建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
6 巻
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  • 比留間 敏員
    1998 年 6 巻 p. 1-10
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、建設分野のCALSである建設CALS/ECは促進期から普及期へと推進の軸を移し、その果実を実らせつつある。しかし一方、プロジェクト個々の現状に目を転じてみると、各局面では様々な技術的な問題も散見され、「情報共有」の認識についても多分に曖昧なところがある。CALS実現のプロセスは、情報通信・共有化技術の応用と、業務の見直し (BPR: Business Process Reengineering) とを柱に進む。我が国の建設CALS/ECはいわば、既存の公共事業という枠組みの中で推進されている側面が強いが、PFI等の適用を含め、公共事業見直しに関する議論が進んでいる現在、筆者はこの枠組みに捕われず、改めて技術的な立場から情報共有のあり方、建設マネジメントとCALSとの関連について再考してみることも有用と考えた。
    本論文は情報共有化の概念、枠組みについて、業務システムの構築、業務のパラダイムシフトを進めるための手段、各々を核に技術的な立場から相補的に考察することを試みたものである。
  • 島崎 敏一
    1998 年 6 巻 p. 11-18
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設省は, 2004年から直轄工事の施工を建設CALS/ECによって行うとしている. そのため, 土木学会, 日本土木工業協会など土木関係の各種団体でも, CALS/ECに関する多くの研究が行われている. そのような研究報告書や他の多くの一般書でも, CALS/ECの効果について, 定性的にはその有効性が強調されている. しかし, 建設CALS/EC導入による定量的な効果については, ほとんど研究がなされていない. CALS/ECシステムの導入が建設業界にとっての急務であるにもかかわらず, 現実には, 特に中小企業においてはあまり進んでいないというのも, これが, その原因の1つと考えられる. 建設CALS/ECの導入効果という場合, 非常に多くの側面があるが, 本研究では, 定量的研究の第一歩として, 従来の電話による連絡と電子メールによる連絡を比較して, 連絡所要時間の短縮効果について解析をする. その結果, 電子メールによる連絡の所要時間短縮効果を定量的に示すとともに, それが効果的な状況を明らかにした.
  • 秀島 栄三, 小池 則満, 山本 幸司
    1998 年 6 巻 p. 19-26
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設産業では、工事の発注者と受注者の間で図面、価額等の情報を再利用、共有するための規格の標準化とその運用を目的としてCALSの推進が図られている。建設企業にとってこれは有益といえるものの導入コストの負担を踏まえると必ずしもスムーズに普及していくとは限らない。そこには「囚人のジレンマ」的な状況が見出され、CALSが多数の企業に普及するプロセスはある種の進化論的ゲームとして捉えることができる。本研究ではこのようなCALSの普及過程をゲームモデルとして定式化するとともにいくつかの考察を行う。特に一般的に普及や伝播のプロセスを記述することに用いられるロジスティック方程式と進化論的ゲームの繰り返し過程との対応関係を明らかにし、また、CALSを普及させようとする公共主体の立場から政策決定に際して今後の普及状況を予測するために本ゲームモデルが有効であることを示す。
  • 服部 達也, 村松 敏光, 朝倉 義博
    1998 年 6 巻 p. 27-38
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、建設CALS/ECの構築が進められており、業務目的にあわせた事業執行の最適化 (BPR) が必要である。本稿は、直轄国道の維持管理業務を対象に、BPRに向けた業務分析として、機能構造図、IDEFO図、IDEF1X図、EXPRESSなどを行い、以下の
    成果を得た。
    ・道路維持管理業務のプロセスの明確化
    ・機能構造図、IDEFO、IDEF1Xは有効
    ・BPRに向けて有効な検討プロセスの提案
  • 工事段階を中心として
    大崎 康生, 齋藤 隆, 柴田 秀昭, 高崎 英邦
    1998 年 6 巻 p. 39-48
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    PMが、グローバルスタンダードの一つとして建設業界に導入されようとしている。より良いPMのためには、グローバルスタンダード化の基本精神のもとに、日本型PMと欧米型PMの良い所を整理統合し融和させることである。
    本論文では、日・欧米企業間で競合あるいは連携することが多くなる工事段階を中心として、両者のPMは何が相違点で、何が問題で、対応・融合化の方向性は何処にあるか、を明らかにすることを目的とする。これは、ISOを導入したり両タイプのPMが接触する際の相互理解と調整、さらには融合化の一助となるものである。
    まず日本型、欧米型PMの概念や構成を概略整理する。これは日・欧米型PM対比の議論のベースとなる。次いで、発注者・事業者の論理から要求されるPMとは何か、を述べる。また、プロジェクト推進者の観点から、プロジェクトを推進するに必要なPMの機能と構造について、日・欧米型の思想や相違点を検討する。そして、PM行為そのものを事業として見た場合の考え方の相異と現状を述べる。最後にまとめとして、日・欧米型PM融合化の方向等を述べる。
  • 野城 智也
    1998 年 6 巻 p. 49-58
