建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
4 巻
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  • 伊藤 昌勝, 高野 伸栄, 佐藤 馨一
    1996 年 4 巻 p. 1-10
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は公共事業である土木事業のインハウスエンジニアリング (PIEG) を、専門情報の統括による創造行為と解釈し、システム論的な分析をしている。その結果、システム全体は、「技術評価」「予算化」「外部発注」「合意形成」などの業務を実施するツールに、「技術基準」「積算資料」などの専門情報を取り込むことで、個別の業務が達成される構成になっていることが分かった。
    公共事業に携わるインハウスエンジニアの役割は、公益に立って専門技術を統括することにあり、効率的で客観性の高いPIEGシステム運用のためには、建設に関するCALSの構築などシステムの標準化、情報の共有化への積極的な取組が必要である。
  • 山形 珠実, 國島 正彦, 渡邊 法美
    1996 年 4 巻 p. 11-20
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国では現在、公共工事執行システムが国民の不信に晒され変化と改革を求められている。本論文は、このような変化に関し、公共工事執行システムの一つである契約制度に着目し、文献調査、ヒアリング調査等を通して現状の事実関係の理解に努め、そこで得られた知見に基づいて現状の契約制度の評価を行い、今後のよりよい契約制度のありかたについての提言を行うことを目的とした。評価指標は、公共事業に関わる各主体の契約に対する満足度とした。その結果、満足度は、発注者69%、コンサルタント11%、元請-18%、下請-56%と試算でき、数多くのヒアリング調査で得られた契約が片務的であるという認識が裏付けられた。この結果から “よい契約” ということを考察すると、満足度が高水準で同程度となることだと思われる。この状況を実現するために各主体で取り組むことのできる事項を提案した。
  • 島崎 敏一
    1996 年 4 巻 p. 21-28
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1990年代はじめに多発した公共事業の発注をめぐる一連の不祥事および建設市場の国際的な開放の要求に端を発して, 客観性, 透明性, 競争性の高い入札, 契約手続きが求められるようになった. そのため, 不正行為に対するペナルティの強化などを趣旨とする公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画が平成6年1月に閣議了解された. 不正行為については, 基礎的なデータを得るのが困難であるなどの理由から, これまでは, 理論的な分析はあまりなされてこなかった. 本論文は, 談合などの行為を純粋な経済行動であると考え, ゲームの理論を適用してその発生メカニズムを解明しようとするものである.
  • 湊 隆幸
    1996 年 4 巻 p. 29-40
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設におけるインセンティブは, 発注者が用いる, コスト縮減や品質向上のための契約手段である. 我が国においては, 本年, 建設省によるパリューエンジニアリング (以下, 「VE」) に基づく入札時の代替案提案方式の採用が決定された. しかしながら, インセンティブ手法の我が国への適用は始まったばかりであり, VE以外のアプローチについてもさらに検討を行う余地がある. 特に, リスクとインセンティブの問題は我が国では未開発の研究分野であり, 十分な理解や議論が行われていない.
    本研究は, リスクマネジメントの観点から, 建設費のコスト縮減の方法を論じたものである. その主な内容は, コストに「予備費」の概念を導入し, 理論と実際のデータを用いた分析を中心に, リスクマネジメントとインセンティブについての考察を行う.
  • 新ヴィジョンを求めて
    佐藤 修, 齋藤 隆, 西村 成夫, 澤村 秀治
    1996 年 4 巻 p. 41-48
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    21世紀を目前にして, 我が国の社会構造の変革の必要性が国民の多くに深く認識されつつある. 建設分野においても, 既に公共事業の諸制度を中心に明治以来90年ぶりの改革が開始され, “システム” あるいは “仕組み” の面での変革が急速に進行している. しかしながら, 如何に優れた “仕組み” が成立したとしても, それを運用・実施する “人間” が旧態依然の存在であれば, 変革の効用は極めて限定されたものとならざるを得ない. このような背景を踏まえ, 我々土木技術者が再度原点に立ち戻り, “土木技術者が今後直面する新環境の中で如何なる人間であるべきか” を研究することは意義深いと考える.
