関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述発表
口述発表1(神経系)
  • 照屋 康治, 大村 優慈
    セッションID: 1
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 視床出血患者のCT分類・出血量から心身機能の予後についての報告はされているが、歩行能力に焦点を当てたものは少ない。今回、当院に入院した視床出血患者の傾向を明らかにし、今後の課題について報告する。<BR> 回復期リハビリテーション病棟におけるPTの役割として、できるだけ早い段階で歩行の予後を予測することが求められている。今回、当院に入院した視床出血患者の退院時の歩行能力に関与する因子を明らかにしたい。退院時の「するADL」の移動手段を検討するにあたっては、環境因子の要因も少なくないため、退院時期の訓練レベルの歩行能力を明らかにする。<BR> 【方法】 対象を当院に入院しPT・OT・STの計9単位を処方された視床出血患者を対照とする。急性期病院への転院、死亡例、外科的処置の施行者、また発症以前より歩行が自立していなかった事例は除外する。<BR> カルテより独立変数の年齢、性別、損傷側、CT分類、出血量、当院入院までの期間、入院時の下肢Brunnstrom recovery stage(以下、BRS)と従属変数の退院時期における訓練レベルでの歩行能力について情報収集。またデータ処理として独立変数ごとに群分けを行い、歩行能力の分布の違いをMann-whitneyのU検定とKruskal Wallisの検定を行う(有意水準5%)。<BR> 【結果】 年齢、出血量、損傷側、当院入院までの期間、入院時の下肢BRSにて有意差を認めたが、性別、CT分類では有意差を認めなかった。非典型例として高齢患者や30mlの出血にても歩行自立を獲得する事例を認めた。また入院時の下肢BRSが_III_と_IV_では退院時期の歩行自立度に大きな差を認めた。<BR> 【考察】 当院における視床出血患者の退院時歩行自立度は年齢、出血量、損傷側、当院入院までの期間、入院時の下肢BRSにてある程度予測可能であると考えられる。しかし、非典型例として飛躍的に改善した事例や改善が滞った事例も認める。<BR> 【まとめ】 今後の課題として非典型例の飛躍的に改善した事例の因子や改善が滞った事例の因子を明確にすることは重要な作業であると考える。また入院時のBRSが_III_と_IV_とでは退院時期の自立度に大きな違いを認めたことから、この相関にてついても検証する必要があると思われる。今後、事例数を増やした検証にて、より制度の高い帰結予測モデルを作成していきたい。<BR>
  • 水澤 一樹
    セッションID: 2
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脳卒中患者の歩行自立度に関与する因子についてはこれまで様々な報告があるが,歩行自立度の程度については報告されていない.脳卒中患者の機能予後をより早期から予測することは理学療法(以下,PT)を実施する上で重要である.予後予測をする上で評価は重要であるが,機器などを要さず,誰もが簡便に行える方法が望ましい.そこで本研究の目的は,簡便なPT開始時評価項目から退院時における歩行自立度の程度の予測が可能か検討することとした. 【方法】対象は脳卒中患者32名(男性14名,女性18名)とした.対象者の年齢は70.9±14.9歳であった.なお入院期間中に症状の増悪を認めた者,PT目的での転院が退院理由であった者,両側運動麻痺や協調運動障害を有した者は除外した.対象者の平均入院期間は45±24日であった.なお本研究は,対象者に十分説明し同意を得た上で実施された.対象者から得たPT開始時評価項目は,年齢,性別,病種,発症~入院期間,発症~PT開始期間,発症前歩行自立度の程度,上肢・手指・下肢Brunnstrom recovery stage(以下,BRS),基本動作能力であった.なお基本動作は,機能的動作尺度の4~2点を可,1~0点を不可と判断した.なお発症前・退院時歩行自立度の程度は順序尺度(独歩=1,杖=2,歩行器=3,歩行不可能=4),基本動作の可・不可は名義尺度(可=0,不可=1)と定義した.対象者の退院時歩行自立度の程度に関与する因子を検討するため,退院時歩行自立度の程度を従属変数,PT開始時評価項目を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った. 【結果】ステップワイズ法による重回帰分析の結果,退院時歩行自立度の程度に関与する因子として寝返り(p<0.01)と下肢BRS(p<0.05)が抽出された.なおモデルの適合度を表す寄与率(決定係数×100)は約68%であった. 【考察】重回帰分析の結果,寝返りと下肢BRSが抽出され,寝返りが可能であり,下肢BRSが高いほど退院時歩行自立度の程度は高くなることが明らかとなった.本研究の長所として評価項目の簡便性,そして早期からの予後予測が可能という2点が挙げられる.予後予測の的中率も約68%と比較的高く,臨床においても有益な結果と考える.ただし今回は単一施設でのみ治療を受けていた者を対象としたが,施設による治療方針の違いなども考えられるため,今後は多施設間における調査を行う必要がある. 【まとめ】脳卒中患者32名を対象として,PT開始時評価項目から退院時歩行自立度の程度の予測が可能か検討した.重回帰分析の結果,PT開始時における寝返りの可・不可と下肢BRSの程度によって退院時歩行自立度の程度を約68%説明できた.
  • 小須田  恵美, 大塚 功, 熊? 博司, 山? 慎也, 原 ?美, 北澤  和夫
    セッションID: 3
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 深部静脈血栓症(以下DVT)は脳卒中患者の合併症の一つにあげられ、その予防と適正な対応、処置が求められる。予防の一つとして早期離床が推奨されるが、リハビリテーション(以下リハ)を進める上でDVT予防は重要なリスク管理の一つといえる。一度DVTを発症すると、急性期リハに大きな阻害因子となる。今回我々は、脳卒中急性期におけるDVTの発症頻度、発生要因および急性期リハへの影響について調査した。 【方法】 2009年1月~12月までに当院に入院した急性期脳卒中患者585例(脳梗塞382例、脳出血131例、くも膜下出血52例)を対象に、DVTを発症した患者の性別、既往歴、病前mRS、脳卒中病型分類、発症時上田式12段階片麻痺テストによる下肢グレード、脳卒中発症後から離床開始までの期間、DVT発症肢・部位、治療、DVT発症後から離床開始までの期間と、DVTが疑われた要因について電子カルテ上より後方視的に調査した。 【結果】 対象患者のうち、DVTを発症したのは3例で全て女性であった。発症患者のうち1例では急性肺血栓塞栓症を認めた。脳卒中病型分類では脳出血2例、脳梗塞1例であった。病前mRSは3~4であった。DVTが疑われた要因は、下肢浮腫2例、奇異性塞栓症疑いによる精査1例であった。発症肢は左下肢2例、右下肢1例であった。うち麻痺側下肢発症は2例、上田式12段階片麻痺テスト10、12であった。脳卒中発症後より離床開始になるまでの期間は3例とも3日以上経過していた。DVTを発症後の安静臥床期間は2例は当日より離床開始、1例は他の合併症により9日後からの離床開始であった。 【考察】 当院における急性期脳卒中患者のDVT合併率は0.5%であり比較的低いことがわかった。これは、推奨予防法の早期離床実施が影響しているものと考えられる。また、DVT危険因子である下肢麻痺は今回の結果では重症度の影響は低く、むしろ病前mRSが低く、歩行能力やADLに制限があるものにDVTを認める傾向にあった。DVT発症後はリスク管理下にて治療とリハを平行し行うリハ基準により、離床への影響は少ないと考えられた。 【まとめ】 急性期脳卒中患者のDVT合併症例について調査した。危険因子としては女性、病前のADL制限があげられ、合併率は約0.5%であった。理学療法士は急性期リハを安全に実施するためにDVTの発症の危険因子について情報収集と評価を行ない、適切なリスク管理を行なうことが求められる。
  • -麻痺側脚伸展筋力に着目して-
    布施 直樹, 大木 雄一
    セッションID: 4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脳卒中片麻痺の移乗動作自立度に影響を及ぼす要因の一つに、非麻痺側下肢筋力があるが、麻痺側下肢筋力に着目した研究は少ない.麻痺側下肢の随意運動が可能な脳卒中片麻痺患者にとり、麻痺側下肢筋力は非麻痺側下肢筋力と同様に移乗動作遂行時に重要な役割を果たすものと考える.本研究の目的は、麻痺側下肢の随意運動が可能な脳卒中片麻痺患者の移乗動作自立度に麻痺側下肢筋力が及ぼす影響について検討することである.
    【方法】対象は当院回復期リハビリテーション病棟に入院し、初発かつ65歳以上の脳卒中片麻痺20例(男性12名、女性8名.平均年齢75.4±6.4歳).麻痺側下肢Brunnstrom Recovery Stage(以下麻痺側下肢BRS)3以上で、ストレングスエルゴメーター(三菱電機エンジニアリング社製StrengthErgo240以下SE)による麻痺側・非麻痺側脚伸展筋力が測定可能な患者とした.SEによる脚伸展筋力の測定方法が理解困難な者、重篤な整形外科疾患を有する者は除外した.対象者の属性として、発症日から入院日までの日数、年齢、性別、体重、麻痺側を調べ、身体機能及び動作能力として、麻痺側下肢BRS 、体幹垂直性及び腹筋力(Stroke Impairment Assessment Set、以下SIASを用いて評価)、麻痺側・非麻痺側脚伸展筋力、Functional Independence Measure(以下FIM)移乗動作項目を評価した.麻痺側・非麻痺側脚伸展筋力はペダル回転数20回転/分、測定回転数3回転で1回の施行を行い、ピークトルク値を体重で除した値を脚伸展筋力とした.分析はFIM移乗動作項目5点以下を非自立群(9名)、6点以上を自立群(11名)とし、2群間の差をχ2検定及びt-検定を用い検討した.更に目的変数を移乗動作非自立・自立の2値データ、説明変数を2群間で有意差が見られた項目とし、ロジスティック回帰分析を用いて検討した.いずれの解析も危険率5%未満を有意とした.なお、対象者全員に本研究の趣旨を口頭で説明し同意を得た.
    【結果】単変量解析では、発症日から入院日までの日数、麻痺側下肢BRS、腹筋力、非麻痺側脚伸展筋力、麻痺側脚伸展筋力の2群間に有意差が認められた.ロジスティック回帰分析では、説明変数中で麻痺側脚伸展筋力のみ有意な変数として抽出された.
    【考察】ロジスティック回帰分析の結果から、麻痺側脚伸展筋力は、麻痺側下肢の随意運動が可能な脳卒中片麻痺患者のベッド-車椅子間の移乗動作自立度に影響を及ぼす要因である可能性が示唆された.
  • 小竹 康一, 大木 雄一
    セッションID: 5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】臨床場面において体幹機能低下は、動作能力低下の一要因として挙げられることがある.当院入院患者は脳卒中片麻痺患者が多くを占め、患者の日常生活動作の自立判定を行う場面が多く見られる.その中でもベッド‐車椅子間の移乗動作は、自立した生活範囲の拡大を図るうえで早期に自立判定を迫られる事が少なくない.本研究の目的は、脳卒中片麻痺患者の体幹機能が、日常生活におけるベッド‐車椅子間の移乗動作能力に影響を及ぼす因子であるかを明らかにし、臨床場面での移乗動作自立判定の指標を得ることである.
    【方法】対象は平成21年1月から平成21年9月の間に当院の回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳卒中片麻痺患者36名(男性14名・女性22名、平均年齢74.8±6.7歳)で、重篤な整形疾患が無く、本研究の目的と方法が理解できるものとした.また対象者に対し、本研究の趣旨を口頭にて説明し、同意を得た.各対象者の体幹機能の指標としてFunctional Assessment for Control of Trunk(以下FACT)、麻痺側機能の指標として麻痺側下肢のBrunnstrom Recovery Stage(以下BRS)、非麻痺側機能の指標として大腿四頭筋筋力(Manual Muscle Testingで測定)、移乗動作能力の指標としてFunctional Independence Measureのベッド‐車椅子間移乗動作項目(以下FIM移乗項目)をそれぞれ調査、測定した.次に、FIM移乗項目を従属変数、FACT、BRS、大腿四頭筋筋力、性別、年齢をそれぞれ独立変数とし、重回帰分析を行った.有意水準は5%未満とした.
    【結果】FACT、BRS、大腿四頭筋筋力、性別、年齢の内、FACTのみが有意な独立変数として抽出された.そこで、Receiver Operating Characteristic Curve(以下ROC曲線)を用いて、移乗動作の自立、非自立を判断する為のカットオフ値を求めた.なお、カットオフ値は感度と特異度の合計が最大となる値とした.その結果、FACTの点数が12点のときに最も良好な値が得られ、その時の感度は94.1%、特異度は68.4%であった.
    【考察】脳卒中片麻痺患者のベッド-車椅子間移乗動作能力を決定する因子の一つとして、体幹機能が挙げられた.これにより、体幹機能の指標であるFACTの測定により得られた値を、日常生活におけるベッド-車椅子間移乗動作の自立判定の指標として利用する事ができる可能性が示唆された.