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、建設マネジメント「学」を、「プロジェクト」という視座から体系化することによって学問として成立させえる可能性について考察を加えたものである。具体的には、国際規格ISO10006に示された10種類のプロセス (戦略決定、相互依存に係わるマネジメント、範囲、時間、コスト、経営資源、要員、コミュニケーション、リスク及び購買に関連したプロセス) が、現在の建設マネジメントの研究関心動向をどのくらい包括しえるのかを検討した。ここでは、建設マネジメントの研究関心動向は、「課題キーワード」として表現した。これは、土木学会、建築学会等の研究活動タイトル及び建設マネジメントにかかわる学術雑誌より抽出したものである。これらの「課題キーワード」と、ISO10006のプロセスの対応性を検討した結果、紛争に関するマネジメント、経営資源の制約条件に関する検討、発注契約の制約条件に関する検討, 委任契約や、請負契約にかかわるプロセスを付加すれば、「課題キーワード」の大半は、ISO10006の提示するプロジェクトプロセスと対応づけることができることがわかった。この分析をもとに、本論文は、プロジェクトに視座をおいた建設マネジメント学のアドレス体系の試案を作成した。この体系では、具体的な研究的関心が体系のなかでの位置づけ (アドレス) が得られる構造を持つことができるように、プロジェクトプロセスを主軸とするとともに、補完的アドレスとして、建設市場にかかわる経済環境・条件、建設産業及び建設企業、技法・テクニック、研究手法・方法にかかわるカテゴリーが用意されている。
  • 相越 宏
    1998 年 6 巻 p. 59-68
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設業でもISO14001環境マネジメントシステムを認証取得する動きが活発化してきており、当社東京支店では昨年12月総合建設業として先行的に認証取得し、現在各支店に水平展開を図っている。ISO14001は、ISO9000sと同様のマネジメント手法であり、企業の総合的なマネジメントの一つとして企業戦略の重要な武器と考えられている。
    ISO14001は、環境法規制の遵守を基本に、初期環境影響調査に基づき方針、目的・目標を設定し、PDCAサイクルにより環境への負荷を継続的に低減していくしくみであるが、規格が製造業向けとなっており、建設業への適用する場合には検討すべき課題も多い。
    本報告では、建設業としてのISO14001の必要性に基づき建設業の取り組み動向を述べ、次に建設業の現状を踏まえ東京支店の事例に基づきISO14001の構築手順や特徴を述べ、最後に建設業に適用した場合の課題および対応策を述べる。
  • 台湾MRTプロジェクトをケーススタディとして
    林 正平, 野城 智也, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 69-78
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    通常の大規模プロジェクトにおいて、公共発注者は一つの大きなプロジェクトを幾つかのサイトに分割し、発注を実施する。プロジェクトを分割発注することにより、より大きな発注規模による有利性 (規模の経済) と、不確実性に起因するリスクプレミアム (規模の不経済) を巡り、発注規模の最適化に関する二律背反的分析が行われることになる。このリスクプレミアムと規模の経済性を評価するため、当論文では、リスクプレミアムの確率分析を加味した期待現在価値測定法を用いることによる、発注規模決定支援システム (CSDSS) について述べる。またCSDSSは、線形分析を通して最適発注規模戦略の確立を促進する現実的方策についても言及している。
  • HyunChan Cho, 竹内 佐和子, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 79-90
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    The aim of economic regulatory policy in private infrastructure development is to protect utility users while ensuring that private concessionaires have incentives to develop and operate infrastructure projects more efficiently. Setting an adequate governance by economic regulation is very important because when the regulatory control is too lax, users will have to bear the risk of higher prices. Contrarily, excessive control may cause reluctance of the private sector to participate in infrastructure development. This paper discusses three alternatives in economic regulation: Price regulation, ROR (rate of return) regulation, and No regulation. It analyzes both the incentive effects to improve efficiency and the degree of risk to which concessionaires are exposed under the different economic governance. Finally, it makes suggestion for improving economic regulation in developing countries.
