理学療法 - 臨床・研究・教育
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23 巻, 1 号
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講 座
  • 杉山 真理
    2016 年 23 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    平成23年に制定されたスポーツ基本法において,初めて障害者のスポーツについて言及された。さらに,平成27年10月にスポーツ庁が発足し,東京オリンピック・パラリンピックムーブメントが高まっている。東京オリンピック・パラリンピックにむけて,障害者の社会参加や自立を支援する理学療法士の役割は大きく,幅広い活動が期待されている。「障害者のスポーツ」という特別なスポーツが存在しているのではなく,障害のためにできないことを,ルールの変更や用具の工夫により補って行うスポーツである。現在,クラス分け,用具の開発・工夫,コンディショニングなどの分野で,多くの理学療法士が活躍している。スポーツは生活を豊かにしてくれるものであり,心身の健康を与えてくれるものである。障害者も例外ではない。障害者とともに歩む立場にいる理学療法士は,多くの支援ができる。東京オリンピック・パラリンピック競技大会にむけて,前進していきたい。
  • 白銀 暁
    2016 年 23 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    理学療法において,運動の計測は重要である。現在の臨床においてその主な方法論は観察であるが,理学療法効果のエビデンス構築のための科学的な評価手法として,機器を用いた定量的な運動計測は欠かせない。運動計測機器のゴールドスタンダードは光学式3次元動作解析装置であるが,臨床への応用は未だ容易ではない。近年,計測技術の発達により,安価で簡便に使える計測機器の開発と実用化が急速に進んでいる。それらは,前述の機器に比べて臨床への高い応用可能性を持つが,まだいくつかの課題も残っている。本稿では,理学療法の臨床に応用が可能な運動計測のための機器として,著者が使用経験のあるハイスピード撮影機能付きデジタルカメラ,慣性センサ(Inertia sensor),深度センサ付きRGBカメラ(RGB-D sensor)の3つを取り上げ,それらの特徴や使用方法を解説するとともに,臨床で用いる際の注意点などを簡単に整理して情報提供する。
研究と報告
  • 松本 純一, 金村 尚彦, 村田 健児, 亀田 光宏, 石神 昭人, 丸岡 弘
    2016 年 23 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【はじめに】末梢動脈疾患患者に対する運動療法の効果は不明であり,虚血と酸化ストレス,血管新生,運動について検証し,明らかにする必要がある。今回,下肢虚血マウスの運動が,酸化ストレス防御系と血管新生に与える影響を検討することを目的とした。【対象・方法】C57BL/6NCr マウス18匹(雄性,10週齢)を,右大腿動脈を結紮する下肢虚血,右大腿部切開のみのshamを作製し,虚血運動,下肢虚血のみ,shamに分類し,運動介入は処置後10日目に速度10 m/min,30分間トレッドミル走行を行った。皮膚温度測定は,外科的処置前後,処置後10日目運動介入および安静前後にサーモグラフィによる評価を実施し,右足部皮膚温度/左足部皮膚温度を算出した。酸化ストレス防御系は,酸化ストレス度と抗酸化力を測定し,潜在的抗酸化力を算出した。運動介入 6 時間後にリアルタイム PCR 法により血管内皮成長因子,線維芽細胞増殖因子mRNA発現量を測定した。【結果】酸化ストレス防御系は,処置前後の比較において,有意差を認めなかった。線維芽細胞増殖因子は,sham群と比較し虚血運動群で低下した。野生マウスによる下肢虚血モデルの短期的な運動刺激は,血管新生因子の発現に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 抜井 周子, 田口 孝行, 原 和彦
    2016 年 23 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,足趾接地の有無が立位最前傾位での足圧中心位置に及ぼす影響について,若年者と高齢者で明らかにすることを目的とした。[方法]対象は,若年女性12名(平均20.7歳),高齢女性10名(平均72.3歳)とした。測定は,4条件で測定可能な自作の足台(①全趾荷重,②母趾のみ荷重,③第2~5趾のみ荷重,④全趾免荷)上にて,立位最前傾位を保持し,その際の足圧中心位置を算出した。統計解析には,二元配置分散分析と多重比較検定を用いた。[結果]足趾接地条件の主効果は有意であり,年齢(若年者・高齢者)の主効果は認められなかった。多重比較検定の結果,③第2~5趾のみ荷重および④全趾免荷の条件よりも,①全趾荷重および②母趾のみ荷重の条件の方が有意に足圧中心の前方への移動量が大きかった。[結論]若年者・高齢者ともに,足趾接地は立位最前傾位の足圧中心位置に影響し,第2~5趾よりも特に母趾の接地のない条件では,足圧中心をより前方に移動させることが困難であることが明らかとなった。
