日本古生物学會報告・紀事 新編
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1967 巻, 67 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 鎮西 清高, 岩崎 泰頴
    1967 年 1967 巻 67 号 p. 93-113
    発行日: 1967/09/20
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    東北地方の新第三系に含まれる浅海性貝化石群には, 時代と内容を異にする3つの動物群(中新統下部の門ノ沢型動物群, 中新統上部の塩原型動物群, 鮮新統の竜ノ口型動物群)を区別することができる。筆者らは, これらが標式的に含まれ, かつ化石の保存のよい奥羽山地の東側に分布する含化石層について, 各動物群の属種構成とその水平的変化を調べた。一方それとは独立に, 含化石層の岩相解析から堆積環境を推定して, それと化石群集との関係を明らかにすることを試みた。その結果各動物群には, いくつかの優占種によって特徴ずけられる4ないし5の群集が認められ, 各群集は化石の内容とは独立に推定復元された当時の湾の中のある限られた部分にのみ分布し, 含まれている岩相も一定のものであることが明らかになった。また, ある動物群を構成する群集は, 時代の異る他の動物群中に, それぞれ対応する群集をもっている。対応する群集間では, 互いに属構成が極めてよく類似するだけでなく, 復元された湾内での分布地域や岩相にも共通性が高い。このような対応は現生生態学でparallel communityとよばれる関係に相当すると考えられ, この概念が時代的にも成立することが示された。ここで示された新第三紀の群集によく似た属構成をもつ群集は現在の各地の内湾で知られている。
  • 内尾 高保
    1967 年 1967 巻 67 号 p. 114-124
    発行日: 1967/09/20
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    唐の浜層群は従来下部鮮新統とされたが, 1953年に下より登・奈半利・穴内層にわけられ, 相互に傾斜不整合とされた。底棲有孔虫化石群により登層は最下部鮮新統, 穴内層は下部鮮新統とされ, 特に登層には印度洋のKar Nicobar島の中新統との共通種が多いと強調された。その後登層の浮游性有孔虫は詳細に定量され, ベネズエラのGloborotalia cultrata cultrata/Globigerina nepenthes帯および模式のTortonian階(イタリー)に対比された。筆者は登層typeの試料の底棲・浮游性有孔虫を研究すると共に, 高柳・斎藤の有孔虫分布表を再検討して次の結論に達した。(1)登・穴内層の底棲有孔虫群集の差は堆積環境によるもので, 地質年代の差によるものではない。Kar Nicobarの中新統と共通な種の数は登・穴内層ともに少い。(2)高柳・斎藤の記した浮游性有孔虫51種のうち, 中新世に限られるとされたものは6種で, それらの個体数は全浮游性有孔虫個体の約2.9%にすぎない。6種のうちでGlobigerina nepenthes, Sphaeroidinella seminulinaを除く他の4種は非常に稀であり, この2種の同定にも疑問がある。同定が正しいとしても, 最近の研究によると, それらの6種は太平洋・大西洋・Java・Jamaicaなどの鮮新統にも発見された。従って, 浮游性有孔虫からみても登層の地質年代は中新世に限る必要はなく, 鮮新世でもよい。(3)このように底棲・浮游性有孔虫・軟体動物化石を綜合的に考慮すれば, 登層の地質年代は鮮新世初期の可能性が最も大きい。野外調査の資料もこれを支持するようである。
  • 青木 直昭
    1967 年 1967 巻 67 号 p. 125-128
    発行日: 1967/09/20
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    能登半島, 中部中新統の東印内層, 中部更新統の平床層, 多摩丘陵, 上部鮮新統の柿生層および三浦半島, 中部更新統の大津層から, ハゼ属の耳石化石の産出を報告, 能登からの2新種を記載した。
  • 小畠 郁生
    1967 年 1967 巻 67 号 p. 129-138_1
    発行日: 1967/09/20
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    宮古層群に産するアンモナイトのうち, Silesitidae科の一員と目される新属を認め, 三種類を識別記載した。系統的問題については, 新属ならびに従来Desmoceratidae科に所属すると考えられていたSilesitoides属をSilesitidae科に含めて, 同科を改訂し, Silesitidae科の特色を包括的に論述した。Acanthocerataceae超科の最初の代表者Brancoceratidae科は, Eodesmoceratinae亜科からSilesitidae科を経て由来したと考えたい。なお, 新属の産出時代はClansayesianである。
  • 佐田 公好
    1967 年 1967 巻 67 号 p. 139-147
    発行日: 1967/09/20
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    帝釈石灰岩の石炭系は紡〓虫類により, 下位からEostaffella帯, Millerella帯, Profusulinella帯, Fusulinella帯の4化石帯に区分される。筆者はMillerella帯よりつぎの紡〓虫化石を識別したので, ここに記載・報告する。記載された種はMillerella marblensis THOMPSON, M. bigemmicula IGO, Eostaffella kanmerai (IGO) である。さらに, これらの種と共存するEndothyra sp., Chernyshinella sp., Seminovella sp.が図示された。これらの紡〓虫と小型有孔虫類によって構成されるMillerella帯の化石群は福地のMillerella bigemmicula-Pseudostaffella kanumai亜帯(猪郷, 1957), 阿哲のMillerella bigemmicula-Eostaffella kanmerai帯(佐田, 1964, 1965)の化石群に対比され, かつ北米のLower PennsylvanianにおけるMillerella帯の化石群に比較される。
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