  • マクドナルド レジナルド, 竹内 佐和子, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 91-102
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    For this introductory paper on the implementation of private infrastructure development methods in the People's Republic of China, the author defines three time periods:“The Beginning”-from 1987 to 1995:“The Present”-from 1995 to 1998 and “The Future”-from July 1998 onwards.
    “The Beginning” is characterized by arelatively small number of projects centered in the economically advanced province of Guangdong. The the field of participants is led by a small number of pioneering Hong Kong property developers.
    “The Present” period, from 1995 to July 1998. features a rapidly growing number of participants in the industry, with international utilities, engineering firms, and investment funds adding to the Hong Kong developers. The geographical scope of private infrastructure development in China also expands to include all of the coastal provinces. Finally, the style of project structure as well as the legal and regulatory framework for private participation in infrastructure begins to expand during thisperiod, with government bodies as well as private developers experimenting with new project structures and legislation.
    Finally, “The Future” looks at the direction of private participation in the development of infrastructure in China, and is based on current trends, including: increasing sophistication, growing competition and rising costs in the coastal regions; shift of central government emphasis to inland investment; establishment of new laws governing private infrastructure participation; and rapidly changing conditions in both international and domestic financial markets.
  • 河田 雅也, 竹内 佐和子, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 103-110
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年景気対策として公共事業が行われる一方その効果が疑問視される場合も多く、事業計画に関する意思決定システムの問題性が指摘されるようになった。そこで我が国の公共事業の特徴を把握するための一方策として、高速道路整備制度の国際比較を試みた。
    我が国と独、仏、英、米の制度を比較検討した結果、住民参加、事業評価、情報公開がキーワードとして挙げられた。
    インフラ先進国といわれる独、仏、英、米においては、社会基盤は住民のためのものであり、したがって整備主体も住民でなければならないという思想がゆきとどいていると思われる。
    我が国は事業評価手法そのものに関する研究は進んでいるが、実際の事業に適用させるためのシステムが確立されているとは言い難いと思われる。
    住民参加にせよ、事業評価にせよ、実現のためには事業主体の透明性確保が強く要求されるため、情報公開が最も重視されなければならない。アメリカのように法によって規定されていなくとも、独、仏、英では道路計画に関する情報の公開は半ば常識化している。
    我が国において情報公開にもとづく公共事業の意思決定プロセスの導入を妨げているひとつの要因として、建設業就労者の雇用確保問題があると推察される。事業主体は予算を残さないで消化しつつ、多くの事業を実施しようとするために、時間と手間のかかる住民参加・事業評価・情報公開を積極的に導入するインセンティブが働きにくいと思われる。
  • 春名 攻, 竹林 幹雄
    1998 年 6 巻 p. 111-120
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地方部における居住地開発計画に焦点を当て, 自治体が期待する居住地像を実現するための方法論について理論的検討を加えた. まず, 居住地需給の市場を自治体・開発会社・居住者の複数の異なる目的を有する主体から構成されると考えた. このとき, 開発会社は独占的に市場に存在するものと考えた. そして, 市場への影響力から考え, 自治体一開発会社間では自治体が, 開発会社-居住者間では開発会社が情報をより多く有すると考え, 自治体一企業-居住者からなるシュタッケルベルグ計画問題であるとして居住地開発市場の市場構造の定式化を行った. そして数値計算により, 開発企業の収益性を保証した規制方法について検討を加えた.
