環境システム研究論文集
Online ISSN : 1884-8125
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  • 五味 馨, 仲座 方伯, 松岡 譲
    2008 年 36 巻 p. 1-9
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    気候変動の緩和のために, 地方自治体が低炭素社会を実現するための長期シナリオが必要とされ策定され始めている. しかし地方自治体の社会・経済構造は国と比べて開放的であり, より大きな不確実性・不安定性を伴う. 本研究では地域経済の開放性を考慮した低炭素社会シナリオの構築手法を開発した. またその中で将来像を定量的に描写, 温室効果ガス排出量・削減量を評価する定量推計ツールを開発した. この手法を2030年の京都市へ適用し, 1.3%/年程度の経済成長のもとで化石燃料起源の二酸化炭素排出量を1990年比50%削減するための対策を同定した. 削減量の中では家庭部門と業務部門のエネルギー効率改善が大きな割合を占める (それぞれ約15%, 18%) ことが示された. 感度分析を行い, 移輸出額の想定の±0%の増減が二酸化炭素排出量に±8.5%の影響を与えることを示した.
  • 中道 久美子, 中島 廣長, 村尾 俊道, 西堀 泰英, 谷口 守
    2008 年 36 巻 p. 11-17
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, CO2削減方策の1つとして都市コンパクト化が注目されており, 様々な行政主体でその推進が表明されている. しかし, 現実の都市の状況や整備計画に基づいて集約型都市構造シナリオを検討した場合のCO2削減効果について, 数値として明らかにする研究は十分になされていない. 実際に事業を進める地方自治体としても, CO2削減率の面からこの都市コンパクト化の導入効果について簡便に確認できる必要がある.そこで本研究では, 実際の都市を対象に都市コンパクト化シナリオを構築し, 汎用モデルを用いて自動車CO2排出量削減効果を明らかにすることを目的とする. SLIM CITYモデルを応用・改良して亀岡市を対象にシナリオ分析を行った結果, コリドール型都市構造により大きな削減効果があることが示された.
  • 平野 全宏, 中道 久美子, 谷口 守, 松中 亮治
    2008 年 36 巻 p. 19-25
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    大きな課題となっている交通分野でのCO2削減に対し, 都市コンパクト化 (高密化) によって自動車利用抑制を進めることの期待が高まっている. しかし, その一方で都市居住者の自動車CO2排出量がそもそもどの程度の水準で推移してきているかというごく基本的な情報さえ整備されていない. そこで本研究では, わが国の地方都市から大都市までを包括した全国都市パーソントリップ調査データを用い, 最新の都市別自動車CO2排出量を求めるとともに, その数値が昭和62年以降どのように変化したかを提示した. 分析の結果, 地方部の都市ではこの間に飛躍的に一人あたり自動車CO2排出量が増加していることを明らかにするとともに, その原因は移動距離よりもむしろ分担率の増加によることを明らかにした.
  • 藤森 眞理子, 川西 正人, 三村 信男
    2008 年 36 巻 p. 27-35
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    気候変動による影響を受けやすい開発途上国において, 避け得ない影響に対する適応策を推進することの重要性が指摘されている. しかし多くの途上国においては, 現状の気象・気候条件に起因する災害や問題への対応も不十分であり, 適応のみが単独で行われるよりも, ODA等による地域開発計画支援の一環として実施される場合が多い. 本論文は, 従来のODA等による協力プロジェクトの事例分析を通して, 適応が備えるべき機能とは何かを考え, 従来の協力プロジェクトが「既に備えている適応機能」と, 「不足している適応機能」とを, 現場でプロジェクトに携わる実施者が容易に理解するための視点を提案した. さらに, より良い適応機能と効果を備えた協力プロジェクトにするための課題の考察も行った.
  • 藤森 真一郎, 松岡 譲
    2008 年 36 巻 p. 37-48
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は各種統計値に合致する貨幣・物質勘定表を推計, 調整する構築手法を提案し, それを適用し化石燃料由来のエネルギー消費量, CO2排出量を推計する. 推計には様々な経済統計, エネルギー統計を統合的に用いた. 本研究の推計値と既存の統計値を比較すると, 世界全体の化石燃料エネルギー消費量, あるいはエネルギー消費量の大きな国の国内エネルギー消費量は近い値を示した. 一方, 一部の特定の国では既存の統計値と本研究の値は大きく異なる値を示した. 既存の統計値からエネルギー消費量が修正された主たる要因は, 本研究において複数のエネルギー統計を用いたこと, 経済情報によるエネルギーフローの補完・修正を行ったことであった. また, エネルギー財の価格を既存の統計と比較すると世界の平均から異常に離れているような価格が修正された.
  • 長谷川 知子, 松岡 譲
    2008 年 36 巻 p. 49-58
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    全世界のCH4・N2O排出量のうち農畜産業が占める割合はそれぞれ50%, 60%に達する (2005年時点). 本研究では農畜産生産量に関する将計モデル及びそれに伴う温室効果ガス削減ポテンシャル推計モデルを開発し, 世界23地域を対象に2000-2030年において食料生産が今後どのように変化するかを推計し, 食料生産に由来するGHG排出量および削減ポテンシャルの定量的な評価を行った. 2000年の排出量は3959MtCO2eqで, 家畜反芻が高い寄与率を示した. 地域別では, 中国, インド, アメリカで高い排出量となった. 2030年の最大削減ポテンシャルは1403MtCO2eqとなり, 2000年比で約35%削減でき, 最も経済効果が大きい対策は, 「家畜糞尿の散布」であることが示された.
