公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
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5 巻
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巻頭言
会長(2004~ 2006)基調講演
特集 市民社会の公共政策学
  • 伊藤 修一郎
    2005 年 5 巻 p. 14-26
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    伝統的建造物群保存地区の指定に関して,なぜ竹富島では短期間に全島を対象とした対策が実現したのに,川越では長期間かかったうえに中核的な地区以外の保存策か実現しなかったのかを検討した結果,政策過程を主導した住民組織のタイプが関係していることが明らかになった。すなわち,地域の課題に包括的に取り組む組織が政策過程を主導した場合,組織内で合意が形成されれば,全住民がその組織の構成員なので,地域全体の合意とみなされるが,合意自体は困難である。合意に至るためには,民主的運営,地域の課題に取り組んできた実粕,共通の文化や帰属意識といった条件を当該組織が渦たしていなければならない。他方,特定の課題に限定して取り組む組織が主導した場合,その課題に興味や利古がある者だけが選択的に構成員となっているので,組織内部の合意は容易だが,それだけでは地域什民の総意とはみなされず,包括型組織又は行政が乗り出して地域代表としての正統性を補うことが必要である。

  • Robert PEKKANEN
    2005 年 5 巻 p. 27-52
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    自治会や町内会(Neighborhood Associations,以下NHA)は,これまで政治学者によって十分研究がなされてこなかった。しかし,このような地域近隣組織は,間桜的にてはあるが,公共政策に重要な影響を与えうるものである。本稿は,NHAと公共政策の間には二つの重要な関係性があることを主張する。第一に,NHAは公共政策を支援する事によって恩恵を受けており,第二に,NHAはソーシャル・キャピタルを支えることにより,つまり「ガヴァナンス」を通し,公共政策の効果的かつ効率的な施行を支援している。

    市民社会の研究において唯一合意されている事は,組織は国家から独立しているべきたという点である。しかし,通常国家に近い組織は,圧力,梃励,操作を通し,市民に代理の運動を呼びかけていると考えられている。ただ実際これらの組織は,参加を呼び掛ける活動の種類や,政治的に果たしている役割,また地域コミュニティーとの関係において大きく異なっている。

    本稿はまず,どのような組織かNHAであるかを示し,その定義をし,そして活動の参加率と内容を説明する。つぎに, NHAと政府がお互いに対して,どのような慟きかけをしているかを明らかにし,NHAが「あいまいな組織」,あるいは「地方コーポラティズム」によって恩恵を受けている「国家と社会にまたがる組織」であること示す。一方てNHAは政府から支援を受けており,限定的なローカルなケース(要求の伝達装酋として,またはNIMBY抵抗運動など)を除いてはNHAが提唱者として利用されることに消極的であるにもかかわらず,国家と社会との有効な接点を作り出している。他方で,NHAは日本におけるソーシャル・キャピタルを確実に構築し,支えており,またその仕組みについても更なる議論が引き起こされている。

  • 山内 直人
    2005 年 5 巻 p. 53-67
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    シビルソサエティは,時代とともに意味が変化し,また国・地域によって様々な用いられ方をしている極めて多義的な概念である。本稿の主賄は,ンビルソサエティを測定しようとする複数の試みを紹介しながら,極めて抽象的,多義的なシビルソサエティという概念を,定量的に測定することができるか,可能であるとすればどのようなデータを用いて,どのような方法で測定できるか,ということを検討することにある。具体的には,ジョンズ・ホップキンス非営利国際比較プロジェクトについて,これまでの研究成果を評価するとともに,その発展型としての非営利サテライト勘定およびそれらのデータを利用した「グローバル・シビルソサエティ・インデックス」について紹介している。また,CIVICUSが,各国のシビルソサエティの特徴を表現し,診断するためのツールとして提唱する「シビルソサエティ・ダイヤモンド」について紹介している。さらに,シビルソサエティと密接に関連するソーシャル・キャピタルを測定し,定量的に表現しようとするいくつかの試みについても紹介している。最後に,これらのサーベイを通じて,シビルソサエティの定量的把握に関して明らかになった論点を整理し,日本における非営利関係デー夕整備の立ち遅れと戦略的な統計整備の必要性を指摘している。

