建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
ISSN-L : 1884-8311
8 巻
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 村椿 良範, 松井 健一
    2000 年 8 巻 p. 1-10
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設省では, 1965年当時より, 公共土木工事の効率的な事業執行を図るため, 建設省制定土木構造物標準設計 (以下「標準設計」) という, 土木構造物に対する設計の標準化を推進している。当時は, コンクリートや鉄筋等の材料費が労務費に比べて相対的に高価であったため, 材料数量が最少となる設計の考え方で標準設計が作成されていた。その結果, 構造物の形状や配筋は複雑化する傾向にあり, 施工に際しては多くの手間と熟練工を要していた。
    その後, 労務賃金は材料単価に比べて大きくなった。その結果, 例えば, 場所打ち方式による逆T式擁壁では, 全工事費に占める労務費の割合は, 1965年には3割にも満たなかったものが, 1995年には約6割にも達している状況にある。さらに, 少子化・高齢化等が進展しており, 将来, 鉄筋工や型枠工といった熟練工の不足・高齢化が予想されている。
    そこで, このような背景のもと, 従来の材料中心の考え方から, 施工性をより重視した設計の考え方への転換も, 経済性の面および施工性を改善する上で重要な視点になるものと考えた。本報告は, 標準設計の代表的な構造物である, RC構造のボックスカルバート, 逆T式擁壁等を取り上げ, 施工性を向上させる各種方策の提案およびそれらに対する経済性および施工性に関する評価結果等について紹介するものである。
  • Bui Trong CAU, Kazumasa OZAWA, Masahiko KUNISHIMA
    2000 年 8 巻 p. 11-23
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This paper introduces a decision-making method on design alternatives to select the best designg alternative for construction projects. The new method is developed by combining the Conjunctive and Analytic Hierarchy Process methods with group decision-making methods to eliminate unacceptable alternatives and measure Utility of Designed Quality and Utility of Costs of the acceptable designalternatives for Incremental [Utility of Designed Quality]-[Utility of Costs] Analysis. A case study for the Mekong Bridge in Cambodia done to validate applicability of the developed method is also briefly presented in this paper.
  • 盛武 建二
    2000 年 8 巻 p. 25-36
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    公共事業を効率的に執行するために, 発注者, 受注者とも, 機械化施工による生産性の向上, 省力化の推進を進めている。この機械化施工の進展は, 工事費の中に占める機械経費の割合を大きくすることとなり, 的確な工事費を積算するには, 建設工事の実態を正確に把握した上での合理的かつ厳正な機械経費の算定が求められる。
    本稿では,(1) 機械経費のうち, 相当部分を占める機械損料の基礎となる損料算定表の制定から, 今日までの推移, 供用係数, 補正要因などの要素が機械損料に与える影響,(2) 機械経費に関する会計検査事例などについて分析した。
    分析結果をみると,(1) 損料算定表は, 昭和35年制定時は工事の請負者が自ら新品を取得し, 保有する機械を使用した場合の標準的な経費を前提としていた。その後, 社会経済情勢や施工形態等の変化を反映し, リース, レンタル市場や中古建設機械市場に対応した改正が行われてきているが、さらに、多様化する機械取引から、適正な市場価格を的確に捉える必要があること、(2) 工事費の積算過程をみると、多くの事例において、機種の選定、損料算定表の適用、作業条件の設定、作業効率の適用、供用係数の算出などについて検討すべき課題があり、これらのついて適正な判断ができるよう明確な基準の設定が必要であることなどを確認した。
    納税者の理解を得られる公共事業を実施するためには、これまで以上に透明性、客観性が確保され、施工の実態が反映できる積算手法の確立が求められている。
  • 臼田 幸生, 藤本 聡, 山下 武宣, 青木 俊明, 松田 千周
    2000 年 8 巻 p. 37-44