  • 藤井 秀道, 金子 慎治
    2008 年 36 巻 p. 59-67
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 中国の鉄鋼生産量が飛躍的に伸びており, それに伴うCO2排出量の増加が気候変動問題に与える影響が懸念される. 本研究では, 2003年の中国各省の鉄鋼業を対象に二酸化炭素排出量を考慮したフロンティア生産性分析を行い, 非効率性とCO2排出の限界削減費用を推計する。分析結果から, 中国沿海部の省が効率的なフロンティア生産を行っており, 分析対象すべての省が効率的な生産を行った場合には, 約1.8億トンCO2 (中国鉄鋼業全体の約40%) の削減が可能であることが明らかとなった. また, 中国鉄鋼業のCO2排出削減のための地域投資配分では, 限界削減費用を考慮した最適配分の効果が最も大きいのは投資規模が500億元から700億元の間であることが分かった.
  • 中嶌 一憲, 林山 泰久, 森杉 壽芳, 大野 栄治
    2008 年 36 巻 p. 69-77
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 不確実性下における意思決定問題について論点整理を行った上で, 多地域動学的最適化モデルによるシミュレーション分析を用いて, 費用便益分析の観点から気候変動安定化シナリオの選択に意思決定基準を適用することを試みるものである. ここでは, いくつかの意思決定基準を示し, 全球規模および日本での気候変動安定化政策への適用を行った. 全球規模では, いずれの意思決定基準を用いても, CO2濃度650ppmシナリオが選択される結果となる. 一方, 日本への適用を行った分析では, 多くの意思決定基準においてCO2濃度650ppmシナリオが選択されるものの, より悲観的な立場を重視する意思決定基準を用いた場合には, より厳しいCO2濃度550ppmシナリオが選択される結果となる.
  • 植田 真弘, 天野 耕二, 島田 幸司
    2008 年 36 巻 p. 79-85
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    日本における風力発電事業の導入ポテンシャルを分析することを目的として, 気象官署が設置されている152市町村における気象条件と社会特性から年間発電量と発電売り上げを算出した上で経済学的手法を用いて事業性を評価した. 風力発電による発電ポテンシャルを算出する際には, 各地域の雷や暴風の頻度等気象リスクに加えて, 平均風速の実測値を考慮した. さらに, 普及拡大政策として電力の買い取り価格と排出権取引制度に着目し, 各々の政策によって発電事業としての赤字相殺が可能となる地域の割合を求めた. 各地域共に, 平均風速が経済収支に最も影響し, 次いで買い取り価格が影響することが示された.
  • 河上 裕美, 荒巻 俊也, 花木 啓祐
    2008 年 36 巻 p. 87-95
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    全国約500の全連続式焼却炉を持つ清掃工場における排熱賦存量を推定し, 排熱を地域冷暖房および給湯に有効利用した場合に削減されるCO2排出量を推計した. 地理情報システムを用いて, 焼却排熱の賦存量と, 清掃工場周辺の焼却熱供給先として利用可能量の大きい業務および家庭部門の建物熱需要を1kmメッシュ単位, 月別で推定し, 利用可能排熱量と周辺建物熱需要のバランスから地域冷暖房導入により削減されるCO2排出量を推計した. また, LCCO2の観点から熱供給に必要な配管敷設によるCO2排出量を考慮した. その結果, 全国で最大280万t-CO2/yearのCO2削減効果があることが明らかになった.
  • 片山 賢, 山本 祐吾, 齊藤 修, 盛岡 通
    2008 年 36 巻 p. 97-105
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 工場から多量に発生する排熱を利用する手段としてオフライン熱供給システムに着目し, 京浜臨海部周辺地域における熱供給事業の導入効果を明らかにするモデルを構築した. まず, GISを用いて工場排熱量, 熱エネルギー需要量の分布を空間的に算出するプロセスを構築し, データベースを作成した. その上で, オフライン熱供給とオンライン熱供給の異なる特徴に着目し, 導入効果の違いを明らかにした. 京浜臨海部をケーススタディの対象として評価した結果, オフライン熱供給システムを導入することで, オンライン導入よりCO2排出量が12%削減されることが分かった.
  • 村野 昭人, 藤田 壮, 小瀬 博之
    2008 年 36 巻 p. 107-113
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国のCO2排出量において, 波及効果も含めた場合, 建築分野が全産業の3分の1を占めている. 森林の炭素吸収効果, 木質系建設資材が有する炭素固定効果, さらには施策の地域展開による環境改善ポテンシャルを評価するために, 本研究では, 第一に, 木造住宅を対象とした環境負荷削減施策を, CO2吸収による炭素固定効果・燃料代替効果を含めて評価するシステムを構築する. 第二に, 住宅の温熱環境の改善やエネルギー回収による環境負荷削減効果について, 実証実験施設を対象としたライフサイクル評価のケーススタディを行う. 第三に, 環境負荷削減施策を地域全体に展開した場合の環境改善ポテンシャルを評価する. その結果, 2010年度における木造住宅の解体延床面積に相当する建築物に, 各施策を導入したと仮定した場合, 年間190kt-CO2の削減ポテンシャルがあることが分かった.