  • 岩井 寿人, 野城 智也, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 121-130
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、全国各地で公共事業実施をめぐる地元住民と計画主体との対立・紛争という社会問題が顕在化している。本研究ではその具体的事例の一つとして東京大学駒場キャンパス再開発事業についてケーススタディしたものである。本研究では、公共事業実施計画作成過程の観点から、駒場寮廃寮プロジェクトの経緯を体系的に整理した。
    まず、駒場キャンパス再開発事業の問題点として、(1) 事業アセスメントの不備、(2) 事業計画決定過程における当事者の不在、(3) 事業執行の手法・手続きの硬直性、及び実態との乖離、(4) 行政職員の行動規範の不明確性の4点を挙げ、これに基づいて本研究では、次のような分析を行った。
    (1) に関連して、CVM (仮想評価法) の有用性について追究し、考察を加えた。CVMとは、アンケートを用いて一般市民にたずね、比較評価が難しいとされる環境等の価値を金額で示すことにより、具体的なプロジェクト評価を可能にする一方法であり、住民、計画主体に多様な価値観が存在することにより解決が困難となりがちな社会紛争を解決するための一つの有用な方策と考えられる。
    また (2)(3) に関連して、市民参加、情報公開が求められる背景を考察して、分析を行なった。また (4) に関連して、地域問題・都市問題に対する行政職員の参加の在り方についても考察を行なった。
    以上の段階を踏まえ、市民参加型の公共事業プロセスは、国民と行政との関係をより近いものとし、両者の有機的な信頼関係が築かれていく潜在的可能性をもつこと、また少数者の見解も反映しうる「公共性」の実現を可能にするという知見を得た。
  • 大堀 勝正
    1998 年 6 巻 p. 131-142
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の公共事業に対する批判は、実際のニーズが現行の価値観や評価手法によって十分に反映されていないことに起因する。すなわち、インフラ評価の実践において、事業フロー効果に比べて施設ストック効果が必ずしも正当に評価されていないと思われる点、技術に諸学 (自然科学のみならず人文科学、社会科学も含む) が十分に活用されていないと思われる点、利用者を主体とした合意形成や運営方法といったソフト面が立ち後れている点などの問題があると考える。さらに、問題の深層を考察していくと、インフラ整備の本義である「公共性」とは何かを利害関係者とともに認識する必要があると考える。
    そこで、本稿では、インフラ整備において公共性を確保するためには如何なる評価手法が必要であるかを考察し、公平性、分かりやすさ、融通性の3点を併せもつ評価手法を提案した。経済の自由化、個々人の価値観の多様化の動向の中で、公共事業の意味を「ノン土木」の人々とともに考え、具体化する上で必要となる全体の評価フレームを考察した。
  • 渡邊 法美
    1998 年 6 巻 p. 143-154
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の公共事業不要論の展開、環境問題の深刻化、さらには政府財政の逼迫、高齢化社会の到来、地方分権推進の動き、人々の価値観の多様化などの現象は、日本の社会基盤施設 (インフラストラクチャー) の整備が、現在大きな転換点を迎えていることを示している。こうした状況下では、社会基盤施設の整備のあり方の基本方針を再確認することの意義は大きいと考えられる。そのためには、まず、議論すべき範囲を明確にすることが重要である。本稿ではまず、建設技術者が関与すべき範囲を明らかにし、それをインフラストラクチャーシステム (以後インフラシステムと称する) として定義した上で、インフラシステムの入出力と評価指標を明らかにし、インフラシステムのデザインと運用のあり方の基本方針を検討することを試みた。さらに、生活者にとって望ましいインフラシステムのあり方を検討した。検討結果を適用するためのケーススタディとして、高知県の一般廃棄物問題の解決と資源循環型社会の構築の枠組みに関する検討を試みた。
  • 北海道を事例として