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、価値観の多様化や従来のコミュニティの衰退により、公共事業に対する地域のニーズは多様化し、利害構造が複雑化している。公共事業執行では合意形成にむけてマネジメントが一層重要視され、多様な主体の意見を聞くシステムの導入事例も増えている。本研究では対話プログラムに影響をもたらす要因を明らかにし、その解決法を提案することを目的とする。質的データ分析法を用いた結果対話プログラムでは時間制約が大きな影響要因とされ、それへの対処が重要であることが明らかとなった。
  • 高野 伸栄, 辻 明希, 森吉 昭博
    2000 年 8 巻 p. 45-52
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    積雪地においては、雪によって及ぼされる諸障害が市民生活にとって大きな問題である。生活水準の向上と生活様式が変容する中で、冬季でも、さらなる快適性や利便性が求められるようになり、近年においても、除排雪事業に関して寄せられる市民要望は依然として、極めて多い。一方、都市の拡大とともに、除排雪に係わる費用は年々増加しており、高齢化の急速な進行や財政面の逼迫などの状況下、雪対策にかけられる費用が限界に近づいている。このような状況下、行政側も除排雪事業の政策目標を定めるため、各種の調査・検討を行っているものの、未だ方向性を見いだせない。本研究は、この問題を市民の合意形成、パブリックインバルブメントという観点に加え、行政情報の提供の意味とその効果という観点から分析を行うものである。そのため、札幌市民を対象にCS調査 (顧客満足度調査) を実施し、除排雪に関する事業について、問題意識と改善度の関係を含めた詳細な分析を行った。その結果、除排雪事業に関する満足度の状況とともに、情報提供が満足度等に与える影響を明らかにすることができた。
  • 世古 一穂
    2000 年 8 巻 p. 53-65
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    形骸化した戦後民主主義を問い直し、市民の自立を促進し、市民のっぶやきをかたちにできる新しいリーダーシップのあり方、リーダー像を市民自身がっくっていくことが必要だ。参加型社会のリーダーに求められるのは「俺について来い」型のぐいぐい引っ張っていくリーダーシップではなく、参加者の声をよく聞き、つぶやきを形にしていく、合意形成能力である。また、NPOを起業しようとする人や既存のNPOを支援するだけでなく、自治体や企業の人材を市民セクターと協働できる人材に養成していくことが協働型市民社会を促進するために必要である。そうした職能を私は「協働コーディネーター」と名づける。本論では協働コーディネーターという新しい職能が必要とされる社会的背景、市民、行政企業、NPOのパートナーシップによる協働型社会のあり様、「協働コーディネーター」の職能と社会的役割、その人材養成の方法について論じる
  • 藤本 聡, 山下 武宣, 西野 仁, 桑邊 和幸
    2000 年 8 巻 p. 67-74
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設省直轄事業において設計・施工一括発注方式により今まで試行された5件を紹介し、本発注方式を適用することにより得られる効果と今後運用していくにあたっての課題を抽出した。
    前段では、本発注方式を適用する目的を明確化し、また、事前に行われる設計のレベルに応じ2つの方式に細分できることを示した (狭義の設計・施工一括発注方式と詳細設計付入札時VE)。
    その後、建設省直轄事業での試行例を示し、これらにより明確となった課題を示した。その結果、課題として、(1) 契約図書類に記述すべき内容、(2) 発注者と施工者の責任範囲の明確化、(3) 予定価格算出方法、(4) 初期条件変更に伴う請負金額の変更方法、が挙げられ、多岐に渡っていることが判明した。
    今後、本発注方式によるコスト縮減効果を、通常の発注方式から得られるデータを用いて検討する予定である。また、試行する際に作成した契約図書類と上述の課題を基に、本発注方式に関わる契約図書類作成のガイドラインについて検討を行う予定である。
  • 島崎 敏一
    2000 年 8 巻 p. 75-82
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    日本政府は, 1999年12月にバーチャルエージェンシーに関する施策を決定した. それによれば, 公共事業を除く政府調達については, 2001年から統合政府調達情報の提供, 資格審査を実施し, 入札, 開札, 契約の電子化は2003年から試行し, 2005年から導入することになっている. 一方, 建設産業における透明性の確保, コスト削減などが焦眉の急となっていることから, 建設省は, 2004年から直轄工事の施工を建設CALS/ECによって行うとしている. CALS/ECが導入されると, 一般には, それが目的の1つともなりているように, 入札者の数が増えることなどにより, 落札価格が低下するといわれている. しかしどの程度低下するかについての定量的解析はなされていない. 本論文では, 入札価格の決定機構をモデル化し, 建設CALS/ECの導入による落札価格への影響の解析をする.