  • 小泉 明, 荒井 康裕, 稲員 とよの, 國實 誉治, 馬野 仁史, 有吉 寛記
    2008 年 36 巻 p. 115-123
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 水道管路の安全性を簡易に診断・評価する手法として, 数量化理論に基づくリスク評価モデルを提案している. 本論文では, この提案モデルの汎用性を検証することを目的に, モデルを作成した地域以外のマッピング情報を活用した場合のリスク評価について述べる, S市を対象とした検証の結果, 提案したリスク評価モデルには, モデルとしての一般性 (基本フレーム) が存在することが確認された. また, 現時点でリスク無しと診断されるメッシュに対し, 予防保全的な観点から危険な箇所を探し出すような場面においては, 地域の実情を考慮したモデルの微調整 (チューニング) が必要となることについて述べた.
  • 荒井 康裕, 小泉 明, 稲員 とよの, 渡辺 晴彦, 國實 誉治, 林 光夫
    2008 年 36 巻 p. 125-130
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 全国の水道事業体を対象に実施した送配水管路に係る漏水事故の実態調査アンケートデータを基礎に, 管種別の故障率曲線に関する推定方法を検討した.具体的には, 事故データのみを用いて作成される不信頼度関数 (累積故障分布関数) に関して, その事故データの元になる母集団, すなわち埋設管路 (事故を起こしていない無事故管路) を考慮するための改善を試みた.既存の統計資料から埋設管路延長に関する情報を収集・整理し, 無事故データを加味した場合の補整済み不信頼度関数から故障率曲線を作成する手順を示した.実際に提案した方法から故障率曲線を作成した結果, 故障率が年月の経過に伴って増加して行く様子を記述することができた.
  • 津崎 昌東, 市川 陽一
    2008 年 36 巻 p. 131-139
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 環境媒体および食物連鎖における水銀の移行と, 人への暴露量を評価することを目的とした多経路暴露評価モデルを開発した.本モデルは大気, 土壌・陸水, 海洋, 食物連鎖の各サブモデルで構成される.開発したモデルを用いて, 東京湾付近の比較的規模の大きな人為排出源 (排出量10kg/y) を想定して水銀の暴露量を推計した.その結果, 暴露量は7.7×10-9g/dであり, 排出源の影響は人が日常的に摂取する量の1/1, 000程度であった.
  • 佐々木 和寛, 坂本 麻衣子, 奥村 誠
    2008 年 36 巻 p. 141-147
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 社会基盤施設整備の地域間連携の分析に対し, ネットワーク形ゲームを用いることで, 意思決定主体間の関係性に着目した分析手法を示す.また, ネットワーク形ゲームで考えられてこなかった3人以上の提携の概念と社会基盤施設整備に関する提携の形成条件をネットワーク形ゲームに導入し, 提携構造の分析の可能性を広げる.
    そして, 本研究では理論拡張を行ったネットワーク形ゲームを現実問題であるカスピ海における資源供給問題に適用し, 適用可能性を検討する.
  • 馬場 健司, 松浦 正浩
    2008 年 36 巻 p. 149-158
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 風力発電の立地に伴う環境論争を題材として, 交渉シミュレーション (模擬的なゲーム社会を構成する様々なアクターを, 与えられた情報やルール, 役割に基づいて参加者が演じ, 交渉の実験を行うもの) を予備的に実施し, 論争の解決策を模索するとともに, 本格的なシミュレーションの実施に向けて, この技法の有用性と今後の課題について分析した.その結果, 第1に, アクター間相互の信頼感や手続き的公正感などにおける交渉のフレーミングとメディエーション機能の重要性が示唆された.第2に, 交渉シミュレーションが参加者に対して, 態度の変容や何らかの気づきを与えた効果が認められた.第3に, 解決策には今後の継続的な対話を確保する「共同事実確認」の必要性を認識したものも出された.
  • 杉浦 伸, 木下 栄蔵
    2008 年 36 巻 p. 159-164
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 意思決定時の選択対象である代替案の優先順位が容易に決定できない状況として社会的ジレンマや, 選好の弱順序性について言及している.また, 土木計画における社会資本整備や意思決定において政策の候補となる代替案の選好か循環し, 優先順位を一意に決定できない状況である社会的循環律についても説明している.そして, 数理モデルである評価値一斉法を用いて定量的に評価が与えられた場合の環境問題における社会的循環律の解消事例について述べている.
  • 藤井 秀道, 金子 慎治, 川原 博満, 金原 達夫
    2008 年 36 巻 p. 165-172
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    平成11年度にPRTR制度が施行され各業界の化学物質排出に対する取り組みが年々進んでいる.PRTR制度は国内製造業すべての業種で一斉に制度化されているが, PRTR対象物質排出量削減ヘの取り組みは業種によって異なる.そこで本研究では環境汚染物質を考慮した生産性評価が可能であるDirectional Distance Function (DDF) を用いて, 2001年度から2005年度のPRTR対象物質排出量を考慮した統合生産性評価を行い, 国内製造業10業種の比較・考察を行った.分析の結果, 10業種すべてで統合生産性は上昇していることが明らかとなった.さらに分析結果を総合した結果, PRTR換算排出量削減の取り組みについて, 多くの企業でクリーナープロダクション型の対策を講じていると推察された.
