橋本内閣における最重要課題のひとつであった中央省庁等改革は,基本的な政策の企画・立案や重要政策についての総合調整力の向上を目指し,ます官邸・内閣機能の強化を中心的な課題に据えた。そして,縦割りの硬直性と省庁をまたがる政策課題への対応力の欠如を是正し,大括り再編により巨大化した各省間で相互の政策連携の困難度が増すことを防止するために,内閣官房及び内閣府(担当大臣)による総合調整に加え,新たな省庁間調整システムの創設を提言した。
これを踏まえて,再編後の各省には,他の行政機関に対し必要な資料の提出・説明を求め,その政策に関し意見を述べることができる権限が与えられるとともに,内閣官房は,必要に応じ,調整の中核となる府省を指定して政策調整を行わせること等により,総合調整を行うこととされた.この新たな省庁間調整システムは,調整機能に係る内閣の負担をなるべく軽減し,真に必要な調整に専念させようという考え方に基づいている。
新たな調整システムを踏まえた各省庁の動きは次第に活発になっている。「観光立国」をテーマに国士交通省が行った政策調整の例をみると,同省は観光立国担当としてビザ発給といった自らの所掌外の事項についても積極的に政府部内の調整を行っている。その一方で複数の政策目的の優先度についての最終的な調整は,やはり内閣の場に持ち込まれている。
今後各省庁による政府部内の調整の実効性をあげるためには,①内閣総理大臣から各省大臣への特命事項の指示の徹底,②特命を受けた省庁の調整力を高めるための内閣の支援の充実,③調整に係る透明性の向上が必要となると考えられる。
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