統計的非対称判別分析法として,マハラノビス・タグチ(MT)法が提案され,品質管理や医療診断の現場で利用されている. MT法の有用性が事例をとおして実証されつつあるなかで,単位空間に属するデータが楕円状に分布していない場合や項目間に高い相関がみられる場合には, MT法によって適切な判別を行うのは難しいといった問題点が指摘されている.本論文では,この問題を解決するために,新たな非対称判別分析法として,宮川・永田(2003)によって提案されたMT汎距離とカーネル法を融合させた「カーネルMT法」を提案する.また,数値実験と適用例をとおして, MT法, SVM, 1クラスSVM, カーネルMT法の性能を比較し,カーネルMT法の有用性を示す.
抄録全体を表示