  • 橋本 禅, 杉野 章太, 藤田 壮, Qinghua ZHU, 長澤 恵美里
    2008 年 36 巻 p. 173-180
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    事業所レベルでの環境配慮型経営や資源循環の取組みの実態や管理・評価の体制, さらには事業者間の循環連携の障害を明らかにすることを目的に, 国内有数の産業集積都市である川崎市に立地する大規模事業所9社を対象としたヒアリング調査を実施した.環境配慮型経営は, 全体としては, 外部との連携が必要な取組みであるグリーン調達や消費者協力, エコデザイン, 資本の投資回収に係る取組みが広く普及し, かつ自社内で実施可能な内部環境マネジメントに係る取組に比べて低調な傾向を示すことがわかった.ただしより詳細には, 業種・業態や生産する最終製品の違いがこれら取組みの差異に影響を与えている.資源循環への取組みの促進要因と阻害要因は表裏一体の関係にあり, 付随コストや採算性, 廃棄物 (資源) の受入れ主体の存在が, 取組み着手を分かつ鍵となることが把握された.資源循環における受け手や, 資源循環に伴う事業性や経済性の確保を支援することで, グリーン調達や投資回収の取組みの促進に繋がることが期待できる.
  • 下田 潤, 齊藤 修, 山本 祐吾, 盛岡 通
    2008 年 36 巻 p. 181-188
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    マネジメントシステム (以下MS) 規格の多様化・細分化に伴い, 環境マネジメントシステム (以下EMS) を運用する際にも, 並行する品質や労働安全衛生のMSとの関係性・整合性を鑑みることが重要となるなど, MS規格の統合が課題となっている. こうした課題を受け, BSI (英国規格協会) がMSを統合するIMS (Integrated Management System) を規格化するなど, MSのあり方としてIMSが脚光を浴びている. 本研究では, 規格統合化も含めたMS規格の今後のあり方を検討するための基礎的な知見を得る二とを目的として, MSの発展段階に関する理論的な検討と国内企業に対する実態調査を行った. 研究の結果として, 統合MSに必要な1) 構成要素, 2) 導入に至るインセンティブ, 3) 導入によるメリット及びデメリットを明らかにした.
  • 水谷 健二, 松本 亨
    2008 年 36 巻 p. 189-195
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    フォークリフト業界では, 環境意識の高まりもあって電動フォークリフトが増加しているが, 車両価格全体に占める鉛バッテリーの割合が大きいため, バッテリーが車両の寿命を規定しているケースが多い. 近年, 再生バッテリーの販売やバッテリー延命に重点をおいたメンテナンス事業も出現しており, 車両全体の延命化にも影響を与えるビジネスモデルとして注目される. そこで, 電動フォークリフトのバッテリーメンテナンス事業について, その導入効果を環境面・経済面から評価することで, サービサイジング型のビジネスモデルの効果を明らかにした. その結果, メンテナンスによるバッテリー延命化, バッテリー2回載せ替えによる車両の長期使用, 再生バッテリーの利用の効果が大きく働くことが示された.
  • 佐藤 祐一, 金 再奎, 岩川 貴志, 高田 俊秀
    2008 年 36 巻 p. 197-205
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 湖辺域の広域景観計画を, 住民の景観認識に基づき体系的に策定する方法論を構築することを目的としている.これをシステムズ・アナリシスの枠組みから位置づけた後, 湖岸開発などにより景観の悪化が懸念されている琵琶湖湖辺域を対象として, 湖岸で撮影した写真を用いたアンケート調査から, 景観構成要素が景観評価に与える影響を定量的に明らかにした.次に, 琵琶湖湖辺域が有する景観構成要素のデータを500mメッシュで整備し, 湖辺域の現状の景観評価を行った後, 湖辺域をその特徴からゾーニングし, ゾーン別の景観将来シナリオについて, 「効用」「公正」の概念を含む複数の指標を用いて評価を行った.
  • 氏原 岳人, 谷口 守, 松中 亮治
    2008 年 36 巻 p. 207-215
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 都市・地域計画に対して環境的な視点から評価・検討していくことの重要性が議論されている.本研究では, エコロジカル・フットプリント指標を用い, 岡山県津山市を対象として都市・地域の持続可能性を評価するとともに, 近年その必要性が高まっている「空間リサイクル」及び「都市コンパクト化」施策実施が, その持続可能性に及ぼす影響を明らかにした.分析の結果, 津山市は東京や岡山市等と比較して環境受容量に対する環境負荷量の超過分が顕著に少ない, つまり環境上のバランス (環境負荷超過率) のとれた地域であった.また, その津山市において「空間リサイクル」及び「都市コンパクト化」を実施した場合, 環境負荷超過率が最大2.61%削減されることが明らかとなった.
  • 鶴巻 峰夫, 吉田 綾子, 星山 英一
    2008 年 36 巻 p. 217-225
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    リン資源は世界的な枯渇性の資源であり, 現在利用されている高純度のリン鉱石はこの数十年以内に枯渇するとの説がある.一方で, リンは閉鎖性水域の富栄養化の原因とされる物質である.したがって, リン資源の循環は, リン資源の確保と環境保全にとって有効な施策である.
    以上の背景から, 本研究では現状でのリン収支の問題点を整理し, 近年の技術的動向を踏まえて我が国におけるリン資源の循環利用の可能性について, 生活排水処理分野を中心に基礎的な検討を行った.その結果, 生活系でリン鉱石での輸入量の約20%に相当する量の循環が可能であること, 排水処理分野においてはリン回収と地球温暖化防止が条件づきではあるが両立できる可能性があることがわかった.また, さらなる循環に向けたいくつかの問題点の抽出を行った.