  • 會田 萌美, 武井 圭一, 奥村 桃子, 平澤 耕史, 田口 孝行, 山本 満
    2016 年 23 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,片脚立位における非支持脚拳上方向の股関節角度の相違に着目し,支持脚筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】男子大学生13名を対象に,片脚立位姿勢(非支持脚股関節中間位,外転20度・45度,屈曲30度・90度)を保持させ,支持脚の大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,腓腹筋内側頭の筋活動を測定した。4筋における股関節中間位と外転位,股関節中間位と屈曲位の肢位間の筋活動を比較した。【結果】非支持脚を外転方向へ挙上した片脚立位では,角度の増大に伴い中殿筋に有意な筋活動の増加を認めた。外転45度・屈曲90度の片脚立位では,股関節中間位の片脚立位に比べ,中殿筋・大殿筋の有意な筋活動の増加を認めた。【結論】Closed Kinetic Chainでの筋力トレーニングとしての片脚立位は,股関節外転により支持脚中殿筋の筋活動を鋭敏に増加させ,外転45度・屈曲90度では股関節周囲筋の筋活動を増加させる特徴があると考えられた。
  • 櫻井 秋平, 木戸 聡史, 丸岡 弘
    2016 年 23 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    [目的]健常若年者において呼気・吸気時の最大口腔内圧とハンドヘルドダイナモメーター(HHD)による頚部・体幹筋力測定値との関連性を明らかにし,HHDによる筋力測定が呼吸筋力の新たな評価法になりえるか検討した。[方法] 呼吸器系に異常の無い健常男子大学生15名に対し,呼吸筋力測定,体幹・頸部筋力測定,筋活動測定を行った。[結果]最大呼気口腔内圧(MEP),最大吸気口腔内圧(MIP)と,各測定項目の間に有意な相関は得られなかった。また筋活動測定ではMEPにおいて外腹斜筋が胸鎖乳突筋,腹直筋と比較し有意に高値を示し,MIPにおいて胸鎖乳突筋が僧帽筋,腹直筋,外腹斜筋と比較し有意に高値を示した。[考察]呼吸筋力を頚部・体幹筋力のみで推定することは困難と考えられた。しかしMEPは外腹斜筋,MIPは胸鎖乳突筋が強く反映されることが明らかとなり,それぞれを強く反映する筋力測定にて再検討することで,呼吸筋力を推定できる可能性が示唆された。
  • 解良 武士, 玉木 彰, 椿 淳裕, 小柳 圭一, 高井 遥菜, 大久保 康
    2016 年 23 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【はじめに】LRC(運動呼吸同調)は中等度の運動強度で実施する場合が最も導入意義が高いと考えられるが,それよりも高い運動強度での条件でもLRCが有効であるか検討した。【方法】健常若年者14名を対象に,自由呼吸条件,エルゴメーターのペダル1回転につき1呼吸周期で誘発したLRC誘発条件の2条件をランダムに,80%Wmaxの定常負荷運動をオールアウトまで実施し,運動中の換気量と運動継続時間を比較した。【結果】運動継続時間が延長したのは8例で,運動継続時間も延長したものの有意ではなかった。換気量の変化からLRCにより相対的な過換気を呈していた。LRC誘発により呼吸困難感が低下したが,下肢については有意な変化は認めなかった。【考察】今回のLRC誘発条件では,呼吸数増加による過換気によりLRC誘発による効果が得られなかった可能性がある。それにもかかわらず呼吸困難感が減少したことから,この機序について更に検討が必要であると考えられた。
  • 湯村 良太, 石橋 英明, 藤田 博曉
