地震工学研究発表会講演論文集
Online ISSN : 1884-8435
ISSN-L : 1884-8435
最新号
選択された号の論文の372件中1~50を表示しています
  • Abdolhossein Fallahil, Masaru Kitaura, Masakatsu Miyajima
    2001 年 26 巻 p. 1-4
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    Comparison among major earthquakes occurred in Turkey (1999), Kobe (1995) and Iran (Manjil, 1990 and Tabas, 1978) from the view point of Ground Motion Parameters (GMP) and building damages is investigated in this study. Peak Ground Acceleration (PGA), Velocity (PGV) and Displacement (PGD) as well as Spectral Intensity (SI), Power Spectral Intensity (PSI) and finally, Predominant Frequency (PF) are considered as GMP. Totally, 30 acceleration-time histories of the earthquakes having PGA more than 100 gal were dealt with. GMP of 4 records of each earthquake having big PGA are compared with each other and outline of damage in each earthquake is given.
  • 三冨 創, 吉田 望, 山崎 文雄, 松岡 昌志
    2001 年 26 巻 p. 5-8
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1999年8月17日に発生したトルコ・コジャエリ地震の被災調査のため, 地盤工学会はヘリコプターからデジタルビデオカメラによって被害の様子を撮影した.本研究ではこの空撮ビデオ映像の静止画像を用いて建物被害地域の自動抽出を試みた.建物被害地域を抽出するために色相, 彩度, 明度の色彩画像3種類, エッジ強度, エッジ強度の分散, エッジ方向の最頻度のエッジ要素画像3種類を作成し, 教師つき分類であるマルチレベルスライス法と最尤分類法を適用した.この画像を用いた結果は実際の建物被害分布と概ね一致するものの, これと同じ閾値, 同じ教師データを他地域に適用した場合, よい結果が得られない場合があることがわかった.
  • 松岡 昌志, 山崎 文雄
    2001 年 26 巻 p. 9-12
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1999年トルコ・コジャエリ地震の前後に被災地を観測した人工衛星SAR画像を用いて, ギョルジュクにおける被害地域での後方散乱特性の変化を検討し, 1995年兵庫県南部地震での結果と比較した.その結果, 両地震では類似した傾向があり, 被害程度が大きくなるにしたがい2時期の後方散乱強度の差分値と空間相関値が小さくなることが明らかになり, 兵庫県南部地震での人工衛星SAR画像と現地調査データとの関係に基づき構築した建物被害地域の抽出手法がトルコ地震での建物被害の検出にも利用可能であることを示した.この手法を2001年インド・グジャラート地震にも適用し, 被災地を観測した空撮画像との比較から手法の妥当性を検証した.
  • 三冨 創, 齋田 淳, 松岡 昌志, 山崎 文雄
    2001 年 26 巻 p. 13-16
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年1月26日インド西部を震源とする地震が発生し, パキスタンとの国境に近いグジャラート州は甚大な被害を被った.地震防災フロンティア研究センターでは2月10日から15日まで先遣隊を派遣し被災調査を実施した.その間, グジャラート州における主な都市の被災状況を小型飛行機からデジタルビデオカメラで撮影した.本研究ではこの空撮ビデオ画像を用いて建物被害地域の自動抽出を試みた.建物被害地域を抽出するために色彩情報とエッジ情報で表される6種類の特徴画像を作成し, 教師つき分類であるマルチレベルスライス法と最尤分類法を適用した.いずれの場合においても教師データを選択した画像からは実際の被害分布に近い良好な結果を得ることができた.
  • Yalkun YUSUF, 松岡 昌志, 山崎 文雄
    2001 年 26 巻 p. 17-20
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年1月26日, インド西部グジャラート州でマグニチュード7.6の地震が発生し, 同州を中心とする地域に甚大な被害をもたらした.近年, 地震被害を把握するために様々な手段が用いられており, 人工衛星を利用した被災地の上空から得られた画像から被害状況を把握するリモートセンシング技術もその1つである.本研究ではインド西部地震前後のランドサット7号TMパンクロマティックバンドの画像を用い, 地震直後に撮影した航空写真を参照して, 地震前後の衛星画像からトレーニングデータを作成し, それに基づき教師付きの判別をする方法と, 直接地震前後の画像を用いて輝度値の差分量から被害地域推定する方法を比較・検討した.
  • 年縄 巧, 田中 仁史, 河野 進, 谷口 規子, 渡邊 史夫
    2001 年 26 巻 p. 21-24
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年インド・グジャラート地震の震源域を中心に, 地盤被害調査, RC建物の被災度調査及び微動観測, 余震観測を行った.広範囲に渡ってステップ状に縦ずれを起こした地盤被害や数地点で液状化が確認されたが, 地震の規模や深さから考えると, 地盤被害は全体的にそれほど大きくない印象を受けたこれは地震発生が乾季であり, 地下水位が低かったことが一因と考えられる.建物の被災程度は, 原則的にEMS98に基づいて判定した建物屋上で得られた常時微動記録をスペクトル解析し, 固有周期を推定した.建物高さと推定された固有周期の関係を調べると, 日本のRC中層建物の固有周期よりも長いこと, 被災程度が大きい建物ほど固有周期が長くなることがわかったこれらのことから, インドのRC建物の剛性は元々日本のものよりも低かったこと, 被災によって剛性が更に低下したことが推察された.