  • 蒲原 弘継, 橘 隆一, 熱田 洋一, 後藤 尚弘, 藤江 幸一
    2008 年 36 巻 p. 227-235
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地域の窒素バランスを明らかにし, 余剰となる窒素の処理方法を検討するまでの評価を愛知県豊橋市を対象に行った.豊橋市の窒素バランスは家畜糞尿の堆肥生産可能量が農地における有機物資材受入可能量を超えており, 豊橋市において発生する家畜糞尿を全量堆肥化し, 市内農地に投入することは困難であることが明らかになった.また, 現状の投入量も有機物資材受入可能量を超えている結果となった.次に余剰の窒素を処理するシナリオとして, メタン発酵シナリオと焼却シナリオを設定し, 現状の処理方法と比較した. その結果, 豊橋市ではメタン発酵シナリオの導入により, 約11, 000ton-CO2eqにあたる温室効果ガスの削減が可能であることが示された.
  • 傳田 正利, 山下 琢巳, 天野 邦彦
    2008 年 36 巻 p. 237-243
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 複数の文献資料から農業生産活動に関する情報を詳細に分析し, 1928年, 1932年の農業由来の負荷投入量を推定した. その結果, 水田から現在の約1/10, 畑地から現在の1.4倍の負荷投入量があったことが明らかになった. 定量的な負荷投入量の推定が難しいと考えられる昭和初期でも, 過去の文献資料の記録をつなぎ合わせ, 詳細に分析することで負荷投入量推定が可能であることを示した. 同時に, 昭和初期の窒素負荷の実態, 窒素負荷が少なかった社会的背景などの結果が得られた.
  • 豊田 知世, 金子 慎治
    2008 年 36 巻 p. 245-254
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 2030年にエタノール導入の動きが各国で進んだ場合に, 食料との競合が起きない形でエタノールが十分供給できるかどうかについて検証することである. さらにエコロジカルフットプリント (EF) が最小となるような農業作物取引のあり方は, どのような構造であるかを明らかにする. 分析結果から, 2030年の世界の食用・飼料用トウモロコシとサトウキビの供給量を満たした後も, 1.6億トンのトウモロコシと5.2億トンのサトウキビが供給可能であり, この余剰分をすべてバイオエタノールに転換した場合に, 1, 096.3億リットルのバイオエタノールが供給可能であることが明らかとなった.
  • 吉本 皓亮, 吉川 値樹, 天野 耕二, 島田 幸司
    2008 年 36 巻 p. 255-263
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 気候変動緩和策やエネルギー自給率向上策として食料資源由来のバイオエタノール利用が進められているが, 途上国における食料需要の増加と相まって, 食料とバイオ燃料の競合問題が顕在化しつつある. 本研究では, 社会経済発展やバイオエタノール需要増等の影響を考慮した上で, 将来の地球規模の食料需給構造および作物増産に必要な土地利用改変に関する分析を行った. その結果, 将来の作物需給が逼迫する要因として, 食用および飼料用需要の方がバイオエタノール用需要よりもその影響が大きいことが示された. また, 2015-2020年頃まで現状の可耕地 (休閑地含む) で供給可能だが, それ以後は耕地が不足し, 2050年には2005年の耕地面積から約11-15%の耕地拡大が必要になると予測された.
  • 江口 伸之, 近藤 隆二郎
    2008 年 36 巻 p. 265-273
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    廃校になった学校を宿泊施設へ転用する際に, 学校の物品や設備は宿泊施設の運営方針にそぐわない場合, 廃棄処分されている. そこで本研究では、廃校を活用した宿泊施設を対象として, 他施設における学校物品・設備活用の可能性を探ることを目的とした. 研究方法として, 国内の17校の廃校活用宿泊施設へ赴き, 存在する学校物品・設備の実態を分析した, その結果、廃校宿舎の特徴を「『学校』を演出する宿泊施設タイプ」と「『宿泊』を演出する学校タイプ」に分けることが出来た。また、廃校宿舎は機能のリユース, 意味の継承といった2種類のリユースとしての知恵が大きく発揮されている場であることもわかった. 最後に、運営方針に見合った物品・設備の活用法について提案した.
  • 藤井 実, 長澤 恵美里, 橋本 禅, 藤田 壮
    2008 年 36 巻 p. 275-280
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    木材の用途の一つである紙について, 水平リサイクルとカスケードリサィクルの効果を, CO2排出量を評価対象として検討を行った. 古紙の水平リサイクルには再生紙としての利用, カスケードリサイクルには発電をシナリオとして想定した。このとき, 木材のバイオマス発電もシステム境界内に含めることにより, バイオマス燃焼時のCO2排出のカウント方法の違いに影響されることなく, 両リサイクル手法間の相対的な比較を行うことができる. CO2排出量の評価結果の大小は, 木材がライフサイクルにおいてどのような製品 (機能) をどれだけ提供するかに依存して変化することが示された.
  • 吉田 登, 谷川 寛樹, 出合 優仁, 炭谷 力, 松本 利裕
    2008 年 36 巻 p. 281-290
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    京都議定書の第1約束期間を迎え地球温暖化対策が急務となっている中, 環境と経済の両立を図る省エネルギー環境ビジネスとしてESCOが注目されているが, 病院や事務所施設等の民生部門への導入に限られているのが現状である. そこで本研究では, これまで殆ど試みのない, 都市の環境施設である清掃工場へのESCO導入可能性に着目した分析を行った. まず清掃工場のエネルギーフローを分析し, 次に様々な省エネルギー方策の適用可能性について環境面及び経済面から分析を行った結果, ガスコジェネレーションやインバータ等の導入によりCO2及びエネルギー費用削減効果が大きく見込まれること, また経済面ではガスコジェネレーションにおけるRPS法による売電上乗せ価格やエネルギー価格が投資回収年に影響を与え, 特にガス価格の及ぼす影響が大きいことを明らかにした.