    加賀屋 誠一, 藤田 智輝, 高野 伸栄, 伊藤 昌勝
    1998 年 6 巻 p. 155-162
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、近年議論されている公共投資縮減が行われた場合、社会経済的な影響を評価するための、方法を検討するものである。特に、地域経済の迅速的対応が困難な地方においては、建設産業が、その対応策を自ら考え、実行することが必要である。ここでは、まず第1に、公共投資が縮減された場合の影響規模について北海道を対象として産業連関分析によって計測した。そして、その縮減の影響を地域経済によって、埋め合わせを行う可能性についてシミュレーションを行った。さらに、建設産業のとりうる戦略をより詳細に検討し、その効果についても検討した。その結果、(1) 公共投資の縮減の北海道経済に与える影響が大きいこと、(2) 縮減の影響を緩和するために、とりうる対策については、北海道経済の体質からその効果を期待することが難しいこと、(3) したがって、建設産業のとりうる戦略について検討する必要があることがわかった。その戦略については、(1) 自らの生産における付加価値率の向上、すなわち、より効率的なシステムの導入、(2) 民間からの固定資本に対する需要の開拓、すなわち、民間活力による建設システムの検討、(3) 建設産業の扱う業務の範囲拡大が考えられ、それらの導入は、当面の縮減の緩和に効果があることがわかった。
  • Jiradech YINGSUTTHIPUN, 湊 隆幸
    1998 年 6 巻 p. 163-172
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, タイ国におけるインフラ整備事業の中でBOT方式による交通施設建設におけるリスクの抽出を行ったものである. 本研究の特徴は, 1) タイ国に特有の政治, 社会および経済状況から発生するリスク要因に着目した点, 2) BOTの各建設段階 (phase) ごとに, 様々な問題を誘発するような「素因」(source risks) の抽出を行った点, および 3) 素因とそれから発生する帰結 (consequence) の関係を, BOT事業の専門家および経験者の知識によりモデル化した点, にある.
    研究の結果, タイ国で民活事業を行う場合, 問題を誘発する素因として, 1) 頻繁な政府の交替による政策・規準の変更, 2) 政治家の各建設段階での意思決定への介入, 3) 複雑で時間のかかる許認可プロセス, 4) 特に, 交通施設の場合, タイ国民の交通手段に対する選好, に留意することが重要であることが示された.
    BOT方式は, タイ国を始めとするアジア諸国で, 民間の技術力や資金調達力を “公共工事” に導入できる手段として, 国家予算不足を補う方法として導入がなされてきた。本研究は, タイ国を例として, BOT事業のホスト国の政治社会状況を中心としたマクロ的なリスクの関連を構造化した. その結果は, 本国内だけでなく, 海外の投資家のBOTリスクに対する知識の向上に貢献できるものであると考えられる.
  • Songdech BENCHAKULPITAK, 湊 隆幸
    1998 年 6 巻 p. 173-182
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、タイ国における入札時の資格審査事項に関する分析を行ったものである. 例として, タイ国エネルギー供給公社 (EGAT) の資格審査項目をとりあげ, インタビューと質問状による統計分析を行い, 一般的な資格審査要因の抽出を行うことを試みた. 与えられたデータの分析範囲内で, 受注者の「能力 (ability)」「容量 (capacity)」「信頼性 (reliability)」および「協調性 (compatibility)」が, タイ国における重要な資格審査要因ではないかという結論が得られた.
    タイ国においては, 公共工事における資格審査システムは改良・改善していく余地が多いと考えられるが, 得られた結果は, 将来, 公共工事の発注者がそれぞれの資格審査システムをより効果的なものに作り変えていく際の参考となるものと考えられる. また, 本研究の結果は, 日本など諸外国がタイ国の公共工事に参加する場合の資格要件を理解する上でも, 興味のあるものと考えられる.
