理学療法ー技術と研究ー
Online ISSN : 2760-1730
Print ISSN : 0914-4668
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 井上 宜充, 岡山 博信, 角田 佳代子, 和田 奈央, 佐藤 慶一, 秋野 海凪, 木村 友彦, 島田 浩輝, 奥田  咲, 丸山 結花
    2025 年53 巻 p. 45-53
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【目的】本研究の目的は研究実施施設において回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近 位部骨折術後例を対象に、実績指数が40 を下回る症例の予測因子を明らかにすることである。 【方法】回復期リハビリテーション病棟を入退院した大腿骨近位部骨折術後例を対象に病棟入 棟期間の実績指数を個別の症例で算出した。実績指数の予測因子について説明変数を性別、年 齢、受傷前の居所、受傷前の要介護度、受傷前の障害高齢者の日常生活自立度判定基準、受傷前 の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準、回復期リハビリテーション病棟入棟時のFunctional Independence Measure 各項目とし、2 項ロジスティック回帰分析を使用して解析した。 【結果】実績指数が40 以上となるか否かのアウトカムの予測式として抽出された項目と多変量解析 補正後オッズ比は後期高齢者(1.68)、要介護度(1.91)、FIM の食事(1.56)、社会的交流(2.25)であっ た。 【結論】大腿骨近位部骨折術後例の実績指数が40 以上となるか否かの予測には後期高齢者か否か、 受傷前の要介護度、入棟時FIM のうち食事、社会的交流が有効である。
  • 大内 佑太, 城所 亮多, 衣田  翔, 大森 圭貢, 森尾 裕志
    2025 年53 巻 p. 55-60
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【目的】変形性膝関節症患者の階段昇降速度と身体的・心理的因子との関連性について検討した。【方法】階段の昇段速度、降段速度、昇段と降段の速度比率(AD 比)、等尺性膝伸展筋力(IKES)、Timed Up & Go tes(t TUG)、快適 10m 歩行速度、階段昇降を完遂する自信感(SE)、階段昇降中の疼痛(NRS)を評価した。昇降パターンは1 足1 段と2 足1 段に群分けした。 【結果】階段昇降速度はIKES とTUG、快適10m 歩行速度と相関があり、SE はAD 比と相関があった。NRS は、いずれの変数とも相関がなかった。 【考察】本研究で階段昇降速度と関わりのあった因子のひとつにTUG がある。TUG は、階段昇降動作と同様の「踏み替え」「加速」「減速」の構成要素を含むため相関があったと考えられた。また、SE が低値な者ほど昇段速度に比べて降段速度が遅い結果であった。階段昇降動作を評価する上で、階段昇降速度のAD 比をみることは理学療法評価の一助になるかもしれない。
  • 相川 駿, 久枝桃子 桃子, 小林 侑里, 横山 仁志
    2025 年53 巻 p. 61-64
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨 【目的】インフルエンザA 型感染を契機に鋳型気管支炎を発症した児において、徒手的肺過膨張法が有効であった症例について報告する。 【方法】インフルエンザA 型発症後の持続する胸痛、咳嗽および呼吸苦を主訴に入院となった健康な10 歳男児。入院早期より体位ドレナージを中心とした呼吸理学療法が実施されたものの、症状は残存し、その後に実施された胸部CT 検査にて鋳型気管支炎を認めた。そこで、医師との協議の上、鋳型気管支炎の改善目的に徒手的肺過膨張法を実施した。 【結果】介入後は胸部X 線検査、酸素化および自覚症状は改善し、気管支鏡による侵襲的な処置をせずに、自宅退院となった。 【結論】緊急での気管支鏡による鋳型栓の除去が必要でない鋳型気管支炎を発症した児においては、徒手的肺過膨張法を中心とした呼吸理学療法が、鋳型気管支炎の改善に有効である可能性が示唆された。なお、肺の圧損傷リスクや循環動態が不安定な例での実施には注意が必要と思われた。
  • 磯邉  崇, 村重 美佳, 鈴木 貞興, 石原 剛
    2025 年53 巻 p. 65-69
