公共政策研究
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巻頭言
会長講演
特集 公共政策と行政管理:政策論と管理論の交錯
  • 西出 順郎
    2017 年 17 巻 p. 24-25
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー
  • 西岡 晋
    2017 年 17 巻 p. 26-39
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿は政策実施研究に新たな知見を加え,公共政策学の発展に多少なりとも寄与することを意図している。第一に,政策実施を規定する構造的文脈を重視する。従来の政策実施研究が「虫の目」からミクロ過程に注目してきたのに対して,本稿はミクロ過程を規定するマクロ次元の要因を「鳥の目」からとらえる。政策実施研究は,従来見過ごされてきた政策失敗のメカニズムを解明することで,学術的に大きな貢献を果たした。とくに重要な知見は,小さな出来事が政策上の大きな失敗を引き起こすことを明らかにしたことである。しかし,小さな出来事の背景には大きな出来事が隠れているかもしれない。本稿は,後者の重要性を強調する。

    第二に,本稿は政策実施研究と行政管理論との接点を探る。両者の研究はこれまで乖離した状況にあったが,これに対して本稿は,NPM(New Public Management)に着目しつつ,行政管理が政策実施に及ぼす影響を考察し,そのことを通じて両者の理論的接合を図ろうと試みる。その上で,行政改革の負の効果,すなわち行政改革が政策失敗の要因の一つになっている可能性を論じる。

    政策失敗の事例として待機児童問題を扱う。待機児童問題の背景にある保育士不足がNPM型行政改革によって引き起こされているのではないか。それが分析の結果から導かれる結論である。

  • 松井 望
    2017 年 17 巻 p. 40-51
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,行政管理の機能一つである計画化(Planning)を対象に,近年の日本の自治体における計画行政の特性を分析する。

    近年,従来の行政計画とは異なる計画化の形式が用いられ始めている。それは基本方針である。基本方針は,明確な定義や機能が定められてはいない。そして,その形態も様々である。しかし,国,地方のいずれにおいても将来に向けた政策の基本的方向付けることを目的に策定する傾向がある。特に,法律名に「推進」または「促進」の用語を用いた法律では,国は基本方針を策定し,自治体側には基本計画等の下位計画の策定を求める規定を置くことがある。そして,総じて,基本方針では対象となる主体に「自主的取組みを促進させることで行政目的の推進」を図る点で共通している。これを本稿では「基本方針による管理」と呼ぶ。

    地方分権改革が進められたことを背景に,現代では,国からは自治体に対して計画化を強いることは,制度上は困難である。そのため,対象となる自治体側では,計画の策定と内容面の判断に自由度が高くなる。つまり,自治体には計画を策定する自由がある一方,策定しない自由をもつ。しかしながら,現状では,国が定める基本方針のもと,ほぼ全ての自治体が計画化を進めている。それはなぜか。この問いには,自治体が国からの計画化の要請に対して内在的な必要性から説明がなされてきた。しかし,必要性からの説明以外にも,自治体側に対して,国は強制をしていないものの国の方針通りに対応するように促す,国による管理のメカニズムがあるとの説明がある。

    それでは,実際は,どのように自治体は対応してきたのだろうか。本稿では,国による基本方針を通じた自治体に対する管理への自治体の対応を分析する。具体的な対象は,「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2014年12月27日)に基づき,自治体が任意に策定することが求められた「地方総合戦略」である。以上の考察を通じて,自治体では,外形的には国による管理メカニズムのもとで総合戦略を策定しつつも,内容面では,自治体が策定してきた既存の政策体系を継承しながら総合戦略の策定に対応する姿を明らかにする。

  • 竹内 直人
    2017 年 17 巻 p. 52-68
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    地方交付税および補助金等を中心とする財源の保障により,自治体の予算編成は,そのミクロ過程である査定を通して国庫財源を利用することに強く誘導される。この誘導を通して,政策形成はボトム・アップの予算編成と表裏の関係をなしてきた。2003年の統一地方選に象徴される首長選挙におけるローカル・マニフェストの導入により,トップ・ダウンの政策形成が求めらるようになり,自治体では「政策議論」など,従来の予算編成から独立した政策形成のしくみが始まっている。このトップ・ダウンの政策形成を支えるため,「執政職員」とも呼びえる,政治的にも行政的にも首長を支える新しい職員類型が生まれており,首長の権力強化に一役かっている。しかし,このトップ・ダウンによる政策形成は,首長にも執政職員にも負担を強いるものであり,その継続性については検討が必要である。地方財政制度を通して,国が地方を統制し,後見する基本的な制度において,なぜこのような政策形成と予算編成の分離が可能なのかについては,国と自治体の関係の核は統制ではなく,国から自治体への執行委任であるという観点から,更に検討すべき課題である。

