組織の保存せられてゐる本邦産植物化石のうち, 北海道夕張河筋の上部白堊紀層より出るものは既にREISS (1907), STOPES (1910, 1911),藤井 (1910), KERSHAW (1010), 鈴木(1910), 遠藤 (1925) 及び小倉 (1930, 1932) の諸氏によつて發表されてゐるが, 南樺太に發達する同系統の地層中にも内部講造の明かな材料がある。筆者は清水博士及び稻井學士によつて豊原郡川上村, 豊原町並川及び軍川から採集された材料を検べて次表の様な種類を見出した。此の中には構造上の特徴がよく保存せられてゐない爲, 或は筆者の知識並びに研究の不充分な爲めに, 止むを得ず假りに決めておいたもの (?印) もあるから, 茲には豫報として重要な數種に就いてのみ述べる。
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