  • 通所リハビリテーションでの検討
    矢口 拓宇, 冬木 華代
    セッションID: 6
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】CarrおよびShepherdは練習量を増やすためには1対1のセラピーだけでは限界があるとし集団でのサーキットクラスやグループトレーニングのモデルを提案している。当通所リハビリでは個別リハビリに加え監視下で個別の運動課題を次々に行わせる自主運動プログラムを実施している。本研究はプログラムを5ヵ月間実施し、片麻痺を有する利用者の身体機能への効果を検討するものである。
    【方法】対象は維持期脳卒中片麻痺を有し5ヵ月間プログラムを実施できた20名(男性11名、女性9名、平均年齢72.5±8.9)で、本研究の意図を説明し同意の得られた者とした。疾患は脳梗塞10名、脳出血8名、クモ膜下出血1名、脳挫傷1名で、麻痺側は右が11名、左が9名であった。利用回数は週1回が7名、週2回が12名、週3回が1名であった。要支援が10名、要介護が10名であった。プログラムは45分間の集団体操および45分間で個別の運動課題を監視下で数名同時に行わせるものとした。個別の運動の内容は安全性に配慮し自転車エルゴメーターや段差昇降、平行棒内歩行、座位前方リーチ課題などを組み合わせて作成した。関節可動域練習など徒手が必要な部分にはセラピストが介入した。体調に合わせて適宜休憩をとらせた。効果の検討には非麻痺側握力、非麻痺側下肢筋力、30秒間立ち上がり回数、座位Functional reach test(以下座位FRT)、Timed up and go test(以下TUG)を測定した。また、1カ月間の転倒回数および転倒しないで室内を歩ける自信についても聴取した。統計処理はT検討及びwilcoxonの符号付順位和検定を用い、有意水準は5%未満とした。
    【結果】本研究の結果、座位FRT(平均36.3±9.0cmから平均44.2±10.1cm)、TUG(平均22.1±12.3秒から平均20.5±10.7秒)において有意差が認められた。他の項目においても改善傾向はあったものの、有意差はなかった。
    【考察】寺垣らは座位FRTは体幹機能の指標となると述べている。TUGは歩行中のバランスの指標であり、転倒と相関があるとされている。本プログラムにより体幹機能や歩行に関するバランス能力を強化することができ、転倒予防に効果が期待できると考えられる。その他の項目に関しては5ヵ月間では明らかな変化を得ることが難しく、期間の検討が必要である。
    【まとめ】通所リハビリにおける自主運動プログラムにより座位FRT及びTUGにおいて有意な改善が認められ、本プログラムが転倒予防に有効である可能性が示唆された。
  • 竹内 伸行, 桑原 岳哉, 臼田 滋
    セッションID: 7
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】筋緊張は,伸張反射亢進に基づく中枢性要素と筋線維等の伸張性低下に基づく末梢性要素に分けられ,持続的な筋緊張亢進は筋(最大)伸長度を低下させる要因となる。こうした病態の理解は筋緊張に対する理学療法評価や介入において重要だが,筋緊張と筋伸張度の関連性は明確ではない。本研究の目的は足関節底屈筋の筋緊張と筋伸張度の関連性を検討し筋緊張の病態を明らかにすることである。
    【方法】対象は脳血管障害患者71人(年齢77.3±10.1歳,罹患日数929.6±1748.0日[平均値±標準偏差],男30人,女41人,脳梗塞54人,脳出血11人,くも膜下出血6人,麻痺側は右31人,左40人) の麻痺側足関節底屈筋であった。評価者は理学療法士1人であった。筋緊張の評価指標はAnkle Plantar Flexors Tone Scale(APTS),筋伸張度の指標はModified Tardieu Scale(MTS)のR2を用い,測定順はランダムとした。APTSは我々が開発し信頼性と妥当性を検証した指標で,主に中枢性要素を反映するStretch reflex(SR)と,主に末梢性要素を反映するMiddle range resistance(MR),Final range resistance(FR)で構成される。各項目は0~4の5段階で測定しスコアが大きいほど筋緊張が亢進していることを示す。R2は関節可動域を測定し対象筋の筋伸張度を評価する指標である。他動運動はできるだけゆっくり行い,腓骨への垂直線を基本軸,第5中足骨を移動軸として足関節最大背屈角度を1度単位で測定した。全ての指標は腓腹筋とヒラメ筋の筋緊張を考慮するため,膝伸展位と膝(90度)屈曲位で測定した。取り込み基準はSR,MR,FRの最低1項目が1以上であることとした。統計解析は膝伸展位と膝屈曲位に分けて,R2とSR,R2とMR,R2とFRのそれぞれの関連性をスピアマンの順位相関係数(rs)を用いて検討した(有意水準5%未満)。本研究はH総合病院倫理委員会の承認を得て,全対象に目的と方法を説明し書面で同意を得て実施した。
    【結果】膝伸展位のR2は-4.7±9.8度,SRは1.2±1.3,MRは1.4±0.9,FRは2.1±0.8であった。膝屈曲位のR2は7.3±13.6度,SRは1.5±1.4,MRは0.8±0.8,FRは1.5±0.9であった(全て平均値±標準偏差)。R2とSR,MR,FRの各相関係数(膝伸展位/膝屈曲位)は,SRがrs=0.13/0.02,MRがrs=-0.03/-0.24,FRがrs=-0.33/-0.49であった(MRの膝屈曲位はp<0.05,FRは両肢位共にp<0.01,他はp>0.05)。膝屈曲位のR2とMR,両肢位のR2とFRの間に弱い相関,中等度の相関を認めた。
    【考察】R2とSRの間に相関を認めず,筋伸張度と中枢性要素には関連が無いと示唆された。R2とMR,R2とFRの間に弱いまたは中等度の相関を認めた。筋伸張中間域から最終域の抵抗と筋伸張度には関連があると示唆された。また膝伸展位に比して膝屈曲位でより強い相関を認めたことから,腓腹筋よりもヒラメ筋でより強い関連性があると考えられた。
  • 笠井 健治, 高橋 恵子, 杉山 真理, 中野 克己, 大澤 薫, 廣島 拓也
    セッションID: 8
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】当センターでは動作能力をより詳細に評価することを目的に、手すりなど固定された道具を利用し動作が自立する段階と杖や装具など固定されない道具を利用し自立する段階を分けて評価している。本研究では前述した動作条件の差を自立度評価に反映することで、動作能力をより詳細に評価できるか検討した。【方法】対象は当センターに入院した脳卒中患者326名(平均年齢57.5歳、発症から当センター入院までの平均期間39.9日、平均訓練期間78.1日)。入院時と退院時に立ち上がり、立位保持、移乗、床からの立ち上がり、階段昇降の5項目の自立度を次の2種類の尺度を用いて評価した。尺度Aは完全自立、非固定物利用自立(以下、非固定自立)、固定物利用自立(以下、固定自立)、監視、身体介助、不可能の6段階、非固定自立は杖や装具など固定されない道具のみを利用した場合、固定自立は手すりや座面など固定された道具を利用した場合と定義した。尺度Bは尺度Aにおける非固定自立と固定自立を修正自立とした5段階とした。尺度Bで修正自立とされたが、尺度Aでは非固定自立、固定自立とされた割合を各々求めた。また、尺度Aを0~5点、尺度Bを0~4点に点数化し、各尺度で5項目の合計点を入院時および退院時で求めた。退院時と入院時の合計点の差(以下、変化数)を各々算出し、尺度Aと尺度Bで変化数が異なる者の割合を求めた。変化数について尺度Aと尺度B間で対応のあるt検定を行った。統計処理はSPSSを使用し、有意水準は5%とした。本研究は当センター倫理規定に基づき行った。【結果】尺度Bで修正自立とされ、尺度Aで非固定自立とされた割合は50.5%、固定自立と判断された割合は49.5%であった。尺度Aと尺度Bを比較し変化数が異なった者は全体の70.8%であった。変化数は尺度Bと比較し尺度Aで有意に大きかった(p<0.01)。【考察】非固定自立と固定自立の割合はほぼ同率であり、修正自立を2分割することで、この間の能力変化を捉える事が可能になると考えられ、修正自立を2分割することは妥当であると考えられた。尺度Aは尺度Bと比較し約7割で変化数が異なり、変化数は尺度Aでより大きく表された。これは尺度Bと比較し、段階数の多い尺度Aは変化パターンが多いことに加え、入院時から退院時における変化の多くが非固定自立・固定自立の段階を経るためであり、尺度Aは能力の変化を捉える感度に優れる評価尺度であることが示唆された。【まとめ】自立度評価尺度において動作条件を判定基準に反映することにより、能力を詳細に評価し、変化をより敏感に捉えることが可能になると考える。
  • 野口 涼太, 桑原 雅之
    セッションID: 9
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日常生活では会話をしながら歩くなど二重課題 (Dual task) 条件下の場合が多く,注意を歩行以外に分配させる事が必要であるとされている.脳卒中片麻痺患者において歩行しながらの会話が歩行速度や歩幅を低下させる事が既に報告されている.しかし,我々セラピストが普段治療中に与えている口頭指示が歩行に及ぼす影響についての検討は不十分である.そこで本研究では自由会話や口頭指示が脳卒中片麻痺患者の歩行に与える影響について検討した. 【方法】対象は歩行補助具の有無にかかわらず見守りで30m連続歩行が可能な回復期脳卒中片麻痺患者18名(男性10名,女性8名,左麻痺12名,右麻痺6名,年齢平均66.7±12.2歳,発症後平均138.1±47.0日)とした.対象者にはあらかじめ研究内容を説明し協力の同意を得た.単一課題(Single task,以下ST)は30mの直線路を自由速度で歩行する事とし,Dual taskは1)あらかじめ決められた内容で自由会話をしながら歩行する事(以下DT1)と,2)歩行に関する口頭指示を入力しながら歩行する事(以下DT2)とした.それぞれ言語刺激は対象者の担当セラピストが与えた.歩行速度,重複歩距離を算出し,またSTを基準としたDT1とDT2での歩行速度変化率,重複歩距離変化率を算出した.歩行速度,重複歩距離におけるST,DT1,DT2間の比較は繰り返しのない二元配置分散分析を用い,有意差のあったものに対し多重比較検定を行った.歩行速度変化率と重複歩距離変化率の検定は対応のあるt検定を用いた.いずれも有意水準は5%とした. 【結果】歩行速度はSTで0.41±0.23m/s,DT1で0.34±0.19m/s,DT2で0.38±0.22m/sとなり,ST-DT1間とST-DT2間で有意差を認めた(p<0.01).重複歩距離はSTで0.32±0.08m,DT1で0.29±0.08m,DT2で0.31±0.08mとなり,ST-DT1間とST-DT2間で有意差を認めた(p<0.01).歩行速度変化率はDT1で14.62±19.88%,DT2で6.81±8.03%と有意差を認めなかった.重複歩距離変化率はDT1で9.73±7.49%,DT2で3.31±5.05%と有意差を認めた(p<0.05). 【考察】地域脳卒中患者を対象とした先行研究では,会話による言語出力が要求する呼吸活動や高い認知活動により歩行速度が低下する事が示唆されている.今回の研究では自由会話だけでなく口頭指示によっても歩行速度,重複歩距離が低下する傾向にあった.要因として,歩行中に与えられる口頭指示は対象者に認知活動と身体的な反応を要求する為であると推察される.また、重複歩距離変化率では口頭指示よりも自由会話で減少率が大きい傾向にあり,歩行とは無関係の言語入出力により高い認知活動が要求された為であると推察される.
口述発表2(理学療法基礎系)
  • 岡田 裕太, 山本 澄子, 関 健志
    セッションID: 10
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 健常成人男性の歩行における骨盤の回旋運動が左右対称におこっているかを確認し、骨盤の回旋運動に左右差があった場合、体幹の回旋運動と股関節の屈伸運動にどのような影響を及ぼすのかを運動学的に検討する。
    【方法】 対象は健常成人男性22名とし、計測機器には三次元動作解析システムを使用した。なお、計測にあたり全対象者に対して本研究の趣旨を説明し、本人の承諾を得た上で計測をおこなった。
    各対象者には臨床歩行分析研究会が提唱するDIFF形式に対応する部位および左右両側の上前腸骨棘、上後腸骨棘、烏口突起に反射マーカーを貼付し、歩行率114/歩での歩行を計測した。
    歩行における骨盤は、必ずしも計測空間内で決められた方向に移動せず蛇行しながら進行方向へ移動する。そこで今回、骨盤の回旋運動の基準線を進行方向に対する垂直線とし、進行方向に対して時計まわりを骨盤右回旋、反時計まわりを骨盤左回旋とした。なお、進行方向の決定は、水平面上における身体重心の軌跡より左踵接地期と次の左踵接地期の重心位置を算出し、結んだ直線方向とした。
    【結果】 歩行における骨盤の回旋角度は14.4±4.0°であった。同一対象者の骨盤の左右回旋角度を比較すると、対象者22名中14名の半数以上において骨盤の左右回旋角度に有意差が認められた(p<0.01)。
    骨盤と体幹の左右回旋角度において相関分析を行った結果、骨盤と体幹の回旋運動の方向には強い関係が認められた(γ=0.74)が、回旋角度の大きさには関係が認められなかった(骨盤左回旋と体幹右回旋:γ=0.15,骨盤右回旋と体幹左回旋:γ=0.35)。
    また、骨盤の左右回旋角度と左右股関節の屈伸角度において相関分析を行った結果、骨盤の回旋角度の大きさに関わらず股関節の屈伸角度はほぼ一定の値を示し、股関節屈曲角度は31.5±3.4°、股関節伸展角度は10.0±3.5°であった。
    【考察】 Elftman(1939)は、「歩行における骨盤と体幹の回旋運動は、常に逆方向に回旋することによりバランスを保っている」と報告している。本研究においてもElftmanの報告を支持する結果となったが、骨盤と体幹の左右回旋角度の大きさを考慮すると、骨盤と体幹の回旋運動だけではバランスを保つことができず、効率のよい歩行には他のパラメータの関与が必要であることが示唆された。また、骨盤の回旋角度の大きさに関わらず股関節の屈伸角度は一定の値を呈しすることがわかった。
    【まとめ】 本研究結果より、骨盤の回旋運動は効率のよい歩行に重要であると言われているが、骨盤の回旋運動には個人差があり、その影響は骨盤に連結する体幹の回旋運動や股関節の屈伸運動だけにとどまらず、他のパラメータにも影響を及ぼしている可能性が示唆された。
  • 浅利 和人
    セッションID: 11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】犬の椎間板ヘルニアは、ヒトのそれとは違い脊髄圧迫による完全対麻痺を呈することがある。特にダックスフンドは若年期に胸腰椎移行部の急性椎間板ヘルニアを発症しやすく、圧迫が重度の場合、発症早期に減圧術を施行しても歩行再獲得率は60%前後といわれている。本研究では比較的理学療法ニーズが高いと思われる重度対麻痺を呈したダックスフンドに対し、体重免荷トレッドミル歩行トレーニング(以下、BWSTT)を実施して、その介入効果を検討したので報告する。 【方法】対象は胸腰椎移行部の急性椎間板ヘルニアと診断され、減圧術を施行したダックスフンド15例とした。一般情報、固有関節位置覚・深部痛覚の有無、交差性伸展反射の有無、起立能力および歩行能力を確認した。これらの犬に対して術後2日目より理学療法士によるBWSTTを週に2回、1ヶ月間実施した。1回のトレーニングは3分間のトレッドミル上での連続した介助免荷歩行とし、荷重程度は徒手により最も下肢の遊脚運動がでやすい状態とした。トレッドミルの速度は2.0km/hとした。本研究は、獣医師および担当理学療法士が、飼い主に対して本研究の趣旨および方法、研究経過および結果の公表、理学療法介入による症状悪化のリスク等に関して書面をもって説明し、同意を得た上で実施した。 【結果】対象は平均年齢4.9±2.2歳、平均体重4.5±2.7kgであった。術直後評価では全例において麻痺肢の随意運動喪失、深部痛覚・固有関節位置覚脱失、起立不能、歩行不能を認めた。理学療法介入後に自立歩行を獲得した犬は11例、介助歩行を獲得した犬は2例、立位保持の獲得のみにとどまった犬が2例であった。自立歩行獲得に至った犬に共通した所見として、BWSTT開始後に交差性伸展反射を明確に認めた。また固有関節位置覚および深部痛覚に改善を認めた症例が半数以上であった。 【考察】先行研究から自然回復での歩行獲得率はおおむね60%前後であり、本研究の結果をもって直ちにBWSTTの犬における臨床的有用性を確認することはできない。しかしヒトにおけるBWSTTでは歩行能力改善効果が報告されており、これらの基礎理論を応用することで対麻痺を呈した犬の動作能力および歩行能力を向上させる可能性があると考えた。犬における理学療法は新たな領域である。現在これらの臨床推論や判断を下すのに十分な知識や経験は蓄積されていない。今後は理学療法の介入成績を科学的に検証し、長期的予後を含めた知見を集積していく必要があると考えた。
  • 大久保 幸恵, 伊東 元
    セッションID: 12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】脳血管障害後片麻痺者が立ち上がり動作で手すりを使用する場合に手すりを強く引いて立ち上がろうとする姿が散見される。しかし、手すりにどのような力が加わっているのか、片麻痺者を対象にした先行研究は少ない。そこで、片麻痺者の手すりを使用した台からの立ち座り動作の特徴を手すりの使用方法を中心に検証することを目的とした。 【方法】手すりなしでも椅子からの立ち座りが可能な脳血管障害後片麻痺者(女性1名、男性5名、平均67.3±3.7歳、左片麻痺3名、右片麻痺3名、下肢Br.stage3~5)と健常者7名(女性4名、男性3名、平均28.2±2.3歳)を対象に、研究の目的と内容について十分な説明を行い、書面による同意を得た後に高さ38.5cmの台からの立ち座り動作を計測した。計測には三次元動作解析装置、床反力計及び三分力計を組み込んだ手すりを使用し、動作は「普段行っている立ち座りの速さ・動作」で、手すりあり・なしの課題でそれぞれ立ち座り動作を行った。着座位置は大腿中央が座面端になるように、足部位置は腓骨頭から下ろした垂線が第五中足骨頭を通るように設定した。手すりは非麻痺側、健常者では左側に、縦方向に設置し、把持位置は立位での大転子の高さに設定した。立ち座り動作ともに最大体幹前傾角度、手すりに加わる力の大きさ・方向を計測した。なお、本研究は所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】最大体幹前傾角度は片麻痺者・健常者ともに手すりなしの課題よりも手すりありの課題で立ち座り動作ともに小さい傾向を示した。手すりに加わる力は健常者では立ち座り動作ともに下向きに押す力、後方・体側に引く力が加わっていたが、いずれも体重の約2~4%であり、方向による力の差はみられなかった。一方、片麻痺者では手すりを後方に引く力が大きく、立ち上がり動作では最大で体重の約4~15%、体側に引く力は体重の約2~14%、下向きに押す力は体重の約2~7%、座り動作ではそれぞれ体重の約4~14%、約2~11%、約2~4%であった。立ち上がり動作では手すりを後方へ引く力は大腿が座面から離れる直前に最大となる傾向を示した。 【考察】手すりを使用した立ち上がり動作では、手すりの使用が体幹の動きを制約してしまうことが考えられる。また、手すりは身体に手すりを引き寄せるように使用されており、手すりはバランスをとるために補助的に使用されていることが推測される。一方手すり使用において、身体を引き上げたり体重を支えたりするのに十分な力は手すりには加わっていないことが明らかとなった。従って、手すりを使用して立ち上がる場合には手すりには使用限界があることに留意して動作の指導をしていくことが必要と考える。
  • 鈴木 勝年, 相馬 俊雄, 竹田 裕樹
    セッションID: 13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】椅子からの立ち上がり動作において,足部を後方に引いた指導を行った場合,足底圧中心(COP)は,通常よりも足部の前方へ移動する.先行研究では,COPの前後移動は,身体の前方移動相(第3相)と上方移動相(第4相)を反映していると報告されている.しかし,立ち上がり動作中の足部および足趾に着目し,分析を行った報告は少ない.そこで本研究の目的は,椅子からの立ち上がり動作において,膝関節屈曲角度および動作速度を変化させた時の足圧分布に及ぼす影響を明らかにすることである.
    【方法】インフォームドコンセントの得られた健常成人11名を対象とし,足圧分布測定システム(F-scan)と三次元動作解析装置(VICON MX)を使用した.椅子からの立ち上がり動作開始前の膝関節屈曲角度は90°,100°,110°の3条件とし,動作速度は遅い立ち上がり(以下,bpm50)と速い立ち上がり(以下,bpm80)の2条件の合計6条件で行った.解析は,立ち上がり動作を4相に分け,足底部を4分割し比較検討した.統計は,得られた足底部の荷重量に対して一元配置分散分析を行い,事後検定にはTukey法を用い有意水準を5%とした.
