日本古生物学會報告・紀事 新編
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1977 巻, 108 号
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  • 山口 寿之
    1977 年 1977 巻 108 号 p. 161-201
    発行日: 1977/11/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    この論文では日本の主要な化石および現生フジツボ類のうちBalanus rostratus, B. crenatus, Megabalanus rosa, M. volcanoおよびSolidobalanus (Hesperibalanus) hesperiusを記載する。B. rostratusおよびS. (H.) hesperiusの2種は従来いくつかの種以下の分類群に細分されていた。しかしそれらの種以下の分類群の標徴とされた形態的特徴は日本の現生および化石の1つの地方個体群の標本中に見られる。従ってそれらの種以下の従来の分類は認められない。しかしこの結論は別の形態的特徴によって両種がそれぞれさらに地理的に細分される可能性を否定はしない。M. volcanoの化石がはじめて沖縄本島の更新世に発見された。この化石にはM. rosaが付着しており, 更新世には両者の生殖的隔離が完了していたことを暗示する。B. crenatusおよびS. (H.) hesperiusは最古の化石記録が日本では中新世初期まで溯られる。両種とも現在までの時間経過の間に種を特徴づける形質にほとんど変化が認められない。フジツボ類のこのような形態の長期間にわたる安定性は表現型がその状態を維持する機構を考えあわせる時古生物学的に興味深い素材を提供する。
  • 速水 格, 前田 四郎 /, CARLOS RUIZ FULLER
    1977 年 1977 巻 108 号 p. 202-221
    発行日: 1977/11/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    1970年に千葉大学とチリー地質調査所の協力で行なわれたドメイコ山地の地質古生物合同調査の採集品を検討した結果, アントフアガスタの約180km南東の砂質石灰岩から得られた化石群中にLimidaeの2新種を含む二枚貝13種と腹足類3種を識別, 鑑定したので記載する。このうちAntiquilima atacamensisはジュラ紀に世界的に繁栄したCtenostreonの特徴をも備え, 同属の起源を考察する上に興味ある種である。この化石群はペルー中部のセロ・ド・パスコ地域から知られている三畳紀後期(ノリアン)の軟体動物群に共通する種を多く含み, 母岩の性質も類似するので, ペルーに広く分布するPucara層群の南縁がこの山地に達していることを示している。二枚貝の外層は一般によく保存されているが, がんらいアラレ石でできていたと思われる内層はしばしば消失していて, 殻の構造や鉱物組成のちがいによって差別的な化石化がみられる。化石は多少とも珪化作用を受け, 酸処理によって基質を除去できる場合がある。珪化は差別的な化石化の後で残された殻の内外の表層から内部に向って進行したと考えられる。
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