日本古生物学會報告・紀事 新編
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1981 巻, 121 号
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  • 林 信一
    1981 年 1981 巻 121 号 p. 1-13
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    深海海底掘削計画(DSDP)中南半球の208と327A地点で採集した暁新世の堆積物中から, 珪質鞭毛藻(Silicoflagellate)の一属Crassicorbisemaを新設した。異常に厚い珪質骨格各部と, 顕著な粗いひだ(或はしわ)状の表面の微細構造は極めて特徴的で, 低倍率でも容易にその存在が認められる。現在までの所, この属は一種二亜種からなり, 南半球にのみ分布が確認されているが, その地質時代は主として早期暁新世にのみ限られている事から少くともこの地域の生層序の示準化石として役立つものと期待される。又この研究の結果, 珪質鞭毛藻から暁新世を下からCrassicorbisema disymmetrica dumitricae, C. disymmetrica disymmetrica, Corbisema constricta, Naviculopsis constrictaの四つに分帯した。
  • 本田 裕
    1981 年 1981 巻 121 号 p. 14-28
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    釧路炭田に発達する古第三系は下位の浦幌層群と上位の音別層群とに区分される。釧路炭田西部の音別地域に分布する浦幌層群は下位から留真層, 雄別層, 舌辛層, 尺別層の四層に区分され, 礫岩, 砂岩, シルト岩などから成り, 炭層を挾在する。各層からは浅海ないし汽水生の軟体動物化石を多産し, 上部石狩動物群(MIZUNO, 1964)と呼ばれシジミ科(Corbiculidae)は代表的な非海生軟体動物化石の一つである。筆者はCorbicula (Batissa) sitakaraensis, C. (Corbicula) tokudaiの二種の記載を行ない, C. (Corbicula) kotakai, n. sp.を新種として記載した。Corbicula sitakaraensisはOstrea eorivularis, Mytilus mabuchii, Nemocardium ezoense, "Ampullina" asagaiensisなどの浅海ないし汽水性の種と共産する。C. tokudaiは通常, 他種を随伴せず, C. kotakai, n. sp.は随伴種を持たない。これら三種の随伴種, 現生のBatissa及びCorbicula亜属の生息環境から, C. sitakaraensisは汽水性の, C. tokudai及びC. kotakai, n. sp.は汽水~淡水性の種であり, 前者は後二者よりもより高鹹水性の種と考えられる。
  • 速水 格, 加瀬 友喜
    1981 年 1981 巻 121 号 p. 29-50_1
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    岩手県久慈市南方の"黒崎沖約30km, 深度約400m"の海底から漁業者によって陸揚げされた含化石砂岩塊を検討した結果, Inoceramus (Birostrina) sp. cf. I. (B.) concentricus nipponicus, Pterotrigonia (Pterotrigonia) brevicula, Thetis japonica, Goshoraia crenulata, Margarites? funiculatus, Drepanochilus minimus sp. nov.を含む11種の二枚貝・3種の腹足類を同定したので記載する。この種構成は北海道中軸部の中部エゾ層群の三笠層(三角貝砂岩)下部に知られる軟体動物群に酷似し, セノマニアンの時代と浅海性の堆積環境が強く示唆される。北上山地では, 宮古世(アプチアン-アルビアン)と浦河世(コニアシアン-サントニアン)の海成堆積物はそれぞれ宮古層群と久慈層群で代表されるが, 中間のギリアーク世(セノマニアン-チューロニアン)の海成層は知られていない。今回の発見は, この時代に海岸線が北上山地から東方に退いていたことを立証するとともに, "エゾ地向斜"の縁辺相が現在の北海道南岸から250km以上も南方にまで分布していたことを暗示するものである。
  • 松本 達郎, 村本 喜久雄, 平野 弘道, 高橋 武美
    1981 年 1981 巻 121 号 p. 51-73
    発行日: 1981/04/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    北海道白亜系産のアンモナイトでコニアシアンを特徴づける主要種は, すでにCollignoniceratidae科のモノグラフ(MATSUMOTO, 1965-1971)中に記載したが, ここに補足として4種を記載した。その中の2種は新種で, それぞれPeroniceras stefaninii VENZOとP. besairiei VAN HOEPENに類似する。第3はSornayceras cf. proteus MATSUMOTOで, これも前2種と同様大型である。第4はBarroisiceras onilahyense BASSEで, 原産地マダガスカルで究められた変異の範囲に入る。これらの産地と層位についての調査結果も併記した。
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