進むことが懸念されている。ベテランの技術者が退職していくことで技術力を失うと、企業間における競争力が低下し、さらには業界全体の衰退までも招きかねない。この問題は予見できたはずであり、それができなかったのは中長期的な視点からの人的資源マネジメントを行えなかったためであると考えられる。
    そこで本論文では、まず、人的資源マネジメントの方策によって、人材の成長とその結果として会社のパフォーマンスがどのように変化するかを予測するためのシミュレーションモデルを構築した。そのモデルを用いてシミュレーションを行い、人的資源マネジメントのパターンと人材の成長、企業の利益額との関係を分析し、望ましい人的資源マネジメントについて考察した。特に、問題となっている2007年問題に焦点を当て、どう対処していくべきかについて提案を行った。
  • 小山 健, 高瀬 達夫, 伊藤 仁
    2008 年 15 巻 p. 397-404
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    社会厚生にとって公共財の最適供給量について議論することは必要であり, 限られた条件が満たされる場合にはその最適量が理論的には求められることは既知である. しかしながら現実の社会はその条件を満たすことはなく従って公共財は過少供給になりやすい. 市場の失敗といわれるもののうちの一つである. 公共財のほとんどは公共事業を通して供給されると考えて良い.
    公共事業による公共投資の結果は社会資本としてストックされ, 民間部門の生産性向上や生活環境の向上に寄与している. このように社会資本は社会厚生に必要と考えられるが現在わが国ではその投資について疑問が呈されている. 国の負債が原因となった, 限られた投資額に効率性が求められるからと考えられる. 本研究では社会化資本ストックの限界生産性を計測することで, もう一単位の公共事業の必要性を計測することにした.
  • 門間 俊幸, 渡邉 一成, 大橋 幸子, 中島 敬介
    2008 年 15 巻 p. 405-414
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来, 土木技術者は, 社会資本の供給を通じ, 社会や地域を支える役割を果たしてきた. 多様化する市民・地域のニーズなどの社会変化により, 土木技術者は, 社会資本整備の計画策定から運用・管理面までのマネジメントを考える上で, より社会・地域住民の意見に即した配慮が求められるようになってきている. そこで本稿では, 地域に根ざした活動における技術者の役割に着日し, ソーシャルキャピタルの視点から, その地域の課題とその問題解決に至る過程を考察することとした. その結果, 事前の地域のソーシャルキャピタルの多寡にかかわらず, 技術者が地域住民の意見を聞き, 理解されやすく, 受け入れやすい説明をすることで関係者間の信頼関係が醸成され, その後, 住民や行政と一緒になり, 社会資本の管理・運用のための規範 (制度やルール) の策定の調整・助言をすることにより, 信頼と規範ネットワークといったソーシャルキャピタルの要素が相互補完的に醸成され, 有効的に問題の解決がはかられる可能性が示唆された.
  • Rajendra NIRAULA, Takashi GOSO, Shunji KUSAYANAGI
    2008 年 15 巻 p. 415-427
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    Major infrastructure development projects in developing countries have been financed from foreign assistance. International donors such as the Asian Development Bank, the World Bank and Japan Bank for International Cooperation have been adopting the conditions of contract prepared by the FIDIC for the construction projects in aid recipient countries. Such international construction projects requires the contracting parties to have contract administration functions in order to achieve the project objectives such as time, cost and quality in a transparent way and ensure the project compliance. However, contract administration is a veryundeveloped area of project management in developing countries. On the other hand, Japanese public works use lump sum contract for construction, and bill of quantities and work program are not binding to the contracting parties. Contract administration in construction is not demanded. However, the occurrence of claim events are endemic in construction project and claim/dispute management system isnot as transparent as seen in international construction project. A training program on contract administration for international construction project have beendeveloped by Kochi University of Technology in association with Nippon Koei and in cooperation with Japan Bank for International Cooperation to strengthen contract administration in official development assistance project in developing countries and to make Japanese construction professionals familiar with international practice in construction contract administration. 5 trainings have been conducted so far in Japan, Thailand, Mongolia and Sri Lanka. The functions of contractadministration, training outputs and its prospect in developing countries and in Japanese construction industry are discussed.
