放射線防護分科会会誌
Online ISSN : 2432-6526
Print ISSN : 1345-3246
14 巻
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  • 原稿種別: 表紙
    2002 年 14 巻 p. Cover1-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2002 年 14 巻 p. Cover2-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 原稿種別: 付録等
    2002 年 14 巻 p. App1-_1_
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 穴井 重男
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 2-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 西谷 弘
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 3-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 大和谷 淑子
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 4-5
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 角辻 暁
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 6-8
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 水谷 宏
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 9-11
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 菊地 透
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 12-13
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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  • 赤木 憲明, 大川 義弘, 北山 卓一, 大野 誠一郎, 小林 久員, 山下 栄二郎, 延原 栄太朗, 森岡 泰樹
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 14-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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    【目的】マルチスライスCTにおいて,撮影スライス厚とヘリカルピッチの違いにより線量プロファイルがどのように変化するかをフィルム法を用いて測定したので報告する.【使用機器と方法】マルチスライスCTはAquilion Multi(TOSHIBA)を使用し120kV,50mAs,FOV32cmの条件で,ビーム幅の約14倍の撮影範囲をスキャンした.20cmφ×15cmのアクリル製円柱ファントムの中心と,12時方向の表面下1cmの測定用ホールに,半円柱状に加工した自作アクリルファントム(1cmφ×20cm)の間に幅1cmの短冊状に切った診断用X線フィルムUR-2(FUJI FILM)を挟んで装填し,撮影スライス厚(Raw thickness)を0.5mm,1mm,2mm,3mm,ヘリカルピッチを2.5,3.5,4.5,5.5とそれぞれ変化させ試料を得た.その試料の濃度分布を水ファントム/フィルム線量分布測定システムDYNASCAN(CMS)のModel 1710 Laser Densitometerを使用し0.25mm間隔で測定した.また,X線撮影装置KXO-50G(TOSHIBA)を使用し,Aquilionの線質とほぼ等しい46keVとなるように0.038mmのCu付加フィルターを加え線量-濃度曲線を求め,線量変換を行なった.【結果と考察】測定位置とヘリカルピッチの違いによる線量プロファイルの形状は,ファントム中心ではなめらかな単峰性の山形を示したが,表面下1cmでは凹凸の形状を示した.今回の測定パラメーターでは,いずれの場合も中心より表面下1cmの方が高い線量となった.Fig.1は12時方向の表面下1cmの測定位置において撮影スライス厚1mmで,ヘリカルピッチを変化させた線量プロファイルである.ピッチが小さいほど線量が多くなった.山の部分で比べるとヘリカルピッチ2.5では,5.5の約2倍の線量になった.Fig.2は同じく12時方向の表面下1cmの測定位置においてヘリカルピッチ3.5で,撮影スライス厚を変化させた線量プロファイルである.撮影範囲の違いによりプロファイルの広がりは異なるが,撮影スライス厚が薄いほど線量が多くなった.撮影スライス厚0.5mmでは,3mmの約1.6倍の線量になった.今回測定した32種類のパラメーターの組み合わせでは,表面下1cmでの最小線量は撮影スライス厚3mm,ヘリカルピッチ5.5で6.84mGy,また最大線量は0.5mm,2.5で29.2mGyで約4.4倍の差があった(Fig.3).今回行なったフィルム法を用いた被曝線量測定の利点としては,DYNASCANを用いることにより比較的簡便にしかも0.25mm間隔の高分解能で線量プロファイルを測定することができた.そしてCTにおける被曝線量を,他のX線検査と同様に撮影領域のある1点のX線量として評価することができた.また問題点としては,アクリルファントム中での線質の変化を加味していないことや線量-濃度曲線を求める段階で,半価層により評価した実効エネルギーをAquilionとほぼ等しくしたX線撮影装置で代用して求めたこと等があるが,これらについては今後検討する必要がある.【まとめ】1.フィルム法による線量測定は分解能に優れ,比較的簡便であり,マルチスライスCTの線量プロファイルの測定において有用である.2.マルチスライスCTでは撮影スライス厚,ヘリカルピッチの組み合わせにより被曝線量が変化する.薄い撮影スライス厚と小さいヘリカルピッチを使用する場合には被曝線量が増加するので,各装置の線量プロファイルの特性を理解しスキャンパラメータの選択を行なうことが必要である.[figure][figure][figure]
  • 松村 直樹, 氏田 浩一, 木藤 善浩, 高橋 昇, 久保田 博, 小山 一郎
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 15-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    目的 当院では透視機能を有したCT装置の導入に伴い、CT透視下IVRを施行している。しかし、難易度の高い症例および検査を施行する場合、透視時間が長時間化し、放射線業務従事者以外の介助者が必要となる。その結果、医師をはじめとする放射線業務従事者と介助者の被曝が問題となる。今回我々は、CT透視下における散乱線分布を再確認し、術者および介助者の被曝線量を低減させる方法について検討した。 使用機器 CT装置Hispeed Advantage SG GE社製放射線モニター Model 90X5-60 60cc chamber RADCAL社製水ファントム 方法 ガントリー中央部にファントムヲ置き10、30、50、70、90、110cmの地点でそれぞれ±0℃、±30°、±45°±60°方向の散乱線を測定した。また、散乱線を減少させる遮蔽物とし、ファントムに鉛エプロンを被せた場合においても同様に測定した。透視条件120kV 10mA スライス厚5mm 140kV 10mA スライス厚 5mm 結果 [graph]結語 結果から術者の被曝は50%以上軽減した。CT透視下での医師、放射線業務従事者および介助者の被曝線量を低減させる方法として、鉛エプロンで被検者を被う事が有効であった。また、散乱線の多い場所を再確認することで、さらに被曝線量が低減できる。今後も検討を行ない、さらなる被爆軽減に努めたい。
  • 小酒部 洋和, 菊池 裕子, 小松 加奈子, 佐藤 夏子
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 16-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【背景】MDCTの登場で心電図同期再構成が可能になり、冠動脈のCTアンギオ(以下Coronary CTA)に利用されている。このときすべての心位相を収集するため、スキャンピッチは1.5になり、患者への被曝は通常のスキャンに比べ増加する。そこで我々は、Coronary CTAにおいて被曝を低減するECG-Pulsing法(Cardio CARE)を開発し、シミュレーションで被曝低減の検討したので報告する。【方法】Coronary CTAでは心時相の拡張期のデータを使用し画像再構成を行っている。この場合、拡張期以外の時相のデータは再構成には使われない。ECG-Pulsing法では、拡張期以外の時相の管電流を設定管電流の約20%まで下げる。拡張期に相当する時相の設定管電流の100%で行い400msの時間の幅を持たしている。撮影はSiemens社製SOMATOM Volume Zoomを使用し、撮影条件は120kv、300mAs、コリメーション4×1mm、スキャンピッチ1.5で、100mmの範囲を訳33秒でスキャンを行う。このときの心拍数は70に設定した。被曝のシミュレーションはWin Doseを使用して行った。【結果】ECG Pulsingを施行した場合と、しない場合の線量を比較した結果、約3割線量が低減できた。また、心拍数が上がるにつれて低減率は下がった。これは100%の管電流使用する時間を400msに固定しているためと考えられる。[graph]