  • 請負増加率と原価増加率の関係について
    赤坂 幸雄, 湊 隆幸, 前田 憲一
    2000 年 8 巻 p. 83-92
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、工事用情報データベースに蓄積された、コスト情報と工事条件を用い、請負増加率と原価増加率の関係について、定量的分析を試みたものである。分析では、169個の工事データを対象に予算作成時と完成時における金額を用いて、工事全体の請負増加率と原価増加率を計算し、請負増加率を説明変数に、原価増加率を目的変数にした回帰分析を行った。分析では、全工事データを、工事条件毎 (例えば、契約区分や入札区分) に分け、請負金額の増加に対する原価の増加の程度を調べた。その結果、従来の非定量的な経験則を数値化できるとともに、リスクマネジメント手法の開発のための基礎的分析としても意義のある結果が得られた。
  • 矢吹 信喜
    2000 年 8 巻 p. 93-100
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1980年代後半より、発展途上国においてBOT (建設・運営・譲渡) 方式によるIPP (独立発電事業者) の数が増加している。途上国におけるIPPの事業資金のうち、融資部分はプロジェクトファイナンスによって調達されることが多い。プロジェクトファイナンスでは、債務返済原資は特別目的会社であるIPPのキャッシュフローのみであり、担保はIPPの資産にのみ依存し、スポンサーには債務がほとんど遡及しない。そのため、レンダーは詳細なリスク分析を行い、十分なリスク軽減措置をスポンサーや関係機関に要求する。プロジェクトファイナンスによる火力IPPの多くは概ね成功し、稼動発電所数も増えているが、水力IPPの数は少ない。その理由としては、ダムや水力発電所は、自然環境の中に作られる巨大な構造物であり、河川の流量に発電量が依存していることから、環境リスク、完工リスク、水文リスクの3つのリスクがクローズアップされ、レンダーがプロジェクトファイナンスでは困難だと考えてしまうからだと考察される。本論では、水力IPPを促進するための一方策として、ダムの寿命の長さや多目的性から、ダムと発電設備を分離し、ダムについては援助的なプロジェクトファイナンスを設定するというイノベーティブなファイナンス・スキームを提案する。
  • Reginald MACDONALD, Kazumasa OZAWA, Masahiko KUNISHIMA
    2000 年 8 巻 p. 101-112
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This paper introduces a conceptual framework to comprehend project-level organization for PRC privately financed infrastructure projects. The framework is composed of three dimensions: ownership (residual claims on positive income), risk (residual responsibility for negative income), and control (effective authority and ability to influence decisions). For each dimension, subjective values are assigned based on organizational structures, as well as timing, priorities, and abilities of project sponsors. Application of the framework to actual projects shows a range of organizational structures, and indicates that, within the macroboundaries of economy, law and administration, project-level organization strongly influences incentives and governance for public and private sponsors, and ultimately project performance.
  • 春名 攻, 森澤 健二
    2000 年 8 巻 p. 113-120
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、大規模整地工事を対象として、制約工期内で工事を完了できる工程案の中で最小費用となる、現有の土工機械系の運用計画と作業スケジュールを求めることのできる工程計画策定方法を開発した。そこでは、本研究でのこれまでの研究成果であるカットネットワークによる工程計画問題の変換方法を理論的基礎として、ここでの単位作業である各運土作業の同時実施状態として求められる各カットの状態を、土工シミュレーションモデルを導入してよりリアルに表現しながら、この同時実施状態 (カット) の時間的連続構造として求められるカットネットワークの最適径路探索を進めることにより、所与の目的を達成し得る計画案の導出を試みている。
  • 楠美 剛史, 佐々木 敦司, 小山 健
    2000 年 8 巻 p. 121-130
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設工事のスケジューリング問題の解析には, 代表的な手法としてPERT, CPMがあるが, それらによる工程計画では, 実際の建設工事への適用は難しく, 計画通りにいかないケースが多々ある. 原因としては, 建設工事の作業日数, 費用は, 自然状態, 現場環境などに影響を受け, またそのもの自体が曖昧さを含んでいることが挙げられる. 近年, 実際の建設工事に適用できるよう, それら要素をメンバシップ関数で表現し, 曖昧さを考慮したPERT, CPMに関する研究が考えられている. 本研究では, 従来の研究に対し改良を加えて, 曖昧な状況下でできるだけ実際に即した全体工期, 費用の推定を試みた. 具体的には, より実際の状況を反映できるようなメンバシップ関数の設定, それに伴うPERT, CPMの拡張を行なった. その結果, 求められる全体工期, 費用に対しての, メンバシップ値の状況, 信頼性を考慮した解釈を与えた.