  • 篠原 秀明, 勝間 秀樹, 古姓 昌也, 田中 荘一
    2001 年 26 巻 p. 25-28
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年1月26日にインド西部において被害地震 (Mw=7.7) が発生した。筆者らは、現地の被害状況を調査し地震防災に役立てることを目的に、2月12日から17日の6日間にわたり被災地に行き、地盤災害から各種構造物の被害調査を行った。本論文では、まず構造物被害の中から建物被害を取り上げ、被害の特徴のまとめを行った。これによると、震央に近い中小都市や村では伝統的な石を積み上げた組積造建物に被害が集中し多くの死者が出た。一方、大都市の特に新市街地では、1階がピロティ形式となっている鉄筋コンクリート造建物に被害が集中していた。これらの被害の特徴から得られた教訓および地震災害軽減について検討を行った。
  • Kazuo KONAGAI, Jörgen JOHANSSON, Paola MAYORCA, Tetsuro YAMAMOTO, ...
    2001 年 26 巻 p. 29-32
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    El Salvador, one of the smallest and most crowded nations in Central America, extends about 240 kilometers westward from the Gulf of Fonseca to the border with Guatemala. This country was struck by two devastating earthquakes within a month. The first quake of Jan. 13, 2001, which was centered off El Salvador's southern coast, damaged and/or destroyed nearly 108, 000 houses, and killed at least 944 people, including hundreds of residents buried in a huge amount of soil slipped down Las Colinas mountainside in the city of Neuva San Salvador (Santa Tecla). This report outlines the findings obtained through the reconnaissance by the JSCE team and laboratory tests that followed it.
  • Miguel ESTRADA, Masayuki KOHIYAMA, Masashi MATSUOKA, Fumio YAMAZAKI
    2001 年 26 巻 p. 33-36
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    A strong earthquake hit El Salvador on January 13, 2001. The earthquake with a magnitude of 7.6 caused huge damage in the urbanized areas as well as numerous landslides. In case of these types of earthquake, the identification of hard hit areas is important and necessary information for decision-makers to handle the disaster relief process. In this study, remote sensing images taken before and after the earthquake by Landsat 7 (ETM+) satellite are compared to identify the location of landslides and hard hit urban areas. The proposed method uses the rationing between bands in the visible range as well as the sharpening of the multi-spectral bands by merging with the panchromatic band. It is expected that with the help of this additional band the identification of landslides and damaged areas will be improved.
  • Rolando ORENSE, William VARGAS-MONGE, José CEPEDA
    2001 年 26 巻 p. 37-40
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    The January, 2001 Earthquake in El Salvador caused widespread damage to buildings and several kinds of civil engineering structures due to ground shaking and earthquake-induced ground failures. In addition to several largescale landslides in the mountainous areas, extensive soil liquefaction was also observed in the alluvial plain in the Pacific lowlands. This paper discusses the results of the post-earthquake damage investigation conducted in the area after the earthquake, with emphasis on the liquefaction-induced damage.
  • 安田 進, 佐藤 正行
    2001 年 26 巻 p. 41-44
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年1月に発生したエルサルバドル地震では, エルサルバドル内で185箇所にもわたって多くの斜面崩壊が発生した. 首都のサンサルバドル近郊で発生した斜面崩壊では犠牲者が多く発生し, その後も斜面上にクラックがはいったままで, 今後の雨季での崩壊再発が懸念されている.また, 山間部では大規模な崩壊が多く発生し, 道路を塞いだだけでなく, 川を堰き止めて, 雨季の洪水も懸念されている. 一方, 低地部では液状化が多く発生し, それにともなう流動によって鉄道橋が被害を受けたりした.