  • 名古 安伸, 高木 正人, 池田 郁夫, 池崎 廣海
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 17-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】ガラス線量計小型素子システムDose Aceについて、定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery:以下SRS)に用いるナロービーム線量測定を検討する。 【使用機器】 ・直線加速器:PRIMUS(東芝)10MV X-ray ・ガラス線量計小型素子システムDose Ace(旭テクノグラス株式会社)超小型ガラス素子(GD301)1.5φ×8.5mm 読取マガジン:standerad(標準付属品:FGD-M101),小照射野用(オリジナル:以下SRS用とする) ・ダイオード(EDD-2)、・0.6ccチャンバー(c-110)、・タフウォータファントム、・ミニファントム 【方法】 SRS線量計算に必要となる全散乱係数(Sc,p)、およびコリメータ散乱係数(Sc)の測定をガラス素子で可能か、否かの検討を行った。照射野は、5×5cm^2、10×10cm^2および0.6〜4.2cmφの7種類のSRSコーンで、合計9種類で測定した。ガラス素子の読み取りはDose Aceで行い、読み取りマガジンはstanderadマガジンとSRS用マガジンで行い、両者の比較も行った。以下にSc,pおよびSc測定の固有のパラメータを示す。1.Sc,P測定;ファントム中の測定深は2.5、5.0および10cmとし、線源検出器間距離(SCD)を100cmとした。2.Sc測定;SCDはガラス素子が0.6cmφの照射野で完全に含まれるよう直線加速器を270°にし、3mとした。Sc測定はビルドアップまたはミニファンドム中で行われることから、ガラス素子が測定できるようなミニファントムを作成し、深さを2.5cmとした。ガラス素子の測定値の検証には、ダイオード(EDD-2)、0.6ccチャンバー(c-110)をそれぞれ用いた。 [結果,考察] 測定深2.5cmでのSc,pの結果をFig.1に示す。ガラス素子によるSc,p測定値は、0.9cmφ以上においてstanderadマガジンおよびSRS用マガジン共にダイオード値と比較して変動係数で1.8%以内であった。しかし、0.6cmφの変動係数はstanderadマガジンで13.4%、SRS用マガジンで2.6%の差を示した。測定深5cmでのSc,pの結果をFig.2、測定深10cmでのSc,pの結果をFig.3にそれぞれ示す。測定深について見るとガラス素子とダイオードの測定値の差は深くなるにしたがい大きくなる。SRS用マガジンにおける0.6cmφでは、測定深2.5cmで2.6%の差であるが、測定深10cmでは5%にもなる。standeradマガジンでは、測定深2.5cmにおいて1.2cmφで2%となった。このことから、深さ方向にも注意しながら測定しなければならない。Scの結果をFig.4に示す。c-110とガラス素子では0.6cmφで10%、0.9cmφ以上では3%の差が見られる。これはミニファントムの影響ではないかと考えられる。 【結語】 ナロービーム線量測定におけるSc,pをガラス素子で測定する場合、ファントム深はピーク深の方が実用的である。また、読み取りマガジンをSRS用マガジンを使用することで、0.9cmφ以上の照射野において誤差を2%以下におさえられる。[figure][figure][figure][figure]
  • 山内 光利, 富永 孝宏, 中村 修
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 18-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】 MD-55の被曝線量測定は、一般に専用の光学的濃度測定ユニット(波長671nm使用)を用いて求めるが,広範囲の濃度分布を一度に測定できないことなどから,本稿では汎用イメージスキャナを用いてスキャンし,MD-55の光学的濃度を画像ピクセル値に変換後にその値と被曝線量との関係を検討した. 【MD-55の基本性質】・光の波長671nm付近に吸収ピークを持ち,その波長を用いた光学濃度測定値のレスポンスが高い.・短時間ならば,適当に明るい場所に於いて取り扱いが可能.・フェーディングやカブリが少ない・2Gy付近から数十Gyまで使用可能である.・照射後,安定した濃度値を得るまでに十数時間以上待つ必要がある. 【方法】本学に設置してある三菱製リニアック(6MV X線)を用いて,照射野10×10cm,SAD=100cmの条件でMD-55に照射した.またそれぞれの照射条件下での被曝線量の校正にはJARP型線量計を用いた.次に,光学濃度測定器としてコニカ光学濃度計PDA-65を用い,EPSONイメージスキャナGT-9500で読み取ったピクセル値との相関関係を調査した.(今回の測定に関しては,照射後24時間経過して各測定を行った.) 検証項目として,(1)「イメージスキャナ読み取り時の透過光と反射光による違いについて」(2)「線量率の違いにおけるMD-55の光学的濃度と平均ピクセル値との関係」(3)「イメージスキャナ読み取り時の解像度の違いによる影響」(4)「スキャナ読み取り時のROIの大きさとその平均ピクセル値との関係」画像解析ソフトは,インターネット上にてフリーに入手できるScion imageを用いた. 【結果】(1)MD-55のスキャナでの読み取りは,透過露光ユニットを用いるのが適当である.線量に対するピクセル値との関係はグラフが一様に上昇していくこと確認される.(図1)(2)リニアック出力の線量率を変化させ,それぞれ1000MU照射した.リニアック出力の線量率には殆ど影響を受けていないことが確認される.(図2)(3)解像度の違いによる差異は殆ど見られない(図3)(4)マウスを用いて矩形ROIを設定し,その平均ピクセル値を測定した.低線量域から高線量域まで,ROIの大きさによる影響は殆どないこと確認される.(図4)【考察・結語】汎用イメージスキャナを用いても,透過露光スキャンで読み取ったピクセル値を調べることにより,MD-55の被曝線量を測定することが可能ではないだろうかただし,絶対測定が可能であるかに関しては,スキャン時にスキャナ本体で任意に256階調に変換されてしまう影響や,またスキャナCCDの安定性の問題などが挙げられる.[figure][figure][figure][figure]
  • 安友 基勝, 勘野 博明, 福居 壽人, 富永 正英, 八木 浩史
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 19-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】被検者の皮膚表面位置での線量分布の測定を目的として,フィルムを検出器として用いた測定法を提案する。さらに提案手法による測定結果を線量計による測定結果と比較し,測定精度ならびに本法の有用性について検討する。【使用機器】フィルム:UR-2,自動現像機:SRX-503,CT装置:Hi Speed Fx/i,濃度計:PDM-7,ファントム:JIS Z4915-1973,線量計:RAMTEC 1000【基礎的検討】管電圧120keVにて42keVから60keVまでX線の実効エネルギーを変化させると,フィルムの感度は約1.5倍になるが,特性曲線の形状は全く変化しないことが確認される(Fig.1)。一方,フィルム面に対するX線の入射方向による感度変化はほとんどなく(Fig.2)0度から8度付近までの感度低下は全体の1.5%程度であった。よって,フィルムを検出器として用いる場合,銀粒子という微小な検出器の集合体として取り扱うことが出来る。これらの特性を用いて,CT検査時の患者の皮膚入射面の線量測定を比較的正確に測定する事が可能である。【測定手順】(1)CT装置の線質を測定する。(2)ファントムにフィルムを巻きつけ,スキャンを行う。(3)CT装置の線質にて,既知の線量で露光されたコントロールフィルムと,スキャンされたフィルムを同時現像する。(4)コントロールフィルムのデータにより,スキャンされたフィルムの濃度データを照射線量データに変換し,さらにCT装置の線質により水の吸収線量に変換し,表面線量分布を得る(Fig.3)。【結果】ファントム表面の線量分布の測定結果をFig.4に示す。グラフ横軸は体軸方向の距離を表している。櫛形に変化する線量分布の『山の部分』が,X線が入射した位置で,『谷の部分』がスキャンの間隙に相当する。さらに測定された線量分布の平均値と,同一部位での線量計による測定結果を比較すると,2本の実線はよく似た値になった。このことは,フィルムを用いた線量測定の精度が良好であることを示してるものと考える。[figure][figure][figure][figure]
  • 富永 正英, 福居 壽人, 安友 基勝, 勘野 博明, 八木 浩史