  • 馬場 一秋, 比留間 敏員, 藤野 敦
    1996 年 4 巻 p. 49-58
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    コンピュータ技術、通信技術などの進歩に伴い情報化施工はこの20年間に大きな進歩を遂げ施工技術として定着したものとなった。5年分以上の大量のデータの解析、現場と管理部門や発注者との問のデータの共有、遠隔地からのリモート計測、3次元のリアルな結果の表示なども簡単に行えるようになってきている。また適用工種も広がり、従来から行われていた土留やNATM以外に、最近では超軟弱地盤や地下空洞あるいは海洋や河川など新しい分野で活用されるようになった。
    しかし、一方では旧態依然のまま課題となっている点も少なくない。本論文は情報化施工の現状を幅広く調査し利用されている各要素技術の評価を行い、さらに課題と解決策を示し情報化施工の将来象を検討したものである。
  • 藤野 健一, 吉田 正, 服部 達也, 金子 鎮雄, 渾大防 一平
    1996 年 4 巻 p. 59-68
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設現場では多くの法令・規則に基づき、多くの情報を利用して施工・品質・労務・安全衛生などの管理が行われている。その中でも、安全衛生に関しては建設業の請負構造の複雑さや業務の分業化により、複雑なプロセスの下で管理運営がなされており、業務プロセスの改善や情報化などの作業を進めるに難しい状況がある。
    本報告では、データの流れとコントロール・メカニズムまでを表現する解析手法であるlDEF0を利用して、建設現場の労務安全衛生管理を分析した結果に基づき、手法の適用性や問題点を検証する。また、当該手法の分析結果の表現内容をもとに、管理手法の特性・徴を明らかにし、労務安全衛生管理の情報化を進めるにあたってのポイントについて述べる。
  • 岡野 高之, 花安 繁郎, 國島 正彦
    1996 年 4 巻 p. 69-76
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    最近の約10年間、年1000人の死亡者が出続けている事実から、建設作業は危険であり、建設現場の安全性は依然として大きな問題であると言える。この傾向を打破するためには、これまでの安全対策の限界を認識し、新たな安全対策が必要であり、労働ぎが自らの安全を守るため、一人一人が危険作業を認識し、安全意識を高め、安全対策を自らの問題として認識することが重要であると考えられる。本研究は、人的な課題と設備の課題との融合を見据えて、ある設備環境における労働者の作業行動水準の相違を検知できると共に、安全行動の教育訓練にも役立つことを目的として、コンピューターグラフィクスによる建設現場の視覚化ソフト (作業員の現場疑似体験ソフト) を試作した。キーボード操作によって、仮想の足場内を自由に歩行し、衝突などの状況を疑似体験できるまでになった。衝突した場合には、体の部分に対応した色の霧を画面に表示する手法としている。さらに実際の現場の状況を詳細に調査研究し、本視覚化ソフトの有効性を高めると共に、実際の労働災害のデータを用いて災害の動態状況を視覚再現できる研究を進めている。
  • 発注者に対するアンケート調査を考慮した総合的分析
    春名 攻, 北角 哲, 五十嵐 善一, 滑川 達, 吉岡 正樹, 櫻井 義夫
    1996 年 4 巻 p. 77-90
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の建設業における施工技術の開発に関しては、大規模機械化施工の導入や合理化施工の開発に代表されるようにかなりの成果が認められており、今後とも注文生産・属地生産・一品生産などに集約される特殊性を持つ建設工事現場を、工場生産を中心とする他産業と同様に施工手順を標準化し、オートメーション化を目指していくことは重要な課題である。しかし、コストパフォーマンスの観点から眺めてみても、この考え方をすべての建設工事に適用することは、実際のところ困難な状況であるといえる。
    このような現状の中で、多くの工事施工を支える中心的原動力はやはり「人間」のもつ作業能力であり、管理能力であると考える。そこで本研究では、作業・管理能力の向上をはかるために効果的と考えられる手段の一つとして、日常管理業務の中の安全管理業務に着目した。このため本論文では、これまでに本研究グループが行なってきた元請に対するアンケート調査結果の再検討や今回新たに実施した発注者や下請を対象とする安全管理業務に関するアンケート調査の分析をとおして、安全管理業務のシステム化のコンセプトや方向性についてより総合的な考察を加えていくこととした。
  • 高沢 和典, 小山 健
    1996 年 4 巻 p. 91-98
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    土木構造物の耐用年数に対する考え方は, 今後の我が国における社会資本の投資の方法と総量に関係し, かなり重要なものになると考えられる. 現在ある構造物については, 維持・補修計画に基づき, 構造物の寿命を幾分なりとも伸ばすような, いわば構造物の延命政策が, 経済性から見て有利になるかどうかについては, その構造物の劣化程度, 補修に要する費用, あるいは補修の発生回数および, 耐用年数間にわたり予想される金利の関係から, 大まかに推定することは可能であろう. しかしながら, これから建設する場合の構造物についてはその耐用年数をどのように決定すべきかまた, その場合のライフサイクル費用としてどの程度に設定すべきかについては, 構造物の安全性とも関係する. 本研究は, 総費用最小化原則に基づいた, 構造物のライフサイクル費用の設定の最適化を目指している. なお, 構造物の劣化に関しては, フラクタル理論を援用し, 劣化のパターンを想定することにした.
