公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
18 巻
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巻頭言
特集 地方自治の公共政策
  • 土山 希美枝
    2019 年18 巻 p. 6-7
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー
  • 新川 達郎
    2019 年18 巻 p. 8-20
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    地方自治は一般的には統治機構を構成する原理であり,中央政府とは別に民主主義原理に基づく地方政府を設ける考え方である。地方自治に関する政策には,第1には,地方自治を国家の統治機構の中に位置づける政策がある。第2には,統治構造における地方自治の位置づけは,必然的に国と地方との関係つまり政府間関係を規定する政策を必要とする。第3には,地方自治を担う地方政府制度を規定する政策が求められる。一般的には,地方自治体の種類や階層を定め,その権能や組織を制度化する政策が必要となる。第4には,地方自治の基本的な枠組みとは別に,中央政府が地方自治体に直接あるいは間接的に働きかける地域政策や,個別諸領域の政策介入がある。第5には,民主主義の政府としての地方自治体が,その目的達成のために,政策を決定し実施することが基本となる。そうした地方自治体の活動はどのような活動であれ公共政策という意味を持つことになる。公共政策にかかわる活動が実施されるためには,公共政策に関する思想や意識,知識や技術そしてその運用能力を発揮しているかどうかが問われる。本稿では, 5つの観点から,日本の地方自治体の公共政策を考える。そのために,理論的な検討を加えるとともに,今日に至る地方自治に関する公共政策の歴史を概観する。そして地方自治における公共政策の課題を明らかにしたい。

  • 坪郷 賓
    2019 年18 巻 p. 21-32
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    本稿は,日本における市民社会の形成と課題について述べ,市民自治と市民参加の原像と理論を確認し,1990年代以後の市民参加と自治体再構築の課題について述べる。第1に,市民自治の営みに関して,1970年代から2010年代に至るまで,それぞれの時期の特徴的な市民活動を挙げながら,日本における市民社会の形成を概観する。さらに,市民活動を6類型に類型化することにより,市民社会の強化の課題について述べる。特に,市民活動のための資金の循環の仕組みを作ることと,市民活動団体によるアドボカシー活動が重要である。第2に,1970年代の市民自治と市民参加の原像と理論について述べる。この時期の市民参加の理論は,市民参加が自治体改革と政策革新を必要とすること,市民参加が運動の制度化と制度の運動化によりダイナミズムを獲得することを述べている。第3に,1970年代と比較して,1990年代以降は市民参加の環境が変化するとともに,市民参加の手法が多様化している。しかし,2000年の分権改革以後,市民自治体など自治体の再構築が試みられているが,自治体議会改革はまだ始動したところであり,自治体議会における決算・事業評価・予算のサイクルを確立し,市民参加を試みる段階である。

  • 廣瀬 克哉
    2019 年18 巻 p. 33-39
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    第一次分権改革による機関委任事務制度の廃止にともない,自治体の条例制定権は自治体の行政機関が執行するすべての事務に及ぶようになった。条例の議決権を有する自治体議会の権限が,制度的にみれば大幅に拡大したのである。その後,自治体内発的には議会の活動理念や,それ以前にはあまり行われていなかった議会活動の実施を規定する議会基本条例の制定などによつて,議会改革を進めることが全国の自治体に広がった。議会基本条例が全国ではじめて制定されたのは,2006年に北海道栗山町においてであった。その後12年余の間に全国の800をこえる数の自治体に広がった。法律による策定の義務付けがあるわけではない同条例が,これだけの広がりをみせたのは,自治体議会の中に改革の必要性,必然性に対する認識が広範に存在していたことを推察させる。そして,議会による議案審議の活性化と,議会,議員による政策立案の強化は議会基本条例の一般的な規定内容として定着している。並行して地方自治法の改正による自治体議会の組織や運営に関する自由度を増す制度の改定が随時行われてきた。このように,自治体議会については2000年代半ば以降,内発的な改革と法律による制度面の改革が並行して進み,自治体議会の公共政策に関する活動条件は大きく変化して今日に至っている。しかしながら,長が提出する政策議案の審査結果が,大多数が原案可決であることや,議員提案,委員会提案による政策条例の制定数は,自治体議会全体の数に対してごく一部の例外的な実績にとどまっている。それならば,自治体議会の公共政策に対する役割や影響力は,この時期の一連の議会改革を経ても,変わっていないと評価すべきなのだろうか。外形的に確認しやすい指標にはあらわれにくい,何らかの成果はあがっているとみるべきなのだろうか。観察された限られた事実を踏まえて,今後検証していくべき論点について確認する。