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 20-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】CT装置は各社画像再構成法及び,X線照射・検出器系に独自のシステムを採用している。そのために同じ撮影条件下でも装置が異なれば患者に照射される線量がことなる可能性がある。そこで調査対象の6装置について,ファントム表面位置での線量分布と画質の関係について検討したので報告する。 【使用機器】<フィルム:UR-2><線量計:Ramtec1000><ファントム:JIS Z4915-1973><濃度計:PDM-7><Chamber:PTW_N23361(30cc),PTW_77336(CT chamber)><自動現像機:SRX-503(現像条件:35℃,90秒)>Table1に,使用したCT装置並びにプロトコルを示す。【方法】まず各装置の電圧を腹部を撮影する条件の管電圧で実効エネルギーを測定する。次に水ファントムにフィルムを巻き付けて10cmの範囲のスキャンを行い表面位置での線量分布を求める資料を作成する。各装置でX線露光されたフィルムは線量が既知のX線で基準露光されたコントロールフィルムと同時に現像を行い,現像されたフィルムより線量分布を第一報で提案した手法用いて求める。一方,スキャンされたファントム画像より中心付近の2000ピクセルのROIを設定して標準偏差を求める。『画質指標』を標準偏差の2乗の逆数と定義し,「画質指標」と線量の関係について検討する。【結果】管電流と線量はほぼ直線関係が認められた(Fig.1)。各装置ごとに線量分布の形態が異なった。とりわけ,スキャン間隙に違いが見られた(Fig.2)。Table2に示すように,大きな差を示したものは装置AとFで,最も小さいものは装置Dであった。線量の一番多かった装置Eと線量の一番小さかったDとの差は24.8であった。線量と画質指標は比例の関係にあった(Fig.3)。またその比例係数は装置ごとに固有の値を持つことが認められた。【考察】今回我々は、『画質指標』を水画像の標準偏差の2乗の逆数と定義し、「線量」との関係を検討した。その結果ファントム表面位置での線量と画質指標の関係は比例関係が実験より求められた。言い換えると、表面線量分布より求められた線量すなわち被験者の被曝線量と標準偏差で表現された「ノイズ」の関係は,「ノイズ」の2乗と反比例の関係を表している。このことは、画像再構成というプロセスを経由して得られたCT画像と患者被曝線量との関係を表現するものであり,このときの比例計数は被曝と画質を論じる手がかりとして評価できるものと考えている。[table][table][figure][figure][figure]
  • 福居 壽人, 富永 正英, 安友 基勝, 勘野 博明, 八木 浩史
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 21-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】基礎実験において患者にフィルムを巻いたことにより,CT値の変化は臨床画像に影響される様な変化はなく,またフィルムを透過した際でのX線の減弱率は約2%程度であった。以上のことより,第1報で提案した手法によって、臨床検査時での患者表面線量分布の測定が可能である。よって提案手法により,臨床での測定結果を検討し、有効性について考察する。【撮影プロトコル】SDCT装置I:120kV/80mA,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot SDCT装置II:120kV/250mA,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot,2回螺旋スキャン SDCT装置III:120kV/オートmA機能,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot,MDCT装置I:120kV/370mA,0.75cmスライス,0.8sec/rot,1.5cm/rot,3ピッチ【結果】・表面線量分布は、最高値が最低値の約1.7倍の値となった。・管球の高容量化による管電流(mA)の差により、患者皮膚面での被曝線量に差が出た。・オートmA機能は、被曝線量低減の観点から、有用な手法であるといえる。〔以上Fig 1より〕・MDCTとSDCTの患者の表面線量分布の形態は異なった。・患者皮膚面における微小領域に着目すると、SDCTよりもはるかに被曝が多い領域が確認された。〔以上Fig 2より〕【考察】被検者の皮膚表面位置での線量分布を測定することを目的に検討を行ってきたが、撮影条件に(SDCTとMDCTとオートmA)よって線量分布が異なった。同一の撮影条件においても、被検者の体厚によって線量分布が異なる事が確認された。〔Fig3〕また、同一の撮影条件において検査されたほぼ同じ体厚での、胸部の検査時の表面線量は、腹部の値と異なった。〔Fig3〕この事より、被曝線量の指標として用いられているCTDI値が同じでも、被検者の体厚や検査部位が異なれば、被検者の被曝が異なる。よって、本手法のような検査時の被曝を直接測定できる手法が患者被曝の測定という観点からは非常に有効であると考える。[figure][figure][figure]
  • 佐藤 ふじ子, 宇佐美 公男, 山田 浩司, 浅井 義行, 宮田 嘉枝子, 倉又 雄一, 中西 順子, 喜多 香由子, 若江 祐子, 本田 ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 22-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    [目的]CT検査の被曝線量測定については、一般撮影系とは違ったX線の入射過程やヘリカルピッチに関係した線量分布の不均一性など測定上問題となることが多く、患者被曝評価を困難にしている。また、使用する測定器(CT用チェンバやTLDなど)によっても測定値が違い、各施設それぞれの方法で被曝評価を行っているのが現状と思われる。今回、CT用チェンバ(10cm長)とTLDを用いファントム実験での測定値を検討し、患者被曝を測定するための基礎的検討をおこなった。〔方法〕CT装置東芝Aquilionを使用し、直径20cmのアクリルファントムにCT用チェンバ(PC-4P:キャピンテック)とTLD(UD-170L)を挿入して、スライス厚1mm、3mm、5mmでそれぞれヘリカルピッチ3、4.5、5.5と変化させ測定を行った。この際、TLDによる測定は素子をPC-4Pのアクリル外套内に挿入しPC-4Pによる測定と同一条件下で行った。比較した測定値はTLD各素子から求めた平均吸収線量とPC-4Pの測定値を電離長で除した値から求めた照射線量を吸収線量に変換した値を使用した。また、TLDによる測定では平均吸収線量からの線量値の変動も測定した。【結果・考察】1.各TLDの測定で得た結果は各素子の平均値から約±12%でばらついた。これは各素子のもつ誤差とCTの線量プロフィールに由来した結果と考える。(Fig.1 ヘリカルピッチ3の場合を示す)2.線量分布の不均一性についてはファントム表面でのCR画像から得た視覚的な線量差ほど測定値に差が感じられなかった。これは測定位置がファントム中心であったためと考えるが、更に検討が必要である。(FiG.2) 3.CT用チェンバとTLD測定値の比が1.08倍となる要因として線量計の形状から生じる散乱線の測定範囲の違いが考えられる。また、測定する位置により両者の比率が変化することが考えられる。(Fig.3) 4.ファントム内の線量測定値が測定位置により約17%変化することより被曝線量の測定位置を決定することは問題の一つとなる。(Fig.4) 【結語】CTの線量の不均一性を考慮し、TLD測定値から得た平均線量はCT用チェンバの測定値の結果などから患者被曝線量を評価する上での指標となりうると考える。[figure][figure][figure][figure]
  • 小林 謙一, 佐藤 眞爾, 豊田 昭博, 吉見 聡, 片岡 由美, 中井 敏昭, 井田 義宏, 浅田 恭生, 鈴木 昇一
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 23-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    マルチスライスCT(MSCT)の導入で,広範囲の撮影が1回のスキャンで可能となった.しかしX線吸収の高い部位の線量で全ての範囲が撮影されるため,シングルスライスヘリカルCT(SSCT)より被ばく線量が増加傾向にあるといわれている.今回,東芝Aquilionにて可変管電流制御システム(Real-EC:Real Exposure control)が実用化となり,X線吸収に応じて線量を変化させることが可能となった.われわれは,最も被ばく低減が期待できる胸部について,被ばく線量低減効果を評価した. 使用機器 TOSHIBA製CT装置 Aquilion(4DAS),電離箱線量計 Radcal製 model 9015 指頭型チェンバー10×5-10.3CT(3cc), TLD Kyokko MSO-S288本 ランドファントム Alderson 方法 1.DLPによる線量比較 ICRPの概念に遵守し,トレーサビリティのとれた線量計を用い,アクリル製円筒形ファントムの回転中心線量および表面下1cmの線量を測定し,臨床例(31例)についてDLP(Dose-length product)を算出した. 2.TLDによる線量比較 1本ずつ使用線質での校正定数を求めたTLDをランドファントム内に挿入し,Real-EC使用の有無におけるTLDの読み値に校正定数を乗じ,ファントム内の吸収線量を算出した.3.臨床画像の比較 同一患者でReal-EC使用の有無における臨床画像を比較した. 結果 各撮影条件における31症例のDLPは,Real-EC未使用時に平均値でSSCTより37%増加し,Real-ECの使用でSSCTより15%低減した(Fig.1).ランドファントム撮影時の線量低減率はDLPとTLDの値で同等の低減率であった(Table 1).臨床画像を比較すると,縦隔レベルでは半分以下の線量となったが,画像ノイズは一定で,診断上問題ない画質であると判断された. 考察 臨床例(31例)についてDLPの変化を確認することができた.撮影条件によるDLPの差は平均撮影管電流の変化に比例したものであった.TLDの測定における線量低減率は撮影管電流の変化を反映したものであり,DLP値も平均撮影管電流の変化に比例しているため,両者は同等な低減率となったと考えられた.DLPおよびTLDどちらの線量評価においても,Real-ECの被ばく低減効果の有意性を確認することができた.まとめ マルチスライスCTの導入で,広範囲短時間撮影が可能となったが,シングルスライスヘリカルCTと比較し,被ばく線量は増加した.しかしReal-ECを使用することにより,画質を維持しつつ患者被ばくの低減が可能となり,有用性が認められた.[figure][table]