  • 安里 祐亮, 神谷 大介
    2008 年 36 巻 p. 291-297
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 地球温暖化問題が深刻化しており, 海面上昇や生態系の変化など, その影響が顕在化している. これらを抑制するためには循環型社会システムを形成することが必要であり, そのためには地域住民の協力が必要不可欠である. 本研究では家庭ゴミに着目し, 地域住民が現在行っている環境配慮行動とこれに対する意識, 「生ゴミの分別」「廃食用油の分別」を新しい分別収集制度として導入すると想定したときの意識などについて調査し, 共分散構造分析を行った. 分析により, 住民の環境配慮行動を規定する要因として, 自己への責任帰属認知が目標意図に, 費用便益評価が行動意図に強い影響を及ぼすことが分かった. また, 環境配慮行動を経験することが, 別の環境配慮行動を促すということが示された.
  • 藤原 健史, 日下部 友祐
    2008 年 36 巻 p. 299-308
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ごみ処理の県レベルでの広域化には, ごみ収集と中継輸送システムが不可欠である. 本研究では, GISを用いてごみ収集エリアと中継輸送施設の間の輸送距離を推定する方法と, 中継輸送施設の位置を最適化する方法を提案した. はじめに, 家庭ごみの排出量マップを, 家庭ごみの収集エリアと量, 人口情報に基づいて作成した. 次に, 排出量が収集車積載量に近い収集セルを生成するアルゴリズムを提案した. また, 対象地域の平均の輸送距離を推計するために, ごみ排出量で重み付けされた1トリップ当たりの平均輸送距離を定義した. 中継処理施設位置の最適化には収集輸送距離の線形検索を採用した. さらに, 本方法で求めた輸送距離と, 現状のごみ輸送距離あるいはグリッドシティモデルによる輸送距離の比較を行った.
  • 佐竹 正之, 金谷 健
    2008 年 36 巻 p. 309-317
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    家庭ごみ有料化における制度設定プロセス及び料金設定根拠について, 有料化実施市町村への質問紙調査を行い, 主に以下のことがわかった.(1) 制度導入の提案は「担当部署が提案して, 首長が納得」が最も多い. 制度設計に審議会以外で住民関与しているケースは3割程度と低い。制度設計に要する期間は平均1年半である. 制度設計において, セーフティネットの有無はほぼ半々である. 約6割が周辺市町村の影響を受けている.(2) 料金設定根拠の対象が「収集運搬費用」及び「処理費用」であるのは約3割と少ない.「費用」を設定根拠とした場合, それらの平均約3割を手数料に割り当てていた. 財源確保という導入目的, 制度設計段階での住民関与, セーフティネットは, 手数料を高くする傾向にある.
  • 奥田 隆明, 秀島 聡
    2008 年 36 巻 p. 319-326
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    オイルショック時には原油価格の高騰によって日本の産業技術が大きく変化したと言われている. 本研究では, 産業内に複数の技術を仮定した生産関数を提案し, 因子分析の一つであるPMF (PositiveMareix Factorization) のを用いてこれらの技術を抽出する方法を提案する. また, この方法を用いて2度のオイルショックを経験した1970年-1990年の日本のデータから具体的な技術の抽出を行い, 日本の産業技術がどのように変化したのかを明らかにする. そして, 抽出された技術から構成される生産関数を標準的な応用一般均衡モデルに組込み, 1) 原油価格の高騰が産業技術の変化を通して日本経済に与えた影響, 2) 代替技術の存在による影響の緩和効果等について事後分析が行われる.
  • 林山 泰久, 野原 克仁
    2008 年 36 巻 p. 327-332
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    レクリエーションサイトまでの移動時間と距離は, 言うまでもなく強い相関関係がある. しかし, これらは個人の所得制約および時間制約の下, 効用最大化問題に直接影響を与えるため, 各々個別に取り扱われてきた. また, サイトまでの距離は, 実際に費やされる旅行費用に計上されるものの, サイトまでの時間費用は機会費用であり, その金銭的価値は直接市場で観察することはできない. さらに, サイトでの滞在時間もまた, 機会費用として扱われる. そこで, 本研究では, 時間費用と金銭的費用を明示的に取り扱い, レクリエーション便益評価における重要性を議論する.
  • 大野 栄治, 佐尾 博志
    2008 年 36 巻 p. 333-341
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    干潟のような生態系を育む場所が地球温暖化によって破壊され, そこに生息する動植物たちが急速な勢いで絶滅の危機に追いやられている. 本研究では, 地球温暖化対策としての干潟保全に関する費用対効果を検討する際に必要となる貨幣評価原単位の提供を目的として, CVMおよびTCMにより都道府県別の干潟の経済価値を計測した. その結果, CVMによる干潟の環境経済価値は, 一人あたりでは1, 599円/年/人 (39, 976円/人), 日本全国では2, 043億円/年 (51, 066億円) となった. また, TCMによる干潟 (潮干狩り) のレクリエーション価値は, 一回あたりでは2, 099円/回, 日本全国では47.0億円/年 (1, 175億円) となった. そして, 干潟の貨幣評価原単位は全国平均で10, 163円/m2となった.
