近年では, 1つの製品開発の設計を複数の企業・部門で分担することも多く,また,開発する製品の種類・数も多岐にわたっている.そのため,開発に携わる企業・部門のDR (Design Review)の質を全体的にレベルアップすることが重要となっており,このための有効な方法として, DRの成熟度評価が着目されている.本論文では,ハードウェア製品に焦点を絞った上で, DRを「過去の経験を用いて設計誤りを効果的・効率的に見つけるための活動」として位置づけてモデル化し,このモデルに基づいてDRの成熟度評価を行うための具体的な方法を提案した.また,この評価方法を様々な製造企業で行われている基本設計・詳細設計のDRに適用した.結果として,知識・経験があり,示されている段階尺度の意味が分かる人であれば,大きな工数をかけることなく,現行のDRの質を評価でき, DRにおける設計誤りの見逃しを低減するために改善すべき領域を明確にすることができることがわかった.
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