南米チリー国中央部のコンセプションの南部のコロネル炭田のコンセプション夾炭層の石炭から得られた花粉・胞子群集は羊歯植物・蘚苔類の胞子62% (trilete 53.5%, monolete 8.5%), 裸子植物花粉4% (saccate 0.5%, inaperturate 3.5%), 被子植物花粉34% (monocolpate 1.5%, dicolpateとtricolporate 1.5%, triporate 31%)よりなる。胞子では5種を, 花粉では3種を新種として記載し, また胞子では3種が, 花粉では12種が下部第三紀に既に知られている種類であることを明らかにした。Triorites minor COUPERはこれまでニユージーランド, オーストラリアの上部白亜紀に知られているものである。Myrtaceidites parvus COOKSON & PIKEはこれまでオーストラリアの始新世~鮮新世に知られているものであり, 各種類の出現の時代を検討すると第三紀初期ないし始新世に出現しているものがかなり多く, コンセプション層の時代は始新世と考えられる。この花粉・胞子群集を日本の古第三紀のものと比較すると, その構成の特徴は全く異なっており, とくに胞子の出現率が高く, 裸子植物花粉の出現率が低いのは特異である。この群集はStereisporites-Gleicheniidites-Triporopollenites-Myrtaceidites-Subtriporopollenitesの組合せが主体となっている。
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