当院回復期リハビリテーション病棟では,円滑な自宅退院を目指し,家族との連携の強化に取り組んでいる。また,患者の退院時にその介護者の介護負担感を「Zarit介護負担尺度日本語版」を用いて調査し,退院先との関係があるかを検討した。まず自宅退院と施設退院した患者の主介護者では,「介護をするために,今までの自分の生活を変えることは負担ですか?」という内容の2項目で,有意差を認めた。また,「退院時に患者に頼られていることを負担に感じますか?」という項目が,退院先に関わらず,最も高い得点を示した。次に全22項目に対して判別分析を行い,その負担感の内容が,退院先と関係があるかを検討した。その結果,退院先決定には「介護そのものにより生じる負担:Personal strain」と「介護者が介護を始めたためにこれまでの生活ができなくなったことにより生じる負担:Role strain」が共存しており,その関係を絞り込むことには及ばなかった。家族は,介護をするにあたり,さまざまな負担を感じており,入院中からその介護負担感を取り除いていくことが,自宅退院を円滑にする一要因であると考える。これらのことから,病院と家族・地域スタッフが積極的に情報交換等を行い,個々の患者・家族に適したサービスを早期から探求し,最適な退院方法を選択できる環境を整えることが求められる。
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