    【結果】すべての被験者において,膝関節屈曲角度が大きくなるにつれて,足趾部と前足部の荷重量が増加した.第3相では,bpm50とbpm80の足趾部,前足部で,膝屈曲90°に対して110°で有意に大きな値を示した(p<0.01).また,bpm50の足趾部,前足部で,膝屈曲100°に対して110°で有意に大きな値を示し(p<0.05),bpm80の前足部で,膝屈曲100°に対して110°で有意に大きな値を示した(p<0.01).bpm80の足趾部の膝屈曲110°では,体重に対し34.3%の荷重があった.第4相では,bpm80の足趾部で,膝屈曲90°に対して110°で有意に大きな値を示した(p<0.05).
    【考察】第3相では,膝関節屈曲角度が大きくなるにつれ,重心の前方移動時にCOPは足部のより前方へ移動しているため,足趾部と前足部の荷重量が増大したと考えられる.足趾部に荷重量が増大した理由として,第3相から第4相にかけて,重心が前方移動から上方移動へと方向転換し,前方への重心移動を制御する必要があるためと考えられる.第4相では,第3相での前方への重心移動が第4相においても残存しているため,足趾部の荷重量が増大したと考えられる.
    【まとめ】足部を後方に引いた立ち上がり動作は,足趾機能に重要な役割を果たしていることがわかった.今後は,動作中の足趾の圧迫力にも着目し検討していきたいと考える.
  • 五十嵐 祐介, 中山 恭秀, 安保 雅博, 小林 一成
    セッションID: 14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】 臨床で応用歩行練習として行われる後進歩行では、必要な要因として筋力やバランス能力など多くのものが検討されている。先行研究における重心動揺との関係性では、静止立位の後方重心移動距離と後進歩行の歩幅、速度との検討が行われているが、いずれも相関関係は見られていない。また、後進歩行と前進歩行との違いを検討した報告では、速度や歩行比の低下が見られているが、これらの原因としては主に歩幅の減少があげられている。本研究では、後進歩行において重心動揺の影響を減少させるために歩幅の低下が見られているのではないかと考え、後進歩行の方法を変えることで重心動揺との関係性を見出せるか検討することを目的とする。 【方法】 対象は健常成人14名(男性7名、女性7名、平均年齢26.86±7.14)とし、10mでの自由な速度による後進歩行(以下、通常後進歩行)及び歩幅を広げた後進歩行(以下、大股後進歩行)の歩幅と、重心動揺計による総軌跡長(LNG)及び前後方向への動揺として、前後動揺標準偏差(SD-Y)、矩形面積(REC.AREA)を測定した。重心動揺計による測定ではアニマ社製GS-3000を使用し、開脚安静立位と開脚で後方へできる限り重心移動を行わせた立位のそれぞれの数値を測定し、安静立位時の数値から、後方重心移動を行った立位での数値を差し引いた値を求めた。統計処理は通常後進歩行・大股後進歩行の歩幅と重心動揺計にて得られた値をそれぞれSpearmanの順位相関係数を用いて相関を求めた。 【結果】 通常後進歩行、大股後進歩行の順にLNG(r=0.14、r=0.393)、SD-Y(r=0.055、r=0.413)、REC.AREA(r=0.204、r=0.355)となり、全ての値において有意な相関は見られなかった。 【考察】 通常後進歩行では前進歩行に比べ歩幅の低下が見られると言われているが、これは先行研究で報告されているように、立脚初期の床反力ベクトルを足関節付近に通すように制御する目的で歩幅を小さくしていることが要因の一つとして考えられる。このため、大股後進歩行では通常後進歩行と比べると、立脚初期における床反力ベクトルを足関節付近より遠位に通すこととなり、このときの支持側下肢における重心制御の要素が増加するのではないかと考えた。しかし、今回の結果より大股後進歩行においても通常後進歩行と同様に、歩幅と後方への重心動揺に相関関係が見られなかった。これより、後進歩行の方法の違いによる歩幅の増減は、安静立位における重心動揺の大きさと関連性が無いことが示唆された。
  • 江戸 優裕
    セッションID: 15
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】
     歩行時の重心の軌跡は、単脚支持期に高位、両脚支持期に低位となる正弦曲線を描くことが知られている。人間は力学的な効率化のために、この重心の上下動を平坦化する方略をとるとされ、多くの研究者が様々な報告をしてきた。しかし、それらの報告には絶対空間での重心移動を体節の相対角度から説明しようとするものが多く、体節運動自体を絶対空間において分析したものは少ない。
     そこで今回は、歩行時の重心の上下動の平坦化に対して、絶対空間で各体節がどの様に寄与しているかを調べるために、立脚期において各体節が鉛直方向に占める大きさ(高さ)を分析した。
    【方法】
     対象は本研究の主旨に同意した健常成人男性6名(平均年齢26.7±3.7歳)とした。
     運動課題は定常歩行とし、計測には三次元動作解析装置VICON-MX(VICON PEAK社)と床反力計(AMTI社)を使用し、各標点位置と床反力を計測した。赤外線反射標点は臨床歩行分析研究会の勧める方法に準拠し、両側の肩峰・股関節・膝関節・外果・第5MP関節の計10ヶ所に貼付した。得られた標点位置から、身体を両足・下腿・大腿・及び体幹より成る7節リンク剛体モデルで近似し、鉛直方向における重心位置と各体節の大きさを算出した。尚、下肢の分析対象側は被験者毎に左右でランダムに決定し、各データは床反力から判断した立脚期で正規化し、分析に使用した。
    【結果】
     重心は立脚中期に最高位となり、初期と後期で低位となる定型的なパターンを呈した。
     以下に各体節の鉛直方向での大きさの特徴を挙げる。
     ・立脚初期の大腿の減少と足の増大
     ・立脚中期の下腿と大腿の極値の時間差
     ・立脚後期の下腿の減少と足の増大
     ・体幹はほとんど増減しない
     尚、これらの特徴は全ての被験者に共通していた。
    【考察】
     結果より重心の上下動に体幹はあまり関与せず、下肢の動きの影響が大きいことが分かった。
     人間の歩行は二本の下肢を交互に振り出すコンパスモデルに示されるように、歩幅を拡大することと重心の上下動を小さくすることは相反する課題である。立脚初期と後期における大腿と下腿の減少は、歩幅の拡大のためにそれらの体節が傾斜したことを意味しており、この時期の足部の増大は歩幅の拡大に伴う重心下降を抑制する役割を果たすと考えられる。足部は最下体節であるため、他のどの体節を増大させるより立脚期の重心下降の抑制に有効である。即ち今回の結果は、重心の上下動の平坦化にとって立脚後期のHeel Riseが重要とするKerrigan(2000)の報告を支持することに加えて、立脚初期のHeel Rockerが重要となること示唆するものであった。
  • 岩本 紘樹, 臼田 滋
    セッションID: 16
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】多方向へのリーチは日常生活場面で頻繁に用いられる.リーチは上肢運動に加え,その円滑性を保障すべき姿勢制御が重要とされる.前方リーチ時の手の運動軌道は直線的であることが報告されているが,リーチ方向の違いが及ぼす影響やリーチ時の体幹運動を検討した報告は少ない.本研究では,リーチ方向の違いが手の運動軌道,頚部・体幹の運動戦略に与える影響を検証することを目的とした.<BR>【方法】研究内容は本学の疫学倫理審査委員会の承認を得た.対象は健常男性14名(平均:22.8歳)であり,文書及び口頭にて説明し,同意を得た.測定には3次元動作解析装置(VICON612)を使用し,サンプリング周波数は60Hzとした.マーカーを第7頚椎(C7)・第10胸椎(Th10)・第3腰椎(L3)棘突起,右側上腕骨外側上顆(肘)と橈骨茎状突起(手),両側肩峰と上後腸骨棘に貼付した.課題は端座位から,予め最大リーチ距離に設置された円柱の木片を掴むものとした.リーチ方向は前方,側方,下方の3方向とした.目標の高さは前方と側方は肩峰高,下方は膝高とした.分析項目は手マーカーの移動距離(mm),直線運動と実際の手の運動軌道で構成される面積(SE:sum of error)を直線移動距離(D:distance)で除した値(SE/D),各身体部位の手運動に比した相対的な運動開始・停止のタイミング(%)及び移動距離(mm)とした.統計学的解析は,前方―側方間,前方―下方間で対応のあるt検定を用い,有意水準0.05未満とした.<BR>【結果】前方―側方間での比較では,手マーカーの移動距離・SE/Dに有意差を認めなかった.運動停止のタイミング(平均%:前方/側方)は,C7:2.9/6.9,肩峰:0.1/4.1,肘:-0.8/3.2であり,側方は有意にC7・肩峰・肘の停止が遅延していた.側方の全身体マーカーの移動距離は有意に短かった.前方―下方間の比較では,手マーカーの移動距離(平均mm:前方/下方)は698.3/753.0と下方で有意に長かった.SE/D(平均:前方/下方)は矢状面で4.4/3.6,水平面で4.5/2.3と下方が有意に小さかった.運動開始・停止のタイミングに有意差を認めなかった.各身体マーカーの移動距離(平均mm:前方/下方)はC7:394.1/548.7,Th10:306.0/399.8,L3:185.1/223.5,肩峰:438.2/589.5であり,下方でC7・Th10・L3・肩峰が有意に長かった.<BR>【考察】前方に比して側方へのリーチは,体幹の運動量は少ないものの停止時の支持基底面が狭く,より高度な姿勢制御が要求され,運動停止が遅延したと考えられた.前方に比して下方へのリーチでは,骨盤より上部に位置する体幹の運動量がより必要であり,リーチ距離に影響を与えていると考えられた.<BR>【まとめ】リーチ方向の違いが,手の運動軌道の直線性や体幹の運動戦略に影響を与える可能性が示唆された.各身体部位で要求される役割が異なることを踏まえた,理学療法評価・練習が必要である.<BR>
  • 鶴岡 浩司, 江戸 優裕
    セッションID: 17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 立位姿勢において身体重心(COG)は身長の56%の高さに位置すると言われている。臨床では、歩行時の身体重心位置を想定するによって歩行の特徴を捉えたり、治療の効果判定にに活用していることが多い。よって、今回の研究によって歩行時の身体重心位置を3次元的に明確にしたいと考えた。 【方法】 対象は本研究の趣旨に同意が得られた健常成人男性3名(平均年齢26.7±5.0歳)とした。赤外線反射標点を被験者の両側の肩峰・股関節・膝関節・外果・第5MP関節の計10ヶ所に貼付し、臨床歩行分析研究会の勧める方法に準拠し、至適速度での歩行を三次元動作解析装置VICON-MX(VICON PEAK社製)、床反力計(AMTI社製)で計測した。得られた標点の位置データから、身体を両足・下腿・大腿・及び体幹より成る7節リンク剛体モデルで近似し、重心位置を算出した。両股関節マーカーの中点を骨盤中心とし、骨盤中心と身体重心との位置のズレを3次元的に算出した。尚、分析対象側は被験者毎に左右でランダムに決定し、各データは床反力から判断した一歩行周期で正規化し、分析に使用した。 【結果】 研究の結果は以下のようになった。(単位:mm) 1. 骨盤中心に対するCOGの左右の移動幅 立脚初期 2 中期 4 後期 4 遊脚期 4 最大移動幅2 2. 骨盤中心に対するCOGの前後の移動幅 立脚初期 12 中期 16 後期 15 遊脚期 19 最大移動幅 7 3. 骨盤中心に対するCOGの上下の移動幅 立脚初期 70 中期 68 後期 68 遊脚期 66 最大移動幅 4 【考察】 今回の結果から、歩行における立脚初期・中期・後期・遊脚期の骨盤中心に対するCOGの左右の最大移動幅は2mm、前後の最大移動幅は7mm、上下の最大移動幅4mmであった。左右、前後、上下の最大移動幅の範囲内に位置する場所はほぼ第2仙骨高位であった。歩行時の身体重心位置も立位時の身体重心位置とほぼ変わらない位置にあるということが言える。このことは、立位姿勢の身体重心を想定することによって歩行時の身体重心を想定することが出来るということになる。また、立位時と歩行時の身体重心位置の差が大きいときは正常と逸脱してるということが考えられる。
  • ―mental chronometryを使用しての検討―
    月成 亮輔, 萩原 朋尚, 濱田 裕幸, 小林 準, 赤星 和人(MD)
    セッションID: 18
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】運動イメージは種々の評価法が提案されている.その評価方法の一つに運動の遂行を脳内でイメージし,その遂行時間を計測するmental chronometryがある.短時間で簡易的に行える評価方法であるが,その個人内の再現性に関しての報告は少ない.本研究では,健常者にて歩行動作におけるmental chronometryを計測し,再テスト法により,歩行動作イメージの再現性について検討した.
    【方法】被験者は健常成人22名(男性10名・女性12名,平均年齢32.0±5.3歳)を対象とした.被験者に対し十分な説明を行い,同意を得た後,「普段歩く速さ」で歩く事を指示し,歩き始めから10歩目の足が着くまでの時間(Actual Walking Time;以下AWT)をストップウォッチにより計測した.その後,閉眼立位姿勢にて「普段歩く速さで歩くイメージ」を行う事を指示した.検査者のスタート合図から,被験者の心的歩行にて10歩目が地面に着いたと感じた際の被験者の合図までの時間(Mental Walking Time;以下MWT)を計測した.AWT・MWTともに2回ずつ計測し,フィードバックは行わず,1週間後に同様の実験を行った.個人内のAWTとMWTとの関連性として,心実誤差率{(|心的歩行-実際歩行|/実際歩行)×100}を算出した.AWT・MWT・心実誤差率をそれぞれ級内相関係数(以下ICC)を用い,検査者内信頼性を検討した.信頼性評価の基準を0.70とした.またMWTとAWTの関係性をピアソンの相関係数を用い検討した.有意水準は5%とした.
    【結果】AWTは1回目5.48±0.50sec,2回目5.51±0.49sec,MWTは1回目6.39±0.88sec,2回目6.65±0.86sec,心実誤差率は1回目17.01±11.04,2回目20.63±10.16となった.AWTはICC(1,2):0.94,MWTはICC(1,2):0.85,心実誤差率はICC(1,2):0.73となり,全ての指標に再現性が認められた.AWTとMWTは,ピアソンの相関係数にて1回目0.65,2回目0.75となり,2回の測定ともにAWTとMWTは有意な相関関係が認められた(P<0.001).
    【考察】10歩歩行課題において,健常者のAWT・MWTの値は有意に相関するなかで再現性を認めた.また心実誤差率においても再現性が認められた.これらの事から,健常者の心的歩行は個人固有の実際歩行と密接に関係し,mental chronometryから得られるMWT・心実誤差率は個人の歩行運動イメージ特性を表す数値として信頼性の高い指標である事が示唆された.今後,高齢者・脳卒中者等と比較を行い,歩行能力に対応する運動イメージ評価としての妥当性・信頼性を検証する事で,臨床応用の可能性を検討していきたい.
