日本古生物学會報告・紀事 新編
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1975 巻, 100 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 梁 承栄
    1975 年 1975 巻 100 号 p. 177-187
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    上部中生界非海成層である韓国慶尚層群洛東亜層群から多産する二枚貝を研究し, 新属Nagdongiaを設けて記載した。これはかつて鈴木がNakamuranaia chingshanensisとして記載したものと外形は似るが, 内部構造は鈴木の記載と合わず, また中国産のLeptesthes chingshanense GRABAUの記載とも合わない。筋こんと〓歯等はむしろNippononaia, Wakinoa, Plicatounioと類似するが, これらの属とは表面装飾で区別される。それらの他に, 現生のものとしてアフリカ産のCaelatura (Laevirostris) bourguignati (ROCHEBRUNE)及びC.(Zairai) elegans (ROCHEBRUNE)が〓歯の数と配列において本属との類似性を示している点が注目される。
  • 松本 達郎, 野田 雅之
    1975 年 1975 巻 100 号 p. 188-208_1
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    本種は白亜系チューロニアン階下部の示準化石として世界に広く分布するが, わが国ではまだその図示・記載がなかった。本種に同定できる標本の北海道における産出を, 層序を明記しながら説明した。第1, 2図に要約されるように, 本種は各地から少なからず産出し, 地域間対比に有効である。また同伴種(菊石)ならびに上・下位の特徴種をも併せ考慮すれば, 帯化と国際対比にも役立つ。次に古生物学的記載を行ない, とくに層序的に上下の別のある試料について, 変異を若干数量的に検討し, 亜種程度の差を示すことを知り得た。この変異の傾向はチューロニアン中部のInoc. teraokaiや同階上部のInoc. incertusとの関係を究明する上にも重要である。またこの結果を欧米における本種ならびに近縁種と比較して, 本種を含む系列の時代的変化について予察的に論議を試みるとともに, 今後の研究方向についての見解を述べた。
  • 畑井 小虎, 野田 浩司
    1975 年 1975 巻 100 号 p. 209-219
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    長野県中新統横尾層中部より産出した有殻多毛虫化石の分類上の検討と, その産出する黒色頁岩の堆積環境について論じた。有殻多毛虫化石は直径約2~3mm, 長さ約50mmに達する管状の珪質殻を特徴とし, 殻表には, 不規則な生長線, 体節環及び縦状の細い溝を有する。外形上類似するTerebellina, Longitubus, Makiyama, Bathysiphon, Siphonites等と比較検討したが, 形態, 殻表彫刻, 殻構成々分等によりSerpulidae科の1新属として新属名Yokoiaを提唱した。
  • 小林 文夫
    1975 年 1975 巻 100 号 p. 220-229
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    都下五日市北方5kmの地点で採集した層内礫岩中の石灰岩礫の転石に含まれるPalaeofusulina nana LIKAREV, Reichelina cribroseptata ERK, R. cfr. tenuissima K.M. MACLAY, Staffella sp.の4種を記載報告する。あわせて従来報告されているPalaeofusulina 18種について種の検討を行ない, P. prisca DEPRAT, P. nana LIKAREV, P. laxa SHENG, P. ellipsoidalis SHENG, P. minima SHENG and CHANG, P. simplex SHENG and CHANGの6種に整理され得ると結論した。
  • 松本 達郎, 田代 正之
    1975 年 1975 巻 100 号 p. 230-238_1
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    態本県御所浦島江口において, 御所浦層群中部のIIb部層からアンモナイトが産出したので記載・報告する。これは住房が保存され, 特有の殻口縁突出(rostrum)も観察できるよい標本である。英国の上部アルビアン上部産のMortoniceras (Mortoniceras) rostratumに酷似するが, 詳細な点で差異がある。同種の変異が十分よくわかっていない現状では, この化石をM. (M.) sp. aff. M. (M.) rostratumとよんでおく。この産出によりIIb部層は上部アルビアンと確定し, すでに知られたIIeは, Graysonitesの産出により下部セノマニアンであるから, 上・下白亜系の境はIIb-IIe間のどこかにあることとなる。他の軟体動物化石がこの間でどのような変化を示すかが今後の課題となる。なおこのアンモナイトについて, 堆積環境や生活様式に関する論議を試みる。
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