Professional Rehabilitation Science
Online ISSN : 2759-2367
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 石黒 友康, 河江 敏弘, 相澤 郁也
    2026 年3 巻 p. 33-39
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/18
    ジャーナル フリー
    本研究は糖尿病性神経障害(diabetic neuropathy以下,DPN)により,下肢関節の位置覚の正確性が損なわれるかについて検討した.継続的に運動療法を実施している65歳以上の糖尿病患者12例(男性2 例,女性10例)である.全例に対しDPNチェックで活動電位の振幅を測定しDPNを診断した.関節位置覚は非利き足の膝関節の関節位置覚を測定した.測定にあたり,目標角度(膝関節60°伸展位)を設け,その角度を5 秒間保持したのちその角度を再現させた.そして再現した角度と,設定角度からのずれ角度を求めた.DPNのある群で再現角度,ずれ角ともに設定角度からの隔たりが大きい傾向がみられたが,統計学的有意差は認められなかった.DPNの症状として関節位置覚異常の傾向が示唆された.今後,関節位置感覚はDPNの検査として使用できる可能性があるため,関節位覚異常と糖尿病の罹病期間やDPNの障害程度などを調査する必要がある.
  • 熊谷 匡紘, 重島 晃史, 岩崎 史明, 山本 祥, 大倉 三洋
    2026 年3 巻 p. 40-45
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/22
    ジャーナル フリー
    海外では子どもを対象とした握力測定の信頼性や自閉スペクトラム症を有する児童(以下,ASD児)の握力特性が報告されているが,本邦ではASD児における検証はほとんどない.ASD児では運動の協調性や模倣の困難,注意の持続や目的理解の難しさから,測定に集中しにくいことが指摘されている.そこで,本研究ではASD児が測定課題の目的を理解しやすく見通しをもって取り組めるように,視覚支援を導入した握力測定を考案し,その信頼性を検証することを目的とした.対象はASD児13名(8.5±1.7歳)で,ASD単独9 名,ASDと他の神経発達症併存4 名であった.スメドレー式握力計を使用し,2 名の検者がそれぞれ独立して測定した.測定時には目標値(2.5kg,5 kg,10kg)に動物シールを貼付し,針の動きを視覚的に提示して動機づけを図った.練習で手順理解を確認後,左右2 回ずつ交互に最大努力で測定を行った.測定後には測定値を提示し目標値に達した場合は称賛した.検者間信頼性の検討には相対信頼性として級内相関係数(ICC (2,1)),絶対信頼性としてBland-Altman分析による系統誤差および測定の標準誤差,最小可検変化量を用いた.握力の平均値(SD)は検者1 ,検者2 の順に12.3(3.2)kg,12.5(2.9)kgで有意差を認めなかった.ICC=0.98(95%CI=0.93-0.99)で優れた信頼性を示し,MDCは1.2kgであった.Bland-Altman分析では固定誤差・比例誤差ともに認められなかった(P>0.05).ASD児に対する視覚支援を用いた握力測定法は優れた信頼性を示した.測定前の見通し提示や視覚的動機づけが集中の維持と測定理解に寄与したと考えられた.今後は大規模な対象者数や心理的・環境的要因の統制を設定した検討が課題である.
  • 笹村 聡, 篠田 かおり, 有光 一樹
    2026 年3 巻 p. 46-53
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,作業療法養成課程の1年次生32名を対象に,協働学習型プログラムが自己効力感および作業療法に対する認識に与える影響を探索的に検討した.介入前後の自己効力感尺度であるGeneral Self-Efficacy Scale得点と「作業療法とは何か」に関する自由記述文を収集し,テキストマイニングにより認識変化を可視化した.結果,General Self-Efficacy Scale合計得点と行動の積極性得点が有意に向上し,自由記述は「訓練・道具中心の方法論的理解」から「対象者と一緒に考える協働的支援」へ語の特徴と共起構造が変化した.これらのことから,作業療法の複雑性に伴う認識の困難さとストレスの高さに対し,学生自身が作業療法とはなにかを探索し,協同学習を行うプログラムが自己効力感を向上させ,作業療法に対する認識を変える可能性があり,教育的介入の有効性が示唆された.本研究は,単群前後比較のため,今後は対照群を設けた研究が必要である.