  • 大谷 基道
    2017 年 17 巻 p. 69-82
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿は,都道府県を対象に,人事管理と政策形成との関係について考察しようとするものである。地方分権が進み,自由度を高めた地方自治体が独自の政策を展開することが増えてきた。当該政策に通じた人材が自治体内部に存在しない場合に,都道府県はどこからどのようにして人材を確保しているのか。内部育成に時間が掛かることを考慮すれば,外部からの獲得,より具体的に言えば「国からの出向」や「任期付採用」により国や民間から人材を確保することが予想される。2000年以降の国からの出向状況を分析したところ,特定政策への対応のため出向しているケースも確認できたが,全体としては少数で,大きな潮流にはなっていなかった。また,2004年以降の任期付採用の状況を分析したところ,局所的には大きな効果が認められた事例も見受けられたが,その活用はまだまだ限定的であった。これらを踏まえると,新たな政策に関する専門知識・経験を特に持たない地元採用のプロパー職員がどうにか対応している姿が浮かぶ。日本の自治体が新卒採用と定年までの長期雇用を原則とする閉鎖的任用制をとっていることを考えれば,外部人材の活用が限定的となるのは当然の帰結とも言える。しかし,専門知識・経験等の欠如は否定しようがない。近年,災害対応時に見られるようになった自治体間の人的交流をうまく活用し,知識・経験等を有する先進自治体の職員を他の自治体で活用することを考えていっても良いのではないだろうか。

  • 南島 和久
    2017 年 17 巻 p. 83-95
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    政策評価と行政管理はどのような関係にあるのか。そもそも政策評価は現実の行政活動を管理しうるツールたりえているのか。日本においては,評価制度の導入から20年の時間が経過した。しかし,上記の問いに対する公共政策学からの解答は不鮮明である。

    上記の問いは,「学」と「実務」の交錯を掲げる公共政策学にとっても,またその一分野を構成するはずの政策評価論にとっても拒否できるものではない。政策評価制度は,実務主導で設計・導入され,実務の現場で提起される諸課題に対処し,実務上の実用的道具として洗練されてきた。この間,公共政策学はどれほどの建設的な議論を提供してきたといえるのだろうか。

    本稿では,上記の論点について,「プログラム」の観念がその鍵であることおよび政策評価論においてこの観念が議論されてきたことを指摘する。本稿の結論においては公共政策学と実務とをつなぐ媒介項としての「プログラム」の観念と,これを重視してきたという意味において,政策評価論の意義を強調する。

論文
  • 善教 将大, 坂本 治也
    2017 年 17 巻 p. 96-107
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,何が寄付行動を促進する要因なのかを,全国の有権者を対象とするサーベイ実験を通じて明らかにすることである。先行研究は寄付行動の規定要因に関する重要な知見を蓄積してきたが,他方でデモグラフィーなど個人的特性との関連性への傾斜や推定結果に存在する内生性や欠落変数バイアスへの対処が不十分といった問題を抱える。さらにこれらの問題を解決可能な実験的手法に基づく既往研究にも,代表性の低いデータを用いている点など課題が山積している。本稿では,これら先行研究の問題を解決可能な実験的手法を用いて,寄付行動の規定要因を分析する。具体的には,全国の有権者を対象とする無作為化要因実験(randomized factorial survey experiment; RFSE)によって,寄付の有無と寄付金額に何が影響を与えるのかを明らかにする。実験の結果明らかになった知見は次の2点である。第1に寄付を募る際,他者の1人あたりの寄付金額表示額が少なく,寄付金を管理運営費にあてる割合が小さく,物的・金銭的インセンティブを付加した返礼をしない方が,寄付確率が高くなる。第2に寄付を募る主体がNPO法人以外であり,寄付金を管理運営費にあてる割合が小さく,控除対象にできる方が,寄付金額が高くなる。これら本稿の知見は,先行研究に疑義を呈しうるものであると同時に,実際の政策展開にもいかすことが可能なものである。

資料等
  • 長谷川 武三
    2017 年 17 巻 p. 108-119
    発行日: 2017/11/30
    公開日: 2019/06/08
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,2000年の地方分権一括法の施行が,地方政府の首長と議員という二元代表にもたらした政策立法力の特性を分析することである。地方分権一括法施行後17年余が経過したにもかかわらず,地方政府の二元代表間の政策立法力に関しては,依然として首長が圧倒的に優位であること,一方で地方議員の政策立法力も2000年を前後して大きな進展を見せるようになったと通説的に理解されている。これに対し本稿は,首長の政策立法力は,必ずしも圧倒的とはいえず,また議員の政策立法力も大幅に進展しているとはいえないという論点を設定し,その妥当性を2011年の統一地方選挙を基準時として,地方議会における首長と(議会)議員により立法化された新規政策条例の成立結果によって検討する。

    本稿は,2011年4月時点で,議会審議がITベースで全文公開されていた11都府県を対象に,2013年6月までの間の二元代表の新規政策条例の制定を比較分析し,その優位性を検討し首長優位:同等:議会優位が5:3:3であることと,新規政策条例が必ずしも多いとはいえないことを明らかにした。この結果から通説とされてきた首長の圧倒的優位,議会の政策立法力の増大に対し,11の対象都府県と検討期間の範囲では,知事側の政策立法力の圧倒的優位や議会側の十分な政策立法力の進展は,ともに支持されなかった。

    本稿の結論が示唆するものは,2000年の地方分権一括法の施行後17年余を経過した現在においても,都道府県レベルの二元代表において,依然として政策立法の形成能力が課題とするものである。

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