本研究の目的は,「政策移転(policytransfer)」の分析フレームについて考察し,わが国における政策移転の政治過程について,政策アイディアの受容と変容の過程に焦点を当てながら考察することである。
比較政治や公共政策研究において,これまで政策波及(policy diffusion),政策収敏(policy convergence),教訓導出(lesson-drawing)といった概念か提示されてきた。その中て,特定の国の政策をモデルとして新しい政策が形成されるプロセスが注目され,政策移転の概念が形成された。この政策移転の政治過程の分析視角として,制度,アイディア,学習,という3つか指摘される。
本研究ては,決定的事例としてわが国の航空輸送産業における規制緩和を取り上け,①米国てのアイディアの生成,②アイディアの波及,③自由競争遅人への抵抗,④閉ざされた決定,という4つの段階に注目し,上述の分析視角からわが国においてとのように米国を中心とした規制緩和のアイディアが受容され,変容したかについて考察している。
事例の分析結果から,①制度による疫容,②アイディアの混乱,という2つの要因による「学習の歪み」によって,規制緩和というアイディアが政策移転の過程て変容し,政策効果が挙げられなかったことが指摘される。
抄録全体を表示