口述発表3(骨・関節系)
  • 野田 玄, 鈴木 浩次, 正保 哲, 池田 崇, 高木 三憲, 湯川 智子, 巽 一郎
    セッションID: 19
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】Under Vastus approach法(以下UVA法)は、従来の低侵襲性人工膝関節置換術と比較し、内側広筋筋膜に侵襲を与えていない為、従来法に比べ早期自宅退院が可能となった。現在、UVA法を施行された患者の術後平均在院日数は約10日と、術後リハビリの介入期間が極短期間となっている。そのため、術前から術後の機能回復を予測しリハビリに取り組む必要がある。
    一般的にTKA術後の影響因子は、屈曲で術前可動域、膝外側角が挙げられ(Ritterら)、伸展の影響因子は統一した見解がない。
    今回、入院期間中での関節可動域(以下ROM)の変容と影響因子を探ることを目的に、ROMと疼痛や周径の関係を調査した。
    【対象】2009年8月~10月の2ヶ月間に、変形性膝関節症と診断され当院にてUVA法によるTKAを施行された48例48膝のうち、術後早期より経時的に計測可能であった21名(男性3名、女性19名、平均年齢73.9歳)について調査した。
    【方法】術前,術後1~9日目までの入院期間中でROM,疼痛評価(VAS)、術側大腿周径膝蓋骨上縁10cm、下腿最大周径を経時的に計測した。周径に関して、術後1~3日目は膝関節に弾性包帯で圧迫が施行されているため、従来通りの計測は不可能となる。そのため、当院で考案した、土屋らの別法を採用し、術前に上前腸骨棘から膝蓋骨上縁10cmまでの距離を測り、その位置で術後計測を実施した。9日目の膝関節可動域の回復率は巽らによる最大屈曲角度回復率(以下FFR:Full Flexion recovery rate)を用いた。VAS、各周径の関係についてROMとの相関を検討した。
    【結果】屈曲は、FFRは自動で83%、他動で86%の回復率を得ている。統計ではROMと疼痛や周径においての相関は得られなかった。
    伸展は、統計では伸展と疼痛で4日目に他動でr=-0.40、9日目に自動、他動共にr=-0.54、大腿周径とは6日目、8日目共に自動はr=-0.4、他動はr=-0.5の相関が得られた。
    【考察】UVA法術後極短期での経時的ROMの変容は、グラフより、屈曲は4日目に改善がみられるが、6日目で制限が拡大し、再び改善傾向を示す。疼痛は、ほぼ変化が認められない。周径は各々4日目で腫脹は最大となり、その後改善される。伸展では4日目まで疼痛の影響が強い傾向を示した。6日目、8日目にはROMと周径で負の相関を示し、疼痛では相関を認められない。よって、伸展制限に対して6日目以降は腫脹の影響が示唆された。9日目以降は腫脹の影響が軽減し、再び疼痛の影響を認めた。
    リハビリ介入としては、腫脹に対して、弾性ストッキングやリハ前後のアイシング・挙上を病棟と連携し、6~8日目に実施することが円滑なROM拡大に寄与すると考えられる。
  • 渡辺 博史, 古賀 良生
    セッションID: 20
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】円背は高齢者の特徴的な姿勢であり、下肢全体が屈曲位になるため膝伸展筋力に影響すると考えられる。今回この関係を変形性膝関節症(以下膝OA)との関連について検討し報告する。 【対象】新潟県十日町市松代地区にて、2007年住民検診で協力を得られた1347名を対象とした。 【方法】対象者全員に対し、医師による視触診の姿勢評価及び膝可動域測定と簡易筋力測定器(アルケア社製)を用いた膝伸展筋力測定を行った。また、膝関節のX線撮影を行い、膝OA進行度について検討した。X線の膝OA病期は、K-L分類に準じ5段階とし、整形外科医1名が評価した。膝OA進行度で左右のどちらか一方ないし両方がgrade2以上である者をOA群(女性394名:73.0±7.06歳、男性193名:75.4±6.65歳)と、左右ともgradeが0、1である者を非OA群(女性372名:60.1±12.48歳、男性388名:63.4±13.49歳)に分け、群別・性別に円背と膝屈曲拘縮及び膝伸展筋力との関連を検討した。姿勢評価では腰椎前弯が消失または後弯している者を円背とし、膝屈曲拘縮では左右のどちらか一方ないし両方が拘縮している者を拘縮ありとした。膝伸展筋力では左右の合計値を検討項目とした。統計処理は多変量解析を行い有意水準は5%未満とした。 【結果】円背と膝屈曲拘縮の関係で女性の膝屈曲拘縮の割合は、OA群では円背である者の53.4%、円背でない者の27.9%、非OA群では円背である者の20.1%、円背でない者の1.9%であり、OA群、非OA群ともに円背である者の膝屈曲拘縮の割合が有意に高く関連を認めた。男性の膝屈曲拘縮の割合は、OA群では円背である者の43.8%、円背でない者の30.8%、非OA群では円背である者の24.0%、円背でない者の5.8%であり、非OA群のみ円背である者の膝屈曲拘縮の割合が有意に高く関連を認め、OA群では関連が認められなかった。円背と膝伸展筋力の関係で女性では、OA群、非OA群ともに円背である者の膝伸展筋力が有意に低く関連を認めた。男性では、非OA群のみ円背である者の膝伸展筋力が有意に低く関連を認め、OA群では関連が認められなかった。 【考察】今回の結果から円背と膝屈曲拘縮及び膝伸展筋力の関係は、女性では膝OA進行度に左右されないことが示され、男性より関連性が強いことが示唆された。そして、理学療法において膝関節機能の改善だけでなく全身的な姿勢調整にも着目することが重要であると示された。今後はこれらの因子の因果関係を縦断的に検討していく。
  • 岩崎 翼, 宮本 梓, 宇良田 大悟, 糸井 祥子, 久保 知佳, 坂本 直文, 福田 潤, 山路 雄彦
    セッションID: 21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】 近年、人工膝関節全置換術(以下、TKA)においてMobile-bearingが使用されてきている。Mobile-bearing は、インサート自体が回旋する構造をしているため脛骨コンポーネントの設置位置の影響を受けずに屈曲が可能とされている。これは生理的な機能の獲得を目指すものではなく、構造的な改善により可動域を獲得するという戦略が練られている。生理学的に膝関節は屈曲に伴い下腿骨が内旋する。しかしMobile-bearingでは下腿骨が内旋位・外旋位どちらであっても膝関節の屈曲には理論上、影響しない。構造的に屈曲が可能であっても、あくまで膝関節を屈曲するのは筋である。筋を含む軟部組織は術前後で生理学的機能は変わらず、膝関節屈曲に伴う内旋を再現しようとする。ここにインサートの戦略と軟部組織の機能に矛盾があるように感じる。TKA術後の屈曲可動域と下腿骨体軸回旋の関係について調べ、この矛盾が膝関節屈曲可動域に与える影響を検討した。 【方法】 当院でPS-type Mobile-bearing(BIOMET社)を施行された10例を対象とし、術前・退院時(術後平均26.7±4.7日)に可動域の計測を実施した。計測項目は膝関節屈曲・伸展・下腿骨体軸内旋(以下、IR)・下腿骨体軸外旋(以下、ER)の4項目(屈曲・伸展は自動運動、IR・ERは他動運動にて実施)とした。計測方法は、日本整形外科学会が定める方法を参考とし、IR・ERは岩崎らの方法 (検者内信頼性ICC=0.77) を用いた。計測角度は1°刻みとし、各項目3回の計測を実施した。得られたデータの平均値を用い、Pearsonの相関係数にて統計処理を実施した。統計処理にはSPSS15.0を使用した。 【結果】 術後屈曲可動域は術後IR(r=0.70)と強い正の相関を示した。 術前屈曲可動域は術前IR(r=0.58)と中等度の正の相関を示した。 術後屈曲可動域と術前屈曲(r=0.36)・術前伸展(r=0.26)・術前IR(r=-0.08)・術前ER(r=0.44)可動域には相関が弱い。 【考察】 術後屈曲可動域の獲得には術後IRの獲得が必要となる可能性が示唆された。つまりMobile-bearingであっても生理学的な機能を獲得することが重要であると言える。これに加えて、術後屈曲可動域と術前屈曲・術前伸展・術前回旋可動域に相関が少ないことから術後のアプローチの重要性が示唆される。特に骨性の制限を伴う術前と異なり、術後では軟部組織が可動域制限となりやすい。このことからも理学療法士がいかに軟部組織へのアプローチで成果を出せるかが術後の屈曲可動域を決める可能性がある。 【まとめ】 今回の結果から可動域との関連性を示すことができたが、その素因については今後の検討を必要とする。
  • 器械による大腿四頭筋セッティング訓練効果
    丸山 潤, 渡辺 博史, 古賀 良生, 佐藤 卓, 縄田 厚
    セッションID: 22
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】大腿四頭筋セッティング(以下セッティング)は、人工膝関節全置換術(以下TKA)などの術後早期の筋力訓練として広く用いられている。しかしセッティングの負荷量は経験的判断や、患者自身に任せることが多く、客観的な負荷量の調整が困難である。そこで今回器械を用いセッティングの負荷量を設定し、その訓練効果について検討したので報告する。
    【対象・方法】平成20年4月から平成21年10月までに当院でTKAを施行した25名35膝(71.1±6.8歳)を対象とした。対象者全員に対して、我々が開発している下肢簡易筋力測定・訓練器(以下訓練器)を用い、術前及び術後1週から5週までの各週に筋力測定を行った。測定肢位は膝窩部に訓練器を置いた長座位で、骨盤と下腿遠位部を非伸縮性ベルトにて固定した。その状態で膝を伸展するように力を入れさせ、等尺性膝伸展最大筋力を測定した。そして術後1週から訓練器でセッティング訓練を行った訓練群(72.6±5.3歳、15名20膝)と訓練器は使用せず通常のリハビリテーションを行ったコントロール群(69.1±7.9歳、10名15膝)に分け比較した。訓練器は任意の負荷設定(収縮時間、回数、量)が可能で、目標の負荷量に達すると音楽が流れるという特徴がある。訓練器の負荷量は、最大努力でセッティングを行った時の数値を基準にその40%の値とし、週ごとに負荷量を変更した。収縮時間は10秒間、回数は20回でそれを2セット行わせた。統計学的検討には2群間の比較では対応のないt検定を、経時的変化については反復測定分散分析を用い、有意水準を5%未満とした。本研究は対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得て行っている。
    【結果】2群間において年齢、体重、術前の筋力は有意差を認めなかった。術後の筋力においても各週とも有意差は認めなかった。しかし術後筋力の経時的変化では2群とも有意な増加を認め,特に訓練群は有効な経過を示し,統計学的に差を認めた。
    【考察・まとめ】高齢者の筋力増強訓練では筋骨格系の傷害や循環器系の影響を考慮する必要がある。加えて術後のリハビリテーションでは、過負荷による炎症の助長を避けながら筋力改善、動作獲得を図る必要がある。そのため術後早期の炎症期において筋力訓練するには、特に適正な負荷量の設定が重要と考える。今回の結果から、筋力の経時的変化において訓練群は有効な経過を示し、このような器械で客観的に筋力訓練することの意義が確認できた。しかし今回の負荷設定が適正であったかどうかについては検討が必要であり、今後、負荷設定などを変更して検討したいと考えている。
  • 安永 佳世, 内城 麻理子, 磯谷 隆介, 吉田 研, 大国 央志, 丸山 公, 遠藤 一
    セッションID: 23
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】  臨床上,内側型変形性膝関節症(以下膝OA)は膝関節だけでなく股関節に可動域制限を呈していることが多い.古賀.2007らは,膝OAの進行に伴い股関節内旋可動域制限が生じ,それがFemuro-Tibial Angle (以下FTA)との関連性があると述べている.しかし,股関節回旋全可動域(以下運動域)とFTAの関連については検証されていない.動作時において,股関節は基本肢位からの内旋もしくは外旋といった一方向の運動ではなく,水平面上の全可動域での運動と考えられる.そこで本研究は,股関節回旋運動域とFTAの関連性について検証する. 【方法】  対象は当院を受診した下肢の手術既往のない女性の膝OA患者40症例80膝(年齢74.1±7.6歳)とした.計測は腹臥位にて股関節内外旋を3回計測し平均値とした.また立位膝関節正面X線撮影を行い,FTAを計測した.本研究では股関節回旋参考可動域(Nancy Berry man.ら2005)を内旋22°,外旋32°,運動域54°と定義し,この運動域の中間を正常運動中心外旋5°とした.この運動域より過大または低下,正常運動域中心より内外旋低下を分類し,運動域過大-内旋低下(以下A群),運動域過大-外旋低下(以下B群),運動域低下-内旋低下(以下C群),運動域低下-外旋低下(以下D群)の4群とした.FTAの差の検定は,各群間のデータをランダムサンプリングし多重比較検定(Tukey Kramer法)を用い,有意水準は5%未満とした. 【結果】  FTAの結果はA群(n=15)182.5±5.6,B群(n=40)178.5±4.5,C群(n=13)181.8±4.3,D群(n=12)179.0±4.2となった.A-B,B-C群間の2群間で有意差が認められた(p<0.05).その他の群間では有意差は認められなかった. 【考察】  A-B,B-C群間より,運動域の大小に関わらず,股関節内旋可動域低下は先行研究と一致するものでありFTA増大の関連が示された.股関節内旋可動域低下は,股関節による水平面上の運動を相対的に下腿内旋で補うことにより外側スラストが生じ,FTA増大に影響すると考えられる.B群より運動域が大きく,外旋可動域が低下した場合,FTAは正常値と近似する.そのため,運動域中心が内旋方向に傾くことにより,内旋方向への運動量が増大し,FTAが減少したと考えられる.
    今後,膝OAの理学療法を行う上で,股関節内旋可動域低下の要因を追及し,内旋可動域を改善することは有用な治療アプローチだと考えられる.
  • 小野 達也, 西崎 香苗, 廣瀬 昇, 池上 仁志
    セッションID: 24
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)を呈する患者において、膝蓋骨可動性の低下を臨床で経験する。膝蓋骨は、炎症・腫脹等により滑液嚢が癒着することで容易に可動性が低下し、膝蓋骨の可動性低下が、大腿四頭筋の筋力効率を低下させる原因と成り得るという報告はあるものの、膝蓋骨の可動性改善が膝伸展筋力に及ぼす影響について論じた報告は見受けられない。そこで今回我々は、健常者に対してpatella mobilizationを施術した場合と、膝OA患者に対して施術した場合の前後で、等尺性膝伸展筋力の変化を比較し検証した。 【方法】対象は、健常成人男性8名(8膝)をControl群、当院で保存療法を受けている膝OA患者11名(11膝)をOA群とした。両群にて、1分間のpatella mobilizationの前後で、膝伸展筋力を測定した。patella mobilizationの実施条件として、高柳らの報告に準拠し、背臥位(膝関節30°屈曲位)で、膝蓋骨を両手で包み、上下左右に動かし、1分間同一の施術者で行った。膝伸展筋力の測定条件は、端坐位にて、足関節前面に徒手筋力計(アニマ社製μTas F-1)を配置し、各3回測定して、その中央値を代表値とした。得られた筋力値は、膝裂隙から作用点までの距離を乗じ、体重を除して正規化した。分析は、両群の効果判定のためマンホイットニー順位和検定を用いた。なお、本研究は貢川整形外科病院倫理委員会の承認のもと実施した。 【結果】Control群の膝伸展筋力の前後差の平均は、2.82Ncm/kgであった。OA群の前後差の平均は、0.89Ncm/kgであった。統計の結果、Control群に有意差を認めたが、OA群では有意差が認めなかった。 【考察】今回の結果より、Control群においてpatella mobilization前後での等尺性膝伸展筋力に有意差を認めたが、OA群は僅かに改善されてはいたが、統計の結果、有意差を認めなかった。これは、Control群に比較し、膝OA群の方が膝蓋骨の可動性が低下しているため、同条件下では、patella mobilizationの効果が十分得られず、膝伸展筋力に影響を及ぼすに至らない可能性が示唆された。また、膝OA群では若干の改善が見られたことから、patella mobilizationを筋力訓練の前に行うことで、より効率的な筋力増強訓練を実施できるものと考えられる。 【まとめ】本研究において、膝OA患者に対するpatella mobilizationでは、膝伸展筋力との相関性は認められなかった。今後さらに施術・測定条件を変えて、膝蓋骨の可動性が膝伸展筋力に及ぼす影響について、検討していきたい。
  • 松岡 潤, 渡辺 博史, 古賀 良生, 大森 豪, 遠藤 和男, 縄田 厚
    セッションID: 25
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大腿四頭筋セッティング(以下、セッティング)は,変形性膝関節症(以下,膝OA)患者に対する筋力強化訓練として一般的である.しかし,負荷強度についての検討は少なく,臨床で定量的な設定は困難である.今回,我々が開発したフィードバック機能を備えた簡易筋力訓練器(以下,訓練器)を用い,外来膝OA患者に訓練を行い,その効果について検討したので報告する.<BR> 【対象】2008年1月から10月に当院整形外科を受診し膝OAと診断された者の中から,本研究の趣旨を説明し同意の得られた女性8名13膝(年齢66.2±5.7歳)を対象とした.膝OA(K-L分類)病期の内訳はgrade2が7膝,grade3が5膝,grade4が1膝であった.<BR> 【方法】訓練肢位は長座位とし,膝窩部に設置した訓練器を使用しセッティング動作をさせた.訓練時の負荷強度は,最大努力下でセッティング動作を行った際の数値の60_%_と設定し,1カ月後に変更した。訓練は収縮時間10秒,回数10回を1セットとして3セット実施し,頻度は週2回で2カ月間継続した.訓練前と1ヶ月,2カ月に,Cybex6000Bによる膝関節30度屈曲位での大腿四頭筋とハムストリングスの最大等尺性筋力値(以下,大腿四頭筋をQ値,ハムストリングスをH値)を測定した.また,日本整形外科学会変形性膝関節症治療成績判定基準(以下,JOA score)の評価を行った.Q値,H値,JOA scoreについて訓練前との変化を比較した.統計処理は反復測定分散分析とし,5_%_未満を有意水準とした.<BR> 【結果】Q値の平均値は訓練前42.5±13.6Nm,1カ月後48.3±14.1Nm,2カ月後48.0±13.8Nmと訓練前に比較して有意に増加した.H値の平均値は訓練前35.5±11.7Nm,1カ月後40.0±13.9Nm,2カ月後40.1±12.2Nmであり有意差は認められなかったが,経時的に増加する傾向にあった.また,JOA scoreは合計得点が訓練前と比較して有意に改善した.<BR> 【考察】等尺性筋力強化訓練には最大収縮時の60~65%以上の負荷強度が必要とされ,また,高齢者の筋力強化訓練は週2,3回の頻度が適しているとされている.今回は週2回の頻度で, Q値の増加を認め,筋力の改善により活動性が改善されたと考えられた.セッティング動作でも大腿四頭筋とハムストリングスの同時収縮が可能とされているが,H値の増加が認められなかったことは,訓練頻度やセッティング動作時の説明に対する理解に問題があったと考えられた.今後は頻度や設定条件の違いによる効果について検討を行っていきたい.
