横山博士により神奈川縣長沼の長沼層より記述せられたる
Pecten maganumanus YOKOYAMAは其後各地に見出されたるが, 殊に臺湾の新第三紀層中に廣く分布すること知らるゝに至れり。フィリッピン群島のMalumbang石灰岩に産することは既に報告あるが, 最近橋本亙理學士より送附を受けたるSamagui, Bongabon, Mindoro, P. I. 産石灰岩化石中に保存良好なる標本ありて, 長沼産のものと直接比較し同一種なることを確め得たり。本種は時に
Pecten laqueatus SOWERBYに伴ひ産することあり, 新しき地層よりは極めて稀なれど時に多數の
P. laqueatusに混じ見出さるゝことあり, 例へば故松島忠雄氏が最近能登珠洲郡平床介層中より採集せる
P.laqueatus右殻20個と共に
P. naganumamusの右殻1個あり。
終りに本種の地質時代及地理的分布に就きて略述す。
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