公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
14 巻
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巻頭言
特集フクシマ以降の原子力政策
  • 金井 利之
    2014 年14 巻 p. 4-5
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー
  • 大山 耕輔
    2014 年14 巻 p. 6-23
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿は,なぜ福島第一1-4号機が過酷事故に至ったのかについて,同じく津波が襲ったが過酷事故に至らなかった5-6号機や福島第二,東北電力の女川,日本原子力発電の東海第二における津波対策と比較しながら考察する。そして,東京電力は,3.11以前に10m超の津波を試算していたが,経営上の理由で有効な津波対策を打たなかったし,副次的要因として,原子力安全委員会や原子力安全・保安院も電力会社に捕虜にされ津波対策に有効な規制を打てなかったために過酷事故に至った,という仮説を,各種の事故調査委員会の報告書を検討しながら検証している。配電盤の水密化やかさ上げなど比較的安上がりで有効な津波対策を打っていれば福島第一1-4号機は過酷事故に至らなかった可能性があるし,規制当局が電力会社から独立性・専門性・透明性を確保していれば,津波対策に有効な規制を打てた可能性がある。

  • 堀尾 正靱
    2014 年14 巻 p. 24-36
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    「技術の本質」の規定と現代科学技術社会における「適正技術概念」の重要性,および「社会技術」についての議論に基づいて,技術に関する民主主義は,単なる利害関係者の意見の調整や多数決による意思決定といった通常の意味ではなく,技術システムに関する社会的な認識過程として,また,具体的なシステム制御の過程としての意味を持つことを示し,原子力発電のように,すべてのレベルの従業員等の協力なしには細部の状況を監視しきることも大変な,巨大で複雑な設備のマネジメントにおいては,民主的なプラットフォームの構築こそがリスク回避の重要なメカニズムとなることを示す。その上で,原子力技術のガバナンスにおいては国民と地域の力を伸ばすことが重要であること,科学者や専門家だけに過大な期待をしないこと,独立性のある参加型の公共的プラットフォーム構築が望まれること,ガバナンスを国際戦略として設計すべきこと,を述べる。

  • 曽根 泰教
    2014 年14 巻 p. 37-50
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」が2012年8月4日,5日(2012年7月7日~22日は世論調査期間)に行われ,人々の多大の関心を集めた。フィシュキンは「本討論型世論調査(Deliberative Poll, DP)は国政上の重要な政策争点において,国の決定前に政府が意見聴取をするために公式に位置づけられた世界で最初のものである。」と記述した。

    ここでは,エネルギー・環境の政策決定過程において,討論型世論調査はいかなる役割を果たしたのかを,1)なぜ討論型世論調査が正式に採用されることになったか,2)その調査結果は何を示したのか,3)そして,それがどのように政策決定に活かされたかの三点について分析する。

    また,本論文は,討論型世論調査結果の分析と討論型世論調査を行った実行責任者としての立場と2つの立場で書かれている。それは,通常の研究論文として分析をするとともに,当事者の経験をも情報提供するということを目指している。

    調査結果は,3つのシナリオ(ゼロシナリオ,15シナリオ,20~25シナリオ)の中で,なぜ,ゼロシナリオの支持が増加したのか,また,4つの基準(安全性の確保,安定供給,地球温暖化の防止,コスト)のうちで,[安全性の確保」が圧倒的に関心をもたれていたことを示し,同時に,政府もメディアも専門家も情報諒として「信頼」を失つていた状態を浮き彫りにした。

    この結果が,エネルギー・環境会議「革新的エネルギー・環境戦略」に活かされ,最終的には閣議決定にいたる政策決定過程をみることで,公共政策の選択において討論型世論調査がいかに利用されたのかの実例を示したものである。

  • 高橋 洋
    2014 年14 巻 p. 51-64
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,電力自由化を進めれば原子力政策が阻害されるとの仮説を踏まえ,日本における福島第1原発事故後のエネルギー政策過程を分析した。欧米先進国では,1990年代以降の電力自由化の結果,初期投資が莫大でリスクが高い原発への投資が停滞している。日本では,自由化を抑制することで原発の開発が進められてきたが,原発事故を受けて状況は一変した。民主党政権は,脱原発を政治決定すると共に,その手段としても自由化の推進を打ち出したのである。これに対して自民党政権は,原発復活を目指すと共に自由化も進めるという。一見矛盾するような政策の組み合わせの裏には,「新たな国策民営」を模索する「産業介入型」の経産省の深慮があった。3.11を経て国家的課題となったエネルギー政策分野において,経産省は原発を維持するために直接的関与を強めつつ,自由化に対しては「管理された競争」を演出しようとしているのだ。

  • 大島 堅一, 除本 理史
    2014 年14 巻 p. 65-77
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    電カシステム改革とは,小売り・発電の全面自由化(電力自由化)による競争的な電力市場形成,発送電分離と広域的な系統運用を進めることである。2016年以降,電カの小売りと発電は完全に自由化され,2018~20年をめどに規制料金が撤廃される。電力会社の経営を安定させてきた規制料金がなくなれば,原子力にかかわる事業リスクを,事業者たる電カ会社自身が引き受けるのは,ますます困難になるであろう。

    そこで政府は,3つの柱からなる「事業環境整備論」を打ち出している。この目的は,電力システム改革が完全に実施された後も原子力を維持できるよう,事業者のリスクとコストを軽減し,同民・電力消費者(そして将来の事故被害者)にそれらを負担させるための政策的措置を構築することにある。木稿では,その全体像を素描するとともに,問題点を検討する。

