ヒューマンエラー(以下,エラーと略す)による不良・事故を防ぐには,未然防止の立場からエラープルーフ化(機器,部品,手順等の作業方法の工夫・改善)を行うことが大切である.しかし,作業方法に基づいてエラーの発生頻度を推定する方法については,作業担当者の定性的な判断に頼っているのが現状であり,客観的なデータに基づいて定量的に推定する方法は,少数の先行研究を除き,研究されていない.本研究では,製造業における主要な工程の一つである機械加工工程を取り上げ,そこで行われている広い範囲の作業について,エラーの発生頻度を定量的に推定できる方法を開発した.この方法では,作業に含まれる要素作業を書き出した後,エラー発生要因の点数付けを行い,この結果をもとに,予め求めたエラー発生要因とエラー発生頻度の関係式を用いてエラーの発生頻度を推定する.2つの機械加工工程に適用した結果,少数のエラー発生要因を用いることでエラー発生頻度を精度良く推定できること,推定式はエラーの種類ごとに異なること,エラーの種類によっては作業の種類による層別が必要なことなどが分かった.
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