  • 山本 啓
    2005 年 5 巻 p. 68-84
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    いま国民国家においては,クァンゴ化,分権化なとによって「国家の空洞化」が進行しており,「ガバメントからガバナンスヘ」という動きがみられる。これは,ガバナビリティを,もっぱら国家や政府としての公共セクターが担うのではなく,民間営利セクターや民間非営利セクターも分相するという事態の進行を背景にしている。この点をめぐって,修正タイプの新制度論は,国家と政府がコアとなり,政治行政システムのハイアラキー内部の改革によって,ガバナンスの問題を解決できると考える。それにたいして,政策ネットワークのニュー・ガバナンス論は,市民社会を構成する多様なアクターとしてのステイクホールダーの存在に注目し,そのネットワークの形成によって,ガバナンスの内実を向上させていこうとする。対極的な向者の考え方は,「ガバメントによるガバナンス」か,「ガバメントを包摂するガバナンス」かに集約される。しかし,ガバナンスは,諸アクター間の合意形成が不調に終わる「ガバナンスの失敗」の可能性を秘めており,さらにメタ・ガバナンスによって解決が試みられなけれはならない。だが,メタ・ガバナンスも失敗する可能性がある。このことを解決するには,アカウンタビリティと責任竹,モニタリング機能を備えたステイクホールダー・アソシェーションの拡充によって,社会統合を拡大し,政府・官僚制のシステム合兜性をモニターし,システム合理件と社会統合とのシナジーをはかる必要がある。

  • 舟場 正富
    2005 年 5 巻 p. 85-95
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    公共政策における市民参加の問題は,憲法第93条2項の公選吏員のテーマまでさかのぼる。しかし,現行の仕組みの中でも,行政が形式化した市民の参加ではなく,具体的に市民の力に依拠した政策決定をするシステムを作ることができる。特に1970年代からの環境政策の確立過程で,行政においては既存の秩序が現実に対応できず,複雑系のいう相転移領域が出現した中で専門家集団の活躍が目立った。京都市公害防止計画研究会(KOBO-KEN)に参加した科学者たちの歴史は,代行(エージェント)型市民参加のケースとして,これからの行政と市民組織の関係のあり方への問題提起となり,地方自治体における環境保全マネージャーの(EPM)の公選への展望を開くものである。

  • 駒村 圭吾
    2005 年 5 巻 p. 96-107
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    1999年,ヴァーモント州最高裁は,婚姻制度が与える便益を異性関係に限定した州法は違憲であるとの判決を下した。これを契機に,同性婚をめぐる広汎な民主的討議か展開され,2000年,全米初のシビル・ユニオン法が成立した。本稿は,道徳立法の刷新をめぐる,この政治過程を紹介し,政府・議会,裁判所,市民社会というアクターがどのように行動したかを描写する。そして,人びとの菩き生き方に関わる道徳的争点が争われた本事例において特徴的であった点として,①「十分に内部化した外部勢力」による自生的闘争,②市民教育や説得といった観点を持たずひたすら呪祖に明け暮れる「原坪上義者の自己破滅」,③原理的規制の枠組みを提示しながら,政策選択に一定の幅を持たせ政治過程に解決を委ねるという,裁判所の「引き金」機能を指摘する。

  • 御巫 由美子
    2005 年 5 巻 p. 108-118
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    本稿の目的はH本の安全保障政策研究にジェンダーの視点を取り入れることてある。対外政策,とくに安全保障政策に関して,政治家たちは,利益団体あるいは選挙区における有権者の息向を気にすることなく慈思決定がてきる(と少なくとも考えている)。その結果として,安全保筒政策は政策決定者の経験・教育・社会化にもとづく主観,柑界観なとの価値観が色濃く現れる領域てあるといえよう。日本のみならす各国において安全保障政染決定の場が長らく男性によって独占されてきたことにより,そこに反映されているのは主に男性の経験,主観,価値観などであると考えられる。男性の経験,主観あるいは価値観か「男であること」,「男らしいこと」の意味,すなわちジェンダーと切り離して名えられないことから,本稿ではまず日本社会における「男らしさ」のあり方に注目する。そして,戦後日本において出現した二つの「男らしさ」――「マイホーム・パパ」と「企業戦士」――において「企業戦士」が現在にいたるまで優位を誇ってきたことを踏まえ,このことと1990年代以降日本政府が自衛隊の役割拡大という形で日米同盟強化をすすめてきたこととの関連を考察する。

論文
  • 内山 融
    2005 年 5 巻 p. 119-129
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    英国と日本では新自由主義的政策アイディアに基つく行政組織改革か行われた。英国のエージェンシー制度をモデルとして日本では独立行政払人制度が削設されたが,この二つは大きく異なったものとなった。本論文では,同様のアイディアが異なった結果をもたらした理山について,エグゼクティブ・パワー(首相の権力),行政府と政党の凝集性,柘否権プレイヤーといった概念を用いて説明する。

    日本では,拒否権プレイヤーたる官僚・族議員の権力が大きく,それらと首相の間で選好の乖離が大きいため,行政府と政党の凝集件がともに低い。すなわちエグゼクティプ・パワーが小さいため,新たな政策アイディアの導入による政策変更の可能性か小さくなり,政策内容は特殊利益に配慮したものに変質しやすいはずである。反対に,英国では,拍西権プレイヤーの権力も選好の乖離も小さく.行政府と政党の凝生性か高いため,政策変更の可能性は大きくなり,政策内容は%初のアイディアが貫徹したものになりやすいはずである。

