地震工学研究発表会講演論文集
Online ISSN : 1884-8435
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  • 村井 和彦, 大塚 久哲, 矢葺 亘, 井手 智明
    2001 年 26 巻 p. 1201-1204
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    大規模地震動時には、地下構造物横断方向においても非線形領域に入る場合がある。このような場合には、その耐震性能の指標を有意な精度で評価しうる手法を選択する必要がある。しかしながら、このための評価方法は、未だ体系化されているとは言い難く、実務設計においては、応答変位法、静的FEMによる方法、非線形逐次積分法など、種々の方法で評価しているのが現状である。本文は、地盤一構造物の相互作用のモデル化や地下構造物横断方向の非線形域での地震時挙動などの知見を踏まえ、静的非線形解析の適用性や、静的解析が適用しうる場合での荷重作用方法を検討し、地下構造物横断方向の非線形域における耐震性能評価法について考察を加えたものである。
  • 足立 幸郎, 中本 覚, 鈴木 直人
    2001 年 26 巻 p. 1205-1208
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    応答変位法に基づく開削トンネルの縦断方向の耐震設計では、地震波の波長として基層と表層の調和平均波長、もしくは観測に基づくみかけの波長などが考慮される。しかし両者で算定される結果は著しく異なる場合がある。ここでは、阪神高速道路淀川左岸線の地盤構造を反映させた波長設定を行うことを考え、地動の変位振幅のほとんどが表面波の伝播に起因すると仮定して得られる地表面ひずみと、せん断波の伝播において地盤の不均一性から生じる地表面ひずみに基づき地震波長を算定した。検討の結果、計算された地震波長は、上述した既往の方法により算定される波長の中間的な波長が算定された。本検討結果に基づき開削トンネルの縦断方向の耐震性照査を行い、本路線においては構造目地間隔を80mに設定することが最も経済的であることが判明した。
  • 徳永 法夫, 今田 康博, 内山 茂利, 吉田 剛
    2001 年 26 巻 p. 1209-1212
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市内開削トンネルの本線ランプ分岐合流部における函体構造を計画するに際して, トンネル換気計画に基づきランプ車道部から本線換気ダクトへ通じる接続部を確保するための大断面開口部を設ける必要があった. このため函体プロックの一部に断面欠損を生じることとなるが, プロック全体が載荷重に対して抵抗すると仮定し, 開口部を仮想部材に置き換えた解析モデルにより応答変位法を実施した.
    本文は大断面の開口部を有する地中構造物の耐震性能を解明するために, 開口部に仮想部材を配置した骨組モデルによる非線形静的解析を行い耐震性能照査に関する考察をとりまとめたものである.
  • 高野 令男, 岡村 未対, 松尾 修
    2001 年 26 巻 p. 1213-1216
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、動的有限要素解析法が実務にも取り入れられてきた。このような解析法を実務設計に用いる場合、結果の信頼性評価を行って適切な安全率あるいは部分係数を決める必要がある。結果の信頼性に影響を及ぼす要因として、解析手法自体の不確実さ、入力パラメータ (土質定数等) の不確実さが上げられる。そこで本研究では、動的有限要素解析コード (LIQCA) を用い、液状化地盤上の盛土の地震時変形解析を行い、入力パラメータのバラツキが沈下量に及ぼす影響を調べ為また、解析結果に対して信頼性の評価を試みた。
  • 陵城 成樹, 足立 幸郎, 猪瀬 幸太郎, 杉浦 邦征, 渡邊 英一
    2001 年 26 巻 p. 1217-1220
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚に大地震が作用する場合の保有水平耐力を評価するために, 多くの大型供試体による繰り返し水平載荷実験を主体とした検討が行われてきた. これらの中でコンパクト断面を有する供試体において, 載荷中に橋脚基部角部に疲労き裂が視認された. この疲労き裂は, その後の載荷サイクルとともに成長し, 脆性破壊的な不安定破壊に移行した. このことから, コンパクト断面を有する橋脚の場合, その崩壊は局部座屈よりも, 橋脚基部における塑性領域での低サイクル疲労が先行する可能性もある. 本研究は, 地震時に生じる可能性のある塑性域での低サイクル疲労特性の基礎データ収集を目的に, 既存の鋼製橋脚基部を対象とした部分模型による疲労実験を行い, その疲労特性について検討した.
  • 森下 邦宏, 阪野 崇人, 宇佐美 勉
    2001 年 26 巻 p. 1221-1224
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, コンクリート無充填の鋼構造物に対し, 危険部材セグメントのひずみで構造物の終局状態を照査する動的耐震照査法を提案し, その妥当性を検証することを目的としたものである. 鋼構造物の終局状態を精緻に算定するためには, 弾塑性有限変位解析などを行う必要があるが, 本提案手法によれば, はり要素を用いた簡易動的解析によって鋼構造物の終局判定を行うことができる. 本論では, 単柱式鋼製橋脚に対する地震動を想定した準静的繰返し載荷実験と解析結果の比較を行い, 提案手法の妥当性を検討した. 更に, 地震時の動的挙動に対する適用性を検討するため, はり要素を用いた簡易モデルとシェル要素を用いた詳細モデルに対して地震応答解析を行い, 本動的耐震照査法の妥当性を確認した.
