日本古生物学會報告・紀事 新編
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1978 巻, 112 号
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  • MICHIKO YAJIMA
    1978 年 1978 巻 112 号 p. 371-409
    発行日: 1978/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    房総半島東京湾沿岸, 木更津周辺地域の海成更新統より産出する介形虫の群集構成を明らかにするため, まず露頭での岩相, 層序関係, 貝化石と砂管の産状等の観察に基いて古環境の復元を試みた。当地域には2つの堆積輪廻が認められる。下部の輪廻(B→E)には親潮型の貝化石が, 上部(F→H)には黒潮型の貝化石が多く産出する。下部輪廻上部のD礫層と部層の下部は, 付近の河のデルタの末端部らしい。上部輪廻のG砂層はほぼ下末吉海進期に相当する。3種類の介形虫化石群集が識別される。i)内湾砂底の群集は, B, C, E部層中に見られ, 内湾砂底の種の他に岩礁地の潮間帯, アマモ場, 内湾泥底に生息する種も混合している。ii)内湾泥底群集はFシルト層中に見られ, その種の多様性は低く, 泥底を這う3種が全群集の90%を占める。iii)シルト質砂底群集は, Cシルト層中の砂のレンズおよびG砂層とH部層中に見られ, 水深20~50mのシルト質砂底に生息する種の他に浅海のさまざまな環境より流入した種を含み, 異地性群集である。Cシルト層の群集はParacytheridea bosoensisを主体とするのに対し, G砂層, H部層のものは, Loxoconcha laetaを主体とする点で差異が認められる。8新種Pseudopsammocythere tokyoensis, Ambostracon ikeyai, Coquimba ishizakii, Actinocythereis kisarazuensis, Lixouria nipponica, Buntonia hanaii, Paracytheridea bosoensis, Cytheroma? hanaiiを記載し, 1種(Cornucoquimba tosaensis (ISHIZAKI, 1968))を再記載した。Pseudopsammocythere, Ambostracon, Lixouriaの3属の産出は日本からは最初の報告である。
  • 平野 弘道, 三上 貴彦, 宮川 秀樹
    1978 年 1978 巻 112 号 p. 410-416_1
    発行日: 1978/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    山口・広島両県に接する島根県六日市町樋口沢には, 今村・他(1966)によりジュラ紀と思われる地層が分布していることが報告され, 樋口層群と命名されている。しかし, これまでジュラ紀の証拠とされた菊石は転石しか得られてなく, 又記載報告も無かった。最近, 三上・宮川は樋口層群の分布とその層序及び周辺層との関係を調べ, 新たに地層ならびに転石から菊石と二枚貝を若干得た。これらの菊石はFontanelliceras cfr. fontanellense, Arieticeras sp., Canavaria sp.と判明した。いずれも西方の豊浦層群から知られている属で, 地中海地方のライアス・ドメリアン亜階Fontanelliceras fontanellense帯の代表的な属である。
  • 大塚 雅勇
    1978 年 1978 巻 112 号 p. 417-423
    発行日: 1978/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    熊本県天草郡天草町下田付近の古第三系からTaxodioxylon matsuiwa WATARIの珪化木に穿孔した管状化石を採集した。化石は保存良好な殻とパレットにより, Bankia属に含まれる新種であることが認められたので, ここに新種Bankia amakusensis, n. sp.として記載した。
  • 田代 正之
    1978 年 1978 巻 112 号 p. 424-433
    発行日: 1978/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    新種Apiotrigonia hetonaiana sp. nov.は, 函淵層群と乳呑川層より産し, その時代は, カンパニアン上部からマストリヒシアンである。本種は, おそらくApiotrigonia crassoradiata NAKANOから由来したものと思われる。なお, Ap. crassoradiataは, 九州や四国ではカンパニアン下部から中部に出現し, 今回, 北海道のカンパニアン下部(函淵層群)にも産出が確認された。新種Senis japonica sp. nov.は函淵層群の上部(マストリヒシアン)から産する。なお, 本属に属する種の産出は, 本邦の白亜系ではこの報告が最初である。
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