  • 杉村 淑人, 野中 樹夫, 森 敦, 劉 銘崇, 藤田 亮一
    2001 年 26 巻 p. 45-48
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、1999年9月21日の台湾集集地震により被害を受けた石岡ダムに見られた損傷の特徴について述べるとともに、堤体コンクリートのひとつに生じた柱基部断面をダム軸方向に沿って斜めに貫通する大きな亀裂に着目して、その発生メカニズムについて考察したものである。地震時のダム構造物と周辺地盤の挙動について仮説を立て、その検証解析を行った結果、表層地盤の水平方向の動きとダム構造の特殊性が、着目した損傷の要因である可能性が示された。
  • 劉 銘崇, 森 敦, 水上 善晴
    2001 年 26 巻 p. 49-52
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、1999年9月21日に発生した台湾集集地震により致命的に被災した一江橋の落橋メカニズムに関して考察したものである。一江橋の被害状況と地震後の周辺地盤の状況から、落橋を引き起こす要因として、橋脚周辺に現れた断層が考えられた。本論文では、露頭した断層状況を勘案した周辺地盤の動きに着目した仮説を立て、それにもとづいた落橋等の被害発生のメカニズムについて推察した。その結果、地盤の水平方向の動きと鉛直方向の動きが密接に関連したことにより、落橋等の甚大な被害になった可能性が示唆された。
  • 木村 智博, 青山 清道, 深澤 大輔
    2001 年 26 巻 p. 53-56
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地震は季節や時間帯を問わず発生しているが, 積雪寒冷期を考慮した地震防災が不充分な面があり, 地域防災計画上, その脆弱性が懸念されている。現実問題として, 積雪寒冷期にも地震が発生し, 被害をもたらすケースも存在する。雪がない時期と異なり, 雪崩発生, 積雪によるライフライン復旧の遅延, 避難行動への影響等が生じ, 大きな問題となっている。本論では, 2001年1月上旬に新潟県中越地方を震源とする地震被害について, 筆者らの何回かに及ぶ被害調査で得られた知見を整理し, 今後の防災対策の考え方を提案する。高齢者を初めとする災害弱者対策, 積雪寒冷期を視野に入れた懸案事項にも触れる。
  • 奥津 大, 藤橋 一彦, 木戸 精一, 高橋 健二
    2001 年 26 巻 p. 57-60
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    平成12年鳥取県西部地震では、最大震度6強を観測するとともに沿岸部等で液状化等の地盤変状が発生した。本稿では、同地震によるNIT西日本の屋外通信設備被害を報告する。
    崖崩れにより数カ所でケーブルが損傷したが3日で復旧した。電柱には、ひび割れや地盤変状による傾斜・沈下が発生したが、折損・倒壊といった大被害は無かった。マンホールについては、亀裂や剥離が見られたがケーブル損傷、漏水には至らなかった。又パイプカメラ等による管路点検を行った結果、周辺で段差や陥没が生じていた橋に添架された設備で、屈曲、折損、離脱を確認した。しかし、地震の規模や揺れを考慮すると本地震による被害は軽微だった。また、災害時の輻輳対策として導入した「災害時伝言ダイヤル」は、約20万件の利用があった。
  • 谷 茂
    2001 年 26 巻 p. 61-64
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    農道、干拓堤防、ため池等の農業用の施設が過去の地震でたびたび被害を受けてきている、2000年10月6日に発生したマグニチュード7.3の鳥取県西部地震ではため池の約68箇所が被災している。さらに2001年3月24日に発生したマグニチュード6.4の芸予地震においても約187箇所のため池が被災している。本報告では被害の状況と特徴について述べる。芸予地震については現時点では被害の詳細がすべては明らかになってはいないが、現在の調査結果に基いて、この地震被害の状況と特徴について述べる。
  • 藤村 尚, 坂口 雅範
    2001 年 26 巻 p. 65-68
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2000年10月6日午後1時30分頃, 鳥取県西部鎌倉山北西の地下約10kmでM7.3の地震が発生し, 日野町、境港市で震度6強, 鳥取市, 震度4, 倉吉市震度3を観測した (気象庁発表)。
    本報告では, この地震による被害のうち液状化被害について述べる。そこで、以前に行った地盤のデータベースと液状化のゾーニング結果を示し, これらの地盤情報と今回の平成12年鳥取県西部地震による西部地区での液状化地点の比較を行う。
  • 宮島 昌克, 吉田 雅穂, 北浦 勝
    2001 年 26 巻 p. 69-72
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震においては, 鳥取県西部の西伯町, 会見町, 日野町などで合わせておよそ2, 800世帯が地震直後に断水し, 市民生活に大きな影響を及ぼした. 本研究では, 米子市と境港市に給水している米子市水道局に注目し, 上水道被害の全体像を被害統計に基づいて報告するとともに, 被害の特徴について分析した. 特に, 液状化の発生が顕著だった境港市の竹内工業団地内の被害に注目し, 地盤データを解析することにより地盤特性と管路被害との関係を考察した. その結果, 管路の被害は液状化による地盤変形の影響を強く受けていることが明らかになった.
  • 福井 次郎, 西谷 雅弘, 中山 学, 板谷 裕次
    2001 年 26 巻 p. 73-76
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震時には多くの構造物と同様に下水道施設にも甚大な被害が生じた. 神戸市東部に位置する東灘処理場においても, 各種構造物に大きな被害が生じた. 魚崎運河護岸近傍に位置し, その基礎杭の地中部に大きな被害が生じていることが予測されていた管理本館が, 地震後5年半を経過して解体・撤去されることとなった. この機に, 地震時の杭の挙動や破壊形態を解明することを目的として, 杭を掘り出し, 目視調査を含めた各種調査を実施することにした. その調査結果および被害状況を踏まえた数値解析結果により, 本調査杭には地震によって大きな荷重が作用し, その後の地盤流動により残留変位が生じたものと推測された.
