種々金属のβ-ジケトン錯体とU
3O
8 (20%濃縮) の混合試料を原子炉照射し, そのさい生じる核反応で直接FPのβ-ジケトネートを作らせ, 昇華分離を試みた。その結果Fe (dpm)
3およびFe (pta)
3をキャッチャキレートとした場合, いずれも昇華分離された放射能沈着帯は1個所であり, 存在核種は
97Zr-
97Nbが主で,
105Ru,
99Mo-
99mTCも含まれていた。一方Y (dpm)
3およびY (pta)
3の場合, 前者では分離放射能帯は1個所に対し, 後者では2個所に現れ, この低温側沈着帯はキャリヤーフリーで核種は
97Zr-
97Nbがほとんどであった。また両者の昇華沈着帯への分離核種はほぼ同じで,
97Zr-
97Nb,
95Zr-
95Nb,
105Ru,
103Ru,
143Ce,
141Ce,
93Y,
92Y,
147Nd, 等であった。なおY (pta)
3の場合, さきにFP水溶液系からYをキャリヤーとし, Y+FP (pta)
nキレートを作らせ, 昇華分離したときの分離パターン (分離核種および分離沈着状態) と同じであった。Ni (acac)
2をキャッチャキレートにした場合も同じく2個所に放射能沈着帯が現れ, 低温側は
97Zr-
97Nbのキャリヤープリー状態であった。試料中Uのキャッチャキレートによる希釈効果をFe (dpm)
3+U
3O
8試料で検討した結果,
97Zr (
95Zr) 核種の収率の増加をもたらすが, 約50%を超すことはなく, この方法での試料の均一性に限界のあることを示した。
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