  • 宋 虎斌, 小澤 一雅, 國島 正彦
    2000 年 8 巻 p. 131-140
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    日本の建設労働安全管理は工事施工の請負方式の確立とともに、施工者の責任のもとで行われるべきであると認識されてきた。1972年の労働安全管理における基本法律である労働安全衛生法の施行やその後の改正により、施工者とりわけ元請業者の責任が強化されてきた。重層請負構造のもとで、同一の場所で複数の事業者の労働者が混在作業を行っていることから発生する労働災害を防止するため、施工の計画や実態を把握しやすい元請業者に、統括安全管理を含んだ多くの責任と義務を定めることにより、法律施行の当初には大きい効果をあげたが、一方で他の当事者の責任意識が希薄化する弊害を生じさせる一面もあった。
    本研究は、建設災害 (建設事業の実施により生じる労働災害と人的被害をともなう公衆災害) 防止に対する影響を、設計段階に主眼をおいて検討するという従来の研究とは異なったアプローチで進めた。日本の建設工事における設計者と設計業務の現状を述べたうえ、建設災害防止における設計者の役割を考察した。また、英国や欧州における建設災害防止に関する法整備の動向を参考にし、公共工事において建設災害防止の設計者の役割を果たすための方策の提唱を試みた
  • 高木 元也
    2000 年 8 巻 p. 141-148
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設産業におけるこれからの安全対策は、規制を中心とした基本的な安全対策は堅持しつつも、自ら進んで安全対策に取り組めるような「自主的な安全対策」を進めるような方向が求められている。そのためには、建設工事に携わる全ての関係者が自主的に安全対策を進められるような誘導的な施策や環境整備が必要となってくるが、中でも、労働災害の発生に深く介在しているにも関わらず、建設産業においては、十分に検討されてこなかったヒューマンエラーの研究が重要な要素であると考えられている。
    事故は一つの原因で起こることはほとんどなく、いくつもの原因がつながっているが、それらの中にもヒューマンエラーが介在する場合が多く、直接的な事故原因の対策だけにとどまらず、その背後に隠れた様々な原因への対策が求められている。ヒューマンエラー対策としては、エラーの原因が人間の本能・本質等の特性に関わるかどうかを見極めた上で、対策を講じることが効果的である。
    今後の建設現場におけるヒューマンエラー対策の検討の方向として、イ.人間がエラーをすることを前提とした安全対策はないのかという考え方と、ロ.人間がエラーをしないようにするにはどのような安全管理をすればいいのかという2つの考え方が重要になる。
    イ.については、設備面の改善が主要な対策になる。ロ.については、建設現場において1作業員自らが安全活動を推進するような統括的な安全管理をいかに構築するかが重要であり、a.建設現場における事故が起こりにくい要因の研究、b.ヒューマンエラーの防止に役立つコミュニケーション手法の研究、c.作業員の自発的な安全活動へのインセンティブに関する研究、d.現場所長のリーダーシップの研究等が有効であると考える。
  • 周 建敏, 横田 漠, 瀬崎 満弘, 矢ケ部 秀美, 安田 泰二, 満倉 忠勝
    2000 年 8 巻 p. 149-159
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    一般国道220号の宮崎一日南問には砂岩・泥岩互層からなる宮崎層群の切土法面が多数存在し、法面保護工としてモルタル吹付工が採用されているが、その大部分が老朽化してきている。そのため、集中豪雨時等には斜面災害が発生しやすく、異常気象時における事前通行規制区間に指定されている。筆者らは、ここ7、8年にわたって、この通行規制区間にあるモルタル吹付法面の変状の実態調査、修復優先順位の決定および修復工法の選定などを行い、老朽化モルタル吹付法面の維持管理システムを開発してきた。同システム構築の中で老朽化モルタル吹付法面の修復工法として、緑化併用型鉄筋挿入工の提案に至っている。本論文では、これまでの試験施工の結果、また修復工法の老朽化長大法面への適用について、さらには現在検討中の「老朽化モルタル吹付法面の修復工法指針」(案) について、その内容と課題を述べている。
  • 春名 攻, 山田 英明, 鈴木 健久
    2000 年 8 巻 p. 161-168