  • 葛 漢彬, 佐竹 洋一, 宇佐美 勉
    2001 年 26 巻 p. 1225-1228
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    コンクリート部分充填鋼製橋脚の動的耐震照査法を構築する際に, 地震応答値 (最大応答変位と残留変位) を精度よく推測できる解析手法を確立する必要がある. 本研究では提案されているトリリニア復元力モデルのパラメータをPushover解析から求め, それを用いた地震応答解析の結果の精度を検証している. さらに, 実務設計での応用を念頭に, Pughover解析結果をバイリニア近似した簡単な復元力モデルを用いた地震応答解析による手法を考案し, その有用性を示した.
  • 秦 健作, 内田 諭, 長尾 圭介, 永田 和寿, 渡邊 英一
    2001 年 26 巻 p. 1229-1232
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ラーメン橋脚に面内方向の地震力が作用した場合、各柱部において軸力変動が発生し、これが耐荷力に大きな影響をおよぼすと考えられる。そこで本検討では、軸力変動の影響を考慮した簡易解析モデル (はり要素) を用いて、鋼製ラーメン橋脚に面内方向の地震力が作用した場合の静的解析を行い、鋼製ラーメン橋脚の地震時面内方向非線形挙動について検討を行った。また、別途行われたシェル要素を用いた弾塑性有限変位解析結果との比較を行った。
    軸力変動、および、せん断変形を考慮した簡易解析結果と弾塑性有限変位解析結果とを比較すると、水平力載荷位置における水平力-水平変位関係において、ほぼ一致することが明らかとなった。
  • 宋 波
    2001 年 26 巻 p. 1233-1236
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、曲線橋の耐震設計において、ほとんどの場合、入力地震動方向を変えながら、非線形動的解析を行ない、各橋脚における最大応答値によって耐震照査するために、煩雑な作業を必要とし、時間およびコストがかかる。しかもその多くの場合、二軸相関が考慮されていない。本研究では、円形断面のRC橋脚を有する、ゴム支承の曲線橋とラーメン曲線橋について、二軸相関および材料非線形を考慮して、多くの静的および動的な解析を行なった結果、各橋脚の最大応答となる荷重方向は、両者でよく一致することを明らかにした。そこで、まず、非線形静的解析によって、各橋脚に最大応答を生じさせる地震入力方向を決定し、その方向に対して非線形動的解析を行なって耐震設計の照査を行なう方法を提案する。その結果、照査の信頼性の向上と時間の節約が可能となる。
  • 温 留漢, 田中 伸
    2001 年 26 巻 p. 1237-1240
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在、橋梁の耐震設計では、材料の非線形性を考慮した動的解析法が用いられているが、幾何学的な非線形性 (P-δ効果) についてほとんど無視されている。しかし、ゴム支承を用いた橋梁では、大地震時には大きな水平変位が生じ、橋脚には大きな偏心圧縮となり、そのため、橋脚の変位はこれを考慮しない場合より大きくなると考えられる。本論文では橋長230mの5径間連続橋の中間鉄筋コンクリート (RC) 橋脚を対象とし、材料非線形と幾何学的な非線形を考慮した弾塑性2次元有限変位解析を行い、幾何学的な非線形を無視した弾塑性2次元微小変位解析結果と比較して、P-δ効果は鉄筋コンクリート橋脚にどの程度の影響を与えるかを検討したものである。
  • 秋吉 卓, 淵田 邦彦, 松本 英敏, 尻無濱 昭三
    2001 年 26 巻 p. 1241-1244
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    軟弱な表層地盤の剛性を高めると, 地表面構造物への入力地震動の強度も比例的に増大する。すなわち, 地盤改良の程度により地盤の固有周期・増幅特性が変動するため, 地表面の応答加速度も追従することから, これを受ける構造物の応答スペクトルは, 地盤と構造物の固有周期の2変数により表示されることになる。これより応答スペクトルを最小化する両固有周期から, 地盤と構造物の動特性の改良による耐震設計法が考えられる。本研究は, 1995年兵庫県南部地震における液状化発生地域の建築物被害事例について, サンドコンパクションパイル工法で地盤を締固めることにより, 液状化発生を抑えかつ杭基礎の破壊を防ぐという条件を満足させながら, 応答スペクトルによる設計法の可能性について検討したものである。
  • 李 騰雁, 尾儀 一郎, 高田 至郎
    2001 年 26 巻 p. 1245-1248
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    最近, 地中構造物の耐震設計法としては応答変位法が盛んに行われている。応答変位法の適用にあたっては, 構造物をはり要素, 地盤の影響をばね要素としたはり・ばねモデルの場合に地盤ばね定数の算出方法の違いによって地盤ばね定数は大きく異なっていることが過去の研究から分かった。有限要素法を用いた応答変位法は地盤ばねの算定を避けることができるが, 具体的な計算手順はまだはっきり示されていない。
    本文は, 動的サブストラクチャー法を用いて有限要素法を用いた応答変位法に関する理論的な解明を試み, その計算手順を明らかにすることを目的とするものである。さらに, 有限要素法を用いた応答変位法の妥当性や構造物周辺地盤の影響などについて検討を行う。
  • 新井 雅之, 脇田 一, 森崎 啓, 新田 勧, 福澤 伸彦, 馬渡 あかね
    2001 年 26 巻 p. 1249-1252
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年のトンネル技術の進歩に伴い, 都市部や市街地における2連や4連といった大規模なメガネトンネの計画が増えてきている。このようなアーチ構造を持つトンネル構造物は, 一般に山岳工法で施工されるため, 耐震設計が実施されないことが多く, 耐震設計手法の適用性や耐震設計上の構造特性について十分把握できていないのが現状である。
    本研究では, 未固結地盤に施工されるセンターピラー共有型2連メガネトンネルを対象として, 2次元FEM系静的解析手法 (応答震度法) と2次元非線形動的解析手法 (動的解析) により, レベル1, レベル2地震動に対する耐震検討を実施し, その検討結果を比較することにより, 当該構造断面の耐震設計手法として 「応答震度法」 を採用する場合の適用性と問題点について確認した. また, これらの検討結果に基づいて, 耐震設計上の構造特性について検討した結果, 今回のモデルと同様の構造を持つトンネル構造物において, レベル2地震動を対象とする場合には, 適切な手法による耐震検討が必要であることを確認した.