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨 当院にけるStanford A 型大動脈解離の手術後の理学療法は、残存解離の有無により異なる運用で行われた。残存解離のない症例では、「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021 年改訂版)」に基づき、可及的早期から離床を開始し、患者の全身状態や血圧コントロール状況に応じて適切な運動プログラムが実施された。一方、残存解離のある症例には、「大血管術後のプログラム進行基準例」を適用し、下行大動脈の残存解離の有無や偽腔の状態をCT 検査で確認しながら段階的にADL の拡大を図った。また、手術後の合併症として、左上肢機能障害が2 例、出血性脳梗塞が1 例認められた。これらの手術後の合併症が理学療法の進行に影響を与えたことが推測された。
  • 城所 大樹, 添田 遼
    2025 年53 巻 p. 71-74
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨 【目的】橋出血後のPacing 障害例の理学療法の経過を振り返り、病態の整理と有効なリハビリテーションについて検討すること。 【症例紹介】70 歳代の橋出血後の男性症例。第13 病日に当院回復期リハビリテーション病棟へ転院した。転院後に心身機能の改善を認めたものの、車椅子の移動や移乗動作、歩行時に動作の速度が性急になる現象を認めた。評価をしたところ、Pacing 障害は陽性であったため、第102 病日から3 週間にわたり、Pacing を考慮した聴覚刺激を併用したペダリング運動と歩行練習を実施した。【経過】Z + 124 日にはPacing 障害は陰性となり、車椅子の移動や移乗動作が自立した。歩行は見守りとなった。 【結論】橋出血例は前頭葉に関連したPacing 障害を呈する可能性があり、理学療法評価と介入を考慮する必要があることが示唆された。
  • 八木 麻衣子, 近藤 千雅, 浅田 秀人, 松本 肇, 露木 昭彰
    2025 年53 巻 p. 75-81
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨 【目的】神奈川県理学療法士会管理者育成推進事業基礎調査として、組織管理教育に関する状況、問題点を把握・分析することを目的とした。 【方法】対象は、2021 年5 月神奈川県理学療法士会(以下、本会)全会員(n=5,270)とし、オンラインアンケートにて、対象者属性、部門管理における悩み、部門の管理状況、マネジメント学習方法、などを調査した。 【結果】回答者は146 名(2.7%)で、管理業務を行っていたのは101 名(69.2%)であった。管理者としての悩みは、①戦略・ビジョン・事業計画、②管理のための資源の不足、③スタッフの仕事への意識、④中間管理職としての立ち位置、⑤業務改善・効率化・標準化・平坦化、⑥コミュニケーション、⑦モチベーションの維持、などに分類された。マネジメントを学んだ経験があったのは69 名(43.3%)で、マネジメント教育で重視すべき内容としては、「現在の医療・介護業界全般が抱える諸問題について、指針を提供できる」、「経営理論などの基礎に基づく、深い洞察力を養う」、「幅広い仕事に活動できる理論や実践方法を習得できる」などが挙がった。 【考察】今後は、管理者としての体系的な学びの場の提供を実現することが重要であると考えられた。
  • 下田 栄次, 松田 梓, 中橋 真弓, 今川 佑子, 須貝 勝, 前田 拓
    2025 年53 巻 p. 84-90
    発行日: 2025/01/31
    公開日: 2025/09/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    要旨 【目的】2024 年1 月1 日に発生した令和6 年能登半島地震において、公益社団法人神奈川県理学療 法士会災害対策部部員が実施した支援活動の詳細を報告すること。 【活動内容】1 月5 日から3 月31 日の期間で、東京都および石川県の災害対策本部や保健医療福祉 調整本部で支援活動を実施した。災害医療研修修了者を選出しのべ9 名の部員が参加した。また、 上述の9 名とは別に神奈川県災害派遣福祉チームの一員として2 名の部員が石川県輪島市で福祉支 援を実施した。 応急修復期では、避難所での支援調整と要配慮者のニーズ把握が課題となり、リハビリテーション 支援が必要とされた。復旧期では、避難所から応急仮設住宅への移行に伴い、要配慮者のスクリー ニングと情報共有が重要であることが示された。 【考察】要配慮者支援には、初期対応として災害対策本部におけるロジスティクス支援や専門職間 の連携強化が重要であることが示された。特に、避難所内でのリハビリテーション支援が長期化す る中で、要配慮者の身体機能維持や生活環境改善が課題となった。 【結論】能登半島地震における要配慮者支援の課題を明らかにし、今後の災害時における平時から の準備と専門職の連携の重要性について報告した。
feedback
Top