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高齢社会の到来に際し、多くの地方都市においては未だに高齢者福祉基盤の整備水準が低い状態である。また、財政的には切迫した状況ではあるが、限られた人材・財源を最大限に生かした基盤整備の必要性が高まってきており、地域全体としての高齢者福祉環境の向上を図るという観点からも、地域の福祉環境の総合的・合理的機能計画の立案が求められている。
    このような状況に対し、本研究では、高齢者福祉基盤整備とその利用促進および効率的運用に着目した検討を行うこととしたが、この検討にあたり、地域連携という視点から合理性の追及を行うこととし、包括的に地域全体を網羅できる高齢者福祉サービスシステム整備計画に関する分析を行うこととした。ここでは、滋賀県湖南地域2市3町 (草津市、守山市、栗東町、野洲町、中主町) を対象とし「複数市町村における広域連携型の高齢者福祉サービスシステムモデル」の構築の検討を行った。
  • 春名 攻, 高 智愛
    2000 年 8 巻 p. 169-178
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、これまでの研究成果である「宅地開発プロジェクトプランニング支援のための土地開発計画CADシステム開発に関する研究」、「都市・地域開発事業における居住地開発プロジェクト構想検討に関する方法論的研究」の検討過程をより効果的で効率的なものとするため、事業採算性の鍵を握る造成費の変動に強い関わりを持つ地形設計の方法を中核的システムに据えた建設プロジェクト構想支援システムへと改変するための開発研究を行ったものである。そこでは、まず地形データベースへの入力が中心となる対象地形情報のモデル化を行う段階、高低差を判断基準として物理的・技術的な要件を確保するとともに、概略的に運土作業の効率性を追求することにより、計画地形高を決定する計画地形設計段階、さらには、絞り込まれた代替案群に対して、建設省土木工事積算基準 に基づく算定式による造成シミュレーションによって概略造成費の算定を行う造成費算定段階の3つの段階にわけて捉え、計画地形の実現可能性を先取り的に検討する丘陵部開発計画策定支援システムを考案した。地形高を計画変数として最適化しうるシステムのなかで、NURBS曲面補間を用いた新規な方法によるモデル化をおこない、従来から問題となっていた地形モデル化における作業量の軽減にもっなげることができた。
  • 栗原 真行, 藤本 聡, 山下 武宣, 臼田 幸生, 青木 俊明
    2000 年 8 巻 p. 179-188
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    社会経済情勢の変化や行政に対する国民ニーズの多様化に対応した望ましい政策の実現と、国民に対するアカウンタビリティの確保のため、政策の効果や達成度を確認する「政策評価」の導入に向けての準備が政府機関において進められている。評価の手法としては、政策ごとに具体的な指標 (ベンチマーク) により設定した目標と実際の成果を対比させて政策の効果や達成度を客観的に計測する「ベンチマーク評価」が中心となることが想定される。ベンチマーク評価に用いる指標は、国民からみてわかりやすいという観点から、行政サービスの実績であるアウトプットではなく、政策が環境や経済・社会などの国民活動に及ぼす効果であるアウトカムであること、さらには政策の最終的目標である国民の満足度であることが好ましい。
    本研究では、まず、海外及び国内における政策評価の先進事例を調査し、我が国における社会資本政策への適用に際しての課題を整理するとともに、社会資本に対する住民満足度をアンケート調査により把握し、社会資本政策全般をカバーするベンチマーク体系の構築のあり方を提案するものである。
  • 高橋 宏直, 山本 幸司
    2000 年 8 巻 p. 189-198
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    様々な部門の社会資本ストックについて, その地域間特性を把握することは, 今後の公共事業投資において非常に重要である. しかしながら, 現状では, 特定のプロジェクトについての有効性を評価する手法は多く開発されているものの, この地域間の特性比較の実施のための有効な手法は十分に構築されていない.
    したがって, 本研究では物流という視点からの評価とはなるものの, 公開されているデータに基づき, 簡易な手法による社会資本ストックの地域間特性を比較できる手法を検討した. そして, その手法を先ず港湾部門に適用し, 次に道路部門へも適用してその手法の有効性を確認した. さらに, 産業基盤社会資本に対しても適用することにより, この手法の拡大的な活用の可能性を示した.