  • Chunlu Lid, Yoshito Itoh, Shizhao Ding
    1998 年 6 巻 p. 183-194
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    The economic growth of Guangdong province in southern China has drawn attention of various fields such as sustainable development and global environment. The corresponding infrastructure construction such as railways and highways has led to huge effects on industry structure, urbanization, and land use. Therefore, there is an urgent need to comprehensively study the interactions of infrastructure construction, economic development, land utilization, and environmental issues. In this research, first, the current situation of transportation infrastructures in Guangdong province is studied and compared with the developed countries. Then, the investment condition and financial resources of transportation infrastructure construction are investigated as well as its effects on the economical development. Numerical analyses are carried out for reflecting traffic accidents and land use due to the process in transportation service industry. Finally, a GIS-based management approach is presented for managing transportationinfrastructures with spatial visible capacity.
  • Shizhao Ding, Yoshito Itoh
    1998 年 6 巻 p. 195-202
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    In this paper, the integration of geographical information system and government project administration information system based on network platform (GISGPA/NT) is presented for capturing, storing, checking, integrating, manipulating, analyzing and displaying the construction projects data related to positions on the Earth'ssurface and government administration. The system is developed for the municipal government body, which is responsible for the administration of construction projects. The scope of information processing and the type of information used in this system are discussed following the enduser identification. Then, the system structure and main functions are described in detail. Finally, the guideline and methodology of system development are presented.
  • 阿部 賢一
    1998 年 6 巻 p. 203-210
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の公共工事の調達方法は、基本的には明治22年制定の「会計法及び会計規則」にもとついて実施されている。第二次世界大戦における敗戦で、それまでの我が国の国家体制は崩壊した。昭和22年、会計法は改正され、予算決算及び会計令が公布された。しかし、明治以来の枠組みは基本的に踏襲され、古色蒼然たるものである。世界が国際化する中で、公共工事の調達も多様化している。いつまでも、法律解釈論で古色蒼然たる法律を温存することには無理がある。入札価格の事後公表は、国際化に対応する会計法の抜本的改正の端緒である。公共工事では、いままで、入札価格に重点が置かれていたが、今後は最終事業費を全体的なプロセスの中で把握していくことが必要である。
  • 澤田 恵美, 竹内 佐和子, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 211-219
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、土木界における女性技術者の就労環境と意識に関する実態を、ヒアリング調査、文献調査の結果をもとに整理し、女性技術者が抱える「働く上での不具合」を抽出した。さらに、不具合の発生要因に対し考察を行った上で、「働くことへ前向きな意志を持っ女性技術者が、その意志を失うことなく、就労できる環境」を実現するための提言を行った。
  • 21世紀はどうなるか, われわれは今何をなすべきか?
    陣門 謙一, 神崎 正, 三宮 崇, 小森 光二, 国峯 紀彦
    1998 年 6 巻 p. 221-233
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は、建設分野の市場の開拓と更新という観点で、21世紀への社会の変化を見据え、第1に「クリーンな、水力エネルギーの見直しについての提言」、第2に「鉄道を利用した廃棄物の広域輸送と処理施設の立地推進についての提言」、第3に「ライフラインの共同溝化による防災都市建設への提言」を行った。本論文では、さらに、第1の「クリーンな、水力エネルギーの見直しについての提言」でエネルギーコスト、エネルギー需給の観点から不安定な今後のエネルギー問題を取り上げ、水力エネルギーの見直しへの提言を行った。本提言では、大規則の堆砂除去技術、水利権の移転、CO2炭素税による財源の確保、水力発電建設技術による海外貢献という視点よりまとめた。第2の「鉄道を利用した廃棄物の広域輸送と処理施設の立地推進についての提言」では、スーパーフェニックス計画と規制緩和について提言した。第3の「ライフラインの共同溝化による防災都市建設への提言」では、共同溝整備理念の確立を提言した。さらに、本論文では、大規模堆砂除去プロジェクトについて取上げ、人工島建設による廃棄物処理の広域輸送と同時輸送した場合の事業評価、その他付帯効果について論ずるものである。
  • Bui Trong Cau, Masahiko Kunishima, Tsuneaki Yoshida, Tomonari Yashiro
    1998 年 6 巻 p. 235-244
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This paper introduces a concept of measuring quality for engineering economic analysis to determine the best quality for construction projects. First, the quality of construction projects is defined and decomposed into component quality criteria. Next, the component quality criteria are quantified and the weights of relative importance level of each component quality criterion are determined. In this way, the value of the entire quality of construction projects can be consequently measured. Having measured the quality value, the engineering economic analysis can be applied and the optimum quality of construction projects will be determined by incremental quality value- costs ratio analysis accordingly.