  • 有光 一樹, 金久 雅史, 杉本 徹, 田所 真也, 岡野 真也, 公文 康輔, 田村 果南
    2026 年3 巻 p. 54-59
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/19
    ジャーナル フリー
    地域の集いの場においては,フレイル予防を目的とした種々の身体運動が実施されている.その中で足関節の背屈運動は多く実施され,その方法としては立位で椅子の背もたれなどにつかまり両側同時に10秒程度背屈運動を行う形式が多い.筆者らは,高知県における短期集中型フレイル予防総合プログラム(ハツラッツ)に参画しており,そこでも同様の方法で足関節背屈運動が実践されていた.しかし,従来の方法では背屈運動を行うと同時に股関節の屈曲が生じやすく,背屈に対して十分な効果が発揮できていない可能性が示唆された.そこで,今回ハツラッツに参加している者を対象に,予備調査結果から得られた股関節30度屈曲位で片足ずつ背屈運動を行う形式を取り入れ,住民主体で2 か月間実施した.その結果,足関節背屈角度および背屈筋力ともに有意な向上を示した.今回提案した背屈運動方法は,開始肢位を股関節屈曲位30度で実施することによって,股関節屈曲の代償動作が軽減したこと,また下腿が足底面に対して鈍角を成す姿勢によって足関節の関節腔が拡大したことによって運動時の背屈可動域が拡大したと考えられる.運動時における背屈可動域の拡大は,背屈運動に対する拮抗筋の抵抗量を増加させ,筋力向上にもつながったと考えられた.今後,中山間地域は,リハビリテーション専門職が減少していく状況にあり,住民同士でフレイル予防を実践していく必要がある.今回の足関節背屈運動のように,住民同士でも効果的に取り組める運動方法を検討していく必要性がさらに高まっていくと考えられる.
  • ジョブ・サポート・センターの取り組み
    有光 一樹, 金久 雅史, 足立 一, 辻 美和, 篠田 かおり
    2026 年3 巻 p. 60-65
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/21
    ジャーナル フリー
    近年,少子高齢化の影響を受け高知県の各市町村は,地域の活性化が減少し,本学が所在する高知県土佐市においても同様に減少となっている.高知リハビリテーション専門職大学作業療法学専攻は,土佐市の実情を踏まえ地域共生社会の実現を目指すためジョブ・サポート・センターを創設した.ジョブ・サポート・センターは,作業療法士が考える地域共生社会であり,子どもから大学生,高齢者,障害のある人まで,幅広い世代が「ジョブ(仕事)」をテーマに無理なく社会参加が実現できる場を提供することにある.ジョブ・サポート・センターの活動内容は,子供向けのゲームや高齢者が育てる野菜販売や施設入所者たちが作成するエコバッグの活用,自由作品の販売,軽食などの販売である.今回,2024年度の1 年間を通して実践した結果,来場者が徐々に100名を超えるようになり,地域の活性化につながる活動となった.ジョブ・サポート・センターの活動は,大学生,高齢者や施設入所者といった多様な人たちの社会参加が実現され,主体性のある生活の一助となった.今後も継続して「仕事」を通した社会参加の機会を提供し続けることを目指していく.
  • 片山 訓博, 稲岡 忠勝, 平賀 康嗣, 明﨑 禎輝, 辻 博明
    2026 年3 巻 p. 66-73
    発行日: 2026/03/30
    公開日: 2026/08/21
    ジャーナル フリー
    現在,体幹や上肢の筋力評価は高価な専用機器を必要とすることが多く,日常生活動作に即した立位での動的な評価も十分に行われていない.実生活に近い状況で,簡便かつ詳細に身体機能を評価できる手法の確立が喫緊の課題となっている.高価な機器に頼らず,デジタルラチェットレンチと足部荷重測定機器を組み合わせた新規評価方法を提案する.上肢が力を発揮する際の体幹の安定性と出力の因果関係を解明し,身体機能評価における新たなエビデンスを構築することを目的とする.被験者の立位において,デジタルラチェットレンチによる体幹回旋トルクと,足部荷重測定機器による重心移動(COP)を同時計測する.本研究では,重心軌跡を「目的とする動作を遂行するために,中枢神経系が姿勢調節機能を活用し,支持基底面内で重心をどのようにマネジメントしたかというプロセス」と定義し,その動的な制御戦略を詳細に分析する. 予備実験の結果,体幹回旋運動時のトルク値として最大14.9 N・mを計測し,本手法による定量的なデータ取得が可能であることを確認した.現在はトルク値,上肢筋力,および重心軌跡の相関について,具体的な評価指標の策定に向けた分析を進めている.本研究の成果は,多岐にわたる分野への貢献が期待される.産業保健分野では作業負荷の定量的評価を通じた労働災害の予防や生産性向上に寄与し,リハビリテーションやスポーツ科学分野では,慢性腰痛患者やアスリートへの個別化された介入プログラムの立案を可能にする.特に重心軌跡の解析から得られる知見は,片麻痺,パーキンソン病,プッシャー症候群,半側空間無視といった疾患に伴う姿勢制御障害に対し,病態生理に即した新たな訓練手法を確立する一助となることが期待される.
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