  • 北村 怜子, 猿渡 理恵, 八木 浩史
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 24-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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    【目的】品質管理は決められた方法で行うべきであるが,マニュアルを厳守するあまり,品質管理を行うことが面倒なこともある.そこで,本研究は乳房撮影装置の線質測定時,すなわち半価層測定時の電離箱の設置誤差許容範囲および計算方法の違いによる誤差を知ることによって,半価層測定時の煩雑さを軽減することを目的に行った.【実験方法】(1)ヒール効果の影響は,電離箱を管軸方向で移動させて調べる.(2)前方散乱の影響は,電離箱と圧迫板(吸収板)との距離を変えて調べる.(3)空気吸収の影響は,電離箱をX線管焦点に近づけて調べる.(4)計算方法の違いの影響は,マニュアル(技術学会叢書14-2)通りの計算方法(対数補間)と直線補間による計算方法を比較する.【結果】結果のグラフを下記に示す.縦軸はマニュアル通りに求めた半価層値を基準としている.(1)ヒール効果の影響は,電離箱を基準位置から約4cm陽極側へ移動すると現れる(図1).(2)前方散乱の影響は,電離箱と圧迫板との距離が約10cm以上になると無視できる(図2).(3)空気吸収の影響は無視できる(図3).(4)マニュアル通りに半価層値に極めて近いアルミニウム厚を使用したときの測定値を用いると,直線補間を行っても対数補間と同じ半価層値がえられる(図4).(5)最初の測定に使用する0.1mmアルミニウム厚と必ず半価層値を越える0.5mmアルミニウム厚を使用した測定値を用いても対数補間を行うならば,品質管理に問題はない.(6)(5)と同じ測定値を用いて直線補間を行うことには問題がある.【まとめ】研究結果の数値は撮影装置によって異なると思われるが,次のようにまとめることができる.(1)電離箱の設置はマニュアルにしたがってmm単位まで合わせる必要はない.(2)空気吸収の影響は無視できるので,圧迫板等からの散乱線を考慮しながら電離箱をX線管焦点に近づけることができるので,撮影装置のX線管負荷を軽減できる.(3)マニュアル通りに半価層値に極めて近いアルミニウム厚の測定値を用いて計算するならば,対数補間でも直線補間でも同じ値が得られる.(4)対数補間で計算するならば,0.1mm厚と0.5mm厚のアルミニウムを用いた測定値を使用しても品質管理には大きな問題とならない.[figure][figure][figure][figure]
  • 都築 雄士, 亀島 英典, 小林 正尚, 藪谷 俊峰, 鈴木 昇一
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 25-26
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】放射線治療装置のモニタ線量計の校正は、日本放射線技術学会「放射線治療技術マニュアル」で週1回行うように定められている。しかし、校正を行うには多くの煩雑な計算が必要となる。現在、計算可能なソフトは市販されているが、過去のデータとの比較は困難であった。今回、計算可能で且つ過去のデータとの比較も可能なソフトを構築した。【方法】1.モニタ線量計の校正方法は、日本医学放射線学会物理部会編「放射線治療における高エネルギーX線及び電子線の吸収線量の標準測定法」に従った。2.吸収線量変換係数等は、前もって求めておいたTPR法によりエネルギーを求めその値から算出した。3.電離箱の校正は、年1回行われるトレーサビリティのとれた線量計との相互比較で得られたものを使用した。4.イオン収集効率(P_<ion>)は簡便法により求めたものを使用した。5.以上得られた測定値を保存できるようにソフトをVisual Basic 6.0(MicroSoft社)で構築した。【ソフトの内容(図1)】[figure]次の7項目について測定することができる。1.吸収線量の測定 2.エネルギーの算出 3.イオン再結合補正係数(P_<ion>)の算出 4.実効制限衝突質量阻止能比 5.吸収線量変換係数を求める際のAc,Awの算出 6.電子線のエネルギー校正 7.深部量百分率 【吸収線量の測定】[figure][figure][figure]すべての測定結果は、図2のように自動的にまとめることができる。そして、『吸収線量測定』を押すと、各項目の値がそれぞれ入力され、線量計の値を入力するだけで吸収線量を求めることができる(図3)。求めた吸収線量は表にまとめ、次回、誤差[%]を測定することができる(図4)。【結果及び考察】1.今回構築した方法は、煩雑な計算部分を簡便に且つ自動的に処理するもので、モニタ線量計の校正時に役に立つ。2.測定したデータの保存と、今までのソフトでは困難であった過去のデータとの比較をし、誤差[%]を測定することができる。3.基礎データの確認も表やグラフにより可能である。4.日常点検の際に、過去のデータとの比較ができることにより、過大線量や過小線量の投与等の大きなミスを軽減できる。【参考文献】1.放射線治療における高エネルギーX線及び電子線の吸収線量の標準測定法(日本医学放射線学会物理部会編):通商産業研究社 2.放射線治療技術マニュアル:日本放射線技術学会,1998年3月
  • 能登 公也, 中村 康隆, 徳倉 正人, 浅田 恭生, 鈴木 昇一, 藤井 茂久
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 27-28
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    [目的] 実効線量の概念は、被ばくによる確率的影響のリスクを、全身すなわちすべての臓器・組織の等価線量の総和で考えている。しかし、一般撮影による被ばくは不均等被ばくである。さらに線量評価は入射表面線量(最大点)で行われている。今回、胸部撮影における実効線量の評価について検討した。[方法] 1.トレーサビリティーのとれた電離箱線量計(RADCAL Model9015 6cc 指頭型)によりTLD(KYOKKO MSO-S)素子を使用管電圧125kV(40.05keV)で校正した。2.人体等価ファントム(ARDERSON RAND Phantom)内、前後体表面にTLD素子(180本)を装着した。3.管電圧 125kV 管電流 200mA 撮影時間 0.1sec SID200cm 照射野サイズ 14×14inch 後前位方向の撮影条件で20回照射を行った。同様の実験を3回実施した。4.測定値から各臓器の等価線量を求め、実効線量を推定した。5.電離箱線量計を用いて入射表面線量を求め、不均等被ばく評価法により実効線量を算出しTLDにより求めた値と比較した。[結果] 1照射野中心部における入射表面から射出面までの距離と線量の関係を図1に示した。肺野内、縦隔部の線量はともにほぼ直線的に減少し、入射表面側に対し、中心部で約1/2、射出面倒で約1/10となった。この関係は、肺尖部、肺下部でも同じであった。[figure]第3頚椎からの距離と肺野中心部の線量の関係を図2に示した。肺尖部から肺下部において、肺野中心部線量は左右の肺ともに平均0.06mGyとなり、肺の吸収線量の代表値とした。同様に他の臓器の吸収線量を決定した。臓器・組織の組織荷重係数は胸部撮影に含まれる割合を考慮し決定した。実効線量は0.0145mSvとなった。乳房を含めた女性の実効線量は0.0150mSvとなり、男性の場合とほぼ同じであった。表1に計算値と測定値における実効線量の比較を示した。入射表面線量に対し、実効線量は約1/10となった。また、TLDにより測定した実効線量は不均等被ばく評価法により計算した値の約1/3となった。[figure]【表.1計算値と測定値による実効線量の比較】[table]1)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する通知別紙3(平成12年10月23日) 2)ICRP Pub 60 1990年勧告[まとめ]1.胸部撮影において実効線量[Sv]は入射表面線量[Gy]の約1/10となった。2.TLDにより測定した実効線量と不均等被ばく評価法により求めた実効線量では、後者が大きな値を示した。これは、胸部に含まれる臓器・組織の等価線量、組織荷重係数の評価によるものと考えられた。3.一般撮影での実効線量の評価はリスクの推定において有用であることが確認できた。
  • 鈴木 昇一, 浅田 恭生, 中井 隆代, 竹内 吉人, 木下 一男, 渡辺 信行