    2016 年 23 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【緒言】ロコモ度テストは下肢筋力と歩行速度を推定出来るため,転倒リスクと関連があると考えられる。本研究では,転倒歴とロコモ度テストとの関連を,他の運動機能測定値との関連を含めて検討した。【方法】地域在住中高年者765名を対象とした。転倒歴とロコモ25の質問票調査,立ち上がりテスト,2ステップテストと他の運動機能測定(握力,膝伸展筋力,足趾把持力,5回立ち上がり時間,開眼片脚起立時間,FRT,6 m歩行速度)を実施し,対象者を転倒群と非転倒群に分け2群間比較を行った。【結果】男性では,ロコモ度テストの3テスト,握力を除く全ての運動機能測定値において転倒群が有意に劣っていたが,女性ではロコモ25を除く全ての項目において両群の差を認めなかった。【結論】自立した中高年者,特に男性においては転倒歴とロコモ度テストとの関連が示唆された。転倒リスクを管理する理学療法士にとって,ロコモ度テストは有用であると考えられた。
  • 佐々木 洋平, 近藤 静香, 市橋 駿也, 藤本 秀子
    2016 年 23 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】フレイルの評価は多数あるが未だに統一されていない。そこで今回は学術的に最も受け入れられているCardiovascular Health Study(以下,CHS)とその有用性が多く報告されているStudy of Osteoporotic Fracture(以下,SOF)という2種類のフレイルの評価を実施し,両者の関連性および特性について確認した。【方法】当院通所リハビリテーションの利用者(24名)に対し,CHSおよびSOFをそれぞれ実施した。結果についてはJSTAT for Windowsを使用し,Spearmanの順位相関係数を算出した。【結果】CHSとSOFの結果について,両者の間に有意な相関関係を認めた(r=0.669,p<0.01)。【結論】フレイルの評価は病院や施設など設備が充実した環境ばかりではなく,自宅や地域活動の場などさまざまな物理的制約が存在する環境でも実施される。したがってフレイルの評価を行う際は,さまざまな条件を鑑みたうえで,CHSとSOFそれぞれの特性を考慮し,妥当な評価方法を選択することが重要であると考える。
  • 飛永 敬志, 岡 浩一朗, 谷澤 真, 宮崎 千枝子, 橋本 久美子, 齊藤 孝道, 尾澤 翔太, 東村 隆, 大関 覚
    2016 年 23 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は人工膝関節全置換術(TKA)患者の退院時における身体活動量の実態を調査し,その関連要因について検討した。【方法】対象はTKA患者で両側手術例1例を含む44例とした。身体活動量は活動量計AM-120(タニタ社製,カロリズム)を装着して,退院前の連続7日間の平均歩数を計測した。身体機能はTimed up and go test(TUG),開眼片脚起立時間,30秒椅子立ち上がりテスト,膝伸展筋力および5 m最大歩行速度を測定した。膝関節の痛みと機能はWestern Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Indexに準じた日本語版を用いた。Spearman の順位相関係数と各身体機能を独立変数,身体活動量を従属変数として重回帰分析を行った。【結果】TKA患者の退院時における身体活動量は2256.5±1576.7歩であった。身体活動量とTUG,術側膝伸展筋力,30秒椅子立ち上がりテストおよび5 m最大歩行速度との間に有意な相関を示した。重回帰分析の結果,身体活動量の関連要因としてTUGが抽出された(β=-0.415,p<0.01)。【結論】TKA 患者の退院時における身体活動量は極めて低く,身体活動量の関連要因として移動能力が重要であることが示された。
  • 長岡 望, 新田 收
    2016 年 23 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】人工関節置換術患者を対象にした,在院日数の延長を予測するRisk Assessment and Prediction Tool(RAPT)の妥当性を検証することを目的とした。【方法】始めにRAPTの日本語訳を作成し,それを元に人工膝関節全置換術(TKA)施行患者30名に対し,RAPTを聴取した。RAPT得点と在院日数,またRAPT得点と歩行自立までに要した期間(歩行自立期間)の関係を相関分析により分析した。【結果】RAPT得点と在院日数の間に相関は認められなかったが,歩行自立期間との間には有意な相関(rs=-0.46,p<0.05)が得られた。【考察】先行研究ではいくつかの国において,RAPTの妥当性が確認され,RAPTによって在院日数の延長を予測できるとされている。本研究では,在院日数とRAPT得点との間に関連性は認められなかった。本国の在院日数は欧米に比べ長く,社会的な背景など様々な要因に左右されるため,関連性を認めなかったと考えられる。一方でRAPT得点と歩行自立期間には関連性を認め,RAPTが本研究においては歩行自立期間の予測として有用であると示唆された。