  • 沖村 孝, 荒木 繁幸, 木村 裕之, ラザビ ソヘール
    2001 年 26 巻 p. 77-80
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    神戸市を横断する断面を対象に、2種類の地震応答解析を組み合わせて地表面ひずみ分布を求め、下水道埋設管被害分布との関連を探った。本研究で用いた地震応答解析は、震源モデルと深層地盤モデルから理論的に地震波を生成する断層地震解析と、浅層地盤モデルを水と土との2相を連成で解く有効応力解析の2つを組み合わせた。地震応答を残留変位量にっいて求め、解析結果として地表面の体積ひずみに着目して、兵庫県南部地震における下水道埋設管の被害分布と照らし合わせた。その結果、地盤変形が大きい沿岸部に下水道埋設管の被害が集中しており、解析結果における体積ひずみの大きい値を示す範囲とやや相関が見られた。ひずみ分布によって埋設管の被害予想や分析をする1視点として考えられる。
  • 齋田 淳, Khosrow T. Shabestari, 山崎 文雄
    2001 年 26 巻 p. 81-84
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年芸予地震の際にK-NETおよびKi-netの観測点で得られた強震記録を用いて距離減衰式を構築した. この式による基盤面の地震動分布をKriging法を用いて空間的に補間し, さらに国土数値情報を用いた地形・地質分類ごとの地盤の増幅度を考慮することで, 地表面における地震動の最大加速度・最大速度・計測震度などの各種指標値の分布を1kmメッシュ単位で推定した.また, この結果を用いて, 鉄道等の構造物に対する実際の被害と地震動の各種指標値との関係を検討した. これらの検討結果により, 本手法により推定した地震動の各種指標値分布は, 地震直後の被害状況を把握するうえで有効に活用できることを確認した.
  • 山本 哲朗, 鈴木 素之, 寺山 崇, 勝部 安昭
    2001 年 26 巻 p. 85-88
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    平成13年3月24日15時28分頃, 安芸灘に震源をもつM=6.7の地震が発生した. 本地震によって広島県河内町, 大崎町および熊野町で震度6弱が観測されたのをはじめ, 瀬戸内海沿いの中国, 四国, 九州地方の広範囲にわたり震度6弱から震度4を記録した. 山口県では, 錦町宇佐の中国自動車道下り線において長さ25mにわたって路面に亀裂が入るなど, 県東部を中心にして各種の被害が発生した. 著者らは山口県東部に位置する岩国市および大島郡東和町で発生した斜面崩壊を中心とした各種の被害調査を3月26日~5月6日までの6日間にわたって実施した. 現地調査結果をもとに,(1) 落石防止網工により被害が最小限に抑えられていたことと,(2) 岩盤の節理面に沿って松などの樹木の根が張っていたことが崩壊の素因として指摘した.
  • 田地 陽一, 浅香 美治, 社本 康広
    2001 年 26 巻 p. 89-92
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    2001年3月24日、広島県沖の安芸灘を震源とする地震が発生した。気象庁マグニチュードは6.7 (6.4から修正)、震源深さは51kmのプレート内部で発生した地震であった。広島県および愛媛県を中心に中国、四国、九州地方にわたる広域で強い揺れが生じ、広島県の一部では震度6弱が観測された。
    液状化現象は、震源から概ね50km以内の地点で生じており、広島県側では大野町、廿日市市、広島市、呉市、三原市など、愛媛県側では、今治市、松山市などで見られた。液状化の発生した地点は埋立て年代の若い埋立地や河川、港湾の護岸に限定されており、特に液状化に起因する重大な構造物被害は認められなかった。
  • 佐々木 康, 加納 誠二
    2001 年 26 巻 p. 93-96
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    平成13年3月24日安芸灘を震源とするマグニチュード6.7の芸予地震が発生し, 広島県を中心に広範囲にわたって強い揺れが観測された. 広島市は太田川デルタに位置し, 市街地の多くは1600年代以降埋め立てによって作られており, 地下水位が高く, 地盤がゆるいなど液状化の危険性が高い地域である. 著者らは地震後ただちに広島市や呉市を中心に, 液状化被害について調査した.その結果, 広島デルタ内では地震動が小さく, 液状化による噴砂は比較的新しい埋立地で確認されたが, 周辺の建物や護岸、埋設管等の顕著な構造物被害は少なかった. 今後液状化判定に用いる深さ方向の低減係数rdの設定法について吟味が必要であると考えられる。
  • 大友 敬三, 酒井 俊朗, 橋本 宏一
    2001 年 26 巻 p. 97-100
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    航空写真測量を利用して神津島における斜面崩壊事例を調査し, 地震力による斜面崩壊の規模に関する定量的データの提供を目的とした分析を行った. 全崩壊箇所数は約1200箇所に及んでおり, 得られたデータを分析した結果, 1) 今回の斜面崩壊はごく浅い表層部分で生じており, また, 45°以上の急斜面で多く発生していることから重力性崩壊としての性格を有すること, 2) 崩壊面積と流出距離については, 傾斜度40℃~60℃ の範囲において最大崩壊面積または最大流出距離が発生する傾向になること, 3) 流出距離と崩壊面積の間には比例的な関係があること, 4) 最大流出距離のしきい値を50mとした場合の超過確率は約5%となること, などを明らかとした.