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 29-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    [目的]平成13年4月1日より放射線関連の法律が改正された。法令の大きな変更点の一つである管理区域境界の線量評価が積算値で3月間あたり1.3mSvとなった。線量評価方法は、実測値基づく方法と計算により算定された値に基づいた評価方法がある。CT室については、計算方法は示されていない。そこで、今回、CT室の管理区域境界の線量測定を行い、新法令に対する評価を行った。[方法]1.CT室内での散乱線測定を行った。装置はGE横河メディカル社製Pro Seed SA Libra 2.室内の壁面近傍の最大線量点を求め、その壁面外則を評価点とした。 3.線量評価は、実効線量で評価した。実効線量/空中カーマは1.433を使用した。 4.その他線量が多いとされる部分に測定器を配置し、3月間測定した。 5.バックグラウンド(BG)はX線装置から離れた場所で、同時測定した。 6.ガントリの遮へい能力についても検討した。[結果]及び[考察]1.)CT室内での最大線量点は線束中心から水平方向でおおよそ45度となった。線量はガントリ外則が最低となった(図1.)。CT装置のガントリの遮へいは、鉛当量で2.9mm(2.5x10^>-5<)程度であった。 2.)3月間の測定において管理区域境界、壁面外側(図2.の(1)、(2))で200μSv程度であった。スキャン数は6万スキャン、総mAs値は1000万mAs程度であった。 3.)同時に測定したBG値(図2.の(3)、(4)、(5))もほぼ同様な値を示した。CT室の壁外側の線量はBG程度であった。 4.)今回の測定により、3月間1.3mSvを十分下回っていることを確認した。 5.)今回の結果から、装置の位置や部屋の大きさによって異なるが、通常のCT室においては、測定結果から防護の追加は必要ないことを確認した。 6.)測定データを蓄積し、必要な防護措置と無駄な防護措置を明確に区別すべきである。
  • 亀島 英典, 小林 正尚, 都築 雄士, 鈴木 昇一, 藪谷 俊峰
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 30-31
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    [目的]平成13年4月1日に放射線関連法令が改正された。そこで、新法令に対応する放射線治療室の遮へいについて実測と計算を行い、その問題点を検討した。[方法]1.実測は遮へい計算で線量が最も高い地点及び、治療室の周辺の5箇所を測定した。2.3月間の照射時間の分析を行い、実照射時間、方向利用率を求めた。3.実照射時間を用いて遮へい計算を行い、実測値と比較した。利用線錐を含む評価点はサーベイメータによる測定もおこなった。4.照射時間の分析結果を基に、新法令の計算を行い、現在の使用状態を維持する方法について検討した。[使用機器]測定にはTLDを98本、電子線量計(DOSE 3)を4個、ガラス線量計を30個使用した。線量率測定には電離箱式サーベイメータを使用した。[参考文献]遮へい計算式は安全技術センターの遮へい計算実務マニュアル2000を用いた。[結果]1.測定結果 3月間の累積の測定結果を表1に示した。測定器は図1に示した5箇所に取り付けた。A(治療室扉)、B(治療計画室)、C(治療室外壁)点には3種類、D(操作室ピット)、E(操作卓前壁)点には2種類の放射線測定器を取り付けた。C点のTLDの測定結果が他に比べて高くなっていた。これは、貼り付けの際の不具合で、壁に直接貼り付けたのが原因ではないかと考えた。これについて追加実験を行ったところ、壁の散乱を考慮して1cm程度離して測定した値より、1.7倍程度大きく、換算すると括弧内の値となった。この結果で、実測値は十分に法令1.3mSv/3月を担保していた。[table] 2.照射時間の分析 照射時間の分析を行い、使用時間、方向利用率を求めた。[figure] 3.実照射時間を用いた計算値と実測値の比較 照射時間の分析結果を基にした、方向利用率、照射時間を用いて遮へい計算を行った。サーベイメータを用いて計算と同条件で測定を行い3月に換算した結果、計算値とほぼ近くなった。トレーサビリティのとれているガラス線量計の値と計算値を比較すると、実照射時間を用いた計算でも、外壁の実測値は計算値の3分の1以下となった。このことより、実照射時間を用いた計算値では法令を担保しており、計算値と同条件での測定値は計算値に近くなる。4.利用線錐を含む評価点の計算値の比較 利用線錐を含む評価点の計画室、外壁の遮へい計算値は使用時間を変えて行い、表2a、2bに示した。表中の値は4MVと10MVの計算値の合計を示した。表2aは従来の届出時間、4MV、10MVともに125時間で計算を行った。表2bは実照射時間を用いて計算を行った。使用時間を比較すると、4MVが従来の25%、10MVが従来の6%であった。このことより、従来の届出時間では法令を担保できない。[table][table] 5.現状を維持する方法 使用時間のみを変化させる場合、特に問題であった4MVで法令を担保できる限界の使用時間を届出時間とするのは妥当であるかについて検討した。1.3月間の照射時間の分析によると、1月間の最大使用時間は13時間程度で、3月に換算しても40時間程度であった。2.全身照射が行われても、1月に2人程度ならば法的数値は保たれた。このような使用時間の調整が適当でない場合、実測による線量管理は不可欠である。[まとめ](1)治療室周辺の漏洩線量を測定することで、法令は十分に担保していることが確認できる。(2)照射時間の分析結果を基に届出時間を決める。以上の方法で放射線治療室の測定及び、計算を行えば遮へい構造の強化の必要性がないことを証明でき、現状は保たれる。(3)遮へい計算は実際の使用状況に対しては過剰評価となるため、実測による線量管理には意味があると考えられた。
  • 熊谷 道朝, 新谷 光夫, 倉西 誠
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 32-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】今回の法令改正に伴い,不均等被ばくにおけるバッジ装着部位の荷重係数が変更された。改正前は,防護衣外側のバッジ測定値の荷重係数が0.35であり、過大評価と指摘されていた。今回,荷重係数が0.11に変更され,評価値がどのように変化するかを知るため,IVRに携わる術者の被ばく線量を実効線量当量および実効線量で算出し評価した。また,水晶体,皮膚の被ばく線量も測定し,改正法令施行による影響も検討した。【方法】1)1ヶ月単位で心臓カテーテル検査(PTCA3名、アプレーション3名)・血管造影(脳血管内手術1名)に携わる医師にOSL個人線量計およびリングバッジ(TLD:LiF素子1本)を用いて術者被ばく線量を測定する。2)装着部位は、甲状腺プロテクター外側の左右の2箇所、体幹部プロテクター内側左胸部、左子指の4箇所とした。3)不均等被ばく算出式は、改正前:実効線量当量(H_E)=0.35H1(a)+0.65H1(b)、改正後:実効線量(E)=0.11H1(a)+0.89H1(b)、H1(a):頭部または頸部に装着したバッジから得た1cm線量当量、H1(b):胸部または腹部に装着したバッジから得た1cm線量当量ただし,算出に使用した1cm線量当量はすべて法令改正後の1cm線量当量値を使用した。【結果及び考察】図1.は、術者別の6ヶ月間の「実効線量当量」及び「実効線量」の合計である。左頚部と左胸部測定値から算出した「実効線量当量」は,「実効線量当量限度50mSv/y」、同様に左頚部と左胸部測定値から算出した「実効線量」は,「実効線量限度20mSv/y:5年ブロック」を超えないと推定できる。また、装着部位による算出値は、「実効線量当量」及び「実効線量」いづれの場合も「右頚部÷左頚部」≒0.8である。図2.は、術者別の6ヶ月間の水晶体の等価線量及び皮膚の等価線量の合計である。水晶体等価線量は、測定部位がいずれの場合においても,150mSv/yを超えないと推定できる。皮膚の等価線量も500mSv/yを超えないと推定できる。【まとめ】当施設では,改正法令施行により実効線量は実効線量当量のほぼ50%前後の値となると推定できる。また,ブロック5年の実効線量限度(20mSv/y)を超えることはないと推定できる。しかし,「管理のための線量値(現行:0.4mSv/m)」を超えることがある。当施設での「管理のための線量値」は,1.0〜1.5mSv/mが適切と考えられる。非常に高い数値の「管理のための線量値」と思われるが,20mSv/y)を超えることはないと推定できる。また,妊娠可能な女子についての「管理のための線量値」は今後検討したい。[figure][figure]
  • 高橋 亜希, 川口 範洋, 大塩 滋, 鈴木 正広, 駒田 英勝, 竹内 愛朗, 近藤 裕二, 木村 千明