  • 馬場 美智子, 高乗 理, 引原 裕一郎, 春名 攻
    2000 年 8 巻 p. 199-206
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    昨今、地方都市においては、個々の都市間で人口増減や産業, 機能等に格差が生じ、都市型社会化、都市へのニーズの多様化、サービス産業化といった時代変化への対応が遅れていることなど、改善すべき問題が顕在化している。一方で、人々の余暇に対するニーズは、経済不況が長引いている現在においても根強く残っている。このような現状から、大都市縁辺の地方都市は、大都市圏からのアクセス性の良さや豊富な自然環境・歴史観光資源を活用することにより、余暇ニーズを充足しうる「場」を創出することができるポテンシャルを有しているものと考えられる。そこで本研究では、大都市圏からの集客が見込める余暇施設の整備と総合的な都市環境の改善につながる高度な都市機能の整備を連携して推進する事により、他地域からの定住化や地域産業の活性化といった地方都市の発展が望めるものと考えた。以上のような考えに基づき、望ましい都市像の実現をめざした都市開発事業の一方策として、地方都市に多く存在する遊休地を利用した新都市核地区開発を提案するとともに、新都市核地区開発プロジェクトの構想計画案策定方法に関する検討を加え、新都市核地区整備計画モデルを構築した。また、新都市核地区整備計画モデルを滋賀県草津市に適用し、実証的な分析を行った。
  • 曽根 真理, 橋本 聖, 四辻 裕文
    2000 年 8 巻 p. 207-216
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、今後の公共事業の効率的実施を行うにあたり、社会的経費も含めた上で、事業着手から事業完了までの事業全体のコスト最小化を行うことを目的として研究を行うものである。
    仙台西道路を対象とした道路整備事業のケーススタディでは、事業が遅延した場合の機会損失と工事費の増大との比較を行った。一般国道15号を対象とした道路維持補修事業のケーススタディでは、夜間工事を行う場合と昼間工事を行う場合についてコスト比較を行った。
    これらのケースステディの結果、社会的な負担を最小にするためには、工事費のみならず機会損失も含めて総合的に判断を行う必要があることが判明した。社会的な負担が最小となるパターンを選択するためには、1) 当該事業の実施よって発生 (損失) する便益、2) 当該事業の直接工事費、3) 事業実施に要する期間を把握したうえで、社会的コストと直接コストの和を算出することが必要であることも判明した。
  • 小路 泰広
    2000 年 8 巻 p. 217-226
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国では現在、公共事業における多様な入札・契約方式が検討され、導入が進められてきている。また、昨年の「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 (PFI法)」の成立を受け、公共事業へのPFIの導入も始まっている。近い将来、新たな入札・契約方式やPFIを含めた様々な調達方式が成熟・普及し、事業の特性や地域条件に応じて最も適切な方式を選択できるようになることが期待される。そうなると、どういう条件の下でどの調達方式が有利になるのかを体系的に理解することが、公共事業を効果的・効率的に執行し、アカウンタビリティを確保する上でたいへん重要になる。
    本研究では、公共事業を実施するにあたっての要素業務である設計、施工、維持管理の各業務をどのように組み合わせて民間企業に発注するのかという観点から調達方式の比較検討を行い、ライフサイクルコストを最小化させる調達方式を選ぶ際の選択基準についての一試案を提示する。調達方式としては、“設計施工維持管理分離方式 (通常方式)”、“設計施工一括・維持管理分離方式 (DB方式)”、“設計施工維持管理一括方式 (PFI方式)” を取り上げる。各業務の品質の決定に係る知識や、品質の検証可能性といった概念を導入したモデル分析を行いながら、事業ごとのさまざまな条件や発注者側の技術力等に応じたライフサイクルコストを分析し、コストを最小化する調達方式の選択についての考え方を整理する。
  • 亀井 博文, 林 周平, 小山 健
    2000 年 8 巻 p. 227-238
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    我が国が直面している問題には様々なものがあるが, 最近よく言われていることの1つに公共事業などのインフラ政策問題が挙げられる. これまでのやり方では多くの矛盾が生じ始めておりこういった事に関する議論があるのは当然のことである. またもう1つのキーワードとして経済性の良いもの, もしくはコスト的に無駄の無いものが求められてきている. しかも, 今後さらにこの傾向が強くなっていくであろう事は, 誰もが予想できることである. したがってこれから建設される構造物には, いかに安全でしかも経済性に優れているものがより求められるのは当然である. また, 我が国の現状を考えると構造物を維持・補修によって出来るだけ長く使用することがインフラの充実という観点から重要である. それにはある程度の予測と検討がたいへん重要になってくる.