  • 稲沢 克祐
    2019 年18 巻 p. 40-52
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    現在わが国に起きている施設・インフラの老朽化,人口の減少・高齢化というストックサイクルの変化は,地方財政にとって長期に渡ることが予測される歳出増加・歳入減少という財政ストレスとなる。2019~2021年度の3年間は,「経済財政運営と改革の基本方針2018」によって2018年度と同規模の一般財源総額が保障されたものの,一般財源確保を国と地方の赤字公債に依存している現状にあっては,恒常的な財源不足であり持続可能では決してない。この財源不足を解消して,さらに長期的に続くストックサイクルの変化に対処するための財源を確保していくには,地方財政計画を基本とするマクロの対応として以下の6点が求められる。①地方税標準税率の引き上げ,②交付税原資となる国税税率の引き上げ,③交付税率の引き上げ,④国から地方への税源移譲,⑤国税と地方税の税源交換,⑥地方財政計画の歳出の引き上げである。これらのマクロでの対応には,ミクロの視点から財源格差の拡大を回避しながら進める必要がある。また,⑥において,中長期的に求められる地方歳出増についてはナショナル・スタンダードの視点から地方行政サービス水準の議論をする必要がある。こうした対応を決定していくために,中長期的な財政計画における地方財政の位置付けを整理しておくこと,国と地方の財政関係を調整し決定する場に地方が参画するという前提が重要になってくる。

  • 田中 良弘
    2019 年18 巻 p. 53-65
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    地方分権は,必然的に特定の地域に固有のルール(ローカル・ルール)を伴うものであるが,民間事業者にとっては,行政手続に伴う事務作業コスト(行政手続コスト)を増加させるものであり,ひいては広域的な経済活動を阻害する要因にもなりうる。

    規制改革推進会議行政手続部会は,7つの重点分野における事業者の作業時間を年間計約3.5億時間と算定し,その約22%の年間約7700万時間(金額換算で年間約2000億円)を2020年までに削減する取組みを進めている。また,地方における規制改革タスクフォースは,地方公共団体における書式の統一のための取組みを行い,23の書式について統一化を進めている。

    書式に関するローカル・ルールを見直すことは,必ずしも地方分権の精神に反しない。法令が書式を定めている場合,当該書式に関するローカル・ルールは,法的には,地域独自の書式による事前申請を求める行政指導であるといえ,地方公共団体は,法令の定める書式を用いた申請を拒否できないと考えるべきである。かかる運用を徹底することには,行政手続コストを削減することにも寄与する。また,法令に書式が定められていないものについても,国民の利益の観点から,地方公共団体の相互協力の下,書式の標準化・共通化が進められることが望ましい。

  • 結城 康博
    2019 年18 巻 p. 66-74
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    現在,自治体行政において福祉分野は,大きなウエイトを占めており,これらの裁量権はかなり都道府県や市町村に委ねられてきた。しかし,未だ国のルールに縛られている部分も事実である。その要因としては財源構成にもあるとも考えられ,全て自治体の自主財源で運営されているわけではないため,一定の「国」の関与は避けられない。

    昨今,「地方分権」が叫ばれる中,これらの一定の推進は進められるべきであるが,医療や介護等といった福祉政策においては中央集権的な国の関与は認められるべきと本稿では述べていきたい。なぜなら「普遍性」「公平性」といつた理念が重要視され,どこの地域においても一定のサービス水準が担保されなければならないからである。本稿では,自治体福祉施策における,地方分権のあり方の方向性を考察していくものである。

論文
  • 飯塚 俊太郎
    2019 年18 巻 p. 75-89
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    本論文は,国を跨いで移転0波及する行政改革のアイディアと,それを受容する国のコンテクストとの親和性について議論することを目的とする。具体的には,行政組織のエージェンシー化(agencification)と国民文化との親和性に着目する。この数十年来の行政改革,とりわけNew Public Management(NPM)改革のグローバルな隆盛には,政策移転0波及や制度的同型化の側面があり,各国で類似の改革が実施されてきた。その一つに,エージェンシー化の国際的な展開がある。これは,中央省庁の外延に位置し,政策執行,規制,公共サービス提供等を担う半自律的な組織であるエージェンシーが,様々な国で創設された現象のことを指す。エージェンシー化の諸特徴に照らすと,日本の独立行政法人も,エージェンシーの一つとみなし得る。その導入にあたってイギリス等のエージェンシーの例が学習されたという経緯のみならず,政策の企画立案と実施執行の組織的分離,主務府省との一種の契約関係,事前統制から事後評価への移行,法人の自主性や自律性の尊重,といった制度的な特徴がこのことを示す。こうした行政改革アイディアの国際移転の過程や帰結は,それを受容する国の政治行政的要因,社会経済的要因,文化的要因といったコンテクストに左右され得る。このうち,本論文では,これまであまり焦点の当てられてこなかった文化的要因に着目し,エージェンシー化の諸特徴と国民文化との親和性について検討する。具体的には,国民文化を測定した定量データであるホフステード指数を用いて,国民文化とエージェンシー化との関係性を考察した上で,各国との相対的な比較の中から,日本の国民文化とエージェンシー化との親和性について検討する。その上で,日本の国民文化がエージェンシー化とは親和的とは言えないことを示唆する。