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 33-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】当院では廃棄物の管理を個別管理と集中管理の併用で行っており、バックグランドより高い廃棄物が廃棄業者に回収されないよう防止している。適切な管理を行うため、測定方法、測定者間の誤差について検討した。【方法】1.時定数の変化による測定結果の影響:0.3μSv/hのレンジにて時定数を3,10,30秒と変化させ、測定距離は14cmで行った。模擬線源はカットオフ値である0.15μSv/hとした。2.方向依存性の影響について:シンチレーションサーベイメーターを固定し、0°から360°まで30°間隔にて測定し、0°の測定値を100%として、各ポイントの比較を行った。3.測定個所の検討:廃棄箱の中心に5μSv/hの^<99m>Tcを設置し、時定数3秒、1μSv/hのレンジにて、各位置における測定値の変化について検証した。【結果】1.時定数:初期反応は設定した時定数が短いほどよく、30秒の時定数を使用した場合、初期反応が悪い結果となった。今回の目的は、放射性物質の有無を判定することであるため、時定数は3秒でよいと考える。2.方向依存性:中心より、90°方向では、98%の検出が可能であったが、150°方向で85%となり、180°方向では、28%と急激な低下が認められた。3.測定個所の検討:廃棄箱を展開図で考えると、一つのエリアを3方向から測定していることになるため、短時間で測定を行うためには、(図1)に示す14ポイントが妥当と考えた。[figure]【技能評価】測定者に同一核種で異なる濃度を入れた2箱と、核種の入っていない1箱の計3箱を各自の方法で測定し、1箱あたりの測定時間と、測定方法、廃棄可能かの判定、以上の三項目について調査した。その後、同一条件にて、当院のガイドラインに沿って再度測定を行い、どの程度向上しているかを調査した。当院で作成したガイドライン:1.時定数3秒にて2T以上測定する。2.測定個所の統一(14ポイント方式)3.サーベイメーターの計測距離、方向の統一 高濃度では時定数3秒は初期反応が早いため検出可能であったが、低濃度の場合時定数以下であると表示値がバックグランド以下を示しているため、検出率は23%となった。ガイドラインの測定方法で行った場合、1箇所を6秒以上で測定しているため低濃度でも検出効率が100%と向上した。核種の存在場所の特定に関しては、高濃度では20%、低濃度では60%であった。測定時間は、各自の測定方法で行った場合の約3倍の測定時間となった。【考察】今回、廃棄物に関してより適切な管理を行うため、測定方法、測定者間の誤差について検討した。当院のガイドラインを作成したことにより、低濃度の廃棄物の検出効率を向上することが出来た。14ポイント測定法は、スクリーニング法として採用することが、望ましいと考えた。【今後の検討】個別管理を強化するため、核医学検査を施行したオムツ使用患者に対して、オムツ回収用の箱を回収期間内貸し出すことで、根本的排除を期待したい。
  • 山本 友行, 長元 祥子, 野村 孝之, 水島 隆, 田村 鋒男, 越田 吉郎, 安富 千鶴, 眞島 義彦, 寺部 充昭
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 34-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】乳房撮影の普及に伴い、受診者に与える放射線被曝の影響が問題になる。乳房自体の被曝については、すでに平均乳腺線量によって求められている。今回、人体ファントムを使用し、乳房以外の眼窩、甲状腺、上腹部および下腹部などの被曝線量をガラスバッジを用いて測定した。また、TLDとの比較も検討した。【使用機器】ガラスバッジ:広汎用FS型(千代田テクノル)TLD:MSO-S線量計:Radcal 9016型 90×5-6M(6cc)乳房撮影装置:MAMMOMAT 3000 ファントム:人体スライスファントム(京都科学) アルダーソン頭部ファントム アルダーソン下腹部ファントム BR12(乳腺50%,脂肪)【方法】1)人体スライスファントムと頭部ファントムを組み合わせ、乳房部に3.5cm厚のBR12を用い、模擬的にCC方向及びMLO方向の撮影体位をモデル化した。2)ファントムの眼窩部、甲状腺部、上腹部および下腹部位置にガラスバッジを配置した。3)管電圧27kV、50mAsで10回曝射した。4)TLDをガラスバッジと同一の位置などに配置し、同線量を曝射した。5)ガラスバッジは70μm線量当量および1cm線量当量、TLDは吸収線量を求めた。【結果】Fig1,2,3,4に結果を示す。(単位:μSvおよびμGy/50mAs) 1)眼窩部(水晶体)の被曝線量はFace Shieldにより、CC撮影、MLO撮影ともにほぼ0であった。2)CC撮影の甲状腺部の皮膚線量は70 μSvとガラスバッジの測定部位の中で一番高く、また、TLDの線量(17μGy)との差は多きかった。3)MLO撮影の上腹部の皮膚線量はガラスバッジで20 μSv、TLDで13μGyであったが、CC撮影の皮膚線量はほぼ0であった。4)下腹部の皮膚線量はCC撮影、MLO撮影ともにほぼ0であった。【考察】1)ガラスバッジを用い、乳房近傍の被曝線量が100 μSv以下であることが確認できた。2)ガラスバッジはその信頼度から測定最小値が100 μSvであるが、撮影4回以上の精密検査患者の個人被爆や日ごとの全患者被爆のモニターに用いることが可能と思われる。3)甲状腺部でのガラスバッジの測定値がTLDの測定値より数倍多かったのは、線束からの装着位置までの距離の違いによると考えられ、ガラスバッジによる甲状腺部の測定値には何らかの補正が必要と思われる。[figure][figure][figure][figure]
  • 服部 寿史, 堀田 勝平, 小山 修司, 前越 久
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 35-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    [目的]当院に2001年3月に導入されたフラットパネルディテクタ搭載乳房撮影装置(GE社製セノグラフ2000D)に撮影条件等と共に表示される平均乳腺線量値(Average glandular Dose)以下AGDと入射皮膚線量値(Entrance skin exposure)以下ESEの表示機能について実測値との比較を行ったので報告する。[方法]1.AGDを求めるために乳房撮影精度管理マニュアルに基づいてA1減弱法にて管電圧26〜34kV、陽極/フィルター材質Mo/Mo,Mo/Rh,Rh/Rhについて半価層を測定した。Fig.1 2.乳腺脂肪比率の異なる(30/70%.50/50%.70/30%)BR12乳房等価ファントム(モデル12A)を用いて厚さ2〜7cmについて各陽極/フィルター材質ごとにAGD、ESEを求め装置の表示値と比較した。[figure][figure][figure][figure] 今回,Fig.2のAGDを求めるにあたり1R当たりの吸収線量換算値についてはsobol,Wu(1997)等が求めた近似式より求め乳房厚と乳腺含有率に対応したデータに換算したものを用いた。また,大気補正係数については測定時気温25℃,気圧999hpaから1,0243とした。Fig.3のESEの後方散乱係数については19×24cmの照射野からBJRのSupplement No17の長方形照射野と等価な円形照射野の直径を求めるグラフより換算し1.16とし、吸収線量換算係数については光子減弱係数データブックより算出した実効エネルギーと吸収線量換算係数のグラフより乳腺組織に対応した値として0.82とした。[結果]Fig.4は28kV50mAsで乳腺脂肪比率50/50%のファントムを用い2〜7cmまで厚みを変化させ,陽極/フィルター材質Mo/MoでAGDとESEの表示値と実測値を表したグラフです。横軸にファントム厚を縦軸に線量を棒グラフ左側にAGD表示値と実測値を,右側にESE表示値と実測値を表したものです。各厚みに関してはAGD,ESE共にほぼ同じ比率で表示値より実測値が少ないものとなった。これは、乳腺脂肪比率30/70%.70/30%の結果においても同様の結果となった。組織別ではAGD,ESE共に表示値と実測値の差はほぼ一定であったが,線質別でRh/Rhがやや差の少ない結果なり平均するとAGDで15〜19%,ESEで9〜16%表示値より実測値が少ない結果なった。ここに28kV50mAs Mo/Mo4cmでの各組識別の実際のESEとAGDを示す。Table1[table] ここでESE表示値は組織(乳腺/脂肪比率)を変化させても全く同じ値を示した。これは他の線質間においても各厚みについても同じ結果となった。さらには乳腺組織とは全く違う物質、例えば発砲スチロール,鉛などの物質においても同等の大きさで条件,圧迫厚が同じであれば同様の結果となった。[考察]ESEについて、今回我々は照射線量から吸収線量に換算するさい吸収体の特定物質として乳腺を用いた換算係数で算出したが、装置の設定は算出方法が明確でないがESEは吸収物質が何であれよほど大きさが違わない限り撮影条件と圧迫厚で決定され、同じ表示値を示す事からも吸収物質が空気を対象とした計算方式ではないかと考えられる。また測定方法の違いや半価層の設定値の違いでAGDへの変換係数も変化するためある程度は誤差範囲と考えられた。[結語]今回、このようにAGD,ESE共に表示値と実測値は比例関係を示しており線質間での差が若干認められるものの線量を把握するには充分な機能であると考えられた。また、実測値のデータにおいて入射皮膚面吸収線量が平均乳腺線量の3.6〜5.6倍の値を示したことからも平均乳腺線量は全乳腺吸収線量の平均値で、より皮膚面に近い乳腺吸収線量は平均乳腺線量より多いことを理解すべきである。以上のことからも、この装置における線量の表示機能は被曝管理という観点からも有用な機能であると考えられ被爆低減に努力していきたい。
  • 松浦 孝俊, 石川 光雄, 奥秋 知幸, 今井 宣雄, 塚本 篤子, 井手 敏典, 篠原 文章, 宮崎 茂, 他X線装置研究会会員一同