  • 山本 一敏, 伊藤 雄二, 山本 秀樹, 劉 如山
    2001 年 26 巻 p. 1253-1256
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来、山岳トンネルを併設する場合には相互の影響を考慮し1-2D (D: 掘削幅) 程度の純離隔を確保して計画されることが多かったが、近年、用地制限などの理由からめがね型トンネルが採用される事例が多くなっている。めがね型トンネルにおいて中壁は鉛直土圧を受ける重要な部材であるが、Vs=300m/s以上の工学的基盤内に構築される場合、耐震安全性の観点から中壁のせん断耐力に配慮していないのが現状である。本検討では、軟岩中のめがね型トンネルの中壁に着目して、2次元FEM動的解析によって耐震検討を実施した。この結果、常時設計で決定した配筋では中壁のせん断耐力が不足する場合があることがわかった。
  • 小池 武, 東 俊司, 高田 至郎
    2001 年 26 巻 p. 1257-1260
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルは、コンクリート製あるいは鋼製のセグメント同士を継手部でボルト結合した構造体のため、トンネルの耐震性は相対的に剛性の小さな継手部の耐震性能に支配される。本報告では、レベル2地震動を受けた時に継手部に発生する目開き量をトンネル周辺地盤間のすべりを考慮して算定する手法を定式化し、使用限界から終局限界に至る破壊進展状況を示す限界目開き量を用いて継手部の破壊進展状況を判定する簡易手法を開発したので、その結果を報告する。
  • 東 俊司, 小池 武, 高田 至郎
    2001 年 26 巻 p. 1261-1264
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルは、コンクリート製あるいは鋼製のセグメント同士を継手部でボルト結合した構造体のため、トンネルの地震時挙動はセグメントと継手部の直列・並列システムの逐次破壊に支配される。セグメントの材料特性、構造形式、継手性能などセグメント・継手部構成要素の強度特性が、セグメント・継手部の使用限界から終局限界に至る破壊進展状況に及ぼす影響をFEM解析により検討した。また、併せて免震構造として期待できるFRPM管内挿方式 (FP-L工法) での鳥取西部地震後調査を実施しその性能を確認したので、その結果を報告する。
  • 坂 哲, 大嶋 義隆, 西村 和夫, 岩楯 敞広
    2001 年 26 巻 p. 1265-1268
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳トンネルは一般に岩盤中に建設され、原地盤が元来保有している地盤耐力を利用して構築されることから、地盤条件がある程度良ければ耐震検討は不要であると言われてきた。ところが、兵庫県南部地震では、この地域にある山岳トンネルのいくつかは何らかの被害を受けた。一方、近年、交通量の増大と建設の経済性・合理性を考慮して、超大断面の扁平トンネルが基幹路線として建設されており、その耐震性能を検討、評価することは重要である。このような状況を背景に、筆者たちは超大断面扁平山岳トンネル横断面を対象とした耐震設計法の研究を行ってきた。本論文では、応答震度法に用いる簡便な地震時荷重の算定方法を提案するとともに、動的解析結果との比較による妥当性検証結果について報告する。
  • 鳥居 宣之, 沖村 孝, 綿 健太郎
    2001 年 26 巻 p. 1269-1272
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 盛土斜面の耐震設計は地震後に残留する変位量に着目して評価を行う方法が模索されている. 地震時斜面の残留変位量算定法としてMakdisi & Seed法が提案されている. この手法は, すべり土塊に作用する等価応答加速度の最大値をプロットした加速度曲線とNewmark法により算定された残留変位量をプロットした変位量曲線を用いて, 簡易に残留変位量を算定することのできる手法であるが, 本手法の我が国での適用例は少ない. そこで, 本研究では本手法の適用性を検討するため, 斜面の規模, 入力地震動の周期特性を変化させた地震応答解析を用いて両曲線の検討を行ったその結果, 本手法を適用するためには, 加速度曲線を修正する必要があること, 斜面と入力地震動が共振状態に近い場合のみ適用が可能であることが明らかになった.