  • 中安 健, 瀧原 純, 橋本 貴幸, 渡邊 敏文
    セッションID: 26
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】  人工膝関節全置換術(以下、TKA)後の理学療法は入院期間の短縮により、短期間で問題点を把握し効果を出すことが求められる。関節位置覚は歩行やパフォーマンスに影響することが指摘され、TKA後の関節位置覚の先行研究では術直後に低下しその後回復することが報告されている。今回、術前後における関節位置覚の変化について調査し先行研究と一部異なる結果と、関節位置覚の測定角度による違いを示したので報告する。 【方法】  対象者は2008年10月から2009年11月までに当院にて手術を行った24名(33膝)で、年齢は74.2±7.5歳、性別は男性10名、女性14名であった。疾患名は変形性膝関節症が29膝、関節リウマチ4膝であった。対象者には研究の趣旨を口頭にて説明し同意を得た。関節位置覚の測定に使用機器はBIODEX SYSTEM3 を使用した。測定は閉眼で行った。開始肢位として対象者は背もたれ座位45度傾斜位とし、下肢は膝関節屈曲90度とした。検者は対象者の膝を他動的に伸展し目標角度で静止させ、再び開始肢位に膝を戻した。次に対象者が静止した膝角度を自動運動で再現しその角度をモニター画面から記録した。目標角度は30度と60度とし、それぞれの角度を3回、ランダムに測定した。測定時期は術前、術後2週、術後4週とした。測定値から目標角度を引いた値を関節位置覚値とした。3回の各目標角度の平均値を結果として利用した。統計解析は目標設定と測定時期による2要因の分散分析を行った。有意水準は5%未満とした。統計解析ソフトはSPSSversion15を使用した。 【結果】  目標角度30度の術前値は-6.8±5.7、術後2週値は-4.5±5.4、術後4週値は-4.0±6.4であった。目標角度60度の術前値は-16.4±10.2、術後2週値は-15.8±8.2、術後4週値は-13.5±8.1であった。統計解析の結果では、交互作用は認められず(p=0.758)、目標角度に主効果を認め(p=0.000)、測定時期に改善傾向は見られたが有意差を認めなかった(p=0.098)。 【考察】  測定時期による変化では術直後においても低下を認めず、先行研究との違いを認めた。先行研究との結果が異なる要因としては、測定方法の違いが影響したと思われる。一方、目標角度による関節位置覚の正当性では60度でより低下を認めた。屈曲角度が増すことによる筋粘弾性の変化などが影響したものと思われ、60度付近の動きが必要となる歩行練習などの理学療法を行う上で配慮が必要になることが示唆される。
  • 相原 正博, 西崎 香苗, 廣瀬 昇, 久津間 智允, 池上 仁志
    セッションID: 27
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】変形性膝関節症(以下膝OA)の手術方法である人工膝関節全置換術(以下TKA)は,除痛及び下肢アライメントの矯正による他関節の負担軽減など その有効性は高い.横山らは,膝OA患者の立位時の重心動揺検査測定値が増加する傾向にあることを報告している.今回我々は,TKAを施行した患者の術 前・術後において下肢荷重検査を実施し,手術施行によるFTAの変化が重心動揺に及ぼす影響を検討した. 【方法】対象は膝OAと診断された手術患者から12名を無作為抽出し,本研究の同意を得た上で,術前・術後1ヶ月・術後3ヵ月以降の各時期に下肢荷重検査 を実施した.測定方法は,キネトグラビレコーダ(アニマ社製G-7100)を用い,静的立位姿勢の左右下肢別に計測した.測定時間は30秒間,測定回数は 1回とした.測定項目は下肢荷重検査から重心動揺検査の総軌跡長・単位軌跡長などとした.FTAはX線画像より計測し,手術前後のFTA変化量が10°未 満(n=5),10°以上の群(n=5),20°以上の群(n=2)の3群に分け比較検討した.統計学的解析にはt-検定を使用した. 【結果】総軌跡長(cm)の結果では術前と術後1ヶ月の差が10°未満群では-4.01±3.65,10°以上の群-2.43±6.43,20°以上の群 では-27.21±14.88であり,10°未満群と10°以上群に有意差はなかったが,20°以上群では10°未満群,10°以上と比較し,それぞれ有 意差(p=0.02,p=0.02)が生じていた.単位軌跡長(cm/秒)の結果では術前と術後1ヶ月の差が10°未満群では-0.13±0.12, 10°以上の群-0.08±0.22,20°以上の群では-0.91±0.50であり,10°未満群と10°以上群に有意差はなかったが, 20°以上群では10°未満群,10°以上と比較し,それぞれ有意差(p=0.02,p=0.02)が生じていた. 【考察】本研究結果において,手術によりFTAが著明に変化(20°以上)した群では,FTAの変化の少ない群(20°未満)と比較し,術後の総軌跡長と 単位軌跡長において増大傾向がみられた.このことはFTAの著明な変化は立位重心動揺に影響を与えていることを示している.よってTKAの術後理学療法を 行う際には,FTAの術前後変化に留意し,高度にFTAが変化した症例においては,重心動揺が増加している可能性が高く,早期理学療法時には重心動揺計などを用い,適切な立位バランスを評価することが必要であり,この点に着目して理学療法を実施することは歩行・立位バランスの早期改善に有効であるとことが 示唆された.
口述発表4(内部障害系)
  • 堀内 俊樹, 有泉 奈緒美, 北村 美咲, 渡邉 舞子, 梅田 真太郎, 渡邉 浩文
    セッションID: 28
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】筋腹への圧迫は、皮膚の感覚受容器の刺激を介し運動皮質を刺激することにより、筋収縮の増大を強化することが言われている。そこで圧迫刺激の種類と筋収縮の増大する程度の関係を立ち幅跳び距離を指標として数値化することを目的とした。
    【対象】対象は下肢関節に整形外科的既往や現在痛みのない健常成人20名(男性6名、女性14名)とした。すべての対象者に研究内容と倫理的配慮について口頭にて説明し研究参加の同意を得た。
    【方法】測定条件は、立ち幅跳び動作時にテーピングで圧迫しない状態(以下、圧迫無し)と圧迫した状態を設定した。圧迫した状態は、臨床において利用の多い5cm幅の2種のテーピングを用いて、圧迫刺激の違いを設定した(ホワイトテーピング:以下、ホワイト圧迫、キネシオテーピング:以下、キネシオ圧迫)。圧迫部位は下腿最大膨隆部として、最大周径を基準にテーピングにより周径が0(cm)、-1(cm)、-1.5(cm)、-2(cm)となるように圧迫した。立ち幅跳びの測定は、開始立位の足底最前点から着地時の踵部までの跳躍距離を3回計測した。分析は、対応のあるt検定を用い有意水準は危険率5%未満とした。圧迫方法は無作為に行い、測定条件間は休憩を挟み行った。
    【結果】圧迫無しの跳躍距離は平均121.1±17.0(cm)であった。キネシオ圧迫0(cm)、-1(cm)、-1.5(cm) 、-2(cm)における各々の平均跳躍距離は135.5±21.4(cm)、133.9±22.3(cm)、130.9±21.1(cm)、126.7±21.0(cm)であった。圧迫無しとキネシオ圧迫間では全ての状態に有意差を認めた。ホワイト圧迫は、0(cm)、-1(cm)、-1.5(cm) 、-2(cm)における各々の平均跳躍距離は129.8±20.0(cm)、125.1±19.7(cm)、128.0±20.2(cm)、124.0±21.6(cm)、であった。圧迫無しとの間には有意差は認めなかった。
    【考察】圧迫により跳躍距離の増加を認めたことから、圧迫は筋収縮の増大と影響すると考えられる。テーピングの種類の影響として、キネシオテープでの圧迫が影響していた。要因として、伸縮性の違いがキネシオテープの方で、リンパ液・血液の循環を促進させ、筋肉の円滑の動きをサポートしたためと考えられる。今後の課題として、圧迫が筋出力に影響する程度の定量化やテーピングでの圧迫を徒手により代替できるよう、その方法について検討を加えていきたい。
  • ――退院後の運動療法実施調査――
    村野 勇, 橋本 貴幸, 中安 健, 瀧原 純, 柏 俊一, 浅川 育世, 内田 みさ子, 清水 馨, 今井 泰平, 佐藤 真治
    セッションID: 29
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 当院における糖尿病教育入院のプログラムの1つである運動療法の集団教育の介入は、理学療法士が担当し60分の講義、実技形式で実施している。当院における糖尿病教育入院退院後の運動療法実施状況を調査することで、運動療法の継続に影響する要因を分析し、現在の運動療法教育内容を再検討した。 【方法】 教育入院退院後6ヶ月以上経過した2型糖尿病患者35名を対象に、退院後も運動療法を継続している者(継続群)、継続をしていない者(非継続群)とし、両群間の比較を行った。調査項目は入院時の年齢、性別、BMI 、HbA1C、罹患期間、糖尿病合併症の存在、身体痛の存在、運動習慣、職業状態についてカルテより後方視的に調査し、また、日常生活活動についてはIADL評価尺度の1つであるFrenchay Activities Index(FAI)、自己効力感についてはGeneral Self-Efficacy Scale(標準化得点;GSES)を面接法により調査した。退院から調査までの期間、年齢、BMI 、HbA1C、罹患期間、FAI、GSESについてはt検定を用い、他の項目はχ2検定を用い、統計学的有意水準は5%未満とした。また、対象者へは研究の主旨、匿名性の確保、自由参加であることを文書、口頭で説明し、研究協力の同意を得た。 【結果】 継続群24名、非継続群11名(継続率69%)で、調査までの期間(継続群;346.9±62.9日/非継続群;340.1±53.7日)に有意差は見られなかった。入院時の年齢(60.8±14.5/62.7±12.4)、BMI(24.6±5.5/27.6±3.6)、HbA1C、(9.3±1.8%/9.6±1.2%)、罹患期間(89.6±90.2ヶ月/139.6±83.9ヶ月)、糖尿病合併症(25.0%/36.4%)、身体痛(12.5%/45.5%)、運動習慣(54.2%/18.2%)、有職者(50.0%/36.4%)、また、調査時のFAI(25.3±7.6/27.5±9.8)、GSES(56.9±8.8/54.3±9.5)で2群間の有意差は見られなかった。性別は継続群が男性13名、女性11名、非継続群が男性2名、女性9名と継続群の方が男性の割合が高い傾向にあった(χ2=3.99、自由度=1、p<0.05)。 【考察】 運動療法継続には運動習慣や職業による時間的な制限、身体痛、合併症、日常生活の活動量、自己効力感等が関与すると推測したが、特に有意差は見られなかった。今回の調査では性別のみ有意差が生じたため、今後、女性における運動療法の継続に影響する要因を分析し、女性が日常生活で運動療法を行い易いように考慮された運動療法の開発が必要である。
  • メタボリックシンドローム予備群を対象とした
    万行 里佳, 竹中 晃二
    セッションID: 30
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】
     メタボリックシンドローム (以下,メタボ) 予備群を対象として,認知行動療法の1つである問題解決療法を用いた生活習慣改善を目的とした介入を実施し,生活習慣の改善や発症予防の効果について検討した。
    【方法】
     対象はA大学に勤務する教職員。参加条件は,腹囲,血中脂質がメタボ診断基準に1項目以上該当する者,または,Body Mass Index (以下,BMI) 25以上の者,さらに薬物療法を行っていない者とした。参加者20名を無作為にA群 (男性9 名,女性2名,平均年齢51.2歳),B群 (男性8名,女性1名,平均年齢59.2歳) に分け,前半はA群のみ,後半はB群のみに同じ内容の介入を12週間ずつ実施した。介入内容は,問題解決療法の手法を用いて,食事や運動などで問題のある生活習慣に関する目標行動を設定させた。自己記録表に毎日の目標行動の達成度,体重,歩数,腹囲,コメントを記入し1回/週提出させ,研究者は裏に助言や賞賛を記入して返却した。その他,4週間ごとに各自の疑問や質問に対する個別の解答,また,通信紙 (A3両面) の発行を行った。測定は,0,12,24週目に生活習慣調査 (食事・運動・飲酒・間食) と血液検査 (血中脂質,グリコヘモグロビン) を両群に実施し,0,12,24週の変化を各群ごとに比較した。
    【結果】
     生活習慣は両群とも食事,運動,飲酒,間食すべて0,12,24週目での有意差はなかった。血液検査では,総コレステロールがA群では0週210mg/dlに比べ12週197mg/dl (p<.05),24週191mg/dl (p<.01) と低下した。HDLコレステロールは,A群では12週63mg/dlが0週59mg/dl (p<.05),24週56mg/dl (p<.05) に比べて高値となった。BMIはA群では0週26.4kg/m2に比べ12週25.6kg/m2 (p<.01),24週25.4kg/m2 (p<.01) と低下した。B群は24週23.8kg/m2が0週24.5kg/m2 (p<.05),12週24.3kg/m2 (p<.05)に比べ低下した。
    【考察】
     問題解決療法では,1.問題の提起と明確化,2.解決策の産出と意思決定,3. 実施と検証により問題に対処する。 本研究は,生活習慣調査の結果より問題点を指摘し,明確化させ,通信紙などによる方法の提示や助言などを行い,生活習慣の問題に対する解決策の産出や目標行動の意思決定を行った。 実行可能な目標行動の設定や自己記録表による効果の確認,通信紙による知識の向上などが生活習慣の問題行動の改善につながり,また,生活習慣の変化が血中脂質や肥満の改善効果となったと考えられた。
  • 冠動脈疾患・弁膜症・大血管術後における遅延要因について
    岸本 敬史, ?田 雅直, 田川 陽介, 原田 真二
    セッションID: 31
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 近年、心臓外科の領域では早期離床が定着し、術直後からの心臓リハビリ(以下:心リハ)がルーチンに実施され早期自宅退院が可能となった。しかし、複雑な疾患も増加傾向にあり、規定のリハプログラムから遅延・逸脱するケースも多くなってきている。そこで今回、冠動脈術後・弁膜症術後・大血管術後の3群で、それぞれの遅延要因を明らかにするため、比較検討した。
    【対象と方法】 2009年(1月から12月)に当院で冠動脈・弁膜症・大血管の単独手術を受けた408例(冠動脈群:221例 男/女=175/46平均年齢;67.2±10歳、弁膜症群:155例 男/女=81/74平均年齢;64.2±13歳、大血管群32例 男/女=24/8平均年齢;70.3±8歳)を対象とした。当科独自のリハプログラムより逸脱した症例の時期別遅延要因をカルテより後方視的に調査した。
    【結果】 冠動脈群の時期別遅延因子は緊急症例、呼吸器合併症、不整脈、創トラブル6例ずつ(2.7%)、循環動態不安定5例(2.3%)、人工透析、術前からの低ADL、休日、 不整脈、他疾患の手術4例ずつ(1.8%)の順に多かった。
    弁膜症群の時期別遅延因子は不整脈9例(5.8%)、呼吸器合併症7例(4.5%)、血圧異常6例(3.9%)の順で多かった。
    大血管群の時期別遅延因子は術前からの低ADL、他疾患の影響3例ずつ(9.4%)、呼吸器合併症、循環動態不安定、点滴ライン、不整脈2例ずつ(6.3%)の順で多かった。
    【考察】 全群に共通する遅延因子は呼吸器合併症であり、手術時間、人工心肺使用時間、挿管時間、術後バランス量等が呼吸器離脱の遅延や無気肺・胸水貯留などの呼吸器合併症を惹起させ心リハ進行の阻害因子となったと考える。
    冠動脈群では緊急症例の遅延例が目立つが、手術が夜間帯のため抜管遅延、状態悪化後の手術での循環動態不安定、手術・挿管時間の延長等が遅延因子としてベースにあり、さらに臥床からくる肺合併症が影響を与えたと考える。
    弁膜症群は、弁膜症による心臓の器質的変成と侵襲による刺激伝導系の変性や心筋の瘢痕化・繊維化等が不整脈を惹起させ心リハ遅延に関与したと考える。
    大血管群は大動脈瘤破裂による生命の危機回避のため、術前からADL制限または自己抑制が加わるケースが多く、術前からの低ADLが心リハ進行の妨げになったと考える。
    【まとめ】 冠動脈疾患・弁膜症・大血管術後の3群における時期別遅延要因には、それぞればらつきが認められた。冠動脈術後は緊急症例・呼吸器合併症、弁膜症術後は不整脈、呼吸器合併症、大血管術後は術前からの低ADL、他疾患の影響が遅延要因の中心であった。
  • 門馬 博, 八並 光信, 保崎 明, 尾戸 真由, 西田 悠一郎, 中野 尚子, 高橋 秀寿, 岡島 康友
    セッションID: 32
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 我々は,拘束型心筋症により心臓移植が適応と判断された2歳児の心臓移植前理学療法を経験した.臓器移植法の改正(2010年7月施行)に伴い,本邦においても低年齢での小児心臓移植が,今後も行われる可能性が考えられる.今回,本症例の渡航前理学療法介入について,その経過,内容と注意点について報告する.なお,本症例の公表に関して,事前に両親へ説明し同意を得た.
