日本古生物学會報告・紀事 新編
Online ISSN : 2186-0963
Print ISSN : 0031-0204
ISSN-L : 0031-0204
1987 巻 , 148 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 塚越 哲, 池谷 仙之
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 197-222
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    Cythere属は, 1785年, O.F. Mullerによって海生の介形虫類に与えられた最古の属として名高い。本研究は, 全世界のCythere属の化石および現世標本の徹底した収集を行うと共に, これまでの研究を総括して, 本属に17種が含まれることを明らかにした。分類の基準として, 遺伝的に保存性の高い形質のひとつである殻表面に開口するsieve-type normal pore canalsの分布形式を重要視して種の分類を行った。また, 現生種については, soft part(生物体), 特に雄の生殖器官の形態の比較により, これらの種分類の信頼性を確認した。本属は, 北回帰線以北に分布圏をもち, 北大西洋沿岸地域に2種, 北太平洋東部地域に4種, 日本列島を含む北太平洋西部沿岸地域に絶滅種3種を含む12種(一部北太平洋東部沿岸地域との共通種を含む)が産出する。種の多様度は, 日本列島地域で最も高く, また化石記録は日本では, 初期中新世まで遡れるのに対して, ヨーロッパおよび北米東部では, 中期更新世以降, 北米西部では, 中期鮮新世以降に産出する。これらの知見を背景として, 本属の各種間の近縁性を考察し, 5つの種グループを認めた。既知種10種の再記載を行うと共に, 7新種(C. cronini, C. hanaii, C. kamikoaniensis, C. nopporoensis, C. sanrikuensis, C. valentinei, C. sp.)を提唱し, Cythere属の種分化および進化系統を追跡する上での基礎としたい。
  • 児子 修司, 浜田 隆士
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 223-227
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    岐阜県吉城郡上宝村福地地域の一ノ谷層の下部層上部(late Bashkirian)より産出したAdnatoceras ichinotaniensis Niko and Hamada, sp. nov.を記載した。本種は, (1)成長の比較的初期に亜円状の殻断面を示す, (2)体管の位置が成長に伴い殻の中心からやや腹側へ移動する, (3) episeptal-mural及びhyposeptalの各位置に気房内分泌物が認められることにより特徴づけられる。Adnatoceras属は, 従来西ヨーロッパ, ソビエト, 北米の中部デボン系から上部石炭系にかけてのみその産出が知られていた。
  • 吉田 靖, 沖村 雄二, 加藤 誠
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 228-245
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    新潟県青海石灰岩の最下部から豊富なサンゴ化石を産出した。このサンゴ化石群集の構成要素は, 秋吉石灰岩のNagatophyllum satoi帯のそれと類似し, 後期ビゼー世を指示している。同定されたサンゴ化石のうち, 多産するだけでなく, 分類, 対比のうえで重要と考えられる2種および3新種を記載する : Cyathaxonia cfr. C. cornu Michelin, Clisiophyllum kurohimense, sp. nov., Akiyosiphyllum stylophorum Yabe and Sugiyama, Carcinophyllum hasegawai, sp. nov., Hiroshimaphyllum simplex, sp. nov.
  • 間嶋 隆一, 高橋 宏和
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 246-255
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    埼玉県大里郡寄居付近の荒川流域に発達する中新統小園層から12種よりなる軟体動物群集が産出する。この群集は河口付近の潮汐砂底に生息していたと考えられ, 中期中新世前期の門ノ沢型動物群内のフネガイ類やウミニナ類の産出によって特徴づけられる潮間帯河口群集に比較される。ウミニナ科の4種, Tateiwaia tateiwai (Makiyama), T. yamanarii (Makiyama), Vicaryella atukoae (Otuka)およびV. ishiiana (Yokoyama)は, 小園層から初めて記載される。
  • 小嶋 智, 水谷 伸治郎
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 256-275
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    中国東北部那丹哈達地域の層状チャートより三畳紀放散虫化石, また珪質頁岩よりジュラ紀放散虫化石の産出を記載した。それらは, Capnodoce traversi, Eucyrtidiellum ptyctum, E. unumaense, Guexella nudata, Livarella validus, Parahsuum (?) sp. A, Pentactioncarpus sp. A, Poulpus curvispinus, Pseudostylosphaera japonica, P. cf. hellenica, P. cf. tenue, P. sp. A, P. sp. B, P. sp. C, P. sp. D, P. sp. E, Stichocapsa convexa, Triassocampe deweveri, T. sp. A, Tricolocapsa (?) fusiformis, T. plicarum, T. tetragona, T. cf. ruesti, Yeharaia annulata, Y. japonica, Y. sp. A.である。層状チャートと珪質頁岩の時代は, それぞれ, 三畳紀中期および後期(late AnisianからLadinianおよびlate CarnianからNorian), ジュラ紀中期(BathonianからCallovian)である。
  • 田沢 純一
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 276-284
