信頼性があり,かつ正確な心理物理測定とは,反応の変動-日内・日間変動および被験者間での変動-の少ない測定であるべきだとされてきた.しかし変動の少ない測定が常に正確であるとは限らない.大きな,かつ周期性のある,或いはどちらかを持つ日間変動,および個人差が,下記のいくつかの研究から見出された.即ちBartley現象,選択反応時間,CFF,聴・視覚閾値,および色相弁別時間閾値である.これらの研究では,各個人の反応変動量および反応分布のパターンは,長期間にわたって保持されていた.他方,日内変動は実験期間のはじめの3〜4日間に減少した.このような減少した日内変動と,保持されている反応分布パターンを伴う測定は,精度の高い信頼性のある測定である.本論文に引用した実験例のデータは,測定精度の観点からは,3種類のカテゴリーに分類できる.
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