    【症例】 2歳男児.既往として超低出生体重児(在胎26週6日,出生体重880g),脳室周囲白質軟化症,慢性肺疾患を合併していた.精神運動発達は乳幼児精神発達質問紙にて12~15ヶ月相当(つかまり立ちとわずかに伝い歩きが可能,言語は単語2,3種類を表出)であった.
    【現病歴】 1歳11ヶ月時に全身性浮腫を認め,徐々に活動性が低下した.その後,浮腫の増悪と頻呼吸,チアノーゼを認め緊急入院した.レントゲン上で,心拡大(CTR0.56)と胸水貯留,心エコー上は,重度の三尖弁・僧帽弁閉鎖不全,心嚢液の貯留を認め,その後,心嚢生検などを行い拘束型心筋症と診断された.心不全の改善を目的として,水分バランスの管理など内科的に加療を行ったが,心臓移植適応との判断に到った.カテーテル検査等の精査を終え,全身状態の落ち着いた入院後6ヶ月経過時よりベッドサイドにて理学療法開始した.2ヶ月間の介入後に心臓移植を目的として渡航し,2ヶ月後に心臓移植が行われた.
    【理学療法経過】 介入当初は寝返り,受動的な割座位保持は可能であったが,起き上がり,這行,立ち上がりは認められなかった.理学療法の介入は,心負荷を考慮してセミファーラー位やクッションチェア坐位でのボールやクッションへのキッキング,キャッチボールを中心に行った.また,発達の経緯から下肢の運動経験が不足していると考えた.下肢の運動は,運動発達,リコンディショニングの両面で効果的と考えた.本児は,人見知りが強く,血圧測定などでも啼泣してしまうため,リスク管理として,看護記録のバイタルサインを参考に,機嫌,表情,呼吸,体温など身体所見を目安に全身状態を勘案しながら運動負荷量を調整した.内科的全身管理と理学療法の介入により,入院以来行っていなかった這行とつかまり立ちが再びみられるようになった.
    【おわりに】 成人の心臓移植前における理学療法介入が有効であることは数多く報告されているが,小児においても効果的であると考える.小児の場合,運動課題の心負荷への影響はもちろん,啼泣による心負荷の増大と体力の消耗を考慮しながら,楽しさ,嬉しさなどの情緒的交流を通じて信頼関係を構築することが重要である.
  • ~主観的な日常活動量および食事療法注意状況との関連~
    文沢 靖, 百瀬 三千代, 西村 直樹, 関谷 俊一, 舩瀬 芳子, 相澤 徹, 大平 雅美
    セッションID: 33
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】糖尿病の運動療法では主観的評価指標としてBorg s RPE Scaleなどが多用されるが、食事・運動療法教育においては、患者が運度消費カロリー(以下運動kcal)を正確に把握することも重要である。本研究では患者の自覚運動kcalを定量し、患者の日常活動量に関する認識と食事療法の注意状況との関連について評価した。
    【対象】平成18年~21年に糖尿病教育入院クリニカルパス適用患者でエルゴメータ-(エアロバイク800・コンビ社製)運動を実施した179名(男/女比116/63、入院時年齢56.2±12.5歳、HbA1C 10.1±2.3%)。日常活動に関する意識と食事に関する注意点は、並行して実施した聞き取りおよびアンケートで調査した。
    【方法】患者に運動直後に行う質問内容を知らせずに、一定量の運動(自転車エルゴメーターを30W負荷で5分ペダリング)を指示した。終了直後に鶏卵を提示し、エルゴメーターでの自覚運動kcal(「今の運動で鶏卵を摂食した場合のkcalの何%を消費したと思うか?」)を尋ねた。実際のエルゴメーターの消費kcalは患者に見えないようにした。また、日常生活での活動の有無(活動あり・なし)の意識を聞きとり調査して、食事で注意している項目として、カロリー、バランス、食事時間、調理方法、外食避ける、できあいの惣菜を避ける、特になし、を記入してもらった。
    【結果】標記のペダリング運動の実測消費kcalは9.2±0.7kcalで鶏卵含有kcal(80 kcal)の11.5±0.9%であった。患者の自覚運動kcalは鶏卵含有kcalの50.3±37.0%(男性52.4±37.9% 女性46.4±35.2%:n.s)であった。日常活動に関する意識からみるとの「活動ありと認識している群」(n=73)では43.3±32.7%で、「活動なしと認識している群」(n=106)の55.0±39.1%に比べ有意に低かった(p<0.05)。食事での注意点に関するアンケートでは、「調理方法に注意している」割合が男10.4%:女28.7%、「特になし」の割合が男31.3%:女20.2%で、他の項目はほぼ男女同数であった。
    【考察】ペダリング運動での消費kcalを患者は約5倍も過大評価していた。日常生活で活動がないと認識している群で特にその傾向が強かった。男女間では有意差は認めなかったが、女性の方が運動kcalの自覚がやや正確(約6%少)だった。アンケートから、男性患者よりも女性患者の方が、食事に注意している割合が高く、特に「調理方法」に注意している患者が多い傾向だったことから、女性は調理に携る機会が多く、そのことが、運動kcalの認識が男性より正確という傾向を生み出している可能性がある。
    【結語】運動消費kcalを患者に正確に数値として提示することで、運動で消費するkcalと食事で摂取するkcalについての理解が深まり、食事療法の遵守や運動療法の動機づけの一助となる可能性が示された。
    (数値は平均±SD)
  • ~急性冠症候群発症から社会復帰に至る経過を追跡できた一症例~
    石橋 修, 阿部 信義, 伯耆 淳子, 黄 恬瑩
    セッションID: 34
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】当院は、平成21年12月に循環器専門のクリニックとして開院し,循環器医療サービスと包括的心臓リハビリテーション(以下心リハ)を行い,地域における心疾患患者のQOL向上および心疾患の予防,早期治療を推進している.今回,胸痛を主訴に来院された症例に関し,当院における心リハの現状と今後の課題について以下に報告する.
    【現病歴】50代女性,高血圧症,LDL高値,BMI27.3.H21年10月より起床時や食事中に胸痛あったが自宅にて経過観察. 11月立位で意識消失し近医受診.12月入浴後に約2分間ほど締め付けられるような胸痛あり当院受診.冠動脈CTにて右冠動脈(RCA-S3)に75%狭窄を指摘.心エコーにて下壁壁運動やや低下,左室肥大を認め,心臓カテーテル検査をすすめ,投薬にて経過観察中.翌年1月10日より頻回に胸部症状みられ,11日胸部症状増悪し三次救急受診,心電図上有意な虚血みられなかったが,当院での冠動脈CT画像から不安定狭心症疑われ緊急CAG施行,RCA-S3に90%狭窄を認めPCI施行となる.1月14日退院.18日当院受診.2月1日より心リハ開始.週1回の外来運動療法を実施した.
    【心リハ経過】開始時より,自身が心臓病になったということと,胸部症状に対し強い不安の訴えがあったため,運動に対する不安の軽減と冠危険因子の是正を目的に週1回の外来通院運動療法を実施.栄養指導と日常生活での運動強度の確認,監視下運動療法及び在宅での運動指導を実施した.6週間の心リハ参加により運動に対する不安の軽減,復職と病前より行っていたウォーキング再開が可能となった.
    【考察】胸痛を主訴とする症例に対し,当院で実施した冠動脈CTにより早期にPCI実施へとつながり,その後の心リハによって不安軽減や運動耐容能の改善を得られた症例を経験した.
    本症例は,自身の家庭内での役割もあり,週1回の外来心リハ実施であったが,生活上の注意点の確認や監視下運動療法などにより,不安の軽減が図られ,身体と生活に対する消極的な考えが改善し,早期社会復帰を獲得した. 近年,虚血性心疾患患者の入院日数はより短縮される傾向にある.また当院では,地域の公共交通機関の脆弱性や仕事などで十分な頻度で通院できない症例も多い.しかし限られた時間であっても,実際の生活場面に即した運動指導や生活指導を行うことで,QOLを改善させることが可能であると考える.
    また今回の症例は,当院の開院案内を偶然見て来院しており,循環器医療や心臓リハビリテーションの周知度も依然低い状況であり,今後,地域医療機関との連携も含め心疾患の早期発見,予防やフォローアップなど包括的心リハの啓蒙・普及が必要と考える.
  • 廣瀬 昇, 松尾 洋, 平野 正広, 薄 直宏, 丸山 仁司, 橋本 尚武
    セッションID: 35
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本邦における2型糖尿病患者は,境界型糖尿病患者も含めると,およそ2000万人と推定されている.その病態の原因として挙げられているのは,食物の摂取カロリー量と日常の身体活動量とのバランスと考えられ,それ故,生活習慣病として捉えられている.従って,日常の身体活動の背景因子の解釈が,同疾患の病状改善のヒントを握っていることは容易に想像できる.そこで,今回,2型糖尿病患者を対象とし,日常生活における様々な活動時間数の違いが身体活動量に与える影響について調査した.
    【方法】対象は, 2型糖尿病患者37例を対象とした.本研究に際し,被験者には調査内容について十分な説明を行い,同意書作成の上,参加して頂いた.尚,本研究は所属する機関の倫理委員会で承認を受け,実施している.
    調査方法は,睡眠時間,労働時間,家事時間,運動時間,身体運動を伴った余暇時間(運動余暇時間),身体を動かさない余暇時間(非運動余暇時間)の各時間数のアンケート調査と加速度計測装置付歩数計 ライフコーダ-GS(スズケン社製)を用いて,7日間の身体活動量の測定を実施した.両調査結果から,身体活動量と各時間数の関連を重回帰分析(ステップワイズ法)により分析した.また,歩数と運動時間との関連を調査するため,スピアマン順位相関係数を用いて,分析をした.
    【結果】アンケート調査より,被験者の睡眠時間,労働時間,運動時間,家事時間,運動余暇時間,非運動余暇時間の1日平均時間数は,387.7分,330.6分,82.2分,64.4分,8.1分,279.2分であった.また,身体活動量測定から1日当たりの平均歩数,総エネルギー消費量は,5422.6 歩,2059.8kcalであった.総エネルギー消費量を従属変数,各時間数を独立変数としたときの重回帰分析の解析結果は,運動時間のみに有意差を認めた(p<0.05).また,歩数と運動時間数には相関関係が認められなかった.
    【考察】以上より,2型糖尿病患者の身体活動へ影響を及ぼす日常生活活動の特徴として,日常生活内で運動時間数の確保することが,身体活動量の維持に関連していることが示唆された.加えて,その運動時間数は日常の歩数量に規定されるのではなく,身体活動を意識した運動によって確保されることが示唆された.
    【まとめ】2型糖尿病患者に対する運動療法は,まず,個々の対象者に,問診などの聴取を併用し,歩くことだけを強調するのではなく,運動に対する趣味や興味などを考慮したなかで,健康行動を提供する必要性が確認された.
  • 前島 のりこ, 丸山 剛, 岸本 圭司, 鶴巻 俊江, 清水 朋枝, 石川 公久, 千葉 有, 江口 清, 落合 直之
    セッションID: 36
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】がん患者における入院リハビリテーション(以下リハ)早期介入群とリハ介入遅延群の転帰を比較し、リハ早期介入の有用性を提言する。 【方法】2009年4月~2010年2月で入院リハ(理学療法)依頼されたがん患者の依頼診療科、転帰、入院してからリハが開始されるまでの日数を比較・検討し、傾向を出す。 【結果】2009年度の2月までの入院リハ全依頼件数1101件中、がん患者のリハ依頼件数は256件であった。うち、脳神経外科からの脳腫瘍患者の依頼が最も多く116件、続いて血液内科からの悪性リンパ腫や白血病患者等が51件、他89件であった。がん患者のうち、自宅退院が137件、死亡が32件、転院が66件、その他が21件であった。リハ依頼されたがん患者(脳外科と小児科を除く)の転帰と、入院からリハが開始されるまでの期間を比較したところ、自宅退院した患者は平均16日と比較的早期から介入できたのに対し、転院例は28.3日、死亡例は44.4日と予後不良例ほど開始までの期間が長い傾向にあった。 【考察】入院早期からリハ介入することができた症例においては、回復的あるいは維持的リハによりがん治療に耐えうる体力を維持することができ、治療が功を奏し、相乗効果で自宅退院が可能となったと考えられる。入院からリハ介入までの期間が長い症例においては、その間にすでに廃用が進行している患者が多い。リハ介入後も治療の副作用のために、思うようにリハが進まず、緩和的リハ対象となり、さらに廃用状態となる悪循環に陥っている症例が多いと考えられる。結果、自宅退院が困難となり、転院や死亡といった転帰となったのではないか。 【まとめ】入院早期からリハ介入し、当初は回復的リハ対象であったが徐々に緩和的リハ対象となり、入院中に死亡にまで至ってしまう症例も少なくない。しかし、そのような症例でもリハ介入により、ADLやQOLの低下を緩徐にすることができると考えられる。よって、治療の合間に自宅外泊や外出など短時間でも自宅で家族との時間を共有することができる。リハ依頼の遅延は、依頼を出す医師側のがんのリハへの認識が不十分であることに起因するのではないか。今後、各診療科へ働きかけを行い、がん患者への早期リハ介入が可能となるための環境整備を行う必要がある。
口述発表5(生活環境支援系)
  • 訪問リハビリの一症例を通して
    大曽根 厚人
    セッションID: 37
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】  在宅療養を希望する人の多くは、住み慣れた家で「その人らしい」生活スタイルを求め、自分らしく過ごしたいと願う。今回、寝たきり生活により廃用性の機能低下、ADL動作能力低下から介護負担の増大を呈した症例を担当した。利用者と家族のニーズを尊重した関わりから、一考察を得たので以下に報告する。 【症例】  A氏:83歳男性(要介護度3、寝たきり度:B1、認知度:自立)。妻(79歳)と2人暮らし。平成11年5月転倒受傷にて多発性脳梗塞、頚髄損傷、OPLLと診断。中枢性四肢麻痺、仮性球麻痺を呈する。保存療法、加療にて同年9月退院となる。B.I:30点、体動時は頚椎カラー装着。寝返り困難、排泄はポータブルトイレ使用し、車椅子にて移動する。食事は自力摂食可能だが、ムセ・排痰が認められる。 【経過・介入】  平成17年3月、訪問リハビリ開始。A氏は“口から食べたい”“家の風呂に入りたい”と強く希望し、介入目的を食事・入浴動作の維持、妻の介護負担軽減、生活上のリスク管理指導とした。訓練経過と共に、妻やヘルパーへの介助方法指導や福祉用具の提案・導入。また主治医・訪問看護師より誤嚥性肺炎等のリスクについて説明されるも、A氏は医療的処置に対し拒否が強く、その心理的背景として“家で好きなように生きたい”という気持ちがあった。半年から年に1回サービス担当者会議を行い、サービス状況や介助方法の確認をした。平成20年1月より熱発を繰り返し、同年6月入院、訪問リハビリ終了となる。 【考察・まとめ】  介入当初は医療的処置を念頭に入れた生活支援としていたが、A氏の希望する関わりとは異なったものだった。A氏は残された人生が我慢や苦痛の生活になる事を避け、自らの意思決定で食事・入浴という生活の場から楽しみを見つけていた。妻も同様に、人的・物的環境や時間的制約の中で、可能な限りA氏と同じ空間で過ごしたいと考えていた。結果的に在宅生活が困難となり入院を余儀なくされたが、A氏は妻と共に過ごす事で「自分らしい」生活スタイルを構築でき、一家の柱としての役割を果たすことができた。訪問リハビリとして、様々な症状や障害・苦痛に対しての医療的処置は限られたものである。サービスを提供する側と受ける側の間に生じるズレを早期に見出すことで、利用者・家族の尊厳を保ち、希望に繋がるための支援をしていく事の重要性を実感した。
  • 間中 卓也, 高尾 敏文, 田中 直樹, 飯塚 陽, 金森 毅繁, 小関 迪
    セッションID: 38
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 2009年4月からの介護保険改訂により、短期入所療養介護(以下ショートステイ)利用者に対する個別リハビリテーションへの効果が期待されている。また、当施設でのショートステイ利用者の約6割が日曜・祝日を含めた利用であるため、2009年5月17日から理学療法士の休日出勤を開始し、ショートステイ利用者に対する個別リハビリテーション(以下個別リハ)を実施してきた。今回、当施設でのショートステイ利用者の現状報告とともに、ショートステイ利用中の個別リハが効果的だったと考えられた症例について報告する。 【現状】 2009年5月~2010年2月までのショートステイ利用者数は26名(のべ人数110名)、利用回数は合計137回でその内休日を含む利用は85回(62%)であった。平均年齢は80.9歳±9.7歳、男女別利用人数は男性10名で女性16名、平均利用日数は4.9日±3.1日、介護度別利用人数は介護度1は3名、介護度2は7名、介護度3は8名、介護度4は6名、介護度5は2名であった。疾患別人数は廃用症候群3名、脳血管疾患11名、運動器疾患6名、その他3であった。利用目的別人数はリハビリ1名、介護者休養25名であった。 【症例提示】 50歳代、女性、介護度は要介護2、利用頻度は1回/月(平均11.2日)、診断名は脳出血(2003年10月発症)、障害名は左片麻痺。2009年4月よりショートステイ利用開始。2009年5月は8日間の利用であった。初期評価の10m歩行は時間2分19秒、歩数138歩、ファンクショナルリーチは7cmであった。最終評価の10m歩行は時間1分19秒、歩数113歩、ファンクショナルリーチは11cmであった。2009年11月も8日間利用した。初期評価の10m歩行は時間1分37秒、歩数144歩、ファンクショナルリーチは12cmであった。最終評価の10m歩行は時間1分10秒、歩数101歩、ファンクショナルリーチは13cmであった。5月、11月ともにショートステイ利用中に各種能力の改善が認められた症例であった。 【まとめ】 今回報告した利用者の場合、全ての日程が日曜を含む予定であった。休日リハビリを実施することで限られた日数でのリハビリの効果をより発揮できたものと考えられる。また、当施設のショートステイ利用状況は、集中的なリハビリが主目的の利用は1名のみで、25名は介護者休養が主目的での利用であった。現状ではリハビリが主目的の利用は少ないため、ショートステイでのリハビリの効果をデータとして蓄積し、ショートステイの個別リハが効果的であることをアピールしていきたいと考えている。
  • 支援経験に基づく視点の差について
    蛭間 基夫, 浅田 春美, 三野 恭兵, 奥野 泰弘, 小畑 奈々美
    セッションID: 39
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】住宅改修や福祉用具の設置といった住環境整備の支援は単に工事や用具の設置といった物理的環境整備のみを意味するのではなく,その計画立案や整備後のフォローアップといった支援も包括している.先行研究ではこれらの支援におけるPTの役割の重要性は多数報告されているが,一方で専門性についてPT自身による学術的報告が少ないとも指摘している.この指摘に対して本報告では住環境整備におけるPTの専門性を明らかにする一助とするために,PTの住環境整備における実態について調査した.【方法】調査は群馬県理学療法士会に所属している全PT714名を対象として質問紙によるアンケートを実施した.調査期間はH21年6月から約2ヶ月で,郵送,FAXにて268名から回答を得た(有効回答率37.4%).また,調査票の返信が調査研究への同意となる旨の依頼書を調査票と同時に配布した.【結果】(1)勤務施設は「病院」(66.8%)が最も高かった.業務主対象は「急性期」(28.7%),「回復期」(28.4%)が各々高かった.(2)住環境整備の経験状況は「住宅改修」の経験者70.1%,「福祉用具設置」の経験者87.7%であった.改修及び設置ともに未経験のは11.2%であった.(4)改修及び設置にPTが介入する意義は両者とも整備前の「問題点の発見」や「動作確認」が高かった.(5)改修及び設置の効果判定は両者とも「動作・ADLの変化」が高かったが,未経験者では同項目に集中する傾向があった.(6)改修及び設置で苦慮する項目は両者とも同傾向にあったが,各々の割合は未経験者の方が高い傾向にあった.【考察】住環境整備の支援はPTにとって重要な職域である.住環境整備にPTが介入する意義は経験者,未経験者とも整備前の動作確認や整備後の動作指導といった在宅での動作に関与した支援を重視している.また,動作を重視する視点は効果判定にも示されており,住環境整備においてもPTの専門性として動作の評価の重要性が高いことを示唆している.ただし,経験者では効果判定として動作以外の複数項目に着眼しているのに対して,未経験者では動作に集中する傾向がある.これは未経験者に支援の具体的なイメージが形成されていないことを示唆している.ただし,経験の蓄積によってこれらの負担が軽減することが推測される.【まとめ】住環境整備の様々な支援場面で動作の評価をPTが重視していた.また,経験者と未経験者では住環境整備に対する視点に差があった.
