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Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
40 巻, 2 号
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論文誌編
報文
  • 佐野 雅隆, 棟近 雅彦, 金子 雅明
    原稿種別: 報文
    2010 年 40 巻 2 号 p. 201-210
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    注射薬や内服薬を患者に投与する際に起きる与薬事故は,医療事故全体に対する割合が高い病院が多い.また,同様の与薬事故は繰り返し起きており,慢性的に発生している.事故低減には,エラーとそのエラーを誘発した作業方法を特定し,重点的に改善すべき作業を抽出することが考えられる.まずは現状の作業方法を記述し,その問題を把握する手法が必要である.本論文では,作業要素を用いた与薬業務の記述に基づき,与薬事故の発生傾向を把握する手法を提案する.提案法では,作業要素を用いて与薬業務を分解し,作業要素の構成因子を明らかにして与薬業務を記述する.また,事故分析では,エラーモードとエラーが発生した作業要素を特定する.さらに,一定期間に発生した事故を集計して傾向を把握し,問題のある作業方法を特定して,重点的に改善する.実際にある病院で提案手法を適用したところ,重点的に改善すべきエラーとそのエラーを誘発した作業方法を抽出できた.対策を実施したところ与薬事故を低減できた.さらに,与薬業務を比較可能な形式で記述することが可能なため,3病院の事故件数と作業方法とを合わせて比較することでも,重点的に改善すべき作業方法を特定できた.
  • 黒木 学, 渡邊 創人
    原稿種別: 報文
    2010 年 40 巻 2 号 p. 211-224
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,観察データがある1因子モデルに基づいて生成されているとき,このデータから構成された無向独立グラフに基づいて,データの背後にある1因子モデルを推測する問題を考える。因子モデルの無向グラフによる特徴づけは,Grzebyk et al.(2004),Stanghellini(1997),Vicard(2000)によって研究されているが,それらは興味ある因子モデルが識別可能であるかどうかを無向グラフを用いて検証するものであって,無向独立グラフがどのような因子モデルから生成されたものであるのかを明らかにするものではない.これに対して,本論文では,誤差相関行列の逆行列がブロック対角化されている1因子モデルを考え,この1因子モデルと無向独立グラフとの対応関係を明らかにする。本論文の結果を用いれば,無向独立グラフを調べることにより,データを生成する1因子モデルの候補を絞り込むことが可能となる。
技術ノート
  • アブレート グルミレ, 圓川 隆夫, フランク ビョーン
    原稿種別: 技術ノート
    2010 年 40 巻 2 号 p. 225-233
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    激しい競争の中で企業は顧客を維持し獲得するため,顧客満足度(以下,CS)の向上に努力している.一方,最近の研究では,CSは企業成果や努力と関係のない経済変動を受けることが報告されている.本研究は,2008年後期に起こった経済危機の前後に実施した14の製品・サービスについてのCS関連指標(CS,知覚価値,企業イメージ)および消費者である回答者の文化特性の調査に基づき,CS関連指標に経済危機がどのような影響を及ぼすか,そしてその影響に消費者の文化特性がどのような違いを与えるかを分析したものである.その結果,(1)CSは経済危機による不況感により有意に上昇するが,知覚価値や累積尺度である企業イメージではそのような効果は認められない(2)CS関連指標への消費者の文化の影響として,高リスク回避の消費者はこれらの指標にプラスに,技術志向の消費者はマイナスに働く(3)経済危機のCS関連指標への影響に,リスク回避,集団主義の文化や主婦という属性がモデレータとして作用するというようなCSにおける経済変動のバイアスの存在や,消費者の文化特性のマーケティング戦略上有効となる示唆が得られた.
クオリティレポート
  • 島村 瞬, 中條 武志
    原稿種別: クオリティレポート
    2010 年 40 巻 2 号 p. 234-243
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    近年増加している調剤事故の原因は,薬剤師のヒューマンエラーに起因する場合が少なくなく,その未然防止が求められている.未然防止の有効な方法の一つとして,信頼性工学分野で発達したFMEAが注目されているが,薬剤師はFMEAに関する十分な知識・経験を持っていない場合も多く,その適用は必ずしも容易でない.本研究では,そのような薬剤師にでも容易にかつ効率よく扱えるFMEA支援システムの開発を行った.結果として,本システムを使用することで,短時間でFMEAを実施できること,リスクの高いエラーを明確にすることができることがわかった.
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