  • 春名 攻, 山田 孝弘, 滑川 達, 伊藤 壮央
    1998 年 6 巻 p. 245-254
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年の建設工事における技能労働者の量的・質的不足の問題や、建設機械・資源の購入単価・使用料の高騰、さらには今日の財政の行き詰まりによる公共事業のあり方の抜本的見直しなどの問題を考慮すれば、コストが最小となるよう工事用資源の投入量を決定したり、同時にこれらの投入量を最も効率的に使用して、工期をできる限り短縮化したスケジュールを求める努力を払うことは、従来にも増して重要になってくるものと考える。
    このため、本研究では、これまでに以上の課題を効率的に達成できるような工事用資源配分問題を考慮するとともに、理論的にみても最適性の保証があり、実際的にみても操作性の高い詳細工程計画レベルを対象とする最適工程計画モデルの開発を行ってきた。
    以上のような研究成果を踏まえ、本研究では、今回さらに、上述の既開発モデルを効果的に活用するとともに、概略工程計画レベルのより一般的な工事用資源配分問題を取り上げて、理論的・システム論的な検討を行った。即ち、概略工程計画レベルの計画要素である各種工事用資源の機種・規格などの選定問題をも考慮した、より一般化した工事用資源配分計画の方法に関する研究を行った。そこでは、現実的な計算量で計画要素と特性値の関連構造を把握することが可能な実験計画法の適用を中心とした上述の工程計画モデルによる計画数理モデル分析を通して、計画者にとっての有効な情報となりうる工程・原価・工事用資源の関連構造を把握するとともに、工事費用の低減化をめざしている。
  • 春名 攻, 竹林 幹雄, 山田 幸一郎, 滑川 達, 宮原 尊洋, 奥村 隆之
    1998 年 6 巻 p. 255-264
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    バブル経済崩壊以降、ますます深刻化する財政赤字を背景とした財政構造改革の実施検討、さらには公共事業の有効性の見直しなど、従来の財政構造を一新する動きがある。このように我が国の財政事情が圧迫されている現状では、地方財政へのプレッシャーがかかるのも必至である3現に国の投資財源は大幅に減少していることから、地方部における都市開発事業に対する公共投資も大幅に削減されており、地方自治体の財源はより一層の制約を受けることとなる。
    このような現状をふまえると、地方自治体の限られた財源規模の中で、効果的で実効性のある都市・地域の総合的な開発計画を策定していくための方法論や思考ツールが重要となる。
    本研究では、このような問題認識のもとに、地方部における総合発展計画・基盤整備計画に焦点をあて、現象合理性を満足しなおかつ目的合理性を確保した地域マネジメントシステムのコアシステムとなるマルチプロジェクトプランニング・スケジューリングモデルを構築し、実証を通してその有効性を検討している。
  • 春名 攻, 馬場 美智子
    1998 年 6 巻 p. 265-276
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、地方田園都市は、主要産業である農業の停滞に伴い活力が低下し、都市部との所得格差、過疎化・高齢化、後継者不足などの様々な問題を抱えている。また、定住条件として必要となる「職・住・学・遊」の4つの都市機能を満たすような都市基盤や都市施設が十分に整備されていないために居住環境が整っていないということも、人口定着が図られない原因となっている。地方田園都市のこのような状況に対し、地域を活性化し都市基盤のポテンシャルを向上させることによって、人々の定住を促すような居住環境実現方策を講じることが、上述の問題解決にとって重要であると考える。本研究では、大規模農業公園を地方田園都市地域の有効な活性化方策の1つとしてとりあげ、効果的なプロポーザル案策定のための方法論的研究を行った。また、滋賀県甲南町において、第2名神高速道路の建設に伴う新しいタイプのパーキングエリア予定地周辺の特定地を対象として実証的検討を行うとともに、今後におけるシステム改善の課題や問題点も明確化することとした。