  • 支援の介入状況に影響を及ぼす要因について
    浅田 春美, 蛭間 基夫, 奥野 泰弘, 小畑 奈々美, 三野 恭兵
    セッションID: 40
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】住環境整備(住宅改修及び福祉用具導入)の支援において計画立案や整備後のフォローアップの段階でPTの介入が求められている.前報告は支援経験の有無に応じた住環境整備に対する視点を考察した.本報告は住環境整備の介入状況に応じて経験者を分け,業務実態や意識を明らかにし,PTの専門性を明らかにする一助とする.【方法】調査方法の詳細は前報告に記載する.住宅の工事や用具の設置以降も様々なフォローの段階に介入するPTをAll群,工事や設置までで介入を終えるPTをPre群と分類した.【結果】(1)改修経験者はAll群63.3%,Pre群36.7%であった.設置経験者はAll群72.8%,Pre群27.2%であった.(2)PTが改修に介入する意義は両群とも改修前の「動作確認」(All群95.0%,Pre 群92.8%)が高かった.設置でも同項目が高かった(All群88.9%,Pre群84.4%).また,改修・設置後のフォローに意義があるとしたのは改修・設置ともAll群が高かった.(3)改修の効果判定として「動作・ADL変化」が高かった(All群32.8%,Pre群24.6%).設置でも同項目が高かった(All群39.2%,Pre群31.3%).ただし,Pre群では「対象者の意見」が上記項目と同水準だった(改修Pre群24.6%,設置Pre群29.7%).(4)改修への介入で苦慮する項目として「知識不足」が高かった(All群58.8%,Pre群63.8%).また,設置でも同項目が高かった(All群45.5%,Pre群54.7%).【考察】住環境整備における計画立案やフォローでのPTの役割や介入意義が報告されている.また,フォローに介入することでPT自身のスキルアップにつながるとされる.ただし,本調査ではPre群が約3割存在し,これらにはPTに求められる役割やスキルアップが不十分になる可能性がある.Pre群はAll群と比べ住環境整備で苦慮する項目は同傾向であるが,フォローへの介入に対する意義意識は低い.つまり,Pre群の介入状況を規定するのは苦慮する項目ではなく,自身の考えであることが示唆される.また,Pre群は効果判定でフォローに介入していないため対象者の意見を重視する傾向があり,住環境整備後の生活状況を専門的な視点で分析できていない可能性が示唆される.【まとめ】Pre群ではフォローに対する意義意識が低く,それが介入状況に影響を及ぼしていた.また,フォローに介入していないため専門的な視点での効果判定が難しく,スキルアップにつながりにくかった.
  • 土橋 豊
    セッションID: 41
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】  日常生活活動指標のBarthel Index(以下BI)において、総得点が60点以下は介助レベルとされ、また移乗・トイレ動作・歩行は項目別難易度で高難易度を示し、自宅生活に影響を及ぼすとしている(1989 Granger et al)。今回、入院時に歩行不可及び介助が必要であり、自宅復帰が困難と予測された患者を対象とし、定期・定期外カンファレンスが自宅復帰に及ぼした影響を考察した。 【方法】  2009年8月から2010年2月まで当院回復期リハビリテーション病棟(128床)に入退院した130例のうち、自宅復帰した97例(男性51例、女性46例、平均年齢74.6±8.6歳)を対象とした。このうち、退院時移乗・トイレ・歩行の3項目に減点がある36例を対象とし、定期カンファレンスに家族が参加した回数と退院時BI総得点を抽出した。更に、退院時BI 60点以下での自宅復帰例の抽出と、定期カンファレンスに家族が参加した回数を抽出した。尚、患者・家族には研究の主旨を説明し同意を得た。 【結果】  定期カンファレンスへの家族の参加率は脳血管疾患5.1±1.0(84.6%)、運動器疾患2.4±0.7(80.0%)であった。退院時BI総得点は平均66.0±24.4点であった。退院時BI総得点が60点以下での自宅復帰は脳血管疾患11例、運動器疾患2例であった。このうち家族の定期カンファレンス参加率は脳血管疾患5.2±0.9(86.4%)、運動器疾患は2.5±0.7(83.3%)であり、自宅復帰率は74.6%であった。 【考察】  今回、家族の定期カンファレンスへの参加は約8割と高い値が示された。また、自宅復帰率が74.6%という結果を得た。この結果は、家族参加型の当院のカンファレンスが、介護者の不安を解消出来、家族の意向が自宅復帰へと意識付けられるのではないかと考える。よって、定期・定期外カンファレンスに僅か1回でも多く参加することは、早期に方向性を決定付ける因子として大きな意味があると考える。更に、定期カンファレンスに家族が参加できずとも、結果的にBI総得点が60点以下でも自宅復帰へ結びついたことは、定期外カンファレンスに積極的に参加していたことの結果ではないかと考える。定期外カンファレンスにおいて重要なのは、時と場所を問わず即時に行え、定期カンファレンスよりも家族が参加できる機会を多く得られる点である。今後は、定期外カンファレンスの参加率を調査し、更なる自宅復帰率向上へと繋げていきたいと考える。 【まとめ】  スタッフ間との情報共有はもちろんのこと、最新且つ詳細な情報を家族とも共有することによって、自宅復帰困難と予測された例が自宅復帰に至ったことにカンファレンスの重要性があったのではないかと推察できる。
  • ~第1報~
    藤田 理恵, 井田 徹, 三神 景子, 森 啓介
    セッションID: 42
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】当院では、医療保険でのリハビリテーション(以下リハ)算定日数制限を背景に在宅支援サービスとして、平成21年8月より1時間以上2時間未満の短時間通所リハ・介護予防通所リハを開設した。開設から半年が過ぎ、利用者の実態と当院の取り組みを報告する。 【事業所概要】病院内理学療法室隣に通常規模として開設。1時間以上2時間未満の短時間で、個別リハ・療養指導・健康チェックを主として提供している。物理療法や自主トレーニング機器などは医療保険下での理学療法と共有して使用している。平日の午前・午後の3.5単位、定員は1日20名。専従理学療法士(以下PT)2名(医療保険下でのPT兼務若干名)を配属。 【実績】平成22年2月27日までで通所リハ・介護予防リハ利用者42名(男性21名・女性21名)、要介護31人(男性16名・女性15名)、要支援11名(男性5名・女性6名)。総件数918件(要介護541件・要支援377件) 【サービス内容】バイタルチェック、生活状況確認と療養指導、個別リハ、自主トレーニング(有酸素系マシン、筋力トレーニング、プール)、物理療法など、効果を検証しテーラーメイドのリハサービスを提供している。 【運営内容】通所リハに含まれる送迎はタクシー会社に委託、送迎バスのイメージを払拭し、利用者の受け入れ良好。また1日を開始時間ごと7グループに分け、専従PT2名で必要な個別リハの提供が容易になる目的と、送迎タクシー1台にて運用可能となるよう編制した。 【考察】利用者の特徴として21名:21名と男性も多く、リハを目的に利用される方のみで、医療での外来リハの延長線上に位置づけされている。その為利用にあたり介護認定を受ける方も少なくない。また高血圧症74%、糖尿病43%と内部障害合併者が多い。当院では療養指導を合わせて行うことも重要視しており、結果、自己効力感が高まりセルフコントロールの改善が認められる。また通所リハ開始をきっかけに外出頻度が増加しているケースも多い。これらに伴ない要介護から要支援への改善者が増えており、事業所評価加算へつながるものと考えている。逆に、機能的・生活動作的にも改善または変化はないが、介護度が高くなってしまうケースも認められている。 【今後の課題】開設当初、大きな広報活動はせず運営していたが、見込み通り利用者は増加。今後はキャンセルなどの件数低下を防ぐような運用や利用者の特性にあったグループ分けなど工夫を考えている。また言語聴覚療法も導入しており、当事業所の特徴として更に活用していきたい。
  • 高間 亜由子, 福田 陽介, 水谷 準, 椿 淳裕
    セッションID: 43
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
     当院回復期リハビリテーション病棟における運動器疾患患者の入棟時の機能的自立度評価法(以下,FIM)を使用し,入棟早期に転倒・転落事故を予防する手掛かりを得る為,検討・調査を行った.また,大腿骨近位部骨折患者の傾向を調査した.
    【対象と方法】
     対象は2008年11月1日から2009年5月1日までに当院回復期病棟に入棟した運動器疾患患者143名(男性41名,女性102名,平均年齢74.7±14.9歳).疾患は下肢骨折72名(うち大腿骨近位部骨折56名),脊椎骨折40名,骨盤骨折11名,両上肢骨折1名,脊髄損傷2名,脊椎・下肢の術後17名であった.インシデント・アクシデントレポートから転倒群と非転倒群を分類し,調査項目は転倒発生群の傾向及びFIMを使用し総合計,運動合計,認知合計の点数と転倒,疾患の関連を調べた.統計解析はMann-Whitney検定,カイ二乗検定,receiver operating characteristic curve(ROC曲線)を用いた.他に転倒発生行為と関連が深いと思われるFIM運動細項目の得点を完全介助,部分介助,監視,自立の4つに分類し各群の自立度比率を比較した.
    【結果】
     転倒群は25名(平均年齢82.7±7.7歳),非転倒群は118名(平均年齢73±15.5歳)であった.転倒群のうち12名が大腿骨近位部骨折患者であった.転倒発生行為は移乗,移動の順で多かった.入棟日から初回転倒までの日数は10日目までが最も多く,20日目までが全体の半数を占めていた.入棟時のFIM総合計,運動合計,認知合計全てにおいて転倒群で有意に低下していた(P<0.001).移動の自立度は転倒群で低下していた.大腿骨近位部骨折患者の傾向としてはその他の疾患患者と比較しFIM総合計(P<0.05),認知合計(P<0.01)で有意に低下していた.また,ベッド,椅子,車椅子移乗の自立度,移動自立度も低下傾向にあった.ROC曲線からはFIM総合計81点,運動合計56点,認知合計33点がカットオフ値として選ばれた。
    【考察】
     脳血管疾患患者を対象とした過去の報告によると,入院早期の転倒が多いと言われている.本研究においても先行研究とほぼ同様の結果となったことから,入棟早期に転倒の危険性を予測し対策することが重要と考えられる.また,転倒群の移動自立度が低下傾向にあることから,移動に何らかの介助を要する患者において転倒リスクが高まっていると考えられる.FIMについてはFIM総合計,運動合計,認知合計において低下を認め,FIM総合計81点以下,運動合計56点以下,認知合計33点以下の患者で転倒リスクが高いと示唆された.大腿骨近位部骨折患者の傾向として認知合計,移動,移乗自立度が低下しており,転倒リスクが高いと考えられる.今回の結果から,入棟時のFIM得点,移動の自立度が当院回復期病棟において転倒を予防する指標となり得ると考える.
  • ~退院後アンケート調査からみられた家屋改修の実態と退院後QOL~
    小川 康弘, 神野 若菜, 後藤田 進
    セッションID: 44
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    現在当院では退院時サービスとして,退院前の家屋改修提案,動作指導等を行ってきたが,その効果を検証するに至らなかった.本報告は退院後実態調査により改修提案の効果を検証した結果を踏まえ,退院後QOLを向上すべく,サービス内容の再検討を行う事を目的とする.

    【方法】
    H20年12月からH21年11月迄に当院回復期病棟を退院した患者で,家屋評価を実施した105名を対象にアンケートを郵送した.内容は,PT/OTによる家屋改修提案とその変更(追加もしくは未実施)の有無,転倒の有無とその質,介護状況,その他自由回答とした.又アンケート回収後,電話にて本調査の趣旨に同意いただいた方を対象とした.

