[はじめに]脳卒中は介護を必要とする原因となり,回復期病棟の担う役割は大きい.本稿では脳卒中患者に対する回復期病棟の現状把握と当院の取り組みを紹介する.[回復期病棟の役割と現状]回復期病棟とは急性期治療後に多彩な訓練などを提供する場である.しかし,具体的な方法など検討すべき課題が多々存在する.[当院回復期病棟での取り組み]回復期病棟では個別性に合わせた様々な介入が必要とされる.そこで,当院のカンファレンス,重症患者への介入,就労支援について紹介する.[まとめ]個別性を踏まえたチームアプローチの実施や回復期病棟でのより良いリハビリ介入の参考になれば幸いである.
理学療法評価のひとつとして病的反射があるが,Babinski 徴候は病的反射の代名詞と言える程よく知られている.Babinski 徴候は錐体路障害に伴い出現することはよく知られているものの,正しい誘発法やその病態生理についての知識は必ずしも広く浸透しているとは言えない状況にある.そこで,本論文では,Babinski 徴候についての詳細を解説し,日々の臨床などに活かしていただくことを目的に述べる.
[はじめに]人工膝関節全置換術(以下:TKA)後に膝蓋骨骨折を受傷し,伸展位膝関節支持帯(以下:KB)と代償動作の使用で起立動作が獲得できた症例を報告する.[症例紹介]80 代,女性,右TKA 後+1 月に左TKA 施行.左TKA+5 日目のトイレ移乗時に膝折れをし,左膝蓋骨粉砕骨折と診断(Keating 分類 type2A).大腿四頭筋の筋力はMMT にて1 レベルであった.2 週間のKB 固定と可及的な荷重は許可された.[経過]KB 固定除去後,起立は不可能.再骨折予防の観点から移乗時やリハビリ中はKB を装着し,骨盤前傾と上肢支持を用いる代償動作の使用にて起立動作は獲得となった.[結論]患部の機能改善が困難な症例に対し,患部外機能や代償動作に着目することも重要である.
[はじめに]当法人理学療法士における脳卒中患者に対する長下肢装具の実態調査を行い,教育課題を明確にすることを目的とした.[対象と方法]当法人51 名の理学療法士を対象に,無記名自記式WEB アンケートを行った.[結果]46 名の回答を得た.卒前教育の学習機会は少なく,卒業時の興味も低い状況であった.長下肢装具使用経験は少なく介助技術不足を実感しているが,有効性は感じており,学習意欲は高かった.院外学習機会はあるが,様々な制約により参加は不十分であった.[考察]個人の努力だけでなく,組織として配慮すべき要素があり,OJT やOff-JT の充実に取組むべき課題が考えられた.[結論]組織として臨床教育体制を構築する必要性がある.
本邦の骨粗鬆症患者は増加傾向である.骨粗鬆症治療上の課題として,患者の検査率の低さ,治療開始率,継続率の低さが挙げられる.これに対し「日本版 二次骨折予防のための骨折リエゾンサービス(FLS)クリニカルスタンダード」ではFLS を多職種がチームとなって活動をすることを推奨しており,理学療法士もその一員である.当院では2022 年度よりOLS,FLS チームを立ち上げ活動している.その成果として,大腿骨近位部骨折患者への骨密度検査率や治療開始率が改善した.また整形外科以外の疾患で入院した骨粗鬆症患者に対して,退院後のリハビリテーション内で骨粗鬆症指導を実施したことで,骨粗鬆症外来の受診率向上へ寄与したことが示唆された.
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