田口玄一博士は,1980年に AT & T ベル研究所を訪ずれ,6 週間滞在した.田口博士は,製造工程の改善のための実験計画法について一連の講義を行い,さらに AT & T の IC 製造工程に実際に適用して改善を行った.この成功が非常に劇的であったため,彼の方法に興味を抱くものが AT & T 内部に急速に増加し,以来毎年田口博士の AT & T 訪問が続けられている.本論文では第 1 章で田口博士の「ロバスト設計のための実験計画法」を紹介し,1980年の最初の訪問の時の劇的な改善例を報告する.第 2 章では「田口の方法」の種々の応用例を紹介する.「田口の方法」が普及するにつれ,異論を唱えるものが出てくるようになった.そこでベル研究所はアメリカの代表的な統計学者を交え,「田口の方法」の価値や欠点について議論する場として,小さなセミナーを1984年に開催した.このセミナーをはじめ,「田口の方法」をめぐる数々の会議を第 3 章で紹介する.第 4 章で「田口の方法」の講習会を,第 5 章で「田口の方法」に関する数多くの研究報告を紹介する.
抄録全体を表示