日本古生物学會報告・紀事
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1940 巻, 19 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 槇山 次郎, 中川 保
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 59-62
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    渥美半島洪積統の有孔蟲に就いては小澤儀明氏の同定したるものが圖幅説明書に出てゐる他には知れてゐない。洪積統の層序及び軟體動物化右に關しては大炊御門經輝學士の報文に精細に正確に記録しあり, もはや蛇足を加ふる要はない。半島の高松の海崖には厚さ3-5mの間に砂質海泥層が露出し, 其下部はDosinia床と稱し半淡水成であるが, 土部はTonna床と稱し, 全く鹽水の堆積物である。其特質は貝類により良く知られる。2床の中間の移化部はMya床とし鹽の濃度の低い事實を指示する貝化石を産する。即ち此砂質泥層の堆積當初は潟の状であつたが, 最後には大海岸の歌に入つた。其上に汀礫の庵があり, 汀線の後退期を指示する。
  • 杉山 敏郎
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 63-65
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    東京府西多摩郡大久野村岩井に發達するカーニック層 (?) からストマトポラ屬の工新種が産し, 此處にその記載を行つた。是迄三疊紀からは未だ此屬は報告されてゐない故古生物學上興味ある事柄である。
  • 早坂 一郎
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 66-71
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    古くから手許にあつた北上山地地方産アムモノイド2種の記事で, 即ち
    1. 宮城縣桃生郡十五濱村小濱の西方に産したStacheoceras sp.(第1圖)
    2. 岩手縣氣仙郡矢作村飯森産 (烏羽源藏氏採集) のParaeeltitens aff. elegas GIRTY (第2~4圖)
    の記載である。ただし, 前者は唯1個の極めて不完全な破片で, 縫合線なども殻の断面と, 烈しく溶蝕さわた側衝とから, その大勢がうかがはれるに過ぎないが, それがStacheocerasであることだけは確實で, 又, 數年前馬淵理學士が氣仙沼南方の岩井崎から記載したStachecceras iuaizakienseとは明瞭に異るものである。後者は1塊の灰黒色砂質頁岩の水蝕圓礫を破砕したところ, その中に數多の型となつて残つてゐたもので, 凡ての點でGIRTYの種Paraceltites elegansに酷似してゐるが, 縫合線の外側の部分が不明であり, 又, 螺巻の最終の部分の表面が細い, 多少波状の肋線を指ふといふ點で, 固定をさし控えて置く。此後の性質は, Paraceltitesの他の種類にも見られることではあるまいみ? そして, それは殻のliving chamberの部分を示すのではあるまいか?
    今日まで我が國で知られた古代末期の頭足類は次の4種類であり, 從つて, 此の文のものを加へて6種となる。今後の探求を待つ。
    1. Gasirioeeras sp. 新潟縣青海石灰岩 (矢部, 1906)
    2. Protocyeloceras cf. cyclophorum WAAGEN. 宮城縣雄勝粘板岩 (早坂, 1924) 清水・小幡兩氏に依れば, これはCycloceras probab. n. sp. の由。
    3. Stacheoceras iwaizakiense MABUTI.宮城縣岩井崎石次岩 (馬淵, 1935)
    4. Metacoceras sp. indet. 宮城縣米谷町上部二疊系石灰岩 (矢部・馬淵, 1935)
  • 畑井 小虎, 山本 正五
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 72-77
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    岩手縣西磐井郡油島村近傍に標式的に發達する油島介層に就ては既に島倉・土田の兩學士に依つて報告されて居るが, 筆者等は更に同地方を調査した結果新なる化石を採取し得たので, 茲に之等の主要なるものに付報告せんとするものである。
    油島介層の化石群には殆ど巻貝類がなく大部分は二枚貝類である。之等の大多數は仙臺附近に發達する瀧の口介層の化石群と共通種であり, 下部鮮新統を示すものである。總體的に見て淺海性種であるが稀に半鹹半淡水性のものもある。新しく採取した化石の多くは一般に介殻が厚く, 且重くて北方型を示して居る。比較的に種の數は少ないが個體の數は可成りに多く, 或個所に於ては殆ど1種のみ無數に集合して存在することもある。
  • 大西 弘
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 78-80
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    筆者は關束構造盆地西南部の地質に就いて巡検中,多摩丘陸の北西部八王子市近傍よりバノグルミ (Juglans cinerea LINNE) の堅果化石とエゾシカ (Carvus cf. yesoensis HEUDE)の下顎骨化石を採集した。バタグルミは地質時代を決定する上に可なり重要な資料であり, 一方この附近からは哺乳類動物化石の報告を聞かないので, その各々の産地と産川地層の概要を報告する。
  • 小林 貞一, 深澤 恒雄
    1940 年 1940 巻 19 号 p. 81-83
    発行日: 1940年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    宮城縣本吉郡志津川町琵琶崎東方海岸の轉石中のPosidoniaを研究結果, Aniso-Ladinicより記載されたるPosidonia pannonicaに類似せる1新種なる事判明しPosidonia japonicaと命名す。本化石を含む轉石は其の贈質と産地より井内統上部より將來せるものと推察す。
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