日本古生物学會報告・紀事 新編
Online ISSN : 2186-0963
Print ISSN : 0031-0204
ISSN-L : 0031-0204
1971 巻, 84 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 松丸 国照
    1971 年 1971 巻 84 号 p. 179-189
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    ニュージーランドの北島・南島両島の中新世の地層から産出したlepidocyclinasを検討した結果, 次の一新種を含む四種Nephrolepidina orakeiensis (KARRER), N. hornibrooki MATSUMARU, sp. nov., N. howchini CHAPMAN and CRESPIN, Eulepidina dilatata dilatata (MICHELOTTI)を識別した。このうち, Nephrolepidina属に関しては, 日本およびオーストラリアの中新世の地層から産出するNephrolepidinaと比較検討し, 種の水準で, 各々の系統関係を明らかにした。
  • 木村 達明, 関戸 信次
    1971 年 1971 巻 84 号 p. 190-195
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    筆者らは1965年, 手取川支流目附谷川上流に露出する桑島砂岩・頁岩互層相当層から, 葉縁にいちじるしい棘のあるソテツ状葉標本2個を採集した。現生ソテツ類において, とくにいちじるしい棘のある属はEncephalartosであるとされているが, 全縁の種もあり, またStangeria, Bowenia, Zamia, MacrozamiaおよびMicrocycasなどにも棘または鋸歯のあるものが多く, 棘や鋸歯があるというだけで属を識別する根拠とはならない。しかし化石ソテツ状葉で棘や鋸歯のある例は少なく, 筆者らの標本は, 1962年, VAKHRAMEEVによってヤクーツク付近の下部白亜系から報告・記載されたNeozamites属に一致する。この属は沿海州やレナ川中流地域の下部白亜系から3種が知られているが, ここに記載する標本はそのどれとも一致しないので, Neozamites elongata sp. nov.として報告する。この属はシベリア植物群の主要要素とされている。
  • 速水 倶子
    1971 年 1971 巻 84 号 p. 196-204
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    弘前盆地浪岡町付近の大釈迦層からこけ虫化石を得たので報告する。9属11種を識別し記載した。古環境, 地史については, 従来の貝類, 腕足類化石の研究結果と何ら矛盾しない結論に達した。
  • 増田 孝一郎
    1971 年 1971 巻 84 号 p. 205-224_1
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    AmussiopectenはSACCO(1897)によって提唱されて以来, 世界各地の第三系から多くの種が報告された。しかし, 北米および南米からはその存在が既に予想されていたのにも拘らず(Cox, 1942), 従来Amussiopectenの報告は全くなかった。今回筆者は, COXの予想に基き, 北米・中米・南米のPectinidaeについて詳しく検討した結果, AmussiopectenがLate OligoceneからMiddle Mioceneにかけて, 南北アメリカ大陸に広く分布していたことを確認することができた。すなわち, 既知種ではカリフォルニアのPecten vanvlecki ARNOLD (1907), 西インド諸島のPecten antiguensis BROWN(1913), コスタ・リカのPecten preglyptus OLSSON(1922), ベネズエラのPecten churuguarensis F. and H. HODSON(1927)などが, 明らかにAmussiopectenに属するものであることが判った。さらに, Amussiopectenの新種をプエルト・リコ, トリニダッドおよびメキシコから3種発見した。この中, メキシコからの1種は個体数が少なく, 保存も余り良好でないので新種の記載は差控えた。AmussiopectenはFlabellipectenに属するものであると考えている学者がヨーロッパには少なくないので, その分類の混乱は甚しい。しかし, 両者は画然と区別されるべきものであると筆者は考えている。本論文ではAmussiopectenの特徴を詳しく論じたほか, 類似属との関連, 既知種および新種の記載と相互の関連, およびAmussiopectenの古生物学的意義を論じた。
  • 田代 正之
    1971 年 1971 巻 84 号 p. 225-242
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    これまでに記載されてきた本邦白亜系産のGlycymerisを系統分類学的立場より再検討し, 4亜属9種を識別した。Hanaia亜属は下部白亜系~上部白亜系に特徴的であり, その産出時代に応じて定向的な形態変化が著しく, その変化は上部白亜紀の種の成長過程において再現される。日本におけるGlycymerita亜属は, 上部白亜紀浦川世以後に出現している。熊本県の御船層群産のPseudoveletuceta, nov.は, Hanaiaより分かれた特徴的なglycymeridである。熊本県の姫浦層群, 福島県双葉層群産のGlycymeris amakusensisは, Glycymeris (s. str.)のVeletuceta groupに属し, 古第三系産の種に類似する。おそらく現棲種を含めたVeletuceta groupの起源的な形態の一つと思われる。
feedback
Top