  • 小田 勇樹, 大山 耕輔
    2019 年18 巻 p. 90-102
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    生物多様性地域戦略は,2008年の生物多様性基本法により,地方自治体に対して策定の努力義務が規定されている。都道府県では87%が策定した一方,市町村の策定率は4%に留まる。先行研究の政策波及モデルでは,国の政策採用後は新規政策の採用に向けた自治体間の横並び競争が生じることが想定されている。なぜ生物多様性地域戦略は,国の政策採用後も市町村への波及が進まないのであろうか。

    本稿では,アンケート調査のデータを用いたイベントヒストリー分析を行い,地域戦略の策定に影響を与える要因を分析した。分析に際して,都道府県の政策波及モデルとして普及している動的相互依存モデルを念頭に,市町村への応用可能性を検証した。

    分析の結果,モデルの想定に反し職員数などの内生条件が戦略の策定に強く影響しており,横並び競争の影響は部分的にしか確認できなかった。市町村の新規政策採用では,都道府県とは異なり内生条件が強く作用していることが明らかとなった。

  • 宋 一正
    2019 年18 巻 p. 103-114
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    今日の日本は,多くの大規模災害に直面している。災害が発生する場合,被災自治体は機能不全に陥り,計画された救援を展開できない可能性が高い。この事態を想定して自治体レベルで策

    定されるのが業務継続計画である。本稿は業務継続計画の策定過程に注目し,計画の策定に影響

    する要因を解明する。防災に関する先行研究の多くは実務的な関心が強く,理論的な位置付け

    が不十分なため,一般性に欠けるきらいがあった。そこで,本稿は行政学の理論に依拠して枠

    組みを構築し,業務継続計画の策定要因を分析する。具体的には,組織構造から行政能力を捉え,

    計画策定にもたらす影響を実証する。

    前半の理論部分は,行政の能力に関する視点を組織と職員の二つに整理し,その上で日本の地

    方自治体の行政能力を組織から捉えることがより適切であることを論じる。次に組織構造の原

    理を垂直的関係と水平的関係に整理し,業務継続計画の策定に影響しうる要因として,統制職,

    組織の独立設置と組織内ネットワークという三つの概念を導出する。後半の実証分析は計量分析

    によって行われる。計量分析は都道府県の防災組織の状況を参照して仮説を操作化し,客観デー

    タを用いて生存分析で因果効果を確認した。本稿の結論として導き出されるのは,独立的な部局

    として設置された防災組織,そして組織内ネットワークの存在が行政の能力を高め,業務継続計

    画の策定を促進した点である。この知見は業務継続計画にとどまらず,ほかの防災計画にもある

    程度一般化できると考えられる。さらに政策パフォーマンスに対して,従来の政治的影響ではな

    く,行政能力に注目する説明は,政策分析に新しい視点を提供したと言える。

  • 中岡 大記
    2019 年18 巻 p. 115-127
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,国際機構を対象としたガバナンスの理念型を提示し,その有効性を分析することにある。グローバル・ガバナンスの文脈においては,国際機構は多様なアクターのひとつとして論じられてきた。しかし,国家とは異なり,加盟国の拠出金によって成り立つ国際機構,とりわけ事務局は,自身の活動の意義を主として加盟国を中心とするステークホルダーに説明しなければならない。それが成功裏に達成できない場合には,支払い停止や脱退という選択肢がとられ,最悪の場合,機構は運営不能に陥る可能性がある。そこで,国際機構をガバナンスするというアプローチが考えられるが,このガバナンスは「政策の有効性」に繋がつて初めて規範としての意義を持ち得ると言える。従って,まずは,国際機構のガバナンスが政策にどのような影響を与えているのかについて検証する必要がある。そこで国際機構の「政策形成プロセスヘの参加」と「監視(アカウンタビリティ)」という2つの要素を軸に4つの「国際機構ガバナンス」の理念型を提示し,それぞれがどのように機能するのかということについて国際労働機関(ILO: International Labour Organization),世界銀行(World Bank),ユネスコ(UNESCO: United Nations Educational,Scientiic and Cultural Organization)を事例に検証を行つた。その結果,「参加」や「監視(アカウンタビリティ)」は政策の有効性に良い影響を与えているということが分かった。

