日本古生物学會報告・紀事 新編
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1980 巻, 119 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 木村 達明, 辻井 正則
    1980 年 1980 巻 119 号 p. 339-358_1
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    日本の初期ジュラ紀植物化石は, 豊浦層群東長野層(山口県), 山奥層(岡山県), 来馬層群(富山, 新潟, 長野県), 岩室累層(群馬県), 志津川層群(宮城県)から知られている。以上のうち, 植物化石を多産するのは, 来馬層群および岩室累層である。私どもは, この数年間にわたり, 来馬層群および岩室累層から多量の植物化石を採集したので, これらを日本の初期ジュラ紀植物群の代表者として以後順次記載・報告する。本論文は, 産地の地質および従来報告された属種について概観するとともに, とくさ目に属する, Equisetites iwamuroensis KIMURA, E. mori-gumpeii KIMURA and TSUJII sp. nov., E. nipponicus KIMURA and TSUJII sp. nov., E. sp. A, E. sp. BおよびE. sp. Cを記載した。日本の初期ジュラ紀植物群の特徴および他地域の同時代の植物群との比較は最終編において述べる予定である。
  • 田沢 純一
    1980 年 1980 巻 119 号 p. 359-370_1
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    南部北上山地長坂地域, 地蔵堂に露出する唐梅館層の最上部層より, 9種の腕足類からなる後期ビゼー期のフォーナが得られたので記載する。この腕足類フォーナは1新種を含む : Kararankina jizodoensis。地蔵堂フォーナが後期ビゼー期を示すことは, 唐梅館層が上位の上部ビゼー階~ウェストファリア階(?)竹沢層に整合的に覆われるという野外事実と矛盾しない。
  • 胡 忠恒
    1980 年 1980 巻 119 号 p. 371-387
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    本報告においては, 三葉虫3種, アグノスタス類2種の個体発生を図示記載する。すなわち, 前者はAphelotoxon triangulata, n. sp., Pulchricapitus davisi KURTZ, Housia ovata PALMERであり, 後者はPseudagnostus communis (HALL and WHITFIELD)およびHomagnostus tumidosus (HALL and WHITFIELD)である。これらの材料はすべて南ダコタ州のカンブリア紀後期のDeadwood層Elvinia帯から得られたものであるが, 前3者については比較的良く研究されたものの, 後2者に関してはやゝ不完全である。研究の結果, Aphelotoxon triangulataの系統発生がPonumia, HousiaならびにCliffia各属に, またPalchricapitus davisiのそれがCoosinaおよびWilsonella属に近縁であることが明らかとなった。Housia ovataの後期幼生はおそらくクーセラ類のあるもの-例えばCoosia longocula PALMERあるいはCoosella convexa TASCHなど-から放散, 由来したものと考えられる。
  • 野田 雅之, 村本 喜久雄
    1980 年 1980 巻 119 号 p. 388-402_1
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    北海道の北西部を東西に流れる小平蘂川の中上流には上部白亜系チュロニアンの地層が広く露出しているが, この地域から採集された特異な形態をもつInoceramusについて述べる。本種は, 世界的に広く分布し, チュロニアン中部を代表するI. (I.) lamarckiに類似する点があり, とくに北シベリアYenisei河口低地のNasonovsk層(I. lamarcki帯)から産出したI. (I.) paralamarckiに似た点が多い。しかし, その不等殻性がそれほどいちじるしくなく, 両殻ともに成長軸の方向に極端に長くのびている点や, 膨らみがすこぶる大きく, さらに強く膨らんだ広い翼や強い装飾など相違する点が多いので, ここに新種としてInoceramus (Inoceramus) obiraensisの名のもとに記載した。研究にあたって, 従来の記載や研究の方法に加えて, 数量的に表わせる形質については補助的な手段として統計的な検討も試みた。この特異な種の日本での産出は珍しいので, 近縁種の分布などを手がかりとして, チュロニアン中期の古地理や, 本種の系統発生などについて若干の考察を付録で試みた。
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