日本古生物学會報告・紀事 新編
Online ISSN : 2186-0963
Print ISSN : 0031-0204
ISSN-L : 0031-0204
1977 巻, 106 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 紺田 功, 松岡 数充, 西村 昭, 大野 照文
    1977 年 1977 巻 106 号 p. 61-70_1
    発行日: 1977/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    奄美海台からドレッジにより得られたヌンムリテスは, 小笠原諸島母島の中部始新統から産するNummulites boninensis HANZAWAに同定され, 微球型は外形上厚型, うす型の2型に分かれる。前者をN. boninensis forma M, 後者をN. boninensis forma Sとし, その2型について, 外部形態, 内部構造, とくにlamellaとchamberの発達様式を比較, 記載した。
  • 高橋 清
    1977 年 1977 巻 106 号 p. 71-88_1
    発行日: 1977/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    南米チリー国中央部のコンセプションの南部のコロネル炭田のコンセプション夾炭層の石炭から得られた花粉・胞子群集は羊歯植物・蘚苔類の胞子62% (trilete 53.5%, monolete 8.5%), 裸子植物花粉4% (saccate 0.5%, inaperturate 3.5%), 被子植物花粉34% (monocolpate 1.5%, dicolpateとtricolporate 1.5%, triporate 31%)よりなる。胞子では5種を, 花粉では3種を新種として記載し, また胞子では3種が, 花粉では12種が下部第三紀に既に知られている種類であることを明らかにした。Triorites minor COUPERはこれまでニユージーランド, オーストラリアの上部白亜紀に知られているものである。Myrtaceidites parvus COOKSON & PIKEはこれまでオーストラリアの始新世~鮮新世に知られているものであり, 各種類の出現の時代を検討すると第三紀初期ないし始新世に出現しているものがかなり多く, コンセプション層の時代は始新世と考えられる。この花粉・胞子群集を日本の古第三紀のものと比較すると, その構成の特徴は全く異なっており, とくに胞子の出現率が高く, 裸子植物花粉の出現率が低いのは特異である。この群集はStereisporites-Gleicheniidites-Triporopollenites-Myrtaceidites-Subtriporopollenitesの組合せが主体となっている。
  • 猪郷 久義, 猪郷 久治
    1977 年 1977 巻 106 号 p. 89-99
    発行日: 1977/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    アド山層は三畳系で, 基底部に石灰岩礫岩が発達し中部二畳系の鍋山層を不整合におおう。この礫岩の礫に上部二畳系を指示するフズリナが含まれ, 鍋山層が大きく削剥されたことを示す.これらフズリナを記載すると共に, 不整合の意義を論じた。
  • 平野 弘道, 佐野 弘好
    1977 年 1977 巻 106 号 p. 100-105
    発行日: 1977/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    熊本県八代郡東陽村美生からは, かって赤津健によりアンモナイト3個が採集され, 松本達郎により当地域に中部ジュラ系の存在することが示唆されていた。最近, 佐野は当該地域の調査を行い, 問題とされていた地層の分布範囲と層序を明らかにした。また新たにベレムナイト1個が得られた。これの化石はいずれも断片的ではあるが, 検討の結果アンモナイトの1個はCadomites sp., 他の1個はPlanisphinctes? sp.と鑑定された。ベレムナイトはジェレツキー博士の鑑定によりParahastites ? sp.といえる。以上の三者の共通の生存期間は中期ジュラ紀であり, 調査された地層の主部は中部ジュラ系を含むと考えられる。得られた化石の保存はよくないが, 化石産出層の岩相及び構造上の位置をあわせ考えると地史考察上貴重な資料となるので, 図示し記載した。
  • 岩崎 泰穎, 小野 進
    1977 年 1977 巻 106 号 p. 106-121
    発行日: 1977/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    瀬戸川層群は化石に乏しく, これに関する報告は多くないが, 小野は地質調査の傍ら, 同層群中部の滝沢層下底にある玄武岩熔岩の直上から数十点の保存のあまりよくない貝化石を採集した。この中から巻貝6種, 二枚貝8種を識別したので報告する。この内, スソキレガイ類の一種は新種と認められたのでEmarginula tokuyamaiと命名し記載した。この化石群集は, かって水野(1956)が簡単に記述したことがある。巻貝種に富むこと, 表生・内生の二つの異った群集型の混合を示すことを特徴とする。棲息域はおおむね下部浅海帯と推定され, 海底熔岩とそれから派生した角礫などが構成する底質に伴う表生種群及びやや異った場所の砂泥底に伴う内生種群が混合したものと考えられる。巻貝, 付着性二枚貝などの表生の種群が卓越するためか, 元来, 内生の二枚貝を主とする同時代他地域の貝化石群集と共通する種は少いが, 傾向としては古第三紀の浅貝-幌内型動物群との近似性が認められる。
feedback
Top