    本研究では, 構造物の維持補修に関した劣化状況をモデル化し, 総期待費用最小化原則に基づき最適な初期安全性レベルとその時の構造物のライフサイクルコストを求めようとするものである. その場合の最適なライフサイクルコストの設定に関して構造物が繰り返し荷重を受けるモデルを想定している。
  • 施工における現状と問題点
    奈良 松範
    2000 年 8 巻 p. 239-246
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    環境マネジメントシステム (EMS: Environmental Management systera) を構築し、環境保全活動を推進することは、環境保全に関する社会的なニーズに応えるために重要なことである。しかし、EMSの構築が行われただけで確実な運用が行われていない場合がある。EMS構築は目的ではなく手段であるから、実際には環境保全に関する効果、すなわちパフォーマンスが得られなければならない。本論では、このような観点から、地球温暖化防止対策に焦点を絞り、EMSを運用している建設作業所における環境保全活動の効果、すなわち環境パフォーマンスを明らかにすることを目的として調査を行った。調査結果の統計的解析により、以下の知見を得ることができた。1) 指定された19項目の活動について、平均実施率は、約50%であった、2) トラックおよび建設重機の適正整備推進による排気ガスの悪化防止および、3) アイドリングストップ運動の実施率が高かった、4) 建築および土木の作業所における環境保全対策の実施の傾向にはそれぞれ特徴が認められた。
  • 柴山 知也, 林 恵子
    2000 年 8 巻 p. 247-254
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、社会心理学における「信頼研究」を応用し、土木技術者の意思決定過程に信頼関係がどのような影響を及ぼしているのかについて考察している。アンケート調査を行い、個人の対人信頼尺度を計測すると共に、土木技術者が実際に現場で遭遇するであろういくつかの場面を、「土木技術者の倫理規定」を応用して想定し、場面に対する対応の仕方がどのように異なっているのかを調査した。
    一般に対人信頼尺度の高い人ほど想定場面に対して積極性をもった回答をする傾向がある。また、対人信頼尺度の高い人ほど個人の回答の問にばらつきが少なく、どの質問に対しても同じような回答を示す傾向がある。さらに、回答の分布を年齢別にみると、33歳以上の回答者はそれ以下の回答者にくらべてその集団内で類似の回答をすることが多い。質問の内容ごとに回答をくらべてみると、入札に関しての事前の話し合いと内部情報の交換に関する回答が顕著にスコアの平均値が低く、この問題に関する警戒心が薄いことがわかる。20歳代では回答にばらつきが大きいのにくらべて、30歳代になると回答が一様になってくるのは技術者としての社会化 (socialization) 過程が完成してくるからだと思われる。
    土木社会の信頼社会化はすでにある程度進んでいる。しかし、完全な信頼社会の実現には、事前調整や内部情報の交換のような問題点が障害になる。この問題を解決するためには、技術者の社会化が完成してしまう30歳代半ばになるまでの倫理面での教育や、技術力を裏付ける資格制度の確立などが必要になる。
  • 桝山 清人, 安孫子 義昭
    2000 年 8 巻 p. 255-262
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、1級・2級とも土木施工管理技士の受験資格は、学歴および建設現場実務経験年数により、異なっている。
    本研究では、平成10、11年度に大学・短大・高専・専修・高校の学生を対象として土木施工管理技士に関する質問を含めた、アンケートによる建設資格に対する学生の意識調査の結果と、昭和58年から平成6年までに受験した1級土木施工管理技術検定試験申込者の実態とを分析した。
    その結果、例えば在学中の受験希望や現場経験年数の短縮などの意見も見受けられたが、実際には受験資格で必要とされる年数より長い現場経験を踏んで、土木施工管理の受験に臨んでいるなど学生の意識と実際の受験動向には差異が見受けられた。
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