日本古生物学會報告・紀事 新編
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1993 巻, 171 号
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  • 上野 勝美, 猪郷 久義
    1993 年 1993 巻 171 号 p. 213-228
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    タイ国では最上部石炭系グゼリアン統を指示する紡錘虫化石はこれまで報告されていない。今回ロエイ付近の下部ペルム系ナムマホラン層とされる石灰岩から, グゼリアンを積極的に指示するとみられる紡錘虫および小型有孔虫化石を識別したので記載報告する。主要な種はTriticites (T.) samaricus Rauser-Chernoussovaと新種のJigulites grandisである。今回の発見によりタイ国でも石炭系とペルム系の境界問題が詳細に論じられる可能性が強くなった。
  • 永広 昌之
    1993 年 1993 巻 171 号 p. 229-236
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    南部北上山地の本吉地域に分布する下部三畳系大沢層の中部から産するアンモノイド2種, Metadagnoceras motoyoshiense, sp. nov.およびKeyserlingites cf. K. middendorffi (Keyserling)を記載する。両属ともわが国からは初の記載である。これらはColumbitesやSubcolumbitesと共産し, スパース期(前期三畳紀末期)の示準化石であり, その産出は大沢層がスパース階あるいはオレネック階上部に対比されるという従来の意見を支持するものである。北米北西部のスパース階は, 下位より, Columbites層, Subcolumbites層およびNeopopanoceras haugi帯に区分され, 後者はカナダ極地域のKeyserlingites subrobustus帯に対比されている。しかし, 北上山地ではColumbitesとSubcolumbitesのレンジはほとんど重複し, さらにKeyserlingitesの産出層準もこれら2属のレンジ内にあるので, 上記のスパース階のアンモノイド化石帯区分は再考を要する。
  • 天野 和孝, ゲーラト フェルメイ, 成田 健
    1993 年 1993 巻 171 号 p. 237-248
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    北海道の中新統から産出したアクキガイ科の腹足類, Nucellaの保存の良い標本はN. tokudai (Yokoyama)とN. freycineti saitoi Hatai et Kotakaに同定される。N. tokudaiは中新世前期にカリフォルニアに出現し, 中期中新世初期までに, 西方へ日本およびカムチャッカに分布を広げた。N. freycineti saitoiは中新世中期に日本に出現し, 本亜種から中新世末期または鮮新世前期に現生のN. freycineti (Deshayes)が進化した。初期の地理的分布や初期のすべての種に小歯をともなう厚い外唇が見られることから, Nucella属は北東太平洋の温暖水起源であることが推定される。北米西岸の温暖水に起源をもち, その後東アジアに分散したNucellaの分布の変遷は, 北太平洋の温帯浅海域の他の多くの貝類やフジツボの分布の変遷史に類似している。
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