  • 中野 克己
    2016 年 23 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行中の足圧中心(center of pressure:以下COP)軌跡と麻痺側下肢機能との関係について調査した。【方法】脳卒中片麻痺者43例に対して,足圧分布計測システムにより歩行計測を行なった 64 例を対象とした。【結果】COP軌跡は蝶型,三角型,不定型の3つに分類され,蝶型はBrunnstrom recovery stage(以下,BS)ⅤⅥ群に多くみられた。COP軌跡が交差する座標は平均値(14.1±12.0,3.6±7.6),相関係数0.34であった。BSⅤⅥ群は,ⅢⅣ群よりもX値,Y値ともに低値であった。歩行周期毎のCOP軌跡のばらつきは,ⅤⅥ群がⅢⅣ群よりも少なかった。【結論】歩行中のCOP軌跡は,麻痺側下肢機能による影響を受け,歩行の変化を知る手がかりを与えていた。今後,歩行速度や耐久性など,より実用性の高い目標を立てる上で有用な評価指標になることが期待される。
  • 新井 龍一
    2016 年 23 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者を対象にバランスディスクの運動療法の効果を検討した。【方法】対象は2012年12月~2013年6月までに当院回復期病棟に入院した脳卒中患者34名とした。対象の数を揃えるためにブロック無作為化にてわけた後,最終的には条件から除外された者と脱落者を除いた非介入群7名,介入群13名を対象として研究を行った。介入群には通常介入に加えてバランスディスク上端座位にて骨盤の前後左右の運動を各10回×3セットを週7日間3ヵ月間行った。効果判定にはFunctional Balance Scale(以下,FBS),Trunk Impairment Scale(以下,TIS)を用いて初期評価時,介入後1ヶ月,2ヶ月後,3ヶ月後に評価を行った。【結果】FBS,TISにおいて非介入群,介入群ともに初期から3ヶ月にかけてそれぞれ有意な改善がみられたが,非介入群と介入群との群間を比較した結果,有意差は認められなかった。【結論】今回の結果からはバランスディスクを使用した運動療法は有効であるとは言えなかった。脳卒中患者に対して,体幹機能を改善する効果的な運動療法を検討するために今後も条件を練り直し再度検討する必要があると考える。
  • 中村 高仁, 菊本 東陽, 星 文彦
    2016 年 23 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行中の方向転換動作における予期的姿勢制御に関わるステップ戦略について分析すること。【方法】健常成人20名(男女各10名)を対象に,4-5 m程度の定常歩行後,フットスイッチを用いて光刺激から転換方向を規定し,その方向に左右90°方向転換する課題を行った。光刺激脚(支持脚)と転換方向の組み合わせで支持脚方向と遊脚方向に分類し,その際のステップ戦略と頭部・腰部反応時間を分析した。【結果】全ての対象者が支持脚方向でstep turnを,遊脚方向でspin turnを行った。いずれの方向も頭部と腰部の順序的な動きがみられ,男女ともに支持脚方向と比較して遊脚方向の頭部反応時間が速く出現した。【考察】本研究では転換方向によってステップ戦略が異なり,反応時間もその戦略に付随した。対象者が本研究課題における予期的姿勢制御機構として動作の効率性や連続性を維持した戦略を選択したためと考えられた。
  • 芝﨑 伸彦, 望月 久, 沼山 貴也
    2016 年 23 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の肺・胸郭の柔軟性が時間経過とともに低下するのか検討することである。対象は侵襲的人工呼吸療法管理のALS患者11名である。横断的に動的肺コンプライアンス(Cdyn)と肺強制吸気量(LIC)の測定を行い,診療録より年齢,罹病期間,人工呼吸器装着時間を調査した。CdynまたはLICとの各変数(年齢,罹病期間,人工呼吸器装着期間)との関連性を調べるため,Spearmanの相関係数を求めた。結果はCdynでは人工呼吸器装着期間との間に,LICでは罹病期間と人工呼吸器装着期間との間に相関関係を認めた。時間経過に伴い肺胸郭の柔軟性が低下するため,罹病期間や人工呼吸器装着期間が延長する以前から呼吸理学療法を行うべきである。
  • 米澤 隆介, 河井 剛, 中野 克己, 廣島 拓也, 前原 邦彦, 宮原 拓也, 山際 正博, 横山 聖一, 阿部 裕一, 江川 俊介, 山 ...