  • 松田 博
    2001 年 26 巻 p. 1273-1276
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    平成12年鳥取県西部地震はライフラインに著しい被害を与えたが, とくに地盤工学的な見地から, 配電柱の沈下, 水道管の破損, 下水処理場の地盤沈下について調査した. その結果, 液状化によって多くの配電柱が沈下あるいは傾斜したことがわかった. また, 竹内工業団地においては多数個所で配水管の破損が生じたが, 破損形態は継手部分の抜けによるものであって, 破損は主に東西方向の配水管において生じていることがわかった. 一方, 下水処理場では, 地盤が30cm程度沈下したことがわかった.
  • 山本 欣弥, 星谷 勝, 大野 春雄
    2001 年 26 巻 p. 1277-1280
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ライフラインシステムのような現実の工学システムは, 多くの要素から構成されており, 構成要素の部分的な破壊がシステム全体の破壊に直結するとは限らない. 本研究では, このようなシステムの有する構造工学的観点からではなくシステム工学的な意味での保有耐力, いわゆる冗長性を, Shannonの情報エントロピーを用いて物理的に定義し, 冗長性指数 (redundancy index) を提案している. 数値計算例として簡単な上水道ネットワークモデルを用いて, システムの改良対策の実施によって, 現状の冗長性がどのように変化するかについて検討を行った. システムの冗長性を適切なリスク評価の指標として用いることにより, 地震に対するライフラインの事前対策の評価基準として有効性が高いことがわかった.
  • 本村 均, 濱田 達也, 岡本 拓, 石井 晃
    2001 年 26 巻 p. 1281-1284
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    大規模地震の地震動を推定し、高速道路構造物 (橋梁、切土、盛土) への影響度をパーソナルコンピュータで評価する手法を構築した。橋梁は、橋脚形式・上部工荷重・橋脚高さ・適用道路橋示方書別に分類し、代表的な橋脚を抽出して非線形動的解析を行い、橋脚のせん断破壊、曲げ破壊、および支承の変位による損傷を、地震動強さSI値で判定する被害評価表を作成した。盛土・切土は、すべり解析の結果に影響を与える要素を分析し、のり高・のり勾配別に分類し、円弧すべりにより安全率が最小となるすべり面が発生する最大加速度を指標とする被害評価表を作成した。さらに盛土は、ニューマーク法により沈下量の推定も行い、被害評価表を作成した。これは、事前対策の対策箇所選定や事後対応に活用可能である。
  • 清水 善久, 小金丸 健一, 中山 渉, 山崎 文雄
    2001 年 26 巻 p. 1285-1288
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東京ガス (株) では、甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災の教訓を活かして、都市ガスの緊急措置レベルの向上を図るため、1998年1月より約3, 100km2の供給エリアにおいて約3, 700基の新SIセンサーと地区ガバナ遠隔監視・制御システムを配備した世界一超高密度な新リアルタイム防災システム (SUPREME) の開発を開始し、2001年夏より稼働を開始する。SUPREMEでは地震発生後ほぼリアルタイムに地震動・液状化やシステム稼働状況等のデータ収集を行い、被害推定・検知やシステム制御等を行うことにより二次災害発生の危険度を大幅に低減させるものである。またSUPREMEで今後得られる超高密度地震動計測データはゾーニング等事前防災の検討に多いに役立つものと考えられる。
  • 全体計画および早期地震諸元推定法
    芦谷 公稔, 小高 俊一, 束田 進也, 佐藤 新二, 横田 崇, 川津 拓幸, 大竹 和生, 野坂 大輔
    2001 年 26 巻 p. 1289-1292
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    気象庁が配信を計画している地震発生直後の緊急情報 (ナウキャスト地震情報) や面的な地震動分布情報などの活用を想定した早期地震警報システムの研究開発を進めている. 本発表では, 研究開発の全体計画を紹介するとともに, 地震波初動部の記録から地震諸元 (震央距離やマグニチュード等) を推定する手法についての研究成果を報告する. これまでの検討結果によると, P波初動部の波形形状に着目し, その形状を関数Bt・exp (-At) でフィッティングし, 得られた係数AやBと震央距離やマグニチュードとの相関を調べると, 係数Bと震央距離との間にはよい相関があることが分かった. また, 係数Bと初動部最大振幅 (または係数A) を用いてマグニチュードを推定できる可能性のあることも分かった.
  • 地震動による構造物の被害ランク推定手法
    室野 剛隆, 芦谷 公稔, 横田 崇
    2001 年 26 巻 p. 1293-1296
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ナウキャスト地震情報の活用を想定した早期地震警報システムの研究開発の一環として, 気象庁が配信を打ち出している面的な地震動分布情報から鉄道構造物等の被害推定を行う方法について検討している. 本論文は, その基礎的検討として, 構造物を1自由度系にモデル化し, 非線形時刻歴応答解析を実施した結果について報告する. 最大加速度PGAと卓越周期Tの地震動による構造物の被害程度は, 任意の降伏加速度khy*gと降伏周期Tsをもつ構造物に対して, PGAをkhy*gで, TをTsで正規化することにより同一の基準でランク分け出来ることが分かった. これにより, 地震動のPGAとTの2つの指標が与えられれば構造物条件に応じた被害推定を行うことが可能となる.