  • 春名 攻, 滑川 達
    1996 年 4 巻 p. 99-112
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    大規模化, 複雑化さらには多様化の傾向が著しい建設プロジェクトにおける施工計画問題の中核を構成する工程計画の検討方法としては, ネットワークエ程表を用いたPERT, CPM等々のネットワーク手法をシステムモデルとして導入した方法が効果的であるといわれてきた.しかし, 既存のネットワーク手法を, 他産業とは多くの異なった管理特性を有する建設生産システムにそのまま適用することは困難である場合が多く, これまで多方面から様々なアプローチが試みられてきたが, 完壁な成果はいまだ確立されていないのが現状である.このため, これまでに新たな理論や手法の展開をめざしての基礎研究として, われわれはネットワークエ程表の構造特性把握のための分析的研究をおこない発表してきた.
    本研究はこれらの研究成果にいくつかの新たな理論的成果を付け加えて集約するとともに, この結果をベースとしたいくつかの最適工程計画モデルの構築に関して論じたものである.
  • 予算損益分類コ-ドによる原価管理
    前田 憲一, 歌津 洋一
    1996 年 4 巻 p. 113-122
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 建設業界では設計から施工, 維持管理に至るトータルコストの低減が強く求められている。また, 入札・契約制度の改革, あるいは市場の国際化に伴って, 今後益々建設コストの低減が重要な課題として浮かび上がってくることが予想される。
    一方, 最近の情報通信産業界の進歩は目まぐるしいものがあり, 建設業界においても生産システムの効率化のためには, これらの情報通信技術の活用は不可欠になっている。本報告は生産システムの中の原価管理について, コストの低減を目指したデータの一貫性及び共有性に着目した新しい原価管理の理論 (「予算損益分類コード」の導入) とそのシステム化及び構築について述べるものである。
  • 和田 かおる, 山本 幸司
    1996 年 4 巻 p. 123-130
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設残土は建設工事における掘削工などにより不可避的に生じるが, 近年, 都市土木工事の需要拡大に伴い, その発生量は増加の一途をたどっている.そのため, 建設残土の処理場の確保が困難となってきており, 自然環境の保護や資源の有効利用という観点からも建設残土を再生資源として再利用することの重要性が高まってきている.しかしながら, 工事現場問において建設残土を埋戻材として再利用する際には, 必要な時期, 品質, 量などを総合的に考慮し, 効率的, 経済的に建設残土を再利用するためのシステムの構築が必要である.そこで本研究では, これらの条件を満たすため, 土質改良を行う再処理施設および利用時期を調節するストックヤードを含め, 建設残土が発生する工事現場 (掘削地) から埋戻材, 盛土材を必要とする工事現場 (埋戻地) への建設残土の配分計画を立案するためのシステムについて考察を行う.
  • 井染 信夫, 関口 佳司
    1996 年 4 巻 p. 131-142
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在までの地下空間開発をみると, 特定の目的を持った施設や地上に代わる都市空間の建設といった機能・目的を絞った恒久的施設としての地下利用が主である。大規模な地下開発は一度建設されるとその後の再開発が難しいことや, 今後の多様な社会機能の変化に対応することがより重要となることを考えると, 従来のように固定した機能・目的の施設空間形態による恒久的な施設を建設するのではなく, 柔軟性のある多目的地下空間を創出する必要があると考える。
    本研究はこのような背景を踏まえて, 地上において建築空間, オープンスペース, 道路空間の提供や複合建築物の地盤などの用途として利用されてる人工地盤を地下に持ち込むという新たな「地下多目的人工地盤」構想に基づいて, その事業手法に関して考察を行ったものである。
  • 春名 攻, 竹林 幹雄, 上山 晃, 安本 賢司, 玉井 大吾, 篠原 弘夫
    1996 年 4 巻 p. 143-156
    発行日: 1996/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在, 地方都市においては, 都市の活性化や環境整備に対するニーズに応えるべく, 魅力ある地域開発プロジェクトの企画・計画が多くの都市で目指されている。このような社会的要請を受けた, 地域振興型の地域開発プロジェクトをプロポーザルするにあたっては, 対象地の自治体, 参加主体, 近隣住民といった関係者が要望を提示しやすいような内容でプレゼンテーションを行なうことが重要である。さらに, 建設プロジェクトの企画レベルでの検討も行ない, 開発プロジェクトの実施・管理の過程で生じる問題に対して事前に解決策を求め, 実現性の高いプロジェクト内容を追求しておくことが望ましい。このため, その重要性は広く認識されているものの実質的には具体化が困難とされてきた上記のような課題に対して, 我々は, まずプロポーザル内容として提示すべき計画情報の整理を行ない, さらに, その分析方法ならびに出力方法の検討を行なった。すなわち, 本研究は, プロジェクトの企画段階からアンケート調査を中心とした住民ニーズの詳細な把握, さらにはCADの積極的活用による建設プロジェクト企画までも含めたプロポーザル代替案策定のためのプロセス化を試みたものである.
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