病院は,医療費抑制による厳しい経営環境下,安全で質保証された医療サービスを提供するため,医療サービス提供の過程である業務プロセスを見直す必要があるといえる.効果的に業務プロセスを検討するには,関係者間で,業務プロセスの設計・問題分析に必要な情報を過不足なく把握する必要があるが,それらを表現する方法は確立していない.そのため,本研究では,複雑な病院業務の特徴を考慮した業務プロセスの記述方法である「病院業務プロセス記述モデル」を構築した.本記述モデルの開発にあたり,一般の業務プロセスにおける設計・問題分析に必要な事項を把握した上で,抽出した7つの病院業務の特徴を反映し,病院業務における記述項目を明確にし,記述項目に従って業務を記述するための記述様式を開発した.本記述モデルを評価するため,実際の病院業務である検体検査業務を事例として,業務プロセスの記述を行い,記述した結果が問題分析と再設計に有効であるかという点から検討した.その結果,業務プロセスの設計と問題分析に対する有効性を確認した.
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