  • 森杉 雅史, 森部 総一, 加知 範康, 戸川 卓哉
    2008 年 36 巻 p. 343-352
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の循環型社会形成推進方に繋がる-連の政策は, 確かに諸方面においてリサイクルの推進率を高めているが, その一方で, 生産効率性への改善効果は懐疑的であるように思われる. 本研究では動学理論モデルにて紹介するように, リサイクル推進という行政介入の意義は認めつつも, 長期的な視点での資源の効率的利用を導くように作用しているかが本質的な問題であることを指摘する. そこで後半では, 近年の紙産業の実態を元に, 生産関数の設定・推計を図り, また市場価格と対比の上, MPVとVPRという評価指標を用いることで, 生産や資源利用の効率性を吟味した. 結果, バージンパルプは市場価格に感応的だが過剰消費の傾向にあり, また, 古紙パルプに関しては政策的な影響のためか, 全般的に合理的な投入の決定であることが見受けられず, より生産に重要な古紙資源は概して過少投入の傾向にあった.
  • 木山 正一
    2008 年 36 巻 p. 353-362
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    耕作放棄は農村地域の崩壊だけでなく, 農耕によって発揮される多面的機能の低下を招き農村を取巻く流域の経済成長や環境資源の持続的管理を不安定化させると考えられる. こうした環境-経済-社会の全般的課題に取組む環境システムを構築するには, 農業生産額や農地の環境性能評価の算定に用いられる耕作放棄状態を定量するモデルが必要となる. 本研究では地理情報システムを援用してネスティッドロジット型の田の耕作放棄モデルと開発することを目的とした. 提案モデルを現行補助金制度に適用して現制度の課題を明らかにし, 持続的営農のための補助金計画法を提案した. 最後に本モデルの環境システム分析への発展性について持続的な営農と流域環境経済問題に関する既往研究を例に述べる.
  • 小野 芳朗, 伊藤 乃理子, 室 貴由輝, 山本 隆史
    2008 年 36 巻 p. 363-373
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    岡山県笠岡市沖白石島では, 急速な過疎高齢化によって労働力が不足し, 環境保全の維持が困難となっている. 本研究では, この白石島の地域環境を岡山県立矢掛高等学校で行なわれている持続発展教育の場として提供することを考えた. 環境教育を島の歴史・伝統・文化・社会と結び付けて実習するプログラムを作り, 事象の関係性の理解, 総合力, 知識への意欲などの向上を狙い, その実施に関し, 観察, データ収集と評価を行なった. その結果, 島の環境問題や文化を, 過疎高齢化の問題などと関係性を意識する生徒が一部に現れ, その中から自らのコミュニティや日本との関係を考える生徒がでてきた. 彼らのうち, こともESDの効果の表れのひとつと考える事ができる.
  • 中村 遼, 岡田 昌彰
    2008 年 36 巻 p. 375-380
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 参加者のWEB上の記述という形でデータ取得が可能な野外音楽イベント「FUJI ROCK FESTIVAL」を研究対象とし, 参加者による周辺環境の解釈形態, 風景発見の実体を分析・把握し, 環境の外的特徴の発見促進媒体あるいはその意味探求への誘発装置としての野外イベントの実用性を提示した. その結果, 主目的がライブ鑑賞である野外イベントであっても, 人が自然環境と交わることにより, 風景が副次的に発見されること, 時間帯や天候により変化する風景が体感されやすいこと, ならびにライブ鑑賞時においては周辺の自然環境や会場の設えをもライブと関連させ, 演出の一要素として読み替えを行っていることがわかった.
  • 橋本 晋輔, 藤井 啓介, 谷口 守, 松中 亮治
    2008 年 36 巻 p. 381-387
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    個人は交通行動パターンの類似した行動群に類型化されることが知られている. 本研究では最近およそ20年間の間に, 交通環境負荷増加の元凶となった車依存型の各種行動群が如何にその構成比を高めたかについて, まずその増加実態を定量的に明らかにする. また, ドライバーに対して独自に大規模な意識調査を実施し, 車依存型の行動群所属者がそもそもどのような個人運転動機を有しているかを解明した. 分析の結果, 高度に車に依存した行動群の構成割合が近年高まっていることが定量化された. 一方, その意識構成を個人運転動機から見ると, 車に依存した行動群の中にも公共交通の利便性改善を期待する層も中には存在すること等が新たに明らかになった.
  • 横山 大輔, 谷口 守, 松中 亮治
    2008 年 36 巻 p. 389-396
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    交通環境負荷低減に向けて自動車交通の抑制・削減が説かれているが, 十分な効果をあげているとはいえない. その理由として, 交通需要の根源である運転動機 (何故自動車を運転するのか) についての配慮がなされていないことがあげられる. また, 運転動機以外にも日常的な環境配慮特性の個人差が諸策の受容性と関連している可能性も高い. そこで本研究では, 岡山県倉敷市において1万人を対象に個人行動・意識調査を実施し, 都市機能集約の観点などから交通環境負荷低減策と期待されている「商業施設の都心立地, ガソリン価格のコントロール, 都心居住, 公共交通改善」といった諸策に対し, 個人の運転動機, 環境意識の違いによりどの程度交通環境負荷低減策の受容性に違いが見られるのかを定量的に評価した.