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    南部北上山地, 宮城県本吉郡歌津町石浜東方海岸に露出する上部ペルム系(ズルファー階)下部登米層下部の頁岩と石灰質頁岩から, 我が国では初めての腕足類Attenuatellaが採集された。これをAttenuatella bandoiと命名し, 記載する。Attenuatellaはスピッツベルゲン・ソ連邦北極地方・シベリア・ウラル山脈・ユーコン北部・テキサス西部・メキシコ北部・オーストラリア東部・ニュージーランド・ニューカレドニア・タイ北部・中国北部および東北日本の中部石炭系(モスコー階)から上部ペルム系(ドラシャム階)に分布するが, 特にボレアル地域とゴンドワナ地域の下部~中部ペルム系に集中している。
  • 前田 晴良
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 285-305
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    北海道からサハリンにかけて分布する上部白亜系から産するアンモナイトのタフォノミーについて, 主に達布地域での観察を中心に議論した。平行葉理の発達したセノマニアン階の泥岩では, アンモナイトの殻は石灰質ノジュール中に含まれている場合でも, 圧密・溶解を被っている。一方, 生物擾乱を強く受けたチューロニアン階中部~サントニアン階上部の泥岩中のノジュールは, 圧密・溶解を受けていない保存の良いアンモナイトを豊富に含む。おそらく上位層準のノジュールの方が, 下位層準のものよりも続成作用のより早い段階で形成されたと考えられる。大型アンモナイトは, 中・小型のものより続成作用の影響を強く受け, "half-ammonite"や"ventral-tire"等の特徴的な保存をしばしば示す。これらの保存は, 堆積物が殻内を不均一に埋積するため生じると考えられる。また, アンモナイトの殻は, 植物片とよく共存する。これは海水が侵入したアンモナイトの殻の密度が, 流木片のそれと近く, 両者が水力学的に似かよった挙動を示すためと推測される。これら木片やアンモナイト・イノセラムスの殻破片は, 大型アンモナイトのヘソの下に特徴的に掃き寄せられることも多い。植物片や貝の殻破片が集まったこのようなヘソ下部の空間に, 堆積物食者のブンブク類ウニが自生的産状で保存されていることがある。
  • 近藤 康正
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 306-323
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    日本各地の干潟などで22種の内生二枚貝の底質への潜入深度を計測した。二枚貝の潜入深度は, 同一種であっても, 体サイズ, 底質, その他の条件によって変化するので, ある種の潜入深度を簡単に表現することはできない。しかし, 潜入深度の最大値に注目すると, それは体サイズの成長にほぼ比例して増大することが分かった。したがって, 最大潜入深度の体サイズに対する比を用いてその種の潜入能力を表現しておくと便利である(例えば, アサリは2.6, カガミガイは5.0)。潜入深度が種ごとに違うのはそれぞれの生活様式の違いをよく反映しているためである。特に著しいのは, アサリやバカガイのように, 浅く潜りながら(概して15cmより浅い), 洗い出されても再び潜る能力を備えた種類と, ナミガイのように極めて深く潜るかわりに(30-40cmより深い)洗い出されたあと再び潜る能力を放棄した種類との違いであって, これらは頻繁に海底面上に洗い出される危険の高い浅海の, 特に砂底において内生二枚貝が取り得るふたつの生活様式である。化石種の潜入深度を復元するためには, 套線湾入の深さ(ただし, 水管を持ち活発に潜る濾過食者に限られる)が, 最も有効であることが分かった。しかし, このような殻形態に基づく復元には限界があり, 自生的産状の化石の露頭観察などの直接的な証拠に基づいた復元もあわせて行うことが望ましい。
  • 香西 武
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 324-334
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    これまで記載されてきたものも含めて, 本邦白亜系の10地点から産したCaestocorbula属の化石を再検討し, それらを6種に分類し, 各種の特徴を明らかにした。6種の中には, 3新種, C. antiqua, sp. nov., C. monobensis, sp. nov., C. ohtai, sp. nov., が含まれる。
  • 児子 修司, 西田 民雄, 久間 裕子
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 335-345
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    秋吉石灰岩層群からは頭足類を含む多様な軟体動物化石群を産出する。本論では, 秋吉台の南西縁に位置する伊佐地域より産出した6種のオルソセラス超科の頭足類を, 秋吉地域では初めて記載する。頭足類化石の産出層準および岩相は, (1) Brachycycloceras sp. indet.を産出するPsendostaffella antiqua帯(Bashkirian)の海百合片に富むbioclastic grainstone, (2) Brachycycloceras akiyoshiensis, sp. nov., Geisonoceras sejunctus, sp. nov., Geisonocerina cribrella, sp. nov., Striacoceras (?) sp. indet., Reticycloceras (?) sp. indet.を産出するFusulinella biconica帯(Moscovian)のcoquiniteに二分される。
  • 松川 正樹
    1987 年 1987 巻 148 号 p. 346-359
    発行日: 1987/12/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    銚子地域のバレミアン君ヶ浜層から産出したアンキロセラス科に属する異常巻アンモナイト1種を識別してKarsteniceras obataiと命名, 新種として記載した。そして, その成長初期の殼の内部構造と既に報告されている異常巻アンモナイトのそれもあわせて, 超科より高次の段階の分類と系統を議論した。この新種は, Karsteniceras asiaticum (Yabe et Shimizu)に類似する。しかし, その成長中期の段階の殼で, 腹部の肩の位置にある肋に頑丈な疣をもつこと, 成長後期で, 数多くの繊細な条線をもつことで区別される。両種は, 同一の祖先から派生したものと考えられる。準模式標本の一つで成長初期殼の内部構造が観察される。そのうち連室細管の位置に注目すると, 異常巻アンモナイトでも, それが腹部側にあるものと中央に位置するものと二つのタイプに区分できる。これは, 正常巻アンモナイトがその二つのタイプからなるのと同様に, 異常巻アンモナイトが多系統であるとする一つの論拠を示していると考えられる。
feedback
Top