最近の経済, 財政状況の悪化から, 公共投資の削減が行われようとしている. このため, 建設コストの削減など多くの努力がなされている. 一方, 1990年代はじめに多発した公共事業の発注をめぐる一連の不祥事および建設市場の国際的な開放の要求に端を発して, 客観性, 透明性, 競争性の高い入札, 契約手続きが求められるようになった. そのため, 不正行為に対するペナルティの強化などを趣旨とする公共事業の入札・契約手続きの改善に関する行動計画が平成6年1月に閣議了解された. このような状況では, 談合などの不正行為が増える可能性があり, その対策の検討は重要である. 不正行為については, 基礎的なデータを得るのが困難であるなどの理由から, これまでは, 理論的な分析はあまりなされてこなかった. 本論文は, 談合が成立するためには全員が参加しなければ成立しないという点に着目し, 普及現象の分析に使用される閾値モデルを適用して, その成立の確率, 速度について分析しようとするものである.
抄録全体を表示