品質
Online ISSN : 2432-1044
Print ISSN : 0386-8230
41 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集
論文誌編
報文
  • 下野 僚子, 水流 聡子, 飯塚 悦功
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 213-224
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    病院は,医療費抑制による厳しい経営環境下,安全で質保証された医療サービスを提供するため,医療サービス提供の過程である業務プロセスを見直す必要があるといえる.効果的に業務プロセスを検討するには,関係者間で,業務プロセスの設計・問題分析に必要な情報を過不足なく把握する必要があるが,それらを表現する方法は確立していない.そのため,本研究では,複雑な病院業務の特徴を考慮した業務プロセスの記述方法である「病院業務プロセス記述モデル」を構築した.本記述モデルの開発にあたり,一般の業務プロセスにおける設計・問題分析に必要な事項を把握した上で,抽出した7つの病院業務の特徴を反映し,病院業務における記述項目を明確にし,記述項目に従って業務を記述するための記述様式を開発した.本記述モデルを評価するため,実際の病院業務である検体検査業務を事例として,業務プロセスの記述を行い,記述した結果が問題分析と再設計に有効であるかという点から検討した.その結果,業務プロセスの設計と問題分析に対する有効性を確認した.
  • - 体系的RDCモデルによる設計プロセスの可視化 -
    中沢 俊彦, 増田 宏
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 225-237
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    製品設計活動において,設計者は過去に蓄積された知識や設計者個人の経験に基づく考え方を活かしながら設計目標の実現に最も適当と思われる製品の仕様や構造を決定する.それらの設計プロセスの大部分は設計者の暗黙的な知識によって構成されている.また,設計プロセスは要求変更や試行錯誤などによって発生する循環を特色とするプロセスであり,フローチャートなどの従来の逐次実行型プロセスを前提とした記述手法によって記録することが困難な手続きである.本稿では,このような特色を有する設計プロセスを外部要求,概念定義,内部要求,詳細定義とそれらに付属する確認作業に分解し,文書化する体系的RDCモデルを提案する.
  • 金 路, 鈴本 和幸, 熊谷 和宏
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 238-249
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    IT技術を活用し全世界の製品を常時監視し,省燃費運転支援や保守費用の低減など,顧客個別への適切な保全が提案され始めている.このような状況下,最適保全方策の理論的な研究も必要である.本研究は状態監視保全における最適保全方策がControl Limit Policy(CLP)によって与えられるための条件を検討した.ここでCLPとはアクションの切替えが一つの閾値のみを境界として与えられる方策をいう.これにより検討すべき保全方策を少数に限定しうるため,顧客に迅速かつ最適な保全計画を提案することが可能となる.対象システムの状態推移確率行列Pの条件を既存研究のTP_2(Totally Positive of order 2)順序よりSI(Stochastically Increasing)順序に緩め,この順序の下でCLPが最適となるための条件の究明について世界中の多くの研究者が長年にわたって挑戦してきたが,今日まで未解決である.本研究はPがSI順序の性質を持つ場合,システムの状態と観測値を関連づける条件付確率行列Γが単位行列であることが,最適保全方策がCLPにより与えられるための必要十分条件であり,この条件をこれ以上緩めることはできないことを証明した.これにより約半世紀にわたって検討されてきたテーマに終止符が打たれた.
  • 黒木 学, 水関 裕人
    原稿種別: 報文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 250-259
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,興味ある要因系変数Xを含む説明変数集合と品質特性Yを目的変数とした観察データが多変量正規分布に従って生成されていると仮定する.このとき,Xを含む説明変数集合からYへの回帰分析を行う状況を考える.第3の説明変数Sの追加・除去によってXからYへの回帰係数の値が変わらないための条件は併合可能条件と呼ばれ,多くの研究者によって研究されている.本論文では,これらの研究とは異なり,無向独立グラフの理論に基づいて,Sの追加・除去によってXからYへの回帰係数の符号が変わらないための十分条件を与える.この十分条件は,「無向独立グラフにおいてYがXとSを分離するならば,Sの追加・除去によってXの回帰係数の符号は変化しない」と記述できる.
調査研究論文
  • 河野 哲也, 西 康晴
    原稿種別: 調査研究論文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 260-268
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    ソフトウェア開発の上流工程である設計工程において作り込まれる欠陥を未然防止・早期検出するためには,欠陥の原因系を検討することが重要である.欠陥の原因系は大きくプロセス視点とドキュメント視点に分けられる.プロセス視点の従来研究は人的要因に関する研究など広く検討されているが,ドキュメント視点における設計欠陥の原因系の従来研究はいくつかあるものの原因系が設計欠陥発生にどの程度関係しているのかは検討されていない.そこで本研究では,ドキュメント視点の原因系の一つとして単語対の意味の類似性に着目し,類似性と設計欠陥発生との関係を実験により明らかにすることを目的とする.本実験では,類似性の高い単語対をいくつか埋め込んだドキュメントと低い単語対をいくつか埋め込んだドキュメントの二種類のドキュメントを用意し,それを入力として設計実験を行った.そして,実験結果を定量的に評価した結果,「単語対の類似性は設計欠陥発生に関係がある」という知見を得た.
応用研究論文
  • 桑名 翔, 中條 武志
    原稿種別: 応用研究論文
    2011 年 41 巻 2 号 p. 269-280
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル 認証あり
    品質・安全にかかわるトラブル・事故の原因を調べると,度忘れ・勘違いなどの意図しないエラー,慣れや顧客から急がされることによる標準の意図的な不遵守などの人の不適切な行動に起因しているものが少なくない.これらの不適切な行動を防止するためには,その背後にある組織要因,すなわち「人の不適切な行動を防止するための管理活動」のレベルアップをはかっていくことが大切となる.本論文では,桑名・中條の提示した「人の不適切な行動を防止するために組織が行うべき活動のモデル」に基づいて,組織の管理活動のレベルを評価するための方法を提案した.また,この評価方法を多くの企業に実際に使用してもらい,その適用性・有効性について検証した.結果として,人の不適切な行動のタイプごとにその成熟度を5段階尺度により評価することで人の不適切な行動を防止するための管理活動のレベルを点数化できること,この評価点と社外クレームの多さは密接な関係があることなどがわかった.
feedback
Top