  • 那須 誠
    2001 年 26 巻 p. 101-104
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地盤に着目した地震被害の調査結果から各種の地震被害が地盤条件の変化点で多く, 被害原因として地盤の不同鉛直・水平変位や地盤変位に伴う急激で大きい偏土圧等が考えられることを既に発表している。今回は, 台地の縁や山腹で地震被害が大規模に生じた3つの盛土と自然斜面の地盤について検討した。その結果, ともに谷状地形に存在していることや湧水が存在すること, 集水地形になっていること, 盛土等の下部と地山との間あるいは法尻部の地盤に軟弱粘性土層 (粘土層や腐植土層) が存在することなどの共通性が認められた。さらに, 地震のとき盛土底部等の軟弱土層部分がたり面になって, あるいは一定厚さでない軟弱土層部分に鉛直・水平方向の不同変位が生じて崩壊が生じたことが推定されたので, その結果を報告する。
  • 高浜 勉, 翠川 三郎, 新保 寛, 阿部 進
    2001 年 26 巻 p. 105-108
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    横浜市は1923年関東地震によって大きな被害を受けた地域の一つである。横浜市では多様な地盤条件が存在し, 被害は複雑に分布していたと推定されるが, 被害分布の詳細には不明な点が多い。本研究では, 1923年関東地震による横浜市での木造家屋の被害について, 町丁目・大字単位で資料を収集し, 全壊率を指標として整理した。この集計結果は既往の市町村単位の集計結果と矛盾なく, その妥当性が確かめられた。被害の大きかった市町村内では, 町丁目・大字の地区間でも全壊率に大きな差がある箇所も存在し, 全壊率が高い地区の周辺では, 軟弱地盤に分類される箇所が多いなど, 被害と地盤条件との関連性が強いことが再確認された。
  • 地震防災技術委員会 , 石川 浩次, 馮 少孔
    2001 年 26 巻 p. 109-112
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    神戸市域において深部地質構造と表層地盤の動的特性に関する地質調査資料を収集整理し、深部地盤の2次元動的地盤モデルと表層の1次元動的地盤の平面モデルを組み合せた「準3次元動的地盤モデル」を神戸市全域 (250mメッシュ) に渉り作成した。その上、兵庫県南部地震の強震観測記録を用いて、擬似スペクトル法による地盤応答解析を行い、神戸市全域の地表の最大加速度及び最大速度分布を求めた。強震動解析の結果、震災の帯状分布は主として深部地質構造形状の影響によるものであり、また被害の島状分布は主として表層地盤特性の影響が強いことが分かり、全体としても強震動推定分布と観測記録及び被害分布とは良い対応関係を示した。この一連の解析手法は、他地域における都市地震防災計画の基礎資料となる「強震動予測地図」作成手法適用の可能性を示した。
  • 松本 俊輔, 田村 敬一, 中尾 吉宏
    2001 年 26 巻 p. 113-116
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    過去の地震記録を対象とした一般的な地震危険度解析手法では、地震の発生状況を同一と見なすことが可能なゾーンごとに地震発生頻度を評価する方法がとられている。それに対し、米国地質調査所の地震危険度解析では、機械的に設定したメッシュごとに地震発生頻度を評価することを基本とするが、過去の地震記録が少なく、地震発生頻度が低く評価されるメッシュについては潜在的な地震危険度への配慮から、別途設定した大きなバックグラウンドゾーンで評価した地震発生頻度によりメッシュの地震発生頻度を調整する方法がとられている。本研究では、米国地質調査所の手法と、一般的な手法に基づいて地震ハザードマップを試算し、それらを比較することにより、地震の発生特性の評価方法が試算される地震危険度に及ぼす影響について検討した。
  • 中尾 吉宏, 田村 敬一
    2001 年 26 巻 p. 117-120
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現行の耐震設計基準では、既往の地震ハザードマップを基礎として設定された地域別補正係数により地震動の地域性が考慮されている場合が多い。我が国では歴史資料を含めて過去千数百年程度の地震記録を地震ハザードマップの作成に用いること力河能であるが、活断層で発生する地震の発生間隔が数百年から数千年以上であることを考慮すれば十分に長い期間の記録が用いられているとは言えない。また、既往の地震ハザードマップの作成ではランダムな位置、時間に発生する地震が一般に想定されているが、活断層やプレート境界では固有の発生位置、発生履歴、規模を持った地震の発生が指摘されている。上記から、本論文では活断層やプレート境界で発生する地震には固有の発生位置、発生履歴及び規模を、それ以外の地震にはランダムな発生位置及び発生時間を想定した地震ハザードマップの試算例を示す。
  • 中島 正人, 石川 裕, 奥村 俊彦
    2001 年 26 巻 p. 121-124
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 亀田・石川により提案されている「確率論的想定地震」の概念のうち「地震活動域の貢献度」という独自の指標を用いて作成した二種類のハザードマップを示す。加えて, マップ作成時の計算格子大きさがマップの精度に与える影響について検討した結果を示す。活断層が密に存在する地域に対して計算したケーススタディーより, 著者らが提案するハザードマップと地震動強度の再現期待値分布図を用いることで, 地震動強度の再現期待値が等しいサイトでも, 地震動周期, ハザードレベルにより支配的な地震が複雑に変化する様子およびその順位が定量的に表現把握できることが分った。
  • 奥村 俊彦, 石川 裕
    2001 年 26 巻 p. 125-128
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地震ハザード評価に基づいて想定地震を設定する際に, その想定地震の位置付けを明確にするための方法を検討した. 具体的には, 地震ハザード評価の結果であるハザード曲線を, (1) 地震活動域ごとの影響を表す貢献度, (2) 地震そのものの発生確率, (3) 地震が発生した 場合の地震動の超過確率, に順次分解していくことにより, 想定地震の位置付けがより明確になることを示した. 併せて, 想定地震に対する地震動の予測精度の向上をハザード評価に反映させる場合にも, 同様の検討が有効であることを示した.