  • 瀬川 明久, 港 高学, 吉川 勝秀
    2008 年 15 巻 p. 429-440
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    石狩川下流の石狩平野は、ほぼ全域が泥炭性軟弱地盤の氾濫原である。この平野開発は、明治初期から北海道開発の重点施策とされ、幾多の開発計画が策定されて進められた。
    一方、地域社会からは、大雪や洪水などによる災害への安全基盤として堤防などの早期整備が強く要請されていたが、当初から農地開発や堤防などの社会資本整備は遅延し、戦後になって漸く安定的に進行している。この遅延要因は、気象や地形地質などの自然特性の他、戦争に伴う緊縮財政の影響などであり、堤防は現在も完成断面を目標に整備途上である。
    本論文は、この開発と堤防整備について、地形地質の特性分析と共に、開発計画と堤防整備、及び土地利用と堤防整備に関わる歴史的な考証を行った。この考証に基づき、氾濫原開発と堤防整備の動向及び堤防決壊を想定した氾濫状況分析を行い、堤防の役割と問題を考察した。その結果、氾濫原の安全確保は、連続堤防の弱点解消が有効な対策であることを述べ、これらから、今後の堤防整備と安全確保に関わる新しい考え方を示した。
  • 小畑 博貴, 渡邊 法美
    2008 年 15 巻 p. 441-452
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高知県を流れる物部川は、鮎釣りでも全国的に有名な清流であった。しかし、2006年には鮎の漁獲量は事実上ゼロとなるなど、河川環境問題は深刻化しつつある。鮎は、高知県の豊かな自然の象徴であるとともに、流域が水危機に直面しつつあることに警鐘を鳴らしている存在であるといえる。筆者らは、今後とも流域が流域らしくあり続けるためには、鮎を守り、川を守る必要があると考えている。これまで、物部川漁業協同組合が中心となって流域や行政をも巻きこんだ「物部川方式」と呼ばれる様々な環境保全活動が展開されてきた。しかし近年、物部川流域には、人々の懸命な努力をあざ笑うように、次々と「痛み」が発生し深刻化している。したがって今、さらなる「現状打破」への手がかりを掴むことが求められている。そのためには、「流域の人々の関心はそもそも何故低いのか。関心が高い時代は存在したのか。その場合、それはいつから低下したのか」を探り、明らかにすることが有益であると考えられる。本稿は、まず、流域の人々と川との関わりが大きく変化したと思われる1950年頃から1970年頃に焦点を当て、聞き取り調査を中心にして、人々の川へのまなざしの変遷の一端を明らかにすることを試みる。次に、その調査結果に基づいて、問題解決の新しい手がかりを提案することを目的とする。
  • 關 豊, 平野 政幸, 横山 力
    2008 年 15 巻 p. 453-458
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1987年4月, 日本国有鉄道は分割民営化され, 鉄道の再生に寄せる国民の期待と不安の中で, 東日本地域を営業エリアとする鉄道会社としてJR東日本が発足した. それから20年余, お客さまをはじめとする関係者の支援, 協力により幾多の困難を乗り越え, 会社発足時の日的の1つであった完全民営化を達成することができた.
    この間, 東京工事事務所は, グループにおける総合エンジニアリング部門の専門機関として東京圏における鉄道駅, 鉄道線路, 駅ビル等の建設・改良プロジェクトなどを提案するとともに, 数多くのプロジェクトを完成させてきた. 様々なプロジェクトを推進するうえで顕著な実績を挙げたのが1989年に導入したVE (Value Engineering) 手法である. インハウス・エンジニアによるVE活動, 東京工事事務所という組織に適合した独自のVE手法の開発, 工事請負契約後請負者からVE提案を受入れる制度の導入, 社内で養成したインストラクターによる初心者研修制度など創意工夫を重ね実践してきた. プロジェクト企画・実施部門として最近のVE実施例も含めVE活動20年の取組みを報告する.
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