  • 春名 攻, 滑川 達, 川上 俊幸
    1998 年 6 巻 p. 277-288
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国の経済状況はバブル経済崩壊の影響を受けて、地域経済・財政における諸問題が顕在化しており、投資拡大政策のもと進められてきた公共事業や開発整備事業の在り方に対しても厳しい見直しが要請されてきた、このような状況のもとで地方都市の発展や活性化をめざすならば、非常に限られた財源のもとで、従来の枠組みに縛られない新たなアイディアの積極的な導入も検討しながら、効果的で実効性のある都市・地域開発を計画していくための方法論の開発が、従来にも増して重要となってくるものと考える。
    以上のような認識のもと、我々はこれまで地方都市における総合的都市開発・基盤整備における数多くの事業間スケジュールの問題を取り上げるとともに、その効果的検討ツールとしてマルチプロジェクトプランニング&スケジューリングモデル開発を進めている。本研究では、さらに問題の対象を各事業の建設段階にまで広げるとともに、マルチ建設プロジェクト計画として検討を加えることにより、十分な実行可能性を確保した上で、建設段階でのコスト低減化のための方策を先取り的に取り入れた事業実施計画策定のための方法論の構想化とそこでの効果的シミュレーションツールとなるマルチ建設プロジェクトプランニング&スケジューリングモデルの開発をめざしたものである。
  • 高沢 和典, 松田 賢, 小山 健
    1998 年 6 巻 p. 289-298
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の今後の公共投資に関しては困難な問題が山積しており, いかに適切に投資がなされまたその後の維持補修が適切に実行されるかが大きな課題となってきている. 公共投資の縮減政策あるいは抑制策についてはさまざまな議論があるのは当然としても方向としては困難な状況にあるのは否めない. したがって, 今後建設される構造物は, 経済的で安全なまた維持補修の容易な構造物の建設が望まれる.
    本研究は, 今後建設される構造物に対する初期安全性レベルの設定に必要となる, その構造物の維持補修に関した劣化状況をモデル化し, 期待費用最小化原則に基づき, 最適な初期安全性レベルとその場合の構造物のライフサイクルコストを求めようとするものである. この場合, 最適安全性レベルの設定に関して構造物が繰り返し荷重を受けるモデルを想定している. このように処理することで, 地震荷重のような荷重を想定した場合においても構造物の最適初期安全性レベルの設定が可能となると考えた.
  • 須澤 浩之, 野城 智也, 吉田 恒昭, 國島 正彦
    1998 年 6 巻 p. 299-306
    発行日: 1998/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    日本国民の約42人に1人は身体障害者であり、今後も増加傾向にある。身体障害者も健常者と同様、個人として尊重されるべきであるが、現状では身体障害者が介助なしに生活するには十分な設備が整備されているとは思えない。
    本論文は、我々が日常の生活で必要とする公共施設を身体障害者にも利用しやすくするために、有用な提言を行うことを目的とした。障害者支援の方法は身体障害者が自らの意志で行動し利用できるよう設備を整備することが望ましい。身体障害者の自立した生活という観点に立ち、現状の不具合を把握すべく、文献調査、ヒアリング調査、車椅子体験などを行った。その結果、(1) 現在の役所や交通施設などの公共施設は、最近建設された極一部を除いて、身体障害者には利用しづらいものである (2) 介助を必要とする設備は、介助者の不慣れ・不手際により使用できない場合がある (3) 関西地区は」関東地区と比較して障害者支援設備の整備が積極的に行われているなどが分かった。さらに、これらの調査結果をもとに、歩道には横断勾配を設けない、身体障害者が公共施設を利用するときに不自由がないか検査するなど、施設の形状や寸法の標準と制度を提案した。
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