  • 米岡 秀員
    2019 年18 巻 p. 128-142
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,自治体における職員構成の変化が人件費と財政に与える影響を計量分析により同時に明らかにすることにある。これまで,自治体の人件費管理において実務上中心的な役割を果たしてきたのが行政職の給与水準の高低を表すラスパイレス指数と定員管理である。ラスパイレス指数は国家公務員と各自治体の職員構成が同一であるという強い仮定を暗黙的に置きつつ,行政職のみの俸給表を比較可能にしたものである。そのため,各自治体における年齢や学歴などの職員構成の変化に関しては一切考慮されない。本研究ではこの点に着目して,1981年から2010年までの30年間分の都道府県パネルデータを利用することでラスパイレス指数と定員管理に依拠した従来の人件費管理手法の有効性の範囲を示しつつ,さらに自治体における職員構成の変化が人件費と財政に与える影響について検討を行った。

    実証分析から得られた主要な結論は次のとおりである。ラスパイレス指数の上昇や職員数の増加によって人件費は増大するものの,歳出総額に占める人件費比率や経常収支比率の各指標において財政悪化の傾向は見出されなかった。ラスパイレス指数や定員管理に依拠した従来の管理手法は人件費管理にはある程度有効と考えられるものの,財政指標の改善には結びつきにくいことが明らかとなった。一方で,職員の年齢構成が変化して高年齢層に偏っていくほど人件費は増大して,財政悪化の傾向が見出された。ラスパイレス指数や定員管理では考慮されることのない職員構成の歪みが人件費の増大や財政に与える影響を捉えたものと考えられる。さらに,この職員構成の歪みに年功序列型の賃金体系が相乗することで問題を一層深刻化させていたことも類推される。このような財政リスクを緩和するため,①中長期的な視点により,組織全体として職員の年齢構成のフラット化と賃金カープのフラット化の両方に取組んでいくべきこと,②従来の人件費管理手法だけではなく,組織全体としての職員構成の適正化を念頭に各部局間で円滑な調整を可能とする補完的手法が必要であること,以上の2点が政策的含意として示唆される。

資料等
  • 芦谷 圭祐
    2019 年18 巻 p. 143-155
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    日本では,女性の政治的な過少代表が生じているが,時系列横断的なデータを用いてその原因を分析した実証研究は少ない。本稿は,独自に構築した1989年から2017年の政令市議会議員選挙のすべての候補者の情報をもとに,どのような要因が女性議員の増加に影響を与えているのかを多角的に分析した。明らかになったのは主に以下の点である。第一に,総じて女性候補の方が男性候補よりも平均年齢が低い。しかしながら女性候補の平均年齢の上昇に伴い,近年その差は小さくなっている。第二に,女性の当選率は男性よりも低い。しかし現職の再選率が極めて高いため,現職かどうかを区別すれば,女性は男性よりも当選しにくいというわけではない。第二に,選挙区定数が増加すると女性の新規議席獲得が生じやすくなるが,候補者や当選者に占める女性の割合が全体的に高くなるわけではない。第四に,空自議席のある選挙区において,女性は新規議席を獲得しやすい。第五に,すでに女性が議席を有している選挙区では,政党は積極的に新しく女性候補を擁立しにくい傾向にある。これらの結果は,現職優位が女性議員の増加に対して障壁となる結果,女性の政治的過少代表が依然として解消されないことを示唆している。

  • 鈴木 洋昌
    2019 年18 巻 p. 156-168
    発行日: 2019/05/20
    公開日: 2021/10/02
    ジャーナル フリー

    地域総合整備事業債(以下「地総債」という。)を含めた一般単独事業債の元利償還等に係る費用を交付税の基準財政需要額に算入するという交付税の実質的な補助金化により,国は,自治体の普通建設事業の単独事業を誘導してきた。一方,バブル経済の崩壊以降は,自治体も厳しい財政状況に見舞われ,この単独事業を削減せざるを得ず,一般単独事業債の発行額も1990年代後半以降,減少していく。

    こうした中で,実際にどのような要因に基づき,普通建設事業の単独事業に取り組むのか,指定都市の一般単独事業債の発行を取り上げ,計量分析を行つた。具体的には,一般単独事業債の発行に影響を与える要因として①基準財政需要額における事業費補正額,②自治体の財政状況などを取り上げ,1989年度から2014年度の26年間について,地総債が廃止された2002年4月を境として前後の比較を行つた。

    その結果,①について,事業費補正額の割合が高いほど,地総債の発行が行われていたこと,②について,前期では,経常収支比率が高く,投資余力がないにもかかわらず,一般単独事業債を発行し,事業に着手していたこと,公債費負担比率の上昇が一般単独事業債の発行を抑制することが指摘できた。このことからは,国の誘導方策が資源配分をゆがめていた可能性があるといえる。

書評
2018年度学会賞選考委員会
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