  • リアルタイム地震警報システムの概要
    佐藤 新二, 束田 進也, 室野 剛隆, 芦谷 公稔, 大竹 和生, 野坂 大輔
    2001 年 26 巻 p. 1297-1300
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在気象庁と共同でナウキャスト地震情報や面的震度情報等および最新の情報技術を利用した地震防災システムを開発中である.このシステムが実現すれば現在新幹線で実用化している同様のシステムとほぼ同等の機能を有したシステムが幅広い分野により安価で経済的に導入できると考えている.また, 地震観測システムについても, 最近の高度かつ汎用的なリアルタイム情報処理技術を生かした新たなシステムの開発を目指している.ここでは主に鉄道を対象としたリアルタイム地震警報システムの概要について説明する.
  • 高田 至郎, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 佐藤 清, 松 田隆, 松本 真明
    2001 年 26 巻 p. 1301-1304
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地震時の地盤液状化に伴う側方流動が埋設配管に与える影響を把握するために, 遠心模型振動実験を実施した.遠心重力場30gでの模型実験は, ケーソン護岸と上部非液状化および下部液状化層からなる背後地盤によって構成され, 加振時の背後地盤液状化と護岸変位により側方流動を発生させた.配管構造物は外径600mm, 肉厚15mmの高圧ガス導管を対象として, 90度曲部を含む構造とし, 上部非液状化層に埋設した.実験の結果, 側方流動により模型管に塑性変形が生じるまでの変位が生じ, 地盤変位と管変位の関係や管の変形形状などが把握できた.
  • 高田 至郎, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 岡村 一男, 佐藤 清
    2001 年 26 巻 p. 1305-1308
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    液状化による側方流動が作用した場合の埋設管の変形を評価する手法として, 埋設管と地盤との相互作用に非線形ばねを導入した解析モデルによる有限要素法 (FEM) 解析手法が考えられる.本研究では, 遠心振動実験とFEM解析を用いて, 一方向地盤変状を受ける鋼管の変形を調査し, このFEM解析手法の妥当性を検討した.まず, 遠心振動実験に用いた縮尺1/30の鋼管と実寸法の鋼管について, 変形と外力に関して相似則が成立することを, 曲管の曲げ解析により確認した.次に, 遠心実験に用いる曲管を30倍に拡大したFEMモデルを用いて, 側方流動による埋設管の内曲げならびに外曲げ変形を解析した.解析結果は実験結果と良い一致を示し, 埋設管の変形挙動を評価する上でこの解析手法が有効であることを明らかにした.
  • 高田 至郎, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 岡村 一男, 桑嶋 健
    2001 年 26 巻 p. 1309-1312
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    液状化が発生すると地盤が流動化し、地盤拘束力が低減することが言われている。本研究では液状化に伴う側方流動を受ける埋設管の大変形挙動に対して地盤拘束力が与える影響をFEM解析により検討した。解析はシェル要素とはり要素を組み合わせたハイブリッド解析手法により行い、傾斜地盤および護岸背後地盤において液状化に伴う側方流動を受ける埋設管の大変形挙動について検討した結果、地盤拘束力の変動によって埋設管の変形挙動がかなり異なることを把握した。
  • 高田 至郎, 小池 武, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 田島 知治
    2001 年 26 巻 p. 1313-1316
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来の弾塑性はり解析手法では曲管の大変形特性を精度よく解析するのが困難であった。本研究では、液状化に伴う側方流動を受ける埋設管の大変形挙動解析について、曲管が内曲げ変形する場合は曲管の曲げ特性を持った回転ばね要素を用いて曲管部をモデル化し、外曲げ変形する場合は曲管を直管はり要素で分割して曲管部のモデル化を行って弾塑性はり解析を行なえばシェル解析とほぼ同等の精度で曲管を含む埋設管の大変形解析が可能であることを検証した。
  • 高田 至郎, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 岡村 一男, 藤田 周亮
    2001 年 26 巻 p. 1317-1320
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    曲管を含む配管系に大変形を生ずるような荷重が作用すると曲管部に変形が集中するため曲管の変形特性の把握が必要である。曲管の変形特性については、弾性域では挙動が明確に把握されているが、曲管が塑性化する大変形時の挙動については研究途上である。
    そこで、ガス導管に用いられる多種多様の曲管を対象に大変形弾塑性解析を実施し、曲管の大変形挙動の把握を行った。また、任意の曲管について曲げ変形時の最大曲げモーメント値をパイプファクターを用いて定式化した。この計算式を使えば任意の曲管を含む配管系の大変形挙動を簡易な計算手法で把握することが可能となる
  • 高田 至郎, 鈴木 崇伸, 小池 武, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 藤田 周亮
    2001 年 26 巻 p. 1321-1324
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 側方流動を受ける埋設管の変形を計算するために, 非線形な地盤ばねで支持されたはり解析により求めた変形計算式を提案している.計算式は, 直管軸変形, 直管曲げ変形, 曲管内曲げ変形, 曲管外曲げ変形の4とおりである.はりの材料特性は解析ケースによって使い分けられているが, いずれもFEMシェル解析にあうように調整されており, 実務的な変形計算式となっている.
