近年,企業・組織が動画マニュアルを活用し,業務の質の向上に成果をあげている.しかし,どのような動画マニュアルを作れば正確な作業方法の伝達ができるのかについては必ずしも明確になっていない.本論文では,2つの作業を例に取り上げ,動画マニュアルの表現方法を実験計画法を用いて系統的に変化させ,それぞれの動画マニュアルを用いて作業した場合に発生したヒューマンエラー(指示した作業内容からの逸脱)の件数を調べた.また,得られたデータをもとに,表現方法によりヒューマンエラー発生率がどのように変わるのかを解析した.結果として,作業の特性によって有効な表現方法に違いがあること,ただし,作業の特性によって相反する条件が最適となることはなく,動画を撮影するアングル,拡大した画像の挿入方法,注意文の文字色・挿入方法,作業全体の流れを示す図や作業目的を説明する図の活用方法などの条件を適切に選ぶことで,エラー発生率の低い動画マニュアルを実現できることが分かった.
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