  • 石川 裕, 奥村 俊彦
    2001 年 26 巻 p. 129-132
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    著者らは従来より, 確率論的地震ハザード評価と想定地震を結びつける手法として確率論的想定地震の概念を提唱してきたが, 想定地震選定のための規範は単一地点でのハザード情報であった. 本論文ではそれを地域という拡がりを対象とした場合の想定地震の選定法に拡張するため, 地域の集積地震リスク情報に基づく確率論的想定地震の概念 (リスク適合想定地震) を新たに構築した. この概念は地域防災計画や複数施設の地震被害シナリオ評価のための想定地震の選定などにおいて, 今後きわめて有用な手法となると考えられる.
  • 安中 正, 嶋田 昌義, 弘重 智彦
    2001 年 26 巻 p. 133-136
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    関東及び周辺地域を対象として、モンテカルロ手法に基づき地震ハザード曲線の不確定性を評価するモデルを作成した。不確定性評価モデルを用いることにより、対象地域の任意の点に対して、任意の数の地震ハザード曲線を自動的にサンプルとして発生させることが可能である。不確定性評価モデルは、大地震発生活動域に対するモデル、背景的地震発生活動域に対するモデル、地震動推定に関するモデルから構成されている。地震ハザード曲線の不確定性は基本的にロジックツリー手法により評価されるが、モンテカルロ手法を用いることにより、分岐が複数の選択肢から構成されている場合だけでなく、連続的な確率分布で与えられる場合にも柔軟に対応することが可能である。
  • 濱島 良吉, 樋口 大祐, 元島 三明
    2001 年 26 巻 p. 137-140
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1995年1月に発生した兵庫県南部地震以後、GPSによる観測網が強化され, 日本列島の動きが詳細に把握できるようになった。2001年2月19日に地震予知連絡会に提出されたレポート (国土地理院・鷺谷ら)によれば、北米プレートとユーラシアプレートの境界は糸魚川-静岡構造線ではなく新潟と神戸を結ぶ幅数十~二百キロの帯にあるとしている。これは1997年から3年間のGPS観測データと過去百年の三角測量の結果から求められたものである。ただし、淡路島以西は今後の研究課題とし、また新潟では海域での信濃川流域大地震帯を推定している。本研究ではこれらについて、ブロック構造モデルによる地殻変動解析による考察を行い、中央構造線~淡路島~神戸~跡津川断層~新潟・信濃川断層帯-秋田・北由利断層帯を通る右横ずれの構造線の存在を明らかにした。
  • 西田 良平, 松山 和也, 西山 浩志, 野口 竜也
    2001 年 26 巻 p. 141-144
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    山陰地方において、日本海沿岸に沿って第四紀火山 (大山・三瓶山) が分布し、地震活動帯も活動域と空白域が交互に形成されている。主な活動域としては鳥取地震 (1943, M7.2) が発生した鳥取県東部中部、鳥取-島根県境付近、三瓶山・広島県北部付近、島根県中部西部の活動域があり、また空白域として大山付近、島根県東部が見られる。この形状は地震活動が地殻上部の構造によって規制されていることが推定される。特に、2000年鳥取県西部地震の震源域は島根県東部地域の地震活動の空白域と、大山火山付近の空白域に挟まれた地域で、地震活動が活発な地域である。すなわち、山陰海岸に沿った第四紀に活動していた2つの火山の間であり、地震活動域と空白域の存在が、地下構造と溶融体、地震活動と溶融体を研究する上で重要な地域である。
  • 荻原 律, 濱島 良吉
    2001 年 26 巻 p. 145-148
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    三宅島における火山噴火に伴う三宅島-新島間における火山性地震に関して東大地震研究所からダイク状マグマの貫入モデルが提案されている。この地域は銭州海嶺のみでなく石廊崎-新島を結ぶ右横つれ断層領域でもあり、力学現象は複雑である。本研究ではまず不連続体解析を用いて標準的な火山噴火のシミュレーションを行い、こうした火山噴火のメカニズムを解析面からアプローチする事を試みた。これにより、マグマ上昇に伴う環状割れ目と放射状割れ目の発生を確認し、火山噴火に伴う山体に生ずる破壊性状を把握できることを明らかにした。更に高温岩体における水圧破砕に伴うモデル化技術を発展させ、こうした複雑な場での解析アプローチを提案した。
  • 沖村 孝, 鳥居 宣之, 吉田 晋暢, 藤井 紀之
    2001 年 26 巻 p. 149-152
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震による建築構造物被災分布は「震災の帯」と呼ばれる特徴的な分布を示した本報では, 帯状被害の生じた原因として地盤の地震動増幅特性と構造物分布に着目した. まず, 対象地盤を深層地盤と浅層地盤に分類し, 前者では二次元解析を, 後者では一次元解析を用いて地表面における応答地震動を算出した. その結果, 深層地盤の二次元的な地盤構造の影響を受けて最大応答速度分布にピークが生じ, 浅層地盤の影響を受けて速度応答スペクトルの短周期成分が増幅傾向を示した. 次に, 地震動増幅特性として0.2~0.6 (sec) におけるSI値を, 構造物分布として木造構造物数を考慮した木造構造物被災危険度を定義し, 木造構造物被害と比較した結果, 両者は概ね一致していた.以上より, 木造構造物被災危険度を用いることで, 木造構造物被災度を定量的に評価できると考えられる.