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 36-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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    【目的】X線装置研究会では、過去5回にわたりX線装置および撮影条件の動向調査を行ってきた。撮影技術学上、X線装置、感光材料などを知ることは重要なことである。また、これらは周辺技術の急速な発展から年々進歩をしている。特に、ディジタル系の普及は目覚ましく、一部ではフィルムレス化が進んでいる。X線装置、感光材料等の推移、使用方法など現状を把握することを目的に調査研究を行った。【方法】調査対象は、前回調査の施設等400施設である。調査内容は、施設、電源、X線高電圧装置、X線管装置、可動絞り、短時間撮影、自動露出制御、撮影装置・付属機器、小児撮影、装置管理、撮影条件である。【結果】施設、電源、X線高電圧装置およびX線管装置について報告する。400施設からの回収数は132部で回収率は33.0%であった。内訳は大学病院が50.5%、国立病院33.3%、公的医療機関32.5%、社会保険関係41.7%、労災病院50.0%、公益法人50.0%、医療法人12.7%、会社病院33.3% 個人病院22.2%その他 7.7%となった。用途別については一般撮影装置総台数603台のうちインバータ式撮影装置408台、消化器撮影装置総台数399台のうち260台、血管撮影装置(シネ撮影装置を含む)総台数297台のうち210台、乳房撮影装置総台数119台のうち88台と各撮影装置においてインバータ式撮影装置の普及を反映している結果となった。インバータ式X線装置の電源は三相200Vが54%、また、定格出力は80kWが40%であった。全X線管装置では、ターゲット角度12°が55%、200〜299kHUが39%であった。【考察】電源容量、電源電圧とも前回と同様、装置の大容量化を反映していると思われる。インバータ式X線撮影装置の定格出力は前回と比べても大差はないが各装置においてインバータ式X線撮影装置への移行が進んでいる。今後インバータ式X線装置の利点を生かした回診撮影装置、乳房撮影装置等の更なる普及が見込まれる。一般撮影系ではターゲット角度12°X線管が多く使われているが血管撮影系では少角度のX線管が多く用いられ、又陽極熱容量も500kHU以上のものが主流であり今後もこの傾向は続くと思われる。[graph][graph][graph][graph]
  • 奥秋 知幸, 今井 宜雄, 塚本 篤子, 松浦 孝俊, 石川 光雄, 井手 敏典, 篠原 文章, 宮崎 茂
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 37-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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    【目的】X線装置研究会では、過去5回にわたりX線装置および撮影条件の動向調査を行ってきた。前回は平成7年度に行い、約5年が経過した。周辺機器を含めX線装置は年々急速な発展をし、臨床におけるこれら装置の使用方法にも、変化が認められるものと予想される。ここでは可動絞り、短時間撮影、自動露出制御、撮影装置・付属機器、小児撮影および装置管理について、その動向や使用方法および現状を把握することを目的に調査研究を行った。【方法】調査対象は、前回調査の施設等400施設である。調査内容は、施設、電源、X線高電圧装置、X線管装置、可動絞り、短時間撮影、自動露出制御、撮影装置・付属機器、小児撮影、装置管理、撮影条件である。【結果】可動絞りについては照射野のズレ試験を67%の装置が行われていた(Fig.1)。最短撮影時間は10ms以下の撮影が前回と比較して、64%から75%へ上昇した。最も短時間で撮影する部位は乳幼児胸部、次いで成人胸部であり、前回とほぼ同じ結果であった。自動露出制御の有無については、特に一般撮影での所有率が60%から72%へ上昇するとともに、自動露出で撮影した場合に、撮影時間のわからない装置が8%から4%へと減少した(Fig.2)(Fig.3)。装置管理では不変性試験という言葉を知っているのは32%であり、点検時に80%の施設が測定を行っていた。また、約半数の施設で装置取扱説明書の内容が不十分との回答であった(table.1)。[figure][figure][figure][table]
  • 石川 光雄, 松浦 孝俊, 奥秋 知幸, 今井 宜雄, 塚本 篤子, 井手 敏典, 篠原 文章, 宮崎 茂
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 38-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
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    【目的】X線装置研究会では、1974年から過去5回にわたりX線装置および撮影条件の動向調査を行ってきた。X線装置、感光材料等の推移、使用方法などにより最短撮影時間を含めた撮影条件がどのように変化し、また、撮影条件の標準化がどの程度進んでいるかを把握するために調査研究を行った。【方法】撮影条件の調査対象部位は、胸部立位正面、腹部立位正面、腰椎正面、膝関節正面、胃部二重造影正面背臥位、腹部大動脈造影、乳幼児胸部立位正面および乳幼児股関節正面とした。調査項目は、受像システム、X線高電圧装置、撮影条件、グリッド、増感紙・フィルムおよびレーザーイメージャの種類とした。【結果】撮影条件について。受像システムは、一般撮影系では半数がCR、胃部造影では7割がS/F、血管造影では約8割がDRで撮影されていた。図1は技術学会の平成7年度撮影系実態調査集計報告との比較である。X線高電圧装置は7割以上がインバータ式装置であった。図2は上記調査との比較である。撮影管電圧は、胸部120kV台、腹部80kV台、腰椎70kV台、膝関節50kV台、胃部造影80kV台、血管造影70kV台、乳幼児胸部60kV台および乳幼児股関節50kV台が一番多い回答であった。図3.4は上記調査との比較である。mAs値は、上記部位順に、5未満、20-50未満、20-50未満、5-10未満、20-50未満、10-20未満、5未満および5未満であった。SID(cm)は、200台、100,120,150,200台、100,120台、100,120台、100-120台、100台、100,120,150,200台および100,120台で7割以上を占めた。グリッドは比が8,10,12、密度が40,60cm^〈-1〉の組み合わせが多く使用されていた増感紙はグリーン発光中感度、フィルムはオルソ中感度Sと高鮮鋭度で大半を占めた。レーザーイメージャは、ドライタイプが3割程度普及していた。[figure][figure][figure][figure]
  • 坂本 肇, 大島 信二, 長島 宏幸, 弓削 誠, 池長 聰, 芦沢 和成, 吉澤 和弥, 新井 誉夫, 秋山 三郎, 佐野 芳知
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 39-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】IVRにおける被曝線量低減を目的に、付加フィルタの形状を考慮したスポットフィルタを試作し報告した。スポットフィルタは付加フィルタの中心部をくり抜き周辺部で厚くなるような構造とすることにより、視野内の画質を一部変化させた。このため、中心部(病変部)は画質が優先され周辺部では画質低下を起こすが被曝線量を低減させることが可能となった。今回、スポットフィルタの臨床での評価を検討した。【スポットフィルタの特徴】材質は加工性が良く、入手が簡単であり、被曝の低減効果が高い銅板(0.1mm厚)を重ねて使用した。スポットフィルタの厚さによる画質(コントラスト)と線量(ファントム表面線量)の関係をFig.1に示す。フィルタの厚さが増すにしたがい、中心部のコントラストは改善され周辺部で低下し(Fig.1a)、表面線量は周辺部で低減された(Fig.1b)。臨床で使用したフィルタは0.1mmCu、1.0mmA1の付加フィルタと0.2mmスポットフィルタの組み合わせであり、スポットフィルタはI.I.上での大きが5cmと8cmを用いた。【方法及び結果】(1)臨床での使用状況 最近のスポットフィルタ使用50症例についての内訳をFig.2に示す。すべての症例がIVR時に用いられ、頭部領域が36例(72%)と最も使用例が多く、続いて腹部骨盤領域の9例(18%)、心臓領域の5例(10%)となった。また、初期のコリメータ上に固定使用していたスポットフィルタから、中心部(スッポト部)を遠隔操作による移動方式へと改良した。(2)頭部領域 Fig.2に示した期間に頭部領域IVRは全部で51例が施行され、スポットフィルタ使用例が36例であったため、使用率は70%となった。使用した症例は、AVM、CCFや腫瘍へのTAE、血管攣縮に対する動注やPTAである。特に、眼窩付近に病変が存在する場合、水晶体への被曝線量が低減された。(3)心臓領域 心臓領域IVRにおいて初期使用頻度が最も高かったが、PTCAはステントを用いることにより透視時間が大幅に短縮され、カテーテルアブレーションでは高精細透視により通常の付加フィルタ使用で電極カテーテルの観察が可能となったため、スポットフィルタの使用率は低下した。(4)腹部骨盤領域 腹部骨盤領域IVRにおいて、腎動脈・腸骨動脈のPTA、動脈瘤へのTAE症例に対し使用した。しかし、最も症例数が多いHCCへのTAE症例へは、病変の存在が多数あり限局していないことなどから応用は難しかった。【考察】IVRでの患者被曝低減には、透視による被曝線量を如何に減らすかが重要になってくると考える。フィルタの画質を優先するスポット部分を可動としたことにより、臨床での応用の幅が広がり、特に頭部領域での使用頻度が高くなった。付加フィルタは患者被曝低減、画質維持、装置負荷の三者のバランスが重要であり、スポットフィルタの臨床応用は有用であると考える。[figure][figure][figure]
  • 飯田 泰治, 茶畠 光浩, 清水 満, 田村 鋒男
