土木構造物の耐用年数に対する考え方は, 今後の我が国における社会資本の投資の方法と総量に関係し, かなり重要なものになると考えられる. 現在ある構造物については, 維持・補修計画に基づき, 構造物の寿命を幾分なりとも伸ばすような, いわば構造物の延命政策が, 経済性から見て有利になるかどうかについては, その構造物の劣化程度, 補修に要する費用, あるいは補修の発生回数および, 耐用年数間にわたり予想される金利の関係から, 大まかに推定することは可能であろう. しかしながら, これから建設する場合の構造物についてはその耐用年数をどのように決定すべきかまた, その場合のライフサイクル費用としてどの程度に設定すべきかについては, 構造物の安全性とも関係する. 本研究は, 総費用最小化原則に基づいた, 構造物のライフサイクル費用の設定の最適化を目指している. なお, 構造物の劣化に関しては, フラクタル理論を援用し, 劣化のパターンを想定することにした.
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