  • 大町 達夫, 井上 修作
    2001 年 26 巻 p. 153-156
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    新しい津波早期検知手法を開発するために津波第一波に先行する海面変動 (以下, 津波先行波と略称) に着目した. まず, 津波先行波の特性を調べるために, 二次元モデルを用いて動的津波解析を行った. この結果から, 津波先行波が, 地震動による地盤変位によって励起され, 津波に比べ格段に早く伝播することが明らかになった. 次に, 津波を発生させる海底地盤の隆起体積と, 津波先行波を発生させる動的地盤変位の関係を調べるために, 断層パラメータを変化させ動的地盤解析を行った. そして, 地盤の隆起体積と動的最大変位の関係を調べることで津波検知の可能性について検討した.
  • 森地 重暉, 今村 芳徳, 梅田 裕介, 岡広 幸典
    2001 年 26 巻 p. 157-160
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地盤速度の強震記録を用いて, 地盤に生ずるひずみの算定を試みた. 算定結果と同時に直接観測した地盤ひずみと比較検討した. その結果,(1) 振幅は互いに同程度であること,(2) 直接測定したものは卓越した主ひずみ方向があるのに対し, 算定したものにはないこと,(3) 直接測定したものは純せん断状態に近いが, 算定したものにはその傾向が少ないことが明らかになった.
  • 吉田 望, 末富 岩雄
    2001 年 26 巻 p. 161-164
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    小地震合成法で大地震の地震波を作成する場合のように, 地盤が弾性であるとの条件で地表で設計用地震動が与えられた場合には, 構造物の設計用地震動を計算するためには, 一旦基盤の入射波を作成した後, 入射波を作用させた非線形解析を行う必要があるが, 前都の過程では履歴減衰はないので, 散乱減衰が重要となる。そこで, 散乱減衰を考慮するか否かで, 後者の非線形地震応答がどの程度変化するかをケーススタディにより検討した。その結果, その影響は最大加速度で10%, 応答スペクトルの最大誤差で15%となっていることがわかった。
  • 國生 剛治, 万谷 昌吾
    2001 年 26 巻 p. 165-168
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市の厚い第四紀地盤において、硬岩からなる基盤から地表の間での地震動の伝播と増幅のメカニズムを解明することは重要である。しかし、地盤震動の数値解析で、地中深くにおける地震動の解析はあまり行われていないのが現状である。そこで今回、兵庫県南部地震で甚大な被害に見舞われた東灘における大深度ボーリングデータとPS検層結果に基づき、大深度における地震動増幅のメカニズムを解明するため、1次元等価線形解析を試みた。まず、減衰の振動数依存性の有無や高拘束圧下における非粘性土の規準ひずみの変化の有無を考え、非線形性を考えるべき深度について検討した。さらに、これらの因子が大深度地盤の加速度増幅に与える影響について比較した。
  • 東平 光生
    2001 年 26 巻 p. 169-172
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    成層弾性体のGreen関数のスペクトル表現に寄与する放射条件を満足する複素Rayleigh波について考察を行っている. まず, 複素Rayleigh極と共役複素数の関係にある波数も複素Rayleigh極としての性質があることを述べる. そして, 固有関数とエネルギー積分も互いに複素共役の関係にある固有値からは, 互いに複素共役の関係にある量が得られることを示す. そして, これより複素Rayleigh波は非伝播性の波動であることを導く. また, 数値計算より複素Rayleigh波は震源直上で無視できない大きさを持つことを示す. 以上を通して, 成層弾性体のGreen関数のスペクトル表現に関わる複素Rayleigh波モードの性質を考察している.
  • 本田 利器, 澤田 純男
    2001 年 26 巻 p. 173-176
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地震波等の波形のフーリエ変換は広く用いられている概念であるが, その位相と振幅スペクトルの関係については明らかでない点も多い. 本検討では, 離散化された時刻歴波形 (複素信号または実数信号) が因果律を満たすことを条件とすることにより, 位相とフーリエ振幅の間に成立する関係を定式化できることを示す. また, その定式化を用いて, 位相の値のみから元波形を復元する手法を提案し, 数値計算により妥当性を示す. さらに, 数値シミュレーションにより, 位相が変化することによる振幅スペクトルの変化について検討する.
