青森縣西津輕郡大戸瀬村赤石川上流の大然附近より嘗て故弘前高等學校教授小岩井兼輝氏の採集された見事な珪化せる樹枝状群體珊瑚が東北帝國大學理學部地質學古生物學教室に寄贈された。玉髄質の緻密な構造の物で一見
Oculinaを思はせるが, 未だ本來の構造の残された部分より判斷すると明らかに多孔質の石灰質共同骨格を有する
Dendrophyllia (木珊瑚) 屬の非造礁珊瑚の1種で, 現在日本近海の深海珊瑚で最も分布の廣い
D.cribrosa (尾道木珊瑚) に近い新種 (
D.koiwaii YABE and EGUCHI) である。化石では伊太利の中新統より記載された
D. incerta OsAscoが近い。伊豆沖産の美事な
D.cribrosa (de HAAN) と共に圖示し, 記載した。種名は故小岩井兼輝氏を紀念する。
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