日本古生物学會報告・紀事 新編
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1986 巻, 144 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 香西 武
    1986 年 1986 巻 144 号 p. 479-489
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    これまで記載されてきたPulsidis属を再検討した。その結果これまでPulsidis属に含められていたP. higoensis及びP. okadaiを本属から除外し, 新たに4新種を含む5種を記載した。それらはPulsidis nagatoensis Ota, P. angulata, sp. nov., P. sanchuensis, sp. nov., P. tashiroi, sp. nov., P. rostrata, sp. nov.である。
  • 藤 則雄
    1986 年 1986 巻 144 号 p. 490-515
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    日本における第四紀を通じての古植生の変遷とそれに基づく古気候の変化を究明し, 世界における第四紀の気候変化の標準の1つを日本で作成することを目的として, 1971年秋, 琵琶湖の水深65mの湖底から約200mに及ぶボーリングを実施した。そして, 殆んど完全に連続する過去60万年間の湖成層の採集に成功した。このコア・サンプルの5m間隔での試料に基づく過去60万年間の古植生と古気候の変遷についての第一報(藤, 1983)に続いて, 約25万~10万年前の古植生と古気候の変遷を, 200mコアの25cm間隔で採集したコア・サンプルの花粉分析によって解析した。その結果, この期間約15万年間は, 4花粉帯6花粉亜帯に細分され, それぞれの花粉帯と花粉亜帯の詳細な花粉組成とそれに基づく植生と気候を推定した。そして, さらに, この気候変遷を, 現在までに公表されているカリブ海と赤道太平洋からの酸素同位体比による古水温変化, 地中海のMallorcaと南関東, およびニューギニアから得られた海水準変化・海成段丘分布, そして, 中部ヨーロッパで得られたレスのサイクルなどの同時期の変化と比較検討した結果, これらとは全般的にみてよく類似した変化の認められることが判明した。
  • 猪郷 久治, 久田 健一郎
    1986 年 1986 巻 144 号 p. 516-527
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    関東山地南西部の中・古生層は, 久田によって, 二畳一三畳系の橋立層とジュラ系の浦山層群, ジュラー白亜系の小河内層群に区分された。浦山層群は, 頁岩, 砂岩, チャート, 石灰岩などの外来礫を含むオリストストロームで, 子ノ山層, 武川岳層, 浦山層, 川乗層, 日原層に細分された。東京都西部の日原川支流の小川谷上流に分布する川乗層中の石灰岩は多数のコノドントを含み次のような種が識別された。Hindeodus minutus (Ellison) Pa element, Diplognathodus sp. A, Merrillina sp. A, Neogondolella bisselli (Clark and Behnken), N. gujioensis Igo, N. idahoensis (Youngquist, Hawley and Miller), N. sp. A, Neostreptognathodus exsculptus Igo, N.? sp., Streptognathodus elongatus Gunnell, Sweetognathus whitei (Rhodes), Xaniognathus abstractus (Clark and Ethington), Idiognathodus sp., Enantiognathus sp., Lonchodina spp., Diplododella sp., Hindeodella sp., Hindeodus minutus (Ellison) Sc element.これらのコノドントはNeogondolella bisselli-Sweetognathus whitei assemblage zoneの構成種であるが, Streptognathodus elongatusとIdiognathodus sp.はそれより古い時代を示し, 誘導化石と考えられる。
  • 木村 達明, 内藤 源太朗, 大花 民子
    1986 年 1986 巻 144 号 p. 528-540
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    山口県豊浦郡菊川町田部盆地以北に分布する豊浦層群中位の西中山層群の時代は, おもに豊富に産するアンモナイト化石によって, PliensbachianからToarcian初期にわたると考えられている。このたび, 内藤源太朗, 石田英夫, 福富孝義および栗原豊らによって西中山層から採集された標本の中から, つぎの分類群を識別した。Phlebopteris sp., Otozamites micropinnatus, n. sp., O. sp. A, O. sp. B, Zamites toyoraensis Oishi, Z. sp., Pseudoctenis sp., Brachyphyllum ex gr. expansum (Sternberg) Seward, Cupressinocladus sp. A, C. sp. B, Elatides sp., Geinitzia sp.識別された分類群の数は多いとはいえないが, 西中山層植物群は, ベネチテス類および鱗片葉をつける球果類の多様性によって特徴づけられ, 同時代の来馬層群, 岩室累層および山奥層植物群とはその組成が完全に異なる。また, 同時期の中国湖北省西部に知られている香渓(Xiangxi)植物群のそれとも一致しない。
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