    2016 年 23 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】公益社団法人埼玉県理学療法士会(県士会)南部ブロック県央エリアの認知度と,地域で働く理学療法士(PT)の県士会活動へのニーズを把握する目的でアンケートを実施した。【方法】アンケートは県央エリアの全てのPTを対象とした。アンケートは県央エリアの認知度,研修会や研修会への参加,および県士会活動に関する情報収集に関する計7問とし,郵送にて送付と回収を行った。【結果】アンケートの回答数は274通であった。77名が県央エリアを知らないと答え,186名が県央エリアの研修会や交流会に参加経験がないと答えた。一方,218名が研修会や交流会に参加したいと答えたが,83名が県士会活動について情報収集しておらず,研修会や交流会の開催情報を知らなかったという意見が多かった。【結論】県央エリアの認知度を高めるとともに,研修会や交流会の情報を地域の隅々まで広報することで,PTの県士会活動への潜在的なニーズに応えていく必要がある。
  • 小林 由紀子, 江連 亜弥, 小澤 真美子
    2016 年 23 巻 1 号 p. 86-88
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    リハビリテーション部署の産前産後休業および育児休業(以下,産休育休)の取得状況を検証するため,医療法人敬愛会リハビリテーション部における産休育休の取得状況と妊産婦がかかえる問題について検証した。方法は,医療法人敬愛会リハビリテーション部の職員を対象に,過去10年間の職員総数,男女比,経験年数,離職者数,産休育休取得者数等を調査した。また,産休育休取得者には,産休取得時の経験年数,産休育休の期間についてアンケートを実施した。結果は,職場の動向について,離職率は近年横ばいとなり,療法士の経験年数は中堅層以上が若手層を上回っていた。産休育休取得者は増加傾向が認められた。アンケート結果では,産前休暇は,約3割が体調不良により早めに取得した。育休復帰時期は,半数近くが予定より早く復帰した。産休育休取得者に増加傾向が認められたのは,職場が安定し中長期的な人生設計が立てやすくなったことや,子育て世帯によるロールモデルの蓄積などとの関連性が推察された。育休終了時期に関しては,保育所不足の問題が大きく関与していた。
  • 赤坂 清和, 田村 暁大, 簗瀬 康, 乙戸 崇寛, 澤田 豊, 大久保 雄
    2016 年 23 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    [目的]日本の理学療法士養成校における関節モビライゼーション教育の現状を明らかにすること。[対象]2013年に理学療法士を養成する学生を募集していた全国理学療法士養成校244校。[方法]関節モビライゼーション教育状況について,郵送によるアンケート調査を実施した。[結果]関節モビライゼーションは授業内容に取り入れられていない,またはわからないと回答した養成校は,合わせて9.8%であった。また,担当教員の85%が読む関節モビライゼーションに関連する論文数は,月に1論文以下であることが判明した。さらに,教育環境が不十分という意見が多かった。[結語]理学療法士養成校における関節モビライゼーション教育担当の教員の質の向上と多面的な環境整備により,更なる教育の充実を図るべきであるという課題が明らかとなった。
症例検討
  • ―低酸素性虚血性脳症児の理学療法介入例―
    石川 由樹, 武井 圭一, 守岡 義紀, 丸山 侑里子, 茂木 恵美, 仲村 佳奈子, 渋谷 耕平, 山本 満
    2016 年 23 巻 1 号 p. 93-95
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】在宅に向けて両親が主体的な養育を行うためにNICU入院後,両親が児に関わる課題の難易度の調整を工夫した症例を報告する。【理学療法介入】両親と児の関わりとして手遊び・ストレッチ・ポジショニングの順に課題設定し,各課題について両親の状態に合わせて見学・部分的参加・主体的参加を促した。また,介入による児の変化を両親に説明し,両親が児の状態を理解できるように支援した。【結果】手遊びの段階では,実施直後から主体的参加が可能であり,ストレッチの段階では両親が拘縮予防の握り棒を製作した。ポジショニングの段階では,今後の自宅生活を想定した必要物品の準備,環境設定についての発言を認めた。【結論】理学療法士により,両親が児に行えることを評価し,段階的に関わりを増加することや,児の反応を解釈できるように支援することは,両親と児の関わりを増加し,両親の退院移行に向けた主体的な行動を促すことができると考えた。
  • 島村 穣, 村田 健児, 亀田 光宏, 久保 和也, 西野 友哉
    2016 年 23 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】肩甲骨骨折は稀であり,保存療法における理学療法の報告は無い。今回,肩甲骨体部骨折保存療法例に対する理学療法を行い,転位無く上肢挙上が可能となった一症例を報告する。【方法】骨片の転位の予防および肩関節可動域の改善を目的に,骨折治癒過程および構造・機能的障害に応じた肩関節可動域練習を実施した。【結果】受傷後4ヶ月で骨片の新たな転位および愁訴,肩関節可動域の左右差を認めず職業復帰を果たした。【結論】肩甲骨体部骨折保存療法における理学療法の役割として,機能障害へ繋がる骨片の転位による変形治癒や偽関節の予防を考慮した理学療法が重要である。
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