  • 玉井 昌宏, 有光 剛
    2008 年 36 巻 p. 397-405
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    沿岸域における日中のヒートアイランドと海風の相互関係については, 盛んに研究されている. 一方, 夜間の陸風あるいは冷気流のヒートアイランドに及ぼす影響, あるいは両者の力学的な相互関係については, ほとんど検討されていない. 本研究では, ドップラーソーダによる境界層下部の気流構造に関する観測結果, アメダスデータ等の種々の実測データを分析して, 大阪の夏季の夜間気温に及ぼす陸風や背景風の影響について検討した. 大阪の夜間気温が大阪湾の海面水温と背景風の気温に強く影響されていること, 海域からの風の流入が夜間気温の上昇に, 陸風あるいは冷気流の発生と流入が気温低下に貢献していることが明らかになった.
  • 石田 哲朗, 肥田野 正秀, 中川 幸洋
    2008 年 36 巻 p. 407-417
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    保水性舗装の多くは降雨を舗装表面の間隙部分に充填したセメントミルクやスラグなどに吸収させ, その水分の気化熱により温度を下げるものであるが, 降雨のない期間が続けば水分の補給が絶たれ, 水分を補給する施設を追加すれば工費は多大なものになる。また, 降雨を浸透させることによって道路構造が泥弱化することが懸念される. 本研究ではこの道路の表層の構造に着目し, これらの問題点の一つの対応策として貯留性ソルパックを用いた路面の表層構造を提案し, その性能を室内試験, 長期間に渡る計測を含む数種の野外実験を行って評価し適用性を明らかにした.
  • 山田 宏之, 田中 明則, 奥田 芳雄, 一柳 隆治
    2008 年 36 巻 p. 419-425
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 新しく開発された建築用保水板と, 屋上緑化, 高反射性塗料の3種の実験材料を用いて, 現住の実物建物を用いて, 室内の冷房用エネルギーの軽減量と温熱環境改善効果の実測と解析を行い, 省エネルギー対策, 室内暑熱環境改善資材としての有効性を検証することを目的として実施した. 夏季晴天日における9日間の実測結果から, 表面温度, スラブ面温度の低減効果は保水板が最も高く, 次いで屋上緑化, 高反射性塗料の順となった. 保水板区と対照区の測定結果を比較した結果, 天井面温度, 室内平均輻射温度は常に保水板区の方が低くかった. 空調中のPMVの差は認められなかったが, 空調停止後には顕著な差が現れた. 消費電力は大きい順に対照区, 高反射塗料区, 屋上緑化区, 保水板区となった. 削減量は13.4-32.1%となり, 有効な効果が認められた.
  • 董 嗔紅, 古賀 憲一, Patchraporn ITTISUKANANTH, 西村 陽介, 山口 秀樹
    2008 年 36 巻 p. 427-435
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    筑後川は, 流域内外に各種用水を供給している九州最大の河川である. 近年, 筑後大堰湛水域の内部生産や海面上昇に伴う筑後川感潮域における塩分の上昇傾向が指摘されつつあるが, 十分な機構解明には至っていないようである. 本論文は, 筑後川下流域に位置する筑後大堰湛水域, 筑後川感潮域における水質特性について考察したものである. 筑後大堰湛水域では, 取水に伴う滞留時間の長期化が夏期の高水温期と相侯って藻類増殖の一因となっていることが確認された. 筑後川感潮域の塩分変化が有明海の海面上昇と利水形態の変更の影響を受けていること, さらには感潮域停滞部における藻類増殖の可能性を指摘した. この感潮域の藻類増殖を有限容積モデルを用いた水質モデルにより確認した.
  • 三崎 貴弘, 土屋 十圀
    2008 年 36 巻 p. 437-444
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    河川の一次生産者である付着藻類は, 光合成により有機物を生産する生態系の基礎である. 従来, 付着藻類の増殖に関して, 水温や栄養塩類が対象とされ, 河川内の光の透過についてはあまり検討されて来なかった. 著者らは, 河川内の光環境と濁度が付着藻類の増殖に及ぼす影響について着目している. 本研究では, アユの漁獲数が減少傾向にある群馬県内の利根川本川において, アユの定着した夏季に付着藻類の増殖について調査を行った. また, 利根川の4地点において, 光量子量と濁度の鉛直調査を行い, 光の水中透過率を算出した. さらに, 観測期間中に台風による洪水撹乱前後の増殖速度の違いが観測された. この結果, 付着藻類の増殖には, 河床に到達する光量が重要であり, 濁度による増殖の阻害が生じ, 攪乱後に増殖速度は増加することが確認された.
  • 中野 裕, 土肥 唱吾, 峰松 勇二, 井上 幹生, 三宅 洋
    2008 年 36 巻 p. 445-455
    発行日: 2008/10/18
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    瀬切れ河川では, 流量変動は河川生態系の特性を決定する重要な要因であると考えられている.本研究は, 洪水による瀬切れ解消前後に河川性魚類および底生動物とそれらの生息場所環境に関する調査を行い, 瀬切れ区間における河川動物群集の時間的変動の特徴を明らかにすることを目的とした.瀬切れ区間では洪水に伴う表流水の回復後に魚類および底生動物の移入とこれに伴う個体数の増加が確認された.このうち魚類に関しては, 下流の恒常的に存在する区間から移入したものと考えられた.しかし, 流量減少に伴う表流水の消失により, 最終的に魚類および底生動物は死滅した.本研究により, 瀬切れ河川に生息する河川動物群集は流量変動に伴って大きく変動することが明らかになった.
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