  • 高田 至郎, 小川 安雄, 小口 憲武, 北野 哲司, 松本 真明, 上野 淳一, 田島 知治
    2001 年 26 巻 p. 1325-1328
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    工学的基盤面が傾斜し、表層地盤厚の変化しているいわゆる浅層不整形地盤においては埋設管の被害が増加した事例が既往の地震調査結果において報告されている。そのために、現行の埋設管設計においても浅層不整形地盤に発生する地盤ひずみが考慮されている。本文では、不整形に加えて埋設位置近傍での液状化の影響を受ける管路の応答についての検討を行った。計算は液状化層のサイズ・位置をパラメータとし複数のケースについて行った。
  • Radan IVANOV, Shiro TAKADA
    2001 年 26 巻 p. 1329-1332
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    A specialised DEM method for the failure analysis of shell structures made of steel is presented. Hereby, a shell is represented by an equivalent lattice. The in-plane stiffness of shells is represented by a lattice of energy equivalentnormal springs, and the bending stiffness of walls is represented by bending springs. The ability of the method tosimulate highly non-linear situations is demonstrated by an analysis of a cylinderpinched perpendicularly to its axisby a force couple. A case study was carried out on a pipe in the Fengyuan region in Taiwan that sustained damageduring the Chi-Chi Earthquake.
  • 細川 直行, 渡辺 孝仁, 清水 善久, 小金丸 健一, 小川 安雄, 北野 哲司, 磯山 龍二
    2001 年 26 巻 p. 1333-1336
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    低圧ガス導管のうちねじ継手鋼管について兵庫県南部地震での被害分析を行い, 被害率予測式を作成した.分析より被害率は (1) 沖積平野を基準とすると人工改変地・谷底平野で大きく, 良質地盤で小さくなる,(2) SI値の増加にともない増加するがSI値が100kine を超えても急激に増加はしない,(3) 液状化が発生すると液状化層厚の増加にともない増加するとの結果を得た.こうした傾向を簡潔に表現する被害率予測式を, SI値を地震動強度とする標準被害率曲線に地盤・液状化層厚の影響を係数として乗じる形式として作成した.標準被害率曲線および各係数は兵庫県南部地震における実被害率にもとづき設定した.このため従来の予測式と比較して, 地盤の影響鯛忠実に反映されていること, SI 値100kine以上において精度が向上していることを確認した.
  • 手嶋 康博, 幸左 賢二, 田崎 賢治, 鈴木 直人
    2001 年 26 巻 p. 1337-1340
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    台湾集集地震で被災した橋梁の中でも長庚橋は, 周辺に断層変位が見られなかったにもかかわらず, 桁2連が落橋するという特徴的な被害が生じていた。そこで, 長庚橋の設計図及び現地調査をもとに, 地震時保有水平耐力法によって構造物の耐力を評価した。その結果, 長庚橋は十分な耐力を有していることが, さらに動的解析によってこの落橋原因は桁の衝突によると推測できた。
  • 中村 豊, 佐藤 勉
    2001 年 26 巻 p. 1341-1344
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1999年8月17日のコジャエリ地震 (Mw7.6、イスタンブール市基盤で最大加速度41Gal) の発生前と後において、イスタンブール市内にあるスレイマニエ寺院、アヤソフイア博物館、シェザーデ寺院、および完成直後の14階建オフィスビルの常時微動調査が実施された。地震前後の測定を比較した結果、最大9%(HS) の固有振動数の変化が検出された。地震前の常時微動測定結果から推定される建物の地震被災危険度avKb値は固有振動数の変化とよく対応しており、建物の危険度をavKb値やKb値により事前に的確に把握できるものと期待される。
  • 塩尻 弘雄, アブリカム アブドラ, 李 春吉
    2001 年 26 巻 p. 1345-1348
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    日本大学船橋キャンパスに於いては、RC4階建て校舎に対して、順次、耐震改修が行われつっある。それら校舎の、補強前後で、振動特性の把握と、耐震補強効果の検証を行う予定である。ここでは、すでに補強の終わった2校舎と、補強着手が確定した1校舎について、起振実験、常時微動観測等を行って、振動特性を把握した結果について述べる。起振実験については、FFTにより、伝達関数を求め、SN比の小さい常時微動については、動的特性を精度高く得るため、FFT, AR, ARMA, ERA等の手法について比較検討し、結局ARMA法でデータ解析をおこなった。また、起振実験結果と常時微動観測結果を比較して、常時微動観測結果の信頼性を明らかにした。観測による補強前後の振動特性の差、および、その数値シミュレーションにより、耐震補強効果を確認した。
  • 上半 文昭, 目黒 公郎
    2001 年 26 巻 p. 1349-1352
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    これまで著者らは, 最新の非線形構造解析手法である応用要素法 (AEM) を用いてRC構造物の損傷による振動特性の変化を調べ, 構造物全体系の1次固有振動数の低下に基づく損傷度の判定基準を作成することによって, 簡単な振動モニタリングで地震直後の即時損傷度把握を行えることを示してきた. さらに, 構造物の振動モード形状などにも着目して上記の研究を発展させ, 構造物を構成する各部材レベルでの損傷位置や損傷程度を振動測定で評価できるようにすれば, 応急復旧工法の選択時などに有効な構造物損傷度評価システムを開発できるものと期待している. ここでは, 構造物各部の損傷レベルと振動特性の変化の関係を数値解析で分析して作成したデータベースと振動モニタリングを利用した構造物のより詳細な損傷度評価手法の開発に向けての基礎的検討を行った.