    【結果】
    回答率は53.3%(56名/105名),有効回答数は53名であった.家屋評価後,改修提案があった患者は92.3%(48名/53名)であり,疾患は脳血管疾患30名,整形疾患16名,その他2名,平均年齢は78.8±9.76歳だった.転倒率は35.4%(17名/48名)であった.また改修提案の変更を行った患者が68.9%(33名/48名)であり,「家族の考えで追加」次いで「ケアマネ・業者からの提案で追加」が多くを占めた.在宅生活開始から改修提案の変更を行った患者は66.7%(22名/33名)であった.介護状況では「自分の時間が取れない」「ストレスを感じる」という回答が多かった.

    【考察】
    今回,改修提案を受けた患者の7割弱がそれを変更しており,更に,その大半が在宅生活開始からである事が本調査により分かった.これは,在院中から患者・家族とPT/OT三者間で退院後QOLについての目標を共有できないまま訓練が経過し,それが改修の段階で初めて顕在化した結果であると考えられる.現在の当院のサービスは,三者間で退院後QOLについて積極的に論議する場が不十分であると考えられ,具体性の欠如した訓練や,最適でない指導を生み,結果として実生活での家族の不安やストレスを発生させていると考えられる.現行の改修提案はそれらの集約であり,まだ論じられる段階ではないない為,まずは問題が改修だけでない事を自覚し,今後は改修を含め包括的な取り組みを講じる必要があると考える.

    【まとめ】
    患者の退院後QOLの向上を図る為には,改修だけでなく,まずは在院中早期から家族・患者・ケアマネージャーと共に退院後の生活像を共有する必要があり,そこに基づいた動作訓練,介助指導や改修を行う必要があると考える.その結果を知る一助として現在は一方通行になっている家屋改修提案に対し,効果を検証する為のフィードバックシステムが必要であると考える.
  • 戸渡 敏之, 松本 潔, 須貝 章弘
    セッションID: 45
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】ICUなどで集中治療が必要な重症患者に弛緩性の麻痺がみられ、ADLなどリハ的な予後を阻害する疾患の一つとして、Critical illness polyneuropathy(CIP)があげられる。その特徴として、敗血症や多臓器不全(MOF)で人工呼吸器管理となった重症患者に発症する一次性軸索変性によるpolyneuropathyと報告されている。現時点では、CIPに対する特異的な対処法はなく、原疾患の治療と早期リハとされているが積極的な急性期リハ実施例の報告は少ない。
     そこで今回、人工呼吸器装着中にCIPの合併を疑い理学療法(PT)を実施する機会を得たので報告する。
    【症例】趣旨を説明し書面による同意を得た40代男性
    【現病歴】独歩可能で就労中であったが視神経脊髄炎の入院治療中に無顆粒球症を併発し、敗血症、DIC、MOFとなりエンドトキシン吸着療法、CHDFなどの治療をおこなった。同時に呼吸状態の悪化を認め人工呼吸器管理となり、呼吸理学療法目的にてPT開始となった。
    【PT評価】開始時は人工呼吸器管理下で、セデーション中であった。また四肢に軽度のROM制限があり腱反射は減弱~消失していた。PT開始から8日目に意識レベル軽度改善したが、弛緩性の四肢麻痺を呈しておりCIPの合併を疑った。その後の神経伝導検査で運動神経、感覚神経の振幅低下と導出不良を認めた。
    【経過】依頼日より体位ドレナージとsqueezingを行い、PT開始から12日目にweaning可能となるが、四肢遠位筋は萎縮していた。またROMは足関節背屈に軽度制限を認め、MMTは両足関節0~1レベル、握力は両側0kg、ADLは全介助であった。19日目にOT追加となり、徐々に車椅子動作も向上し、69日目に院内移動は車椅子で自立となった。その後麻痺の回復に伴い歩行能力も向上し、108日目はロフストランド杖歩行自立、138日目にMMT:両足関節4レベル、握力:右18kg、左23kgまで改善し独歩(FIM:126)にて自宅退院となった。
    【考察】リハを実施したCIP患者のADL的予後は、良好なケースもあるが、麻痺が残存した症例や歩行に下肢装具が必要となった報告もあり、一定の傾向を認めていない。またリハ開始時期も多くは抜管後からのケースであり急性期からの介入報告例は少ない。特に本症例は人工呼吸器管理下からCIPの合併を疑い、早期に医師やOT、Nsとカンファレンスで情報を共有し、麻痺や身体機能の回復に応じたアプローチが可能であったことが良好な結果を得た要因の一つであると示唆された。
口述発表6(教育・管理系)
  • 小貫 睦巳
    セッションID: 46
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】理学療法士養成校は年々増加傾向にあり一学年定員もかつてない大人数教育に大きくシフトしてきている。その中で教育効果を上げるためにeラーニングを活用するのは他の一般大学等と比べても当たり前となってきている。今回の研究の目的は、理学療法学生のeラーニングの前後にShererの特性的自己効力感尺度を測定しその効果を見ること、及びBanduraの自己効力感の促進因子についての関係性を探ることである。
    【対象・方法】理学療法専門学校においてeラーニングを活用した教育を対面授業の補足として2009年後期に6週間実施した。その前後にShererの特性的自己効力感尺度を測定し、また終了時にBanduraの自己効力感の4つの促進因子に基づき作成した自己効力感促進尺度を測定した。倫理的な配慮として調査への参加は自由で成績には関係ないこと等を説明し同意を取り協力を求めた(この研究は国際医療福祉大学大学院倫理審査委員会の承認を受け行った)。分析はeラーニング施行前後の特性的自己効力感尺度の比較はWilcoxonの符号付き順位検定を、特性的自己効力感尺度の増加群・減少群とそれぞれの自己効力感促進尺度との関連はMann-Whitney検定を用いた。いずれも統計解析にはSPSS Ver14.0を使用し、有意水準は5%未満とした。
    【結果】eラーニングに参加した33名のうち、特性的自己効力感尺度はeラーニング施行前が平均68.4(±10.46)、施行後が71.2(±10.60)であった。施行前より数値が増加した者が23名、減少した者が8名、変化なしが2名であった。eラーニング前後比較の統計結果はp=0.008で有意差が認められた。また、特性的自己効力感尺度増加群・減少群と自己効力感促進尺度の関連はBanduraの4因子のうち「代理的経験」の項目のみ有意差が認められた(p=0.024)。
    【考察】ゆとり教育世代が入学してくる現在の教育環境においては自己肯定感や自己効力感が低い若者が増えていると言われている。先行研究と比較しても今回の結果はそれを裏付ける結果であった(先行研究の平均は76.45±13.7成田健一1995)。しかし、eラーニング後に自己効力感が増加したことはeラーニングも活用次第で自己効力感を高めることが可能であることを示していると言える。また、Banduraの4つの促進因子のうち「代理的経験」に有意差が認められたことは、自己効力感が高まった者はそうでない者に比較して「代理的経験」がより多く身についたと言うことであり、通常は実際に体験できない臨床場面などをeラーニングによって疑似体験できたことによる効果が考えられ、これらを今後もっと活用して理学療法教育に役立てる有用性が示唆されたと考えるものである。
  • -第2報-
    井上 和久, 望月 久, 鶴見 良久, 柳澤 勇, 原嶋 創, 飯田 大, 加部 直子, 木戸 聡史, 須永 亮, ?山 裕太郎
    セッションID: 47
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】現在、理学療法士(以下、PT)は年々増加傾向にあり、新人教育における研修会も見直しが必要になってきている。(社)埼玉県理学療法士会(以下、県士会)の新人教育プログラム検討委員会では、新人教育プログラム(以下、新プロ)のテーマや内容等の見直しを行い、今後の新人研修会の運用等について検討することを目的にアンケート調査を実施した。質問項目は全体で12項目としたが、今回は6.~12.の7項目について報告する。
    【対象・方法】平成20年11月末における県士会に登録されているPT会員2159名を対象に郵送調査法アンケートを実施した。対象者には、依頼文書にアンケートの目的を提示した上で、無記名調査、データの統計的処理、個人情報の保護等の説明を記載し、調査に同意していただける方のみアンケートを返送していただいた。今回報告する質問項目は7項目で、6.新プロを修了するための方法、7.新プロテーマについて、8.新プロを受講しやすくする方法、9.新プロテーマ・内容の変更提案、10.新プロ教本の使用度、11.新プロ教本の内容等についての意見・提案、12.県士会等への意見・要望、を含む12項目であった。
    【結果】回答数は648名、回収率は30%であった。6.新プロを修了するための方法について、67.5%が年に複数回の新人研修会を開催すれば修了できるとの回答であった。7.新プロテーマの内容変更については、現在の新プロテーマを挙げたものはほとんどなかった。8.新プロをより受講しやすくするためには、どうすれば良いかとの回答で一番多かったのが「年に複数回の研修会開催」58%であった。9.新プロテーマ・内容の変更提案について、「協会組織と生涯学習」「職業倫理・管理運営」「世界の理学療法」「症例検討_III_」等が挙げられていた。10.新プロ教本について、「あまり読んだことがない」51.8%、「全く読んだことがない」15.6%、「教本を持っていない」4.3%であった。11.と12.の意見・要望には、「研修会の開催方法」「症例検討_III_の発表について」「養成校での事前指導」「ステップアップ方式」「手帳管理」「ライフバランス」「新プロ受講意義について」等があった。
    【考察】アンケート調査結果より新人研修会の年間開催回数、新プロ教本の使用、その他の要望等について検討していかなければならない事が示唆された。なかでも年に複数回の新人研修会を開催すれば修了できるという肯定的な回答があったため今後県士会として対応していく必要性が考えられた。なお、本アンケート調査にご協力下さいました県士会PT会員の皆様誠に有難うございました。
  • 三岡 相至, 玄葉 文雄, 諸江 佐衣子
    セッションID: 48
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】「患者こそ最高の師である」という言葉は、臨床教育の重要性を述べたものである。患者の個別性は患者からしか学べない、我々はそこから学ぶ力を育成されなければならないというものである。患者の個別性から学ぶとは患者理解のことである。患者理解とは他者理解であり、他者理解を行うためには自己理解が欠かせない。今回、臨床実習教育において学生にプロセスレコードを行わせた結果、学生の患者理解のための意識に変化を感じられたため、その理由を考察し述べると共に他者理解のためには指導も必要であると考えられた。 【全体状況と対象】理学療法学実習において、理学療法学生が、患者との会話場面を記載させ、翌日指導者より適宜指導を行った。データは、実習終了後の感想文より他者理解について実習開始時とその後の変化について記載している者を対象とした。対象数は全16名で、1週間から10週間までの実習期間を行った者とした。なお、本研究は、開始前後に本学および病院倫理委員会において、ヘルシンキ宣言等倫理上の問題について考査を受け、問題ないと判断を受けたものである。また、研究対象者については、あらかじめ説明後の同意を得られたもののみを対象とした。 【結果】全ての学生が、患者とのコミュニケーションの難しさを訴えていた。実習期間が1週間で終了した学生は、自らのコミュニケーション能力の低さを反省し問題視している者と、自分は徐々にうまくなってきたと考えている者に分かれた。1週間以上の期間実習を行っていた者は、自らの問題点に気付くも変化しきれていないと感じていた。実習期間が1週間以上の学生全員が、最終的に自身のコミュニケーション能力への問題視と、自ら振り返ることの重要性を訴えていた。 【考察】患者理解は、ニードを見出し、解決へと結び付けていくためには欠かすことができない。しかし、そのためには患者とのコミュニケーションが成立しなければならない。今回の研究から、学生は患者とのコミュニケーションが容易に行えないと考えているようである。その理由として、ラポールやカタルシスといった患者との関係を築くことなく会話していることが挙げられる。また、実習自体のストレスが、学生の正常な判断を妨げている可能性もあると考えられる。今回、プロセスレコードを通して患者理解をするための何が足りなかったのかを適宜指導し、また、学生に自身を考え直させる時間を十分に与えた。それらのことにより、学生の患者理解をするためには相手の内面へ注目する必要があると気付かせることができたのではないかと考えられる。 【終わりに】コミュニケーションが人と人との相互作用を通じた意志の伝達であるならば、相手の内面に注目することが相手への理解へとつながるはずである。プロセスレコードを通じての学生指導は、学生の他者理解を深まらせることのできる一つの手段であると考えられる。
  • 松高 直道, 松高 津加紗
    セッションID: 49
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
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    【目的】 実習期間が限られている中で、早期に実習生の性格を把握し適切に指導することが必要である。また、日々の業務に追われる実習指導者としても、効率よく指導したい。そこで、実習初期に矢田部・ギルフォード性格検査(以下YG検査)を行い、早期の性格特性の把握がその後の実習指導上どのように役立つか検討したので報告する。 【方法】 対象は平成21年1月から12月に当院へ評価・臨床実習にきた学生21名(男性13名、女性8名、平均年齢:23.3±3.5歳)である。方法は、実習開始から1週間以内にYG検査を実施し、各々の性格類型を判定した。 【結果】 男性A’’2名・AB型1名・AC型3名・B型1名・B’型2名・C型2名・D型2名。<BR>女性AC型1名・B型1名・C型2名・D型1名・D’型2名・E’型1名。 【考察】 今回はできるだけ、検者が被検者をよく知っている人、つまりバイザーとして指導にあたった実習生を事例に挙げ以下に考察した。その理由は、事実の裏づけをもって診断の正確を期したかったからである。<BR> 実習生はYG検査の結果、C典型の判定であった。C典型とは一般特徴として、安定消極型・平穏だが受動的である。事実は、コミュニケーションにおいて声が小さく積極性に欠けていた。バイザーに対して質問はなく、患者様に対してもオリエンテーションが不足していた。一方で、課題など指示されたものは期限内に提出されていた。このことから、C典型の特徴と合致していると判断した。<BR>また、被検者の特徴が象徴的に現れ、短所ととらえる突出因子ではI因子とT因子の突出が目立った。この突出因子は、劣等感があり自信がなく周囲に追従して行動し、いきいきとした活動性・社交性に欠けている。以上の判定を参考に、質問できる環境作りとしてバイザーからの頻繁な声掛けや、臨床で患者様を担当していると想定して臨むことを説明した。具体的な事例を挙げ共に考えることで、疑問をもって実習に臨むことの大切さを指導した。また “社会の一員として働くとは、物事を伝えるには”と意識し、最低限、相手に聞こえるように話す必要があると指導した。その結果、実習後半から少しずつ質問が増えた。また、相手に聞こえ伝わるように話せるようになったことで、相手の反応も良くなり、お互いのやり取りが円滑になった。そして、その中で学生の笑顔が見られるようになり、いきいきとした印象に変わってきたように感じた。<BR>以上のことから、実習初期にYG検査を実施し分析することで、本来実習の経過とともに把握できる性格を、早期から客観的に把握し、指導に活かすことが可能になると考える。
  • 渡辺 純
    セッションID: 50
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】4年制理学療法士養成課程の本校は3年次、理学療法治療学IIで数個のテーマの一つとしてターミナルケア,緩和ケアを90分の講義15回として割り当てた。本授業を担当するにあたり理学療法の成書として,緩和ケア・ターミナルケアを書名等としている書籍は見いだしえなかった。
    本研究は,理学療法士養成課程における緩和ケア・ターミナルケアの教育についての授業の状態を把握し検討することを目的としている。
    【方法】情報収集の対象はインターネットを利用できる第三者が検索,閲覧できる状態に管理者が設定しているWebページを使用した。2009年10月に日本理学療法士協会の養成校一覧にある各大学のWebページにアクセスし,シラバス(授業概要)を探した。見つからなかった場合は, Google(http://www.google.co.jp)を利用し,大学名,シラバスで検索を行った。各シラバスのWebページではキーワードとしてターミナルケア,緩和ケアについて検索した。
    【結果】大学76校のうち12校(16_%_)でターミナルケアあるいは緩和ケアに関連するシラバスを閲覧することができた。12校(16_%_)はシラバスを検索できたが,扱っている授業を見つけることはできなかった。
    1年から3年次までの様々な授業科目でターミナルケアあるいは緩和ケアを1回から複数回の授業テーマとしていた。A大学では3年次にターミナルケア理学療法論(選択)として7回の授業があった。また、B大学は開講学年不明で、ターミナルケア論8回(2時限連続で15回分)があった。
    本校のカリキュラム15回の内容は,他校と違い教科書に岩波新書のがん緩和ケア最前線を使用し,副教材には新聞記事,テレビ番組を利用した。
    【考察】ターミナルケア,緩和ケアの授業について:講義の中で取り上げられているテーマであることが確認できたが,多くは専門基礎科目で取り扱われていると考えられた。A大学では理学療法の専門科目としていることが参考になった。
    本校での授業内容について:一期生4年間の授業状況から考えた内容とした。授業は,新書,新聞記事の音読でも3年生の段階で流ちょう性,正確性に劣る学生が散見されていた。今後は授業アンケート,専門学校での授業状況の把握を行い,授業内容の精選と方法の再検討を行いたい。
    【まとめ】ターミナルケア,緩和ケアの授業を行うにあたり、インターネット上に公開されているWebページを調査し、授業の状況を検討した。
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