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 40-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】近年,病気による治療手段は外科的な手術から侵襲度の低いIVRによる治療法へ拡大が図られている.一方で、患者の被曝線量の増大がクローズアップされるようになり、IVRによる皮膚障害の症例がわが国でも報告されるようになった。そこで、(株)千代田テクノルの協力によりSkin dose monitor(SDM)を用いてIVR時に患者が受ける被曝線量の実態を調査したので報告する。【使用器機】1.東芝社製DSA装置(1)X線発生装置KXO-80C (2)撮影支持装置CAS-8000V (3)画像処理装置DFP-2000A 2.線量計(1)Skin Dose Monitor 104-101(2)Radcal model 9015 空気吸収線量測定用プローブ10×5-6(6cc) 【方法】SDMをX線錐の中心線上に位置させ、絞り前面から寝台下面まで移動させてX線量を測定し、絞り器や検査寝台の影響を調べた.測定は管電圧を60kV〜120kVまで10kVごとに行った.SDMのトレーサビリティはRadcal線量計を用いて行った.基礎実験を基にSDMを絞り器表面に取り付けて、検査治療時の患者の皮膚線量の総量(以下、入射総線量という)を測定した.後方散乱係数は腹部用水ファントムを用いた実験から求めた.入射総線量から透視線量と撮影線量を分離するため、撮影電圧50kVから10kV間隔で120kVまでに対して160mA、200mA、320mA、400mAの各撮影電流を組み合わせて、撮影時間を10msecから10msec間隔で100msecまで変化させ撮影線量を測定して撮影線量テーブルを作成した.臨床での測定は腹部IVR(22例)、腹部検査(27例)、頭部検査(13例)を対象とした.測定時に透視時間、撮影条件(管電圧、管電流、撮影時間、撮影枚数)を記録した.【結果】入射総線量はTable 1に示すように腹部IVRで1734±720mGy、腹部検査で899±360mGy、頭部検査で1484±596mGyであった.入射総線量に占める透視線量と撮影線量の比率はTable 2に示すように腹部IVRで68.4:31.6、腹部検査で34.2:65.8であった。腹部IVRの透視時間と透視線量は腹部検査と脳血管検査に対して有意に大きかった.透視線量率はFig.3に示すように脳血管検査、腹部検査、腹部IVRの順に有意に高線量率となった.【考察】腹部IVRの入射総線量は腹部検査の約2倍であり、最大で3.1Gyにもなった.この線量が同一皮膚面に入射したとすれば皮膚障害の発生を考慮しなければならない.特に、IVRでは拡大の使用により透視線量率が腹部検査に比して有意に高くなるため危険性が増す.腹部IVRでは透視線量が入射総線量に占める割合は腹部検査の約2倍となり、腹部IVRを行う上で透視線量をいかに低減するかがこれからの問題であることが示唆された.【結語】腹部IVRにおける入射総線量は最大で3Gyを超え、皮膚障害を発生する危険性が示唆された.腹部IVRでは拡大を利用した透視を多用するため透視線量は腹部検査の約2倍であった.今後、IVRでは透視による被ばく線量の低減が強く求められる。[table][table][figure]
  • 徳倉 正人, 能登 公也, 藤井 茂久, 浅田 恭生, 大瀬 英是, 佐藤 保, 高井 洋次, 赤堀 竜一, 杉田 保, 北澤 英俊, 木野 ...
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 41-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    1. 当院手術室では、2方向移動型外科用イメージの導入により外科手術での透視が増加傾向にあり従事者の被ばく線量の増大が懸念されるようになった。そこで室内空間線量分布を測定し従事者の被ばく線量の推定を検討した。2.方法 手術室にて、外科用イメージによる透視時の管電圧、管電流、時間を平成13年8月23日から11月5日までの腰椎すべり症の手術、計6件で調査した。透視条件はフルオートで行った。移動型2方向外科用イメージBIPLANAR400を用いて一次X線の半価層と散乱線量を測定した。一次X線の半価層は指頭型電離箱を使用した。散乱線量は管球焦点からの距離50cm刻みでの位置にて床面から高さ50cm、100cm、150cm、200cmで電離箱式サーベイメータにて測定した。測定値から散乱線量分布図を作成した。この時の測定条件は、調査した手術6件の平均値とした。空間線量分布から、手術室内の術者の立ち位置における積算線量を推定し、正面方向・側面方向における透視時間の比率をかけて換算した。手術中の術者の頚部、胸部、腹部のX線装置側にシーメンス電子線量計を装着し、被ばく線量を実測した。積算線量から1手術に対する1分間当たりの被ばく線量を換算し、散乱線による被ばく線量を求めた。3.結果 手術6件における、管電圧は80.0kV、管電流は3.0mA、透視時間は(正面方向・側面方向の合計値)12.0分、その割合は正面58.5%、側面41.5%であった。正面透視時における最大線量はオペレータA、B共に下肢での被ばく線量が最大となり、445.9μSv/hとなった。側面透視時ではオペレータAでは側面管球を中心にして円を描くように分布した。また、オペレータA・B共に100cmの高さで最大値を示しオペレータAでは31.7μSv/h、オペレータBでは777.1μSv/hが最大線量となった。オペレータAの実効線量は実測値から22.5μSv、線量分布から28.3μSvと1.26倍となり、オペレータBの実効線量は同様に57.2μSv、97.5μSvと1.70倍と近い値を示した。100mSv/5年の実効線量限度よりオペレータAでは線量分布からの28.3μSvより58件/月、オペレータBでは97.5μSvより17件/月という結果になった。4.結語 オペレータAの位置での被ばく線量は12分間の透視使用でオペレータBの位置での被ばく線量に対して約3.4倍となった。オペレータBの位置に立つ人は100mSv/5年の実効線量限度内で行えるのは透視を1件の手術で12分間使用した場合、17件/月となった。空間線量分布から推定した被ばく線量が実測値に対して近似値を示したため、空間線量分布からの従事者の被ばく線量の推定は有効であると考えられる。[graph][graph]
  • 竹内 吉人, 片桐 基博, 木下 一男, 浅田 恭生, 南 一幸, 江尻 和隆, 鈴木 昇一
    原稿種別: 本文
    2002 年 14 巻 p. 42-
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
    【目的】胸部X線単純写真における画質向上は、高管電圧撮影による診断領域の拡大と肋骨陰影の減退が必要不可欠である。また、それに伴い高格子比Gridによる散乱線除去が重要となる。しかし、病室撮影での胸部準高圧撮影における散乱線除去を目的としたr8:1 Gridの使用は、GridによるMisalignmentにより臨床上たびたび問題となる。今回、比較的Misalignmentの出現を来たさないr3:1 Gridと銅板を併用したCR胸部病室撮影について、撮影管電圧及び散乱線除去をMisalignmentを含めて検討したので報告します。【使用機器】・CR読取装置:FCR3500(FUJI FILM社製)・IP板:CR CASSETTE ST-VN(FUJI FILM社製)・Phantom:胸部ファントム(京都化学社製)・Grid:MS Xレイグリッドr3,r5,r6,r8(N40,fo 100)・自作成フィルター:銅(0.1mm)+アルミニウム(1.0mm)の合板・ポータブル装置:Sirius 80N(HITACHI社製)・蛍光量計:MODEL F-11(ALCO社製)・電離箱:MODEL 9015,6.0cc指頭型電離箱(Radcal杜製)【方法】(1)JIS(Z4910)規格におけるグリッド及び銅板の物理的性能評価。(2)管電圧の変化に伴う露出倍数、一次線含有率、及びグリッドと銅板の散乱線除去率の検討。(3)各幾何学的配置の歪(Focusの傾斜、Gridの傾斜、Center off、foの延長)によるMisalignmentの発生に伴った、グリッド透過線量の検討及び、ファントム画像の比較検討。(4)管電圧の変化に伴う画質の比較、及び被曝線量の検討。【結果】(1)Cu単体の一次線透過率はr5と同程度であった。(2)r3+Cuの露出倍数は低管電圧でr8、高管電圧でr6と同程度となった。一次線含有量はr5、一次線透過率はr8と同程度であった。(3)幾何学的配置については、foの延長、管球の傾斜、及びグリッドの傾斜による組み合わせで、左右の濃度差が最大となった。(4)r3+Cuの表面入射線量はr5〜r6と同程度であった。また、管電圧の上昇に伴い、表面入射線量の減弱率が他のものに比べ著明であった。【考察】Misalignmentの要因となる条件は、一般的に起こし易い。またその条件の組み合わせにより、発生状態は異なる。r3 GridはFocusの角度、及びfoの設定を正確に行なう事により、Misalignmentの出現はほとんど問題にならないが、被写体厚が厚く、管電圧が90kVを超える場合、散乱線除去率が低下し、CR画像の劣化が著明となる。しかし銅板による散乱線除去を利用する事により、r3の準高圧撮影領域に対する問題点は除去され、総合的に胸部病室撮影の画質向上に有用性が高いと考えられた。[table][table][table][table]
  • 原稿種別: 付録等
    2002 年 14 巻 p. 44-45
    発行日: 2002/04/04
    公開日: 2017/12/29
    解説誌・一般情報誌 フリー
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