  • 片岡 俊一, 長谷川 誠, 植出 和雄, 岡本 明夫
    2001 年 26 巻 p. 177-180
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 1997年の鹿児島県北西部の地震の際に地下石油備蓄串木野基地で観測された岩盤内の間隙水圧および地震動データをもとに, 間隙水圧の動的な変化と地震動との関係を述べている. まず, 間隙水圧記録から動的な変化を取り出し, 上下成分及び水平2成分の地動速度記録と対比することで, 間隙水圧は主としてS波到来以降に生じていることを示す. 間隙水圧の上昇には体積変化が必要である. そこで, SV波の斜め入射を考え間隙水圧の上昇を定性的に説明した.
  • 小鹿 文方, 箕輪 親宏, 大谷 圭一
    2001 年 26 巻 p. 181-184
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    加速度記録から永久変位を求めるために、積分方法には長周期ノイズの除去と永久変位成分の保留が共に要求される。Iwan等 (1994) は、時間域を区間に分け、3次多項関数で各区間における積分速度のベースラインを仮定する方法を提案した。本研究ではIwan等の積分方法に基づいて、積分速度より加速度記録に対するベースラインの修正によって、積分変位を求める改良積分方法を提案した。また、永久変位の積分結果を大きく左右している時間域の区間分け方を物理的意味で定義し、微調整の手法を提案することによって、安定的な積分変位を得られた。また、1999年台湾地震の加速度記録を用いて、永久変位を求めた。その結果、GPS観測結果とよく調和することによって、本提案方法の有効性が検証された。
  • 佐藤 忠信, 室野 剛隆
    2001 年 26 巻 p. 185-188
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地震動は因果性を有しているので, 振幅と位相を独立に与えることができないことは良く知られている.しかし, これまでは振幅スペクトルが与えられたときに位相スペクトルにどのような拘束条件を与えれば, 因果性を満たす地震動がシミュレートできるかが明確ではなかった.そこで, 地震動の位相スペクトルに着目して, 因果性を満たすような地震動のフーリエスペクトル振幅を位相スペクトルから求める方法論を新しく開発した.開発した方法論を用いて, 位相スペクトルから波形を合成する方法を展開した.
  • 市村 強, 堀 宗朗
    2001 年 26 巻 p. 189-192
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    強震動分布情報を工学的に必要とされるレベルで高分解能・高精度でシミュレーションすることの意義は大きいと考える. このシミュレーションをおこなうためには, 膨大な計算量と地盤情報の不確実性という二つの難点がある.この二つの難点を克服するための方法としてマクロ-ミクロ解析手法を提案している. 本論文ではこの手法によって実際に強震動をシミュレーションし, 実測データと比較をおこなった. また, 現実的なモデルをもちいて強震動のシミュレーションをおこなうためには波動場計算手法についても検討が必要である. ここでは, 有限要素法の計算法に検討をくわえ大規模な波動場計算ができるようにした.これらの方法によって2 [m] という高い分解能で強震動分布をもとめることができた. 地下の三次元構造とこの強震動分布の比較から, 地表付近の三次元構造によって強震動分布は大きな影響を受け, 100×100 [m] という狭い範囲でも, 顕著な偏りが生じうることがわかった. このことから, 工学的に必要とされるレベルで高分解能・高精度でシミュレーションするためには, このような三次元シミュレーションを適用することの意義が大きいことがわかった.
  • Yuan DI, Tadanobu SATO
    2001 年 26 巻 p. 193-196
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    An improvement of the FEM-FDM coupled scheme is presented for dynamic analysis of fully saturated soil considering large deformation. In the space domain, the equilibrium equation of fluid saturated soil is discretized by the finite element method, as well as the continuity equation is discretized by the finite difference method within a rectangular mesh which is difference from that used by the finite element method.The finite difference method used in a difference mesh would not suffer from numerical problems when the initial mesh of the finite element method is not rectangular or the mesh is heavily distorted for large deformation. The proposed method is applied to a one-dimensional elastic consolidation problem and an embankment problem in order to verify its usefulness.
  • 小鹿 健平
    2001 年 26 巻 p. 197-200
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    半経験的グリーン関数法は、相似則により大地震の断層面を複数の小断層に分割し、適切な地震観測記録をグリーン関数として大地震の地震動を合成する手法である。現状では、個々の小断層による評価地点の地震動振幅が幾何減衰により異なるが、包絡特性は同じである。本研究では、地震観測記録を複数の波群に分解し、各波群の到達時間と震源距離を用いて等価群速度分散曲線を求め、求めた等価群速度分散曲線を用いて評価地点と小断層の距離により各波群の到達時間を計算し、個々の小断層に対して波群の足し合わせによりグリーン関数を作成する方法を提案した。この方法により評価地点における深部構造の影響を含めた伝播経路の影響が合成された大地震の波形に反映できると考えられる。
feedback
Top