本研究の目的は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の肺・胸郭の柔軟性が時間経過とともに低下するのか検討することである。対象は侵襲的人工呼吸療法管理のALS患者11名である。横断的に動的肺コンプライアンス(C
dyn)と肺強制吸気量(LIC)の測定を行い,診療録より年齢,罹病期間,人工呼吸器装着時間を調査した。C
dynまたはLICとの各変数(年齢,罹病期間,人工呼吸器装着期間)との関連性を調べるため,Spearmanの相関係数を求めた。結果はC
dynでは人工呼吸器装着期間との間に,LICでは罹病期間と人工呼吸器装着期間との間に相関関係を認めた。時間経過に伴い肺胸郭の柔軟性が低下するため,罹病期間や人工呼吸器装着期間が延長する以前から呼吸理学療法を行うべきである。
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