  • 池本 敏和, 高畠 大知, 宮島 昌克, 北浦 勝
    2001 年 26 巻 p. 1353-1356
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    構造系の同定に関する研究はこれまでにも種々行われている。しかしながら、いずれも非線形系に対しては多くの課題を残していると言える。そこで本研究では、ウェーブレット変換を用いて多自由度非線形系の動特性評価を試みた。計算機上で模擬的に生成した応答波形を用い、あらかじめ設定した動的定数の真値を同定した。対象とする構造物は5自由度、バイリニア型の復元力特性を有するモデルである。各種解析手法の同定精度との比較を行うことにより、ウェーブレット解析の非線形系の逆問題に対する有効性と同定精度を確認することができた。
  • 吉村 美保, 目黒 公郎
    2001 年 26 巻 p. 1357-1360
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東海地震の地震予知情報の公開体制は予知が「空振り」終わった場合に社会的影響が大きい事前対応を定め, 結果的に予知の「空振り」が許容されにくい環境と不確実性の高い情報の公開を困難とする状況を生みだしている. 現在, 地震発生確率情報を伴う全国的地震動予測地図の作成が進められており, 地震予知情報の活用方法の検討は社会的に重要な意味を持つ. 本研究では, わが国の地震防災上の最重要課題が既存不適格構造物の耐震化であることを踏まえ, 長期地震予知情報に着目し, 地震発生確率を用いて耐震補強対策の実施効果を評価する手法を提案する. そして静岡県下の住宅への耐震補強対策が東海地震に対して発揮する効果を評価し, 本手法が既存不適格構造物の耐震化促進に効果的に活用できる可能性を示す.
  • 田村 保, 岩佐 貴史
    2001 年 26 巻 p. 1361-1364
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    直杭式桟橋上部工に制震版を設置した性震桟橋の地震時における耐震性能について検討を行った。制震桟橋工法は桟橋上部工に一部を水中に没水させた制震版を設置することによって、桟橋の耐震性能を向上させるものである。水中振動台を用いた模型振動実験から、その減衰効果により桟橋上部工の応答が低減することが確認されているが、その減衰機構と耐震性能評価方法は明らかではなかった。本論文では制震版による減衰機構を明かにするため、制震版に作用する外力をモリソン式で表現し、非線形地震応答解析を行い、模型振動実験結果の再現を試みた。本解析では制震桟橋を1質点系の振動モデルと仮定したものの実験結果は良好に再現され、制震版の減衰効果をモリソン式で評価する妥当性が示された。
  • 大塚 久哲, 飯星 智博, 大江 豊, 矢 葺亘
    2001 年 26 巻 p. 1365-1368
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究ではまず、橋長200mクラスの中路式鋼アーチ橋の非線形動的解析における、幾何学的非線形性の考慮の必要性を、実際の数値解析を通じて論じた。あわせて、大地震における既設橋梁の動的挙動から、大地震時に多数の部材が降伏を越えることを示した。この結果から、部材の補強と免震沓による耐震補強策を提案し、兵庫県南部地震クラスの大地震に対する効果を検討した。それによれば、部材補強と支承免震化の併用による補強対策が最も効果のあることが明らかになった。
  • 村松 武馬, 伊藤 敏男, 森田 尚孝, 大竹 省吾, 多川 芳郎, 森高 英樹
    2001 年 26 巻 p. 1369-1372
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震の後, 既設構造物に対する耐震補強対策が実施され, 被災時に緊急輸送路となる高速道路本線の対策は概ね完了した. しかし, これを横断する跨道橋の対策は着手されたばかりであり, 被災により高速道路の交通に障害を与えないように対策実施が急がれている. 本検討は, 跨道橋の代表的構造であるPC斜材付きπ型ラーメン橋に着目し, 既設橋に適用する耐震性照査手法の検討を行うと共に, これを代表橋梁に適用し補強対象部位の明確化を行った. さらに, 標準斜π橋対して, 高速道路上に数多く存在する斜π橋から耐震補強対象を抽出するための簡易照査方法の検討を行った.