  • 友岡 史仁
    2014 年14 巻 p. 78-85
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿は,東日本大震災に伴い発生した東京電力・福島第一原子力発電所事故を契機にして,わが国の原子力行政が見直されたことに伴い,大きく改編した行政組織の課題を検討するものである。具体的には,事故後の組織改編に伴い設立された原子力規制委員会が,従前の諮問機関型の規制構造とは異なり,専門家集団であると同時に,安全規制に係る最終判断において行政官が携わらない合議機関型の規制構造を伴うことに着目して,組織法上の課題を抽出,検討する。その概要は,以ドの通りである。

    第一に,原子力規制組織の変遷について。安全規制については,事故前に採られていた「ダブルチェック体制」を評価する。

    第二に,規制組織の中立性担保について。組織改編の大きな特徴である原子力規制委員会の設立と,その事務局たる原子カ規制庁が,いかに法的に位償付けられているかを,組織の中立性という視点から検討する。

    第三に,原子力法制変革後に見えてきた課題について。中立性が担保された規制組織が実際に運用を開始されて以降見えてきた諸課題を,原子力の安全規制に求められる多面的視点という命題に照らしつつ,抽出し,検討する。

  • 高橋 滋
    2014 年14 巻 p. 86-98
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    福島原発事故の経験を踏まえ,原子力損害賠償法の見直しが政府部内で開始されようとしている。事故の経験の分析を踏まえるならば,次のような条項が原子力損害賠償法に盛り込まれるのが望ましい。

    第一に,原子力損害賠償法の枠組みを維持し,従来の仕組みと併せ,国家補償的見地からの立法を国会が定め得ることを明記すべきである。原子力事業者の有限責任を規定することについては,一律に導入することには反対である。事故の発生後に,各種の諸事情を総合的に勘案して原子力事業者の責任を限定する立法を行い得る規定を導入することは,検討してよい。

    第二に,原子力事故に責任のある原子力事業者について,指摘された問題点を解決する措置をとりつつ,破産処理法,会社更生法,企業再生法を適用し得ることを明示する規定を置くことも考えられよう。

    第三に,国による援措置の選択肢を拡脹し,明示しておくことが考えられる。例えば,「被害の回復についての措置」として,地域住民・事業者や自治体に対し,給付金の交付や地域復興事業の実施等を行い得ることを明示することも,考えられるべきである。

    第四に,原子力損害賠償紛争審査会と仲介委員の位置付けについて法的に整理すべきである。行政組織である以上は,適切に調整を行う仕組みが必要である。

    最後に,原子力損害賠償紛争審査会の指針について,指針がフレキシブルであることを確認的に明らかにすることも重要である。

  • 高村 ゆかり
    2014 年14 巻 p. 99-108
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    情報に対する権利(知る権利)は,生命に対する権利や健康に対する権利などの人権の保障に不可欠の要素である。原子力活動に関する国際規律には,影響を被るおそれのある人の情報に対する権利についての義務的な定めはない。

    近年,環境情報に対する権利の国際的保障が進展している。オーフス条約では,公的機関保有情報の開示請求権と公的機関による環境情報の収集,保有,普及に対する権利を広範に保障し,人の牛命や健康に対する切迫した脅威がある緊急時においてこそ,情報に対する権利を保障する国の義務の存在を明示的に定める。他方で,人権条約の下で情報に対する権利の保障も進展し,特に,ヨーロッパ人権条約の下では,生命に対する権利や私生活・家族生活の保護に対する権利のために,国は「現実のかつ差し迫った危険」があることを了知した場合個人を保護するのに必要かつ十分な防止措置をとる積極的義務を有するとされ,その防止措置の中でも情報に対する権利に特別の重要性が置かれている。

    福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえると,緊急時における情報に対する権利の保障とそれを履行するための情報収集・普及のための制度の構築,公共サービスの民営化の動向をふまえて,公共サービスを担う民間主体が保有する必要な情報が開示され,収集され,普及される法制度の構築などが必要である。放射性物質への曝露リスクのように,不確実性を伴い,しばしば長期間経過後顕在化するリスクから人をよりよく保護するには,これらの情報に対する権利の国際的保障の到達点を踏まえて原子力に関わる政策・制度を構築することが必要である。

論文
  • 一瀬 敏弘
    2014 年14 巻 p. 109-124
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,地方採用警察官の技能形成促進策を明らかにするため,政令指定都市を擁する1万人以上の大規模警察本部の人事データに基づき,その昇進構造を検証することを目的とした。人事データと警察官僚の聞きとり調査による実証分析で得られた知見は,次のとおりである。まず,地方採用警察官が昇進可能な最高階級である警視長(部長職)への昇進には,fast track効果がみられ,早く昇進した者ほど国家公務員(地方警務官:警視長・警視正)へ転身する傾向がみられた。そして,少し遅れて昇進したグループには,警視(警察署長)や警部(警察署課長)への昇進可能性が提示される一方で,その他多くの警察官には,警部補(係長)への昇進可能性が提示される。これらの結果からは,全ての警察官に技能形成へのインセンティブを付与するような人事政策が展開されているとも解釈できる。つまり,自治体警察の昇進構造は,全てのノンキャリア警察官の努力を引き出すよう設計され,その人的リソースを最大動員するための選抜システムが内在されているとも言えるだろう。

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