日本古生物学會報告・紀事 新編
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1976 巻, 103 号
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  • 木村 達明, 関戸 信次
    1976 年 1976 巻 103 号 p. 343-378_1
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    赤岩層の植物化石は一般に保存が悪く, 従来は木村(1975)の研究を除いてはその古植物学的研究は行なわれていない。今般, 石川県石川郡白峰村別当崩れ(白山中腹)および大杉谷苛原からやや保存のよい標本が多量に得られたのでここに報告する。赤岩層の植物化石は下位の尾口層の植物群と組成が異なるので, 以下赤岩植物群とよび, さきに木村によって記載された福井県大野郡和泉村半原地域の田茂谷(多母谷)層群中部層の植物化石を含める。赤岩植物群は内帯植物地理区(木村, 1961; 1975)の植物群で, たかわらび科, うらじろ科および所属不明のシダ, ソテツ葉類, イチョウ類およびその類縁のもの, および球果類(広葉のものが優勢)からなる植物群である。赤岩植物群は, たかわらび科をはじめ, シダ類が劣勢であること, ソテツ葉類が劣勢かつ小型化すること, また葉縁が鋸歯状を呈するものが優勢になること, および, Ginkgoidiumを除き, イチョウ類の葉が小型化することなどの諸点で尾口植物群と異なる。また上位の田茂谷植物群とも組成が異なる。赤岩植物群を構成する属種の大部分, すなわち, Coniopteris, Birisia, Asplenium, Raphaelia, Adiantites, Dictyozamites cfr. cordatus, Nilssonia lobatidentata, Ginkgoites, Leptostrobus, Pseudotorellia, Podozamitesなどは, 同時代のシベリア植物地理区植物群と共通もしくはきわめて近縁のものであり, 同時代の下部物部川層植物群(木村・平田, 1975)とはいちじるしく異なる。以上は, 木村のいう日本の内帯植物地理区の古環境がシベリア植物地理区のそれに近縁であり, 日本の外帯植物地理区のそれとは異なったものであることを裏付けている。赤岩層からは, 多量の材化石を入手しているが, これらについては別に記載報告する。
  • 小村 精一
    1976 年 1976 巻 103 号 p. 379-397
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    北海道天北地域に分布する中部中新統-下部鮮新統の地層から羽状目珪藻3新属を記載する。Sawamuraiaは端結節・広い無装飾中央区・短い疑縦溝を有することを特徴とする。KatahiraiaとYoshidaiaは結節状管縦溝が中央頂軸線上にあることを特徴とし, 両者は表面細孔の構造上の特徴と対称性の相違によって区別される。KatahiraiaではPoroidのあるAreoleが不規則に配列し, YoshidaiaではPoroid列が規則的に配列している。属の名称は地質調査所主任研究官沢村孝之助博士・石油資源開発(株)副部長片平忠実博士・同次長吉田義孝氏にそれぞれちなむ。
  • 坂上 澄夫
    1976 年 1976 巻 103 号 p. 398-405
    発行日: 1976/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    1972年, 文部省海外学術調査研究補助金によるイラン, トルコなどにおける中・古生界境界付近の生層序学的研究がおこなわれたが, その際, トルコのサインベイリ北方約20kmの地域で二畳・三畳系のセクションをとった折に採集した二畳紀のこけ虫について研究した結果を報告し, 種の記載をおこなう。挿図にその産出層準を示したが, 産状は散在している程度で密集しているわけではない。識別できたこけ虫はCyclotrypa ogbinensis, Fistulipora cf. monticulosa, Pseudobatostomella decora, Araxopora araxensis, Polypora tubulosaの5種で, そのうちロシヤ卓状地の二畳系Kazanianから知られたPseudob. decoraをのぞく他の4種はアルメニアのズルファ地域のGnishik horizon(Guadalupian)から記載報告された種であり, このたび採集し得た標本は種数がすくないとはいえ, アルメニアズルファ地域の同時代こけ虫動物群と密接な関連性を物語るものである。
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