  • 渡辺 達哉, 西谷 雅弘, 梅原 剛, 福井 次郎
    2001 年 26 巻 p. 1373-1376
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震以後、既設構造物の耐震補強の必要性が高まっている。橋脚については鋼板巻き立て等により補強が進められているが、構造系全体の耐震性向上のためには、フーチング以下の基礎部の補強も不可欠である。しかしながら、一般に基礎部の補強は桁下空間や近接構造物の影響により施工が困難でコストも高額となる等の問題を抱えている。このため、効率的な補強工法の開発を目的とし、独立行政法人土木研究所、(財) 先端建設技術センター、民間12社により「既設基礎の耐震補強技術の開発」に関する共同研究を実施している。本報告は共同研究の一環として平成12年に実施した「杭径の異なる群杭模型の水平載荷試験」についてその成果を報告するものである。
  • 福田 靖大, 足立 正信, 西村 友次, 嶋田 昌義, 弘重 智彦
    2001 年 26 巻 p. 1377-1380
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    レベル2地震動に対する杭基礎構造物の耐震性照査では, 杭と地盤の非線形性および動的相互作用が重要な要素となるが, これらの要素を考慮するには, 高度な解析手法に頼る必要があり, 労力を必要とする. 本報告では, 杭基礎構造物に対する耐震診断の効率化を図るために, 応答変位法を用いて基礎の地震時挙動に及ぼす影響因子を考慮したパラメトリックスタディを行うことにより耐震一次診断手法を構築した. この耐震一次診断手法の構築では, タンクの重量, 杭基礎の諸元, 地盤条件から所定の耐震性を満足する地震動 (水平震度) を予測することができる. 耐震性能の評価指標は, 杭本体および基礎全体の降伏条件を考慮して設定した.
  • 安部 明夫, 本田 国保, 足立 正信, 嶋田 昌義, 弘重 智彦
    2001 年 26 巻 p. 1381-1384
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地中構造物の耐震診断では, 地盤一構造物連成の非線形解析結果を用いて行うのが望ましいが, 多大な時間と費用を要する. 本研究では耐震診断の効率化を図るため, 地中ボックスカルバートの耐震一次診断手法を構築した. その際, 構造物の地震時応答変形は応答係数法を用いて地盤変位から推定し, 構造物の変形性能は水平載荷実験および非線形解析から評価した. この診断手法の構築において, せん断補強鉄筋が無い構造物を対象としたケースでは, 兵庫県南部地震で被災した開削トンネル中柱のせん断破壊を的確に予測できることがわかり, 本診断手法の高い適用性が検証された.
  • 庄 健介, 平塚 元康, 山本 和宏, 北村 泰寿
    2001 年 26 巻 p. 1385-1388
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    橋脚の健全性診断法として重錘打撃試験が鉄道・道路分野で広く用いられている. この方法は300N程度の重錘で橋脚の天端を打撃し, 橋脚の各測点で観測される速度応答波形から橋脚の固有振動数と振動形状を求める. 一方, 有限要素法等を用いて橋脚を忠実にモデル化し, 重錘加振力を入力とした応答解析を実施する. モデルの固有振動数と各測点の応答値が測定値のそれと一致するように試行錯誤的に地盤ばね定数を推定し, 設計値との比較により健全性を判断する. 本論文では, 地震後の橋脚支持地盤の健全性評価を簡便に行うことを目的として, 試行錯誤部分にニューラルネットワークモデルを適用することを試みた.
  • 池内 智行
    2001 年 26 巻 p. 1389-1392
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では弾塑性有限変位解析により, 地震損傷を受けた鋼板の残存強度評価を行った. 鋼板は周辺単純支持とし, 初期不整として初期たわみおよび残留応力を考えた. 解析では, 面内繰り返し圧縮引張を作用させて地震損傷を与えた後, 単調圧縮を行い極限強度を求めた. 地震損傷を与えた直後の板中央でのたわみを損傷たわみ, 損傷後の極限強度を損傷後強度として定義し, 両者の関係について解析結果の整理を行った. これより, 損傷たわみが限界値を超えると, 損傷後強度が損傷たわみをパラメータとして評価できることが分かった. また, 損傷たわみが限界値以下の場合, 極限強度はほとんど低下しないことが分かった. この損傷たわみの限界値と, 限界値以降の損傷後強度について評価式を提案した.
  • 岩田 秀治, 大滝 健, 家村 浩和
    2001 年 26 巻 p. 1393-1396
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    震災後の復旧に関して実構造物大での実験的な検証例は少なく, 特に, 大断面の大型構造物での耐震補修・補強効果に関する実験例は少ない. 本報告は, 大地震により被害を受けた構造物を補修・補強により, 復旧することを想定し, その損傷レベルに対する適切な補修・補強を施した場合の効果を実験的に把握することと, 補強工法として最も多く適用されている鋼板巻き補強の大断面 (断面寸法: 2.0m×2.0m, 鋼板厚: 12mm) 実構造物に対する効果の確認を目的とした実験成果である. 結果は, 大断面柱においても, 鋼板巻き補強を行うことにより, せん断耐力が増加し, 基部拘束を行わなくても鋼板のみの拘束効果により主鉄筋の座屈を抑えることができ, 変形性能も確保できた.
  • 藤田 亮一, 小泉 秀之, 睦好 宏史, 小西 由人, 渡辺 恵志, 森 敦
    2001 年 26 巻 p. 1397-1400
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市内高速道路のRCラーメン橋脚柱には耐震補強が施されているが, 保耐法を適用した場合に梁部のせん断耐力不足となる傾向が見られる. 梁部の耐震補強法としては柱部同様の巻立て工法が考えられるが, 設置上の制約から困難である. 本論文では現実的な制約条件をふまえ, 梁のせん断補強法を提案し, その効果と特性を実験およびFEM解析により確認した.
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