日本古生物学會報告・紀事 新編
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1982 巻, 126 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 高橋 清
    1982 年 1982 巻 126 号 p. 303-326_1
    発行日: 1982/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    筆者は, 中部ジヤワ, ジョクジヤカルタ地方の始新世ナングラン層の亜炭から, 胞子4種と花粉44種, 合計48種を識別し, 記載した。48種中17種が新種である : Laevigatosporites javanicus n. sp., Smilacipites spinulifer n. sp., Magnoliaepollenites ellipticus n. sp., Quercoidites ellipsodeus n. sp., Tricolpopollenites elongatus n. sp., Brevitricolpites circularis n. sp., Tricolporopollenites javanensis n. sp., T. marginatus n. sp., T. rasus n. sp., Retitricolporites protensus n. sp., Striatricolporites triolatus n. sp., Polygalacidites speciosus n. sp., Graminidites punctulosus n. sp., Proteacidites matsuokae n. sp., Subtriporopollenites minutulus n. sp., Subtriporopollis specialis n. sp., Tiliaepollenites tropicus n. sp.ナングラン花粉群集はDicolpopollis malesianus, Polygalacidites speciosus, Striatricolporites spp., Proteacidites spp., Graminidites punctulosus等の主要花粉によって特徴付けられており, 他の地域の若干の始新世花粉群集との比較研究がなされた。
  • 大村 明雄
    1982 年 1982 巻 126 号 p. 327-333
    発行日: 1982/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    南西諸島徳之島に分布する更新統最上部とされている亀津層(中川, 1967)から採集したサンゴ(Acropora sp.)化石について, 230Th年代を求めた。その結果, 230Th/234U放射年代測定法の適用限界か, あるいはそれを越える値(30万年以上)が得られた。また234U/238U放射能比に基づく234U年代は387, 000~709, 000年と推定された。すなわち, 亀津層の年代値は30万年以上, そしてその上限は約70万年と結論される。結局, 徳之島には喜界島などで見られる最終間氷期およびその後の数回の亜間氷期に形成された礁性堆積物(Konishi et al., 1974)や完新世の"隆起サンゴ礁石灰岩"(Hanzawa, 1935, のRaised Coral Reef Limestone)が現在陸上に露出していなく, このことは, 少なくとも過去12万年間は, 徳之島付近が沈降傾向にあることを示唆している。
  • 古市 光信
    1982 年 1982 巻 126 号 p. 334-340_1
    発行日: 1982/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    香川県に分布する上部白亜系和泉層群の中通頁岩層からオウムガイ類化石が産出した。これをEutrophocerasの新種として記載した。貝殻は密巻きでへそが小さく亜球状である。縫合線はゆるい曲線で腹部に広い鞍部と側面に浅くて広い総部, へそ壁にあまり目立たない小さな鞍部をもっている。類似の縫合線を持つ種として, 白亜紀後期のE. kobayashii, E. kummeli, E. meriteni, E. montomollini, E. neubergicumと和泉山脈から報告されたE. sp., 第三紀初期のE. bryani, E. cookanum, E. japonicum, E. oregonenseがある。これらのうち白亜紀後期のE. neubergicum(これ自身に少し問題あり)と第三紀初期のE. cookanumが隔壁の形状においてよく類似している。なお螺環があまり膨れておらず縫合線が軽微ながら波曲することはNautilusの性状への前兆を暗示しているように思う。産出層の地質時代はBaculites subanceps pacificusを伴うこととそれが本地域の西方でMetaplacenticeras subtilistriatumの産出層準の上位より産出することから上部カンパニアンに対比される。
  • 田中 啓策, 香西 武
    1982 年 1982 巻 126 号 p. 341-355
    発行日: 1982/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    高知県東部, 物部地域の下部白亜系物部一柚ノ木層(バレミアン)産のウニ化石についてHeteraster 3種, 新属1新種を, 上部白亜系楮佐古層中部(サントニアン)産のものについてEpiaster 1種を識別し, 古生物学的記載を行った。新種は柚ノ木層(バレミアン上部)から産し, これに対して新属を提唱し, Pseudowashitaster mysticusと命名した。このものは, 関東山地山中地溝帯の石堂層や和歌山県湯浅地方の有田層(いずれもバレミアン)からも産する。新属は, 特に単一の周花帯線の発達, かなり幅狭い前対歩帯, 前歩帯における対孔の性質によって外見上類似するWashitasterやHeterasterとは区別され, Hemiasteridae科に属する。現在までの所, この新属は模式種と後記の1種からなり, さらに本属におそらく同定される1種が熊本県八代地方の日奈久層(アプチアン)からもみいだされる。
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