日本古生物学會報告・紀事 新編
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1984 巻, 135 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 胡 忠恒
    1984 年 1984 巻 135 号 p. 395-400_1
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    ウォルコット採石場より採集した中期カンブリア紀の三葉虫Ehmaniella burgessensisの個体発生を記載した。E. burgessensisの原楯期はSao hirsuta, Crassifimbra walcotti, Glyphaspis cf. parkensis, Yuknessaspis santaquinensis, Trymataspis convexus及びEhmaniella sp.の原楯期と良く似る。しかしその中年期は二組の形態群に分けられる。即ちE. burgessensis, Sao hirsuta, Glyphaspis cf. parkensis, Yuknessaspis santaquinensis, Ehmaniella sp.が一組, Crassifimbra walcotti及びTrymataspis convexusがもう一組である。この現象は, これらの三葉虫が共通の祖先より由来し, その後二つの異なる群に分かれたことを示すものであろう。
  • 茨木 雅子
    1984 年 1984 巻 135 号 p. 401-414
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    瀬戸川層群にはよく連続する石灰岩層が広く分布している。これらの石灰岩には, 有孔虫などの微化石を含むことが知られていたが, 石灰岩体から有孔虫を分離することがむずかしく, 薄片による観察にとどまっていた。今回, これらの石灰岩を塩酸または蟻酸で処理することにより, きわめて保存のよい浮遊性有孔虫を9地点から計23種得ることができた。足久保・口仙俣石灰岩のものはBlow (1969, 1979)のP.12-13帯(中期始新世), 横山・宇津ノ谷・廻沢・千葉山石灰岩のものはP.14帯(中期始新世), 立沢石灰岩のものはP.16帯(後期始新世)を示す。その結果, 瀬戸川層群には中期から後期始新世にわたる3層準の石灰岩層を含むことが明らかとなった。
  • 大村 明雄
    1984 年 1984 巻 135 号 p. 415-426
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    琉球弧の中でも西南琉球ブロック中のもっとも海溝側に位置する波照間島の琉球石灰岩について, その形成時代を明らかにするため, 74個の礁性サンゴ化石から230Th/234U年代値を求めた。その結果, 本島の琉球石灰岩は更新世後期の4回の高海水準期(おおよそ81, 000年と103, 000年前の2度の亜間氷期と, 128, 000年と207, 000年前の2回の間氷期)に形成されたことが明らかになった。本研究で得られた最古のものは, 300, 000+40, 000-31, 000年で, この年代値は, より以前の(深海底有孔虫酸素同位体比ステージ9に対比される)間氷期に現在の波照島の位置にすでにサンゴ礁が形成されていたことを示唆している。潮汐平底を構成している石灰岩から採集された5個のサンゴ化石は, いずれも10, 000年以若の年代(920±50年~6, 000±500年)を示した。すなわち, 現在島の周囲を縁取って発達している潮汐平底は, 過去数千年間にわたって形成されてきたものといえよう。このように, 波照間島の琉球石灰岩を, 西インド諸島のBarbaJos島, ニューギニアHuon半島や中部琉球ブロック中の喜界島などの更新統隆起サンゴ礁に対比することが可能になった。各段丘から採集されたサンゴ化石の年代測定結果にもとづき, Ota et al. (1982)によって8段に細分された海成段丘(T1~T8)のうち, 上位から2段目(T2)と下位の5段(T4~T8)は, 侵食面と考えられる。さらに, 彼らは地形学的手法によって, 各段丘形成時の旧汀線高度を求め, 本島が西方へ傾動していると結論した。今回, 最終間氷期に形成されたことが確証されたT3面の旧汀線高度と, 隆起運動の等速性および当時の古海水準を現在より6m高かったと仮定することにより, 本島の最大隆起速度は, おおよそ0.3m/1, 000年と計算される。以上の事実を考えあわせると, 波照間島は, 最終間氷期以降, 造構造的には圧縮場におかれてきたと思われる。
  • 田中 啓策
    1984 年 1984 巻 135 号 p. 427-444
    発行日: 1984/10/15
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    本邦各地の上部白亜系から産したHemiaster属のウニ化石について, Hemiaster (5種), Leymeriaster (2種)及びMecaster (1種)の3亜属8種を識別し, 古生物学的記載を行った。Hemiaster亜属の1種は本邦の既知種であり, Leymeriaster亜属の1種は新種で, カンパニアンから産する。Hemiaster亜属の種は形態上3群に分けられる。問題のHemiaster動物群はインド~マダガスカル(南アフリカを含む)区の要素と類縁があり, 一部西ヨーロッパの要素に似たものも含んでいる。なお, Hemiaster亜属の各種の産状にも言及し, 一部の種について生活様式を推定した。
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