    本論文では,サッチャー改革と橋本行革における行政組織改革の比較を行うことにより,英川では新自由主義的アイディア(市場原理の尊重)が比較的に貰徹した改革か実施されたのに対し,日本では拒否権プレイヤーの選好が改革過程に強く反映され,巾場原理の叫入という点では不徹底なものとなったことを明らかにする。

  • 金 甚成
    2005 年 5 巻 p. 130-140
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,政府政策か社会関係資本の形成とパフォーマンスの向上に影響するという,最近の社会関係資本概念を巡る理論的論点の蓋然性について, 日本の事例を通じて検討することである。そのため,まず,社会関係資本に関する研究動向について検討を行い,最近の理論研究の方向は,社会関係資本を媒介にした制度要因と文化要因の相互強化的な好循環の可能性の示唆に向けられていることを明らかにする。さらに,非西欧的な文脈である日本の事例の中にも,このような新しい理論的観点の蓋然性を裏付ける好例が存在することを明らかにする。そのため,パフォーマンスの良い自治体として高い評価を受けている宮崎県綾町と束京都三肱市の発展過程を事例として検討する。

  • 坂本 治也
    2005 年 5 巻 p. 141-153
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    ロバート・パットナムの研究Making Democracy Workによって,ソーシャル・キャピタルは「民主主義を機能させる」璽要概念として一躍脚光を浴びることとなった。しかし現段階では,ソーシャル・キャピタルと統治パフォーマンスの関係は,理論的にも経験的にも十分検証されているとはいい難い。

    本稿では,日本の都道府県単位の集計データを用いて,地方政府の統治パフォーマンスとソーシャル・キャピタルないしは市民社会との関係を分析する。計量分析の結果,日本の地方政府を機能させる上で重要なのは,ソーシャル・キャピタルではなく,政治エリートに対して適切な支持,批判,要求,監視を行う市民の力,いわば「シビック・パワー(civic power)」とでも呼べるものであること,そしてとりわけ,一般市民の行動・意識面でのシビック・パワーよりも,組織化された市民団体や情報開示請求のような行政監視行動としてのシビック・パワーこそが,統治パフォーマンスを高める上で一層重要であること,の2点が明らかとなる。

    効率的かつ応答的なガバナンスは,一般市民が「皆で一緒にボウリングをする」ことによってもたらされるわけではない。それは,市民の中のある一定部分の人々が,市民団体を組織して,政治エリートに対して適切な支持批判,要求,監視を行うことによって,初めて実現する。本稿の知見は,従来のソーシャル・キャピタル論を補完・修正するのみならず,広く市民社会論一般にとっても新たな視座を提供することとなろう。

研究ノート
  • 本田 汗一
    2005 年 5 巻 p. 154-165
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    「道州制」は今後の地方自治制度の大きな検討課題である。府県行政の主要領域について,国の地方支分部局との関連を視野にいれた検討が必要であり,産業政策の領域においては,広域的産業創造基盤の整備に向け,エネルギー・物質循環,情報・交通ネットワーク,都市地域と自然空間との共存・連携,学術・文化基盤という4領域における検討が求められる。とくに関西闊における学術・研究開発領域においては, TLOの広域連携ベンチャー企業支援体制の充実,公設試験研究機関のネットワークを柱とする学術・研究開発広域連携システムの構築が課題である。これらをふまえ,新たな「道州」における国地方機関と府県との一体化による産業振興体制整備の某本方向について検討した。

  • 李 芝英
    2005 年 5 巻 p. 166-178
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    本稿は,日本における女性政策の変化について,その変化の過程を男女雇用機会掏等法と易女共同参画社会基本法をキな対象に述べたものてある。ホールの政策パラダイムとパラダイムの変化のパターンを用いて.女性政策の政策罪念「保護」「平等」「共同参画」がどのように注入され,万いに対抗し,制度化していったのかに汁目し,日本の女性政策のパラダイムが「保護」から「共同参訓」に疫化した過程を論じた。

  • REINEM Monika
    2005 年 5 巻 p. 179-198
    発行日: 2005/11/10
    公開日: 2022/01/18
    ジャーナル フリー

    In this article, I am going to point to some trends in the Japanese post-war political thought on the side of government (as opposed to electorate and political parties). I am going to analyse all the policy speeches held in the Diet during the last fifty eight years of all the prime ministers from Katayama to Koizumi. I am going to show how three main groups of prime ministers arise and discuss their characteristics. I will make an attempt to see the prime ministers of the LDP and of non-LDP in the traditional framework of left――right or conservative――social democratic scale and show why this bares no fruit. Finally, I am focusing on Koizumi and